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	<title>ニッポンスケイプ  (Nipponscape) ー 日本モノヅクリ・コトヅクリ百景</title>
	
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		<title>『セレブと板金工』：第11話</title>
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		<pubDate>Sun, 14 Mar 2010 15:27:27 +0000</pubDate>
		<dc:creator>suzu</dc:creator>
				<category><![CDATA[Sheet Metal and Socialites]]></category>

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		<description><![CDATA[板金工場から生まれたブランドの名は、エアロコンセプト。そこには、新幹線や航空機の部品技術が活かされている。生まれてまもない、メイド・イン・ジャパンのこのブランドが、今、世界を駆け巡る。一体何が人々を魅了するのか？　板金工場のオヤジのノンフィクション。 ]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug20.jpg" alt="sug20" title="sug20" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-695" /></p>
<p><strong>人々に届く製品、エアロコンセプト</strong></p>
<p>エアロコンセプトというものは、<br />
菅野敬一というひとりの職人の頭の中から生み出された製品である。<br />
そして、その製品は、彼が無邪気に手を動かし、<br />
脳の中の想像力、もしくは創造力を駆使してつくり出したものである。<br />
普通なら、偶発的に出来てきたようなものが、<br />
市場に受入れられるということは考えにくい。<br />
でも、どうしてか、エアロコンセプトは、<br />
あまりにも大きな求心力を持って受入れられてきている。<br />
それが一体、どうしてなのか？　<br />
ひと言で言うのは、とても難しいことのように思われる。</p>
<p>しかし、製品の中に込められているコアとなる要素が、<br />
今、世の中に出回る大半のモノのそれとは<br />
異なっていることに間違いはなさそうだ。<br />
それは、どういう想いかと言えば、<br />
「いいモノをつくって届けたい」というシンプルな想いである。<br />
「どうやれば、いくら儲かるか」という<br />
いわゆる「経済システム」を土台にした発想ではなく、<br />
あくまでも「思いやり」や「優しさ」、<br />
くすぐったい言葉で言えば「愛」ということ、<br />
原初的な人間の村にあったような<br />
「思いやりのシステム（これをシステムと言って良ければ）」が<br />
土台になっている。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug25.jpg" alt="sug25" title="sug25" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-687" /></p>
<p><strong>自問自答というアプローチ</strong></p>
<p>市場からの逆算でモノづくりをするのが当たり前の世界で、<br />
菅野はまったく別のアプローチをしているのだ。<br />
そのアプローチをひと言で言い表せば、<br />
「自問自答」ということになる。<br />
こんな原始的なアプローチが<br />
世界を騒がせる製品を生むなどということは、<br />
現代の常識から考えると、「ありえない」。<br />
しかし、彼が市場調査を行う先は自分の心であって、<br />
彼のお客さんは彼自身なのであり、<br />
その彼と気が合う趣味をもった人々が<br />
エアロコンセプトのオーナーということになるのだろう。<br />
そして、そんな気心の知れた友人のような<br />
エアロコンセプト・ユーザーたちの相手をするのも、<br />
菅野自身だったりするし、彼らの中間に入る、<br />
取扱店との摂折衝を行うのも菅野だ。<br />
つまり、彼は、ひとり何役もこなす。<br />
しかし、同時にそのことで、動物的に本能的に、<br />
自分自身の「欲」と市場の「欲」の公約数を見出している可能性はある。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug24.jpg" alt="sug24" title="sug24" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-688" /></p>
<p><strong>「欲」と「欲」の争い合い</strong></p>
<p>そんな菅野にしても、<br />
エアロコンセプトづくりで迷いが生じなかったことがないわけではない。<br />
人が何か新しいことをはじめれば、<br />
周辺の人たちは口を出す。</p>
<p>「エアロコンセプトをつくりはじめた当初から現在にいたるまで、<br />
それは変わらないよ。<br />
人は自分の責任のないところでは、<br />
好き勝手なことを言うもんなんだ。<br />
”これよりこうした方が売れそうですよ”とか、<br />
”これをつくるべきです”とか、いろいろな意見が出てくるんだよ。<br />
そこで、私は迷うわけです。<br />
”お金は儲かるかもしれないけど、俺はつくりたくない”と。<br />
そんなときは、”欲”と”本当に菅野が欲しいモノ”とを<br />
天秤にかけなくてはならないんだ」。</p>
<p>なるほど、聞くとこれは、<br />
「欲」と「欲」の争い合いのようなものだ。<br />
つまり彼は、お金に対する欲を満たすか、<br />
つくり手としての欲を満たすかで、迷いが生じるというのだ。</p>
<p>「でも、お金になびけば、<br />
本当の自分というのは、どこまでも埋没いってしまうよね。<br />
慣れてくれば、慣れていくほど、どんどん埋没していくよね。<br />
でもさ、本音でつくったモノというのはさ、<br />
つくり手の心っていうのはさ、埋没するんじゃなくて、<br />
どうしてかモノを通じて世界に伝わっていくと思うんだ。<br />
エアロコンセプトのまわりを見てごらんよ。<br />
取材したいって言ってくる人もいれば、<br />
海外から取引したい、オーダーメイドの製品が欲しいという人まで、<br />
いろいろ表れるんだ。不思議なもんだろ」。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug23.jpg" alt="sug23" title="sug23" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-689" /></p>
<p><strong>俺にだって、欲はあるんだよ</strong></p>
<p>確かに、これまでも書き連ねてきた通り、<br />
エアロコンセプトの支持者というのは、<br />
決して少なくない。いや、驚くべきほど多い。<br />
こんな数の支持者を何の広告を使うこともなく、<br />
ブランディング戦略を練ることもなく得るのは、<br />
驚異的である。<br />
筆者は、広告関連のいくつかのプロモーションに<br />
携わってきた経験を持つが、<br />
広告的または広報的なアプローチだけで、<br />
ある製品をこれだけ濃い顧客に訴求し、<br />
しかも多くの支持者を動かす例は見たことがない。<br />
きっと奇跡でもなければなし得ないことだろう。<br />
だから、菅野のまわりに起きていることを<br />
奇跡として捉えないとするならば、<br />
彼の言うことに耳を傾けるしかない。<br />
つまり、それは、モノに心を込めるということである。<br />
そして、その心は、モノの上を伝って<br />
人と人の間を往来するということである。<br />
そして、心をモノに込めるとは、<br />
無欲になってモノをつくるということに、また戻っていくわけだ。</p>
<p>「俺にだって、欲はあるんだよ。<br />
たくさんある。ヴィンテージの車が欲しいとか、<br />
ジョン・ロブやウェストンの靴が欲しいとか、<br />
バシュロンの古い時計が欲しい、週２日は釣りに行きたいとか、<br />
スキーのシニア大会で優勝したいとか……。<br />
でも、そういう個人の欲も、お金に対する欲も、<br />
ぜんぶ闘って、削ぎ落としていかないと、<br />
本当に本当に自分が欲しいものというのは、見えてこないだよ。<br />
俺もこう見えたって、自分自身と闘うのは、<br />
結構、辛いことなんだ。<br />
さらに、<br />
他の人が押し付けようとしてくる考えと闘うのはもっと過酷だしね。」</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug22.jpg" alt="sug22" title="sug22" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-690" /></p>
<p><strong>「究極の欲」が結実したもの</strong></p>
<p>そう言って笑う彼は、<br />
恐らく、一般の人よりもジッと自分自身を見つめている。<br />
しかも感情や陶酔に流されないように、<br />
事実のみを淡々と見つめている。<br />
それは、例えば、「自分はデザイナーではない」ということであり、<br />
「売れるとは思ってもみなかった」ということであり、<br />
「褒められてビックリした」ということなのだ。<br />
そういう言葉の数々は、<br />
彼が自分自身を謙虚に見せようとした結果、<br />
口をついて出てきたものではないのだ。<br />
ジーッと自分自身を見つめて、そっと出てきた言葉なのだ。<br />
しかし、ひとつ菅野自身も気がついていないことを言うとすれば、<br />
エアロコンセプトは、<br />
「究極の欲」が結実したものであることであることは間違いのない。<br />
彼の心の中、<br />
そして彼のまわりの人の提示する「欲」の中から、<br />
本当に本当に手にしたいものとして選ばれた「ひとつの欲」、<br />
勝ち抜いた「一欲」である。しかし、その究極の欲は、<br />
他のあらゆる欲に打ち克たないと浮き上がってこないものなのだ。<br />
そういう精神の極限から生まれたものが<br />
エアロコンセプトであるならば、<br />
それが世界の人々を感動させるということにも、<br />
多いに納得できるはずだ。<br />
心は、モノを通じて人に伝わる。<br />
それは、ストイックに青春を投げ打ってでも、<br />
ひとつの競技で勝ち抜きたい、世界一になりたい。<br />
そう願うオリンピックアスリートに似ている。<br />
彼らもまた、あらゆる欲を抑え、一欲に邁進した人たちだからだ。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug21.jpg" alt="sug21" title="sug21" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-691" /></p>
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		<title>『セレブと板金工』：第10話</title>
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		<comments>http://nipponscape.com/J/2010/03/14/book-a-10/#comments</comments>
		<pubDate>Sun, 14 Mar 2010 09:50:40 +0000</pubDate>
		<dc:creator>suzu</dc:creator>
				<category><![CDATA[Sheet Metal and Socialites]]></category>

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		<description><![CDATA[板金工場から生まれたブランドの名は、エアロコンセプト。そこには、新幹線や航空機の部品技術が活かされている。生まれてまもない、メイド・イン・ジャパンのこのブランドが、今、世界を駆け巡る。一体何が人々を魅了するのか？　板金工場のオヤジのノンフィクション。 ]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug11.jpg" alt="sug11" title="sug11" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-672" /></p>
<p><strong>菅野敬一にとってのエアロコンセプト</strong></p>
<p>菅野が自分の好きなものをつくって、<br />
その結果としてエアロコンセプトが世に生まれたことはわかった。<br />
では、菅野が好きなものというのは何なのだろうか。</p>
<p>はじめて菅野にインタビューを行ったとき、<br />
彼は彼自身が触れてきて心酔してきた製品として、<br />
ライカやBMW、それから、古い映写機などを例としてあげていた。<br />
彼にとって、それらの製品群が価値高いのは、<br />
それらの製品が手に触れただけで嬉しくなるような製品だからである。<br />
そして、さらにそれらは、使う度に何かを感じる製品だからである。</p>
<p>「いいモノというのは、モノが語るんだよ。<br />
職人が心を込めてつくったものというのは、<br />
細部に職人の心、設計者の心が表れるから、<br />
使い手が手に取るたび、何かを語りかけてくれるんだ」。</p>
<p>決して安くはない高い品質の製品。<br />
菅野がそれらのものに触れてこられたのには、父の存在がある。<br />
菅野の父は、最高のものに触れていたいという心を持った人物だったようで、<br />
自分ではBMW社のバイクを乗り回し、<br />
家では蓄音機にクラシックレコードを乗せてレコード鑑賞会を開き、<br />
息子には、最高級品のカメラ、ライカを与えた。<br />
そういうハイカラな気質を持った職人だった。</p>
<p>「だけど、別にウチが大金持ちだったとか、<br />
そういうのではなくて、<br />
単純にウチの父親はそういうものが好きだったんだ。<br />
好きで、好きで、そのためにお金を貯めては、<br />
買って手に取って、いじって喜んでいたんだと思うな」</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug18.jpg" alt="sug18" title="sug18" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-673" /></p>
<p><strong>モノに対する感度の高さ</strong></p>
<p>菅野がそう語るところから想像すると、<br />
恐らくは、菅野の父は、自分でモノを生み出す職人として、<br />
本能的に逸品を求め、傍に置いておきたいと考えたのではないだろうか。<br />
日々、自分自身で良いものを生み出そう、<br />
つくり出そうとする職人が、同じ職人、<br />
またはエンジニア、デザイナーの心を製品のなかに見出さぬはずはない。<br />
そういう意味では、<br />
つくり手というのは、<br />
明らかにモノに対しての感度の高いアンテナを発達させている。<br />
現代という時代は、「心を失った時代」と表現されることもあるが、<br />
誰の意志も、想いも、欲望もなく、<br />
ただ単に生活をやりすごす利便性向上のためだけに<br />
工場で量産された製品の数々を、我々が平然と使っていられるのも、<br />
現代人のモノに対する感性自体が<br />
著しく薄れてきてしまっているからなのかもしれない。<br />
それは、大げさなことを言えば、都市文明が発達して、<br />
経済が発達して、サービス業、中間業が発達すればするほど、<br />
人類創世以来、常に生活の傍らで行われてきた「ものづくり」<br />
ということから距離を置くようになってしまったがための<br />
結果なのだと思う。<br />
現代という時代は、<br />
「誰かが欲しくてたまらないモノではないけれど、<br />
何かの役には立つモノ」が量産され続けている時代だ。<br />
だからといって、渓水という工場が、<br />
その時代の流れに逆らった工場であると、筆者は考えない。<br />
むしろ、時代の流れのなかに組み入れられようと努力し、<br />
それでもなかなかその時代に適合できないできた工場なのだろうと思う。<br />
「安くしろ、早くしろ」、<br />
菅野が自身の体験から猛烈に拒否反応を示すこの言葉を、<br />
父も同じく耳にし、努力を惜しまず会社経営をしてきたはずだ。<br />
一経営者としたら、少しでも会社の経営を良くしようと考えることは、<br />
自然なことだ。<br />
しかし、そういった世の時流の中でも、<br />
この工場から職人魂が消えないのは、つくっていたものが、<br />
航空機や新幹線のパーツだったということと無関係ではないだろう。<br />
その製品の性質上、まったく手抜きができないのである。<br />
それは、そのどちらの乗り物もが<br />
人命をあずかる高速移動体であるがための宿命だ。<br />
良いものを見失わない心が、<br />
渓水という工場に今も根強く息づいているのは、<br />
そうした取扱製品の特性も少なからず関係している。<br />
が、しかし、菅野の父のモノに対する感度の高さとは別のところで、<br />
さらに高い次元で良いモノを感じる心が菅野には備わっており、<br />
その感性がエアロコンセプトを生み出したのだろう。<br />
では、一体、菅野は何を胸に想い、<br />
エアロコンセプトを生み出したのだろうか？　<br />
「自分自身が欲しいものをつくった」と言うのであれば、<br />
彼はエアロコンセプトのどこを好きで、<br />
どこを誇りに感じているのだろうか？　<br />
筆者が菅野に質問を投げると、<br />
菅野は次のような箇条書きの答えを返してきた。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug12.jpg" alt="sug12" title="sug12" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-678" /></p>
<p><strong>「自分が居る」ことの実践</strong></p>
<p>「1．好きでつくっているという議論の余地のない潔さと気軽さ。<br />
2．好きでつくったエアロコンセプトがお題となって、各エンドユーザーから違った切り口の答えが返ってくること。<br />
3．新品のときよりも使い続けて更に良く見えること。つくり手と使い手が協力して、最後にモノ（材料）でなくなること。<br />
4．人の持つ能力、愛に対して、貨幣経済は下品であることを伝えられること。<br />
5．ものづくり屋として、気持ちを楽にして、本音で食べていける企業づくりへの挑戦。</p>
<p>何とも、ユニークな回答である。<br />
それぞれの答えには、それぞれの備考も付け加えられていた。</p>
<p>1の備考．下請けをする職人にとって、「自分の好き」を表面に出すことは、「自分が居る」ことの実践だからだ。</p>
<p>２の備考．「好きでつくる」というのは、良くも悪くも一つの基準。基準ができるからエンドユーザーからの答えが返ってくると思う。</p>
<p>3の備考．私の好みのものは、長く使い続けていくことのできるもの、「長く付き合えるもの」だ。</p>
<p>4の備考．「費用対効果」「安くて良い」「早くて便利」、こういった言葉の結果として生み出された製品ばかりでは、悲しすぎる。経済的な都合によってだけ生み出された製品だけでは、あまりにも悲しい。</p>
<p>5の備考．従来、下請け工場に本音を言う権利はなく、客先と客先にコントロールされた市場の本音に振り回される存在。でも、もし私が工場のリスクを覚悟してでも、私の本音を貫いたなら、企業存続が可能がどうか？その挑戦がしてみたい。」</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug14.jpg" alt="sug14" title="sug14" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-674" /></p>
<p><strong>エアロコンセプトに込められた気配や感触</strong></p>
<p>なるほど、菅野の頭の中は、本当にユニークだ。<br />
当たり前のことを当たり前に書いているだけとも言えるが、<br />
今の時代を鑑みれば、かなり興味深いユニークな考え方である。</p>
<p>エアロコンセプトに込められた哲学というものが、<br />
果たして、どの程度に深いものなのか、その真実はわからない。<br />
しかし少なくとも、菅野は前述のようなことを公言している。<br />
そして、ユーザーはエアロコンセプトの製品自体からも<br />
その哲学も感じ取ることができる。</p>
<p>その辺りに関しても、菅野はオリジナルの考えを持っている。</p>
<p>「エアロコンセプトにはね、<br />
いろいろな気配や感触を漂わせたい、そう思っているんだ。<br />
たとえば、俺には、<br />
表現する言葉がないから”感じる気配”を優先させたんだ。<br />
”どこか無駄”と思えるような気配を漂わせたいし、<br />
”どこか不良”と思えるような気配を漂わせたい、<br />
それにどこかセクシーであってほしいし、<br />
上品であってもほしいんだ」</p>
<p>さらに、菅野はエアロコンセプトの中に込めた、<br />
秘めた想いについてを語り続けた。<br />
それらの言葉の多くは、<br />
菅野自身が感じている朧げな感覚的なものを言葉にしているから、<br />
恐らく一般の読者にはあまりにもわかりにくいものだろう。<br />
しかし、ここには、彼が言ったそのままを書き記すことにしよう。</p>
<p>「俺がエアロコンセプトの中に込めた上品なものというのは、<br />
”強さ”のなかになくて、”弱さ”のなかに含まれている気配なんだ。<br />
モノの中に、優しさ、潔さ、思いやり、<br />
といった人だったら格好いいと思える要素を込めるんだ。<br />
そして、行動と行為のなかにある、キーワードもね。<br />
それは例えば、”旅”、”仕事”、”遊ぶ”、”初対面”、”仕草”、”別れ”、<br />
”伊達に振る舞う”。特に、”仕草”は大切な要素なんだ。<br />
蓋を開けるときの手や指の動きの優雅さだったり、<br />
名刺ホルダーから名刺を抜き出すときのスマートさだったり、<br />
手にカバンを提げたときの誇らしげな足取りだったり、<br />
そういうものを導き出す道具だったらいいんだよなぁ」。</p>
<p>そして、最後に、エアロコンセプトをつくるときに、<br />
一番意識しているものは、無心であることこそが大事なのだという、<br />
無欲、無我、無心。<br />
そんななかで手を動かすことではじめて製品はひとつの形となる、<br />
世に生み出される、そういうのだ。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug13.jpg" alt="sug13" title="sug13" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-679" /></p>
<p><strong>無心と無欲から</strong></p>
<p>無心になって、心を込める。<br />
これは一体、どういうことなのだろう？<br />
一般的には人間の心が一番ピュアな状態にあるときに、<br />
無心と表現する。<br />
無我の境地では、インスピレーションが降りてくる、<br />
そういうことなのだろうか。</p>
<p>これを菅野に聞いてみると、<br />
つまり、実際につくる段には、<br />
そういうゴチャゴチャしたことをコンセプチャルに考えているわけではなく、<br />
ただ、ただひたすら無心に、<br />
心の中に浮かんだ絵を外に出すということである。</p>
<p>「こうやってさ、土日に休みの工場に来て、<br />
ジャズなんかを流しながらさ、設計図を描いたりするんだ。<br />
そうすると、窓から夕日が射し込んできてさ、<br />
ぽかぽか部屋が暖かくなってきて、<br />
オレ、図面の上に寝ちゃったりするんだよ。<br />
そういう何でもない時間がさ、本当に贅沢に思えて、<br />
オレ、大好きなんだよ」。</p>
<p>つまり、彼がエアロコンセプトに込めている心というのは、<br />
それは彼自身の無邪気さなのだろう。<br />
子供が砂場で土遊びをしたり、粘土遊びをするような、<br />
そんな心持ちで彼はエアロコンセプトをつくっている。<br />
ただ、彼の頭と体には、十二分に知恵と技がしみついていて、<br />
自然と複雑な計算や作業ができてしまうのだ。<br />
きっと、そういうことなのだろう。</p>
<p>町工場の職人と聞くと、いわゆる荒くれ者的なイメージや、<br />
寡黙で朴訥というステレオタイプなイメージが浮かぶことだろう。<br />
きっと、気質としては、彼にもそういうところもあるのかもしれない。<br />
しかし、彼のエアロコンセプトにかける想いを聞けば、<br />
彼はとても詩的で、哲学的で、ロマンティックだと言わざるをえない。<br />
明らかに、彼は、エアロコンセプトに果てしないロマンを見出している。</p>
<p>あまりに叙情的なことを口にしてしまったからだろうか、<br />
最後に彼は、おどけるようにこう言い直した。</p>
<p>「でもさ、やっぱり、エアロコンセプトってさ、わかりやすいだろ。<br />
だって空を飛ぶ飛行機の部材からできてるんだ。<br />
&#8220;空を飛ぶ&#8221;って、夢があっていいじゃないか。<br />
何よりも、エアロコンセプトがいいのは、<br />
わかりやすい夢をもったカタチってところなんだ。<br />
そんな難しいことじゃないさ」。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug16.jpg" alt="sug16" title="sug16" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-675" /></p>
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		<title>『セレブと板金工』：第9話</title>
		<link>http://feedproxy.google.com/~r/Nipponscape/J/~3/cPNG4GKg7Z0/</link>
		<comments>http://nipponscape.com/J/2010/03/13/book-a-9/#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 13 Mar 2010 06:01:28 +0000</pubDate>
		<dc:creator>suzu</dc:creator>
				<category><![CDATA[Sheet Metal and Socialites]]></category>

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		<description><![CDATA[板金工場から生まれたブランドの名は、エアロコンセプト。そこには、新幹線や航空機の部品技術が活かされている。生まれてまもない、メイド・イン・ジャパンのこのブランドが、今、世界を駆け巡る。一体何が人々を魅了するのか？　板金工場のオヤジのノンフィクション。 ]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug011.jpg" alt="sug01" title="sug01" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-659" /></p>
<p>きっと、菅野という男もそうした大量生産品のお世話になってはいるのだろうが、エアロコンセプトというプロダクトに関しては、それらの量産品のものに近づけて一儲けしようなどとはツユほども考えていない。</p>
<p>「だって、そんなの俺が欲しくないもの。俺が欲しくてものづくりはじめたのに、俺がいらないものつくってどうすんの？　今は、食器だって、鞄だって、家電だって、使い勝手からしたら大した差なんてないんだよ。俺はそう思うね。だから使い手はモノに何かの価値を見出すんだろうけどさ。それは、そのブランドの歴史だったり、認知度だったり、品質だったり、厳選された材料だったり、上品なおもてなしだったり、長い保障だったりさ。でも、そういうものは、全部、結果じゃない？　そういうのいくらごちゃ混ぜにして万全の体制をとったってさ、そこに生みの親がいなかったら、モノとしての価値なんか、あるのかね？　俺だったら、そんなものはいらないよね。だから、俺は俺が欲しいものをつくっているんだ。俺の気に入ったものがこさえられたら、それで満足。それを気に入って、お金出して買ってくれる人がいたら、もっと満足なのさ。生みの親がモノにいないというのは、悲しいことだよね」（菅野）。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug02.jpg" alt="sug02" title="sug02" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-660" /></p>
<p>では、具体的にエアロコンセプトがどう開発されたのかを聞いてみると、そこについて菅野はあまり語りたがらない。</p>
<p>「土曜日とか日曜日とか、仕事がなくて暇なときとか、そういう余った時間と余った材料を使って、ちょっとつくっては手をとめて、また進めてというのを繰り返していただけだよ。余った材料といったってお金はかかるからね。材料費だけだって、航空機や新幹線と同じものを使うから、本当に高いんだよ。そういう材料を使うから、そんなに一辺に沢山はつくれなかたんだ。だから、楽しみながら、今週はここまでつくった、来週はあそこまでできた。今月は材料費を使えないからつくるのはよそう、そんな感じだったかな」（菅野）</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug05.jpg" alt="sug05" title="sug05" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-661" /></p>
<p>技術やデザインの研究というものは、そうした日曜大工作業を通じて、自然に行われていったものに違いない。エアロコンセプトの発売当初、菅野が知人に頼んで作成したブランドポリシーを読むと、その開発がどのように行われていたか、朧げではあるが何となくわかる。</p>
<p>「これ、7年前に作成した製品ポリシーなんだけど、今思えば、ちょっと違っているなぁって思うんだ。文章のプロの鈴木さん（筆者）、これちょっとアイディアもらえないかな」（菅野）。</p>
<p>そう言って、菅野が見せてくれたのは、下記の内容のものだった。筆者が読んだかぎりにおいては、確かに客観的に距離を置いて観られるようになった現在の視点からは、エアロコンセプトというブランドを正確に捉えたものとは言いづらい。しかし、普段は涼しい顔をしている菅野も、立ち上げ当初は真剣に「自分の欲しいもの」に向き合っていた感じが出ているのが手に取るようにわかる。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug06.jpg" alt="sug06" title="sug06" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-662" /></p>
<p>“AERO CONCEPT”は、当社で永年培われてきた工業生産技術、とりわけ Boeing、Airbus社に代表される航空機パーツ製造の技術と設計デザインを生かした、エンドユーザーを対象とした製品開発と販売事業です。ここで創り出される製品ポリシーは『高い加工技術と精度』、もう一つは『手間を惜しまないモノ造り』です。約2年間に及ぶ設計デザインの蓄積、加工技術の研究を重ねた結果、製品コンセプトを『航空機・宇宙・大気』とし、主に家具・インテリア・鞄・照明器具・スポーツ用品等、多くの分野で手がけていきます。それらは、単に形だけでデザインとは呼ばない”航空機屋が提案するモノ創り”として、今までに無い斬新な設計スタイルになるでしょう。同時に、『 1/1000mm 加工」の創り出す世界は、≪遊 ・ 技 、まさに遊び心を持った精密機械≫と呼ぶに相応しい製品になるでしょう。そんなモノ創りの中で、エンドユーザーと出会ってみたい。「AERO CONCEPT」 それは、私たち職人の強固な、そして喜びに満ちたポリシーです。 </p>
<p>この宣言文から拾えるのは、高い加工技術と精度にプライドを持っているということ、手間を惜しまないモノ造りを肝に銘じていたこと、エアロコンセプトのブランドの設計には約2年間が費やされていたこと、「航空機屋が提案するモノ創り」を遊びや普段使いの世界に持ち込もうとしていたこと、などだ。たとえ今気に入らない製品ポリシーでも、そのいくつかのことは明文化された内容からはっきりと伺い知れる。エアロコンセプトの開発秘話は、決してNHKのプロジェクトXで描かれるような、喧々囂々の論争や、挫折と栄光の物語ではない。何故なら、基本的に、その開発に携わっている人間は菅野ひとりしかいないからだ。もちろん、工場の腕利きの職人の手を借りるということはあっても、基本的にはひとり呑気につくり進めていた。だから、会議もなければ、プロジェクト進行のスケジュール管理や予算もない。まさに、日曜大工的なブランド開発だったのである。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug08.jpg" alt="sug08" title="sug08" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-663" /></p>
<p>「だけどさ、そうは言ったって、うちだって十数人のスタッフがいるんだからさ。反対者はいたんだよ。本業の航空機や新幹線のパーツづくり以外にわけわからないことを、俺がはじめたからね。まあ、だけど、それでも、俺の場合は、ブツブツひとりごと言いながら作業を進めるだけだからね。いつかは辿り着くだろうってさ」（菅野）</p>
<p>物語の起伏を期待した読者には気の毒だが、エアロコンセプトの開発は、まったくと言っていいほど物語性を帯びていない。いや、物語がないわけではない。物語は菅野ひとりの中で起り続けていたのだ。「こうじゃない、ああのほうがいい、いやこっちをこうしたらどうだ、アイツに手伝ってもらったらこの部分がうまくいくかもしれない」。そういう瞑想にも似た内観作業と手を動かす実作業が、実を結んだとき、それがカタチとなって外に出てくる。自分という井戸を掘り下げて、自分の欲しいものに辿り着く。そこには誰のフィルターも掛からない。技術的限界はより腕利きの職人からのサポートはあっても、基本的には菅野ひとりの好き嫌いが反映されるわけだ。現在、ラインナップされるエアロコンセプトはすべてが菅野の美意識から生まれている。じゃあ、一体、そんな好き嫌いを内包している菅野という人物は一体、どういう教育を受け、どういうモノに囲まれてきたのか。興味は、自然とそこに至る。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/sug10.jpg" alt="sug10" title="sug10" width="500" height="200" class="aligncenter size-full wp-image-664" /></p>
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		<title>『セレブと板金工』：第８話</title>
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		<pubDate>Wed, 10 Mar 2010 15:53:50 +0000</pubDate>
		<dc:creator>suzu</dc:creator>
				<category><![CDATA[Sheet Metal and Socialites]]></category>

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		<description><![CDATA[板金工場から生まれたブランドの名は、エアロコンセプト。そこには、新幹線や航空機の部品技術が活かされている。生まれてまもない、メイド・イン・ジャパンのこのブランドが、今、世界を駆け巡る。一体何が人々を魅了するのか？　板金工場のオヤジのノンフィクション。 ]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/su011.jpg" alt="su01" title="su01" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-647" /></p>
<p><strong>みんなが欲しいもの、ぼくが欲しいもの</strong><br/></p>
<p>会社が倒産する前にも、菅野は自分の好きなものを空いた時間や余った材料などを使って、つくる作業はいつもやっていた。その出来映えには、満足していたし、使い心地にも満足していた。何しろ、ユーザーは自分自身しかいないわけだから、自分の好きなものをつくるのは、そうそう難しいことじゃなかったのだろう。彼にとっての、その余暇的なものづくりは、頭にあるイメージを自分の手の上で材料と道具を転がして、3次元空間に物質化するという作業である。</p>
<p>世界で営まれる町工場においても、こういうことをやっている工場のオヤジというのは、案外いるはずだ。便利なものを日用大工的に製作してしまう。しかし、菅野が特別なのは、彼がつくり出すもののクオリティが最初から尋常じゃないものだったということだ。筆者は、彼がはじめにつくっていた書類ケースや鞄というものを何度も見せてもらったが、その美しさは筆舌につくしがたい。つまり、「自分が欲しいと思うものをつくっただけ」というのは、「こんなもの、つくってみました！」ということではなく、モノに対しての徹底的なこだわりがある人間が、「こういうものをつくってやるんだ！」という意気込みを持ってつくったということだ。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/su05.jpg" alt="su05" title="su05" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-650" /></p>
<p>「俺たちは、いつも航空機の内部パーツだとか、新幹線の内部パーツを眺めては、美しさを感じていたわけだよ。本当に美しいなぁってさ。それで、そういう精度の高い板金加工されたパーツを使って、持ち歩くものがあったら、俺が、ほしいなぁって思ったんだ」（菅野）。</p>
<p>菅野の頭のなかには、最初から３次元のエアロコンセプトの映像が浮かんでいた。それは、土門拳や名取洋之助、木村伊兵衛が「シャッター以前」という言葉で言い表したものに近いのだろう。「シャッター以前」という言葉は、写真家の間では当たり前のように使われている言葉で、本来写真家は何百カットも撮った中からいいものを選び出すのではなくて、最初に頭のなかにあるイメージに沿って被写体を探し当て、露出とシャッタースピードを調整するだけだというものである。何を伝えるべきか、それは外に物質として現象化される前に、内に、つまり心の中にはっきりと描かれていなければならない。「シャッター以前」という言葉は、写真好きの菅野の口からも聞いたことがあった。だから、彼は恐らくはそういう作業をエアロコンセプトづくりの中にも、意識的にか無意識にか用いているのは間違いのないことだろう。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/su07.jpg" alt="su07" title="su07" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-651" /></p>
<p>菅野と話して一番に感じることは、最初に映像化されるものにほとんどブレがないということである。菅野敬一というつくり手の想いが、つかい手である菅野敬一と寸分違わぬ形で結ばれて、はじめて作品は完成する。こういうブレのない作業を、いわゆる世にあるメーカーがその製作をしようと思ったら、一筋縄ではいかない。そこには営業マンがいて、マーケッターがいて、企画マンがいて、デザイナーがいて、プロモーション担当がいて、広報がいて、会社の取締役がいて、株主たちがいる。最初のビジョン、イメージがどこから出てくるかも企画にによって変わるのだろう。そして、その製作意図、テーマを研究開発、製作を通じて維持し、チーム全体で共有しなければならない。その上で、ビジョン、イメージにブレがなくなるというのは、まったく簡単なことではない。</p>
<p>「みんな、それぞれがそれぞにに欲しいものを言い合ったら、五目あんかけカレートマトソースステーキチャーハンになってしまうんだよ。みんなが食べたいものというのは、実は誰も食べたくないものなんだ。だから、渓水では、今までのところは、僕が欲しいものを考えて、それを形にすることを考えているんだ」。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/su08.jpg" alt="su08" title="su08" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-652" /></p>
<p>デザイナーやマーケッターやプロデューサーなど、大きなプロジェクトには必要不可欠の存在とされている人たちだ。もちろん、彼らのコミュニケーション能力や表現力、分析力は決して過小評価されるべきものではない。彼らがいるお陰で、それぞれの役割をそれぞれの人が効率良く進めることができるのだ。そして、彼らがいるお陰でクリエイションやクリエイティブと呼ばれるものでお金を市場から集めることができて、多くの人が生活を保障されるのだ。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/su04.jpg" alt="su04" title="su04" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-649" /></p>
<p>しかし、真剣にものづくりということを考えてみたときに、必ずいらない人材、余剰人材というものが出てくる。そして、彼らはプロジェクトに参加しているだけでは満足いかずに、口を出すことで存在をアピールしようとする。プロとしての意見が、いろいろな人の立場、観点から語られるわけだから、一見すればいろいろな角度から鍛えられれたプロダクトというものができあがりそうな気もするのだが、実際にそうなることはほとんどない。試しに、量販店の家電売場に行くとわかりやすいだろう。そこに並べられたものの中で、そこそこ欲しくなるものは沢山あるだろう、しかし借金してでも心底欲しいと思えるオブジェ、道具というのは案外少ない。帯に短し襷に長し。どれもこれも、何かが欠けてしまっているように映る。そこにつくり手の想いや哲学を感じる製品など、皆無に等しいのではないだろうか。たとえ源となるアイディアが素晴らしかったとしても、それが下流に、売場に近づくにつれて薄められては、決して人の心の奥深くまでは届かないということがよくわかる。ただ、現代という時代においては、消費者としても「とりあえずの普通に使えるものがあればいい」、そう考えている。確かに、それでいいのだ。求める機能さえあれば、何もこだわりの逸品を高いお金を出してまで買うことはないのだ。だから、五目あんかけカレートマトソースステーキチャーハンを買い、マクドナルドを食べ、コカコーラを飲み、ユニクロや無印にトヨタの車に乗って行くのである。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2010/03/su02.jpg" alt="su02" title="su02" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-648" /></p>
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		<item>
		<title>『セレブと板金工』：第7話</title>
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		<comments>http://nipponscape.com/J/2009/09/23/book-a-7/#comments</comments>
		<pubDate>Wed, 23 Sep 2009 04:04:20 +0000</pubDate>
		<dc:creator>suzu</dc:creator>
				<category><![CDATA[Sheet Metal and Socialites]]></category>

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		<description><![CDATA[板金工場から生まれたブランドの名は、エアロコンセプト。そこには、新幹線や航空機の部品技術が活かされている。生まれてまもない、メイド・イン・ジャパンのこのブランドが、今、世界を駆け巡る。一体何が人々を魅了するのか？　板金工場のオヤジのノンフィクション。 ]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/aero10.jpg" alt="aero10" title="aero10" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-611" /></p>
<p><strong>渓水が遭遇した倒産</strong><br/></p>
<p>「渓水っていう会社は、前は麻布にあったんだけど、バブルがはじけた後に潰れちゃったんだよね。それで、そのときに辛くて辛くて、あと30年生きられたら、もういいやって思っちゃったんだよな。だから、その30年のうちには、自分の好きなものをつくって、それから死んだらいいんじゃないかなってさ。それでエアロコンセプトをやることにしたんだ」。</p>
<p>渓水が一度、潰れている。それは大きな驚きである。これだけの技術を持った町工場が倒産するなどということがあるのが不思議な気がする。しかし渓水はつぶれてしまった。<br />
それにはひとつ事情があった。当時の渓水は、1社からかなり大きな割合で仕事を請け負っていた。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/aero12.jpg" alt="aero12" title="aero12" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-620" /></p>
<p>「当時は、だいたい、仕事の8割、9割はそこの仕事だったね。計画したわけじゃあなかったんだけど、“うちは仕事量が多いから、他の仕事なんかしてないで手伝ってくれ”なんて言われて自然と一社優先になってたんだな、まあ言わば、ひとつの会社の専属下請け的な存在だよな。多数の得意先と取引するより作業効率も好いわけだよ、永遠に続けばね。そうしたら、その会社は中国企業との合弁を計画して急に仕事は激減して入金がなくなった途端、全部、終わってしまったんだよ。うちは倒産したんだけど、その会社も合弁で造った製品が全世界で大量の不良品出して、リコール回収費用で経営はダメになっちゃってさ、東証一部上場企業だよ、コパルって会社さ、今は電算コパルって名前になってる。いい会社だったよ、創業者は板橋の町工場から技術力で伸びてきて上場したんだけど、設計部の人間とは良く話し合いができてたからいい仕事ができたのは、お互いが職人集団だったからなんだ。でも、その会社も上場の後で創業者に代わって銀行から来たやつが社長になんかなった途端に変な事始めるわけよ、不採算部門の整理縮小ってのはまああるとしても、製造会社の心臓部のはずの設計部の大幅な人減らしやってみたり、中国との合弁でコスト競争始めたりでさ、いきなり仕事減らされて&#8221;こりゃ大変だ&#8221;と思った時は遅かったよ・・・」</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/aero11.jpg" alt="aero11" title="aero11" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-612" /></p>
<p>菅野は、会社の倒産によって、窮地に立たされ、毎日毎日さまざまな辛苦をなめさせられた。祖父と父が大切に育んできた工場があっと言う間に、吹き飛んだ。父は半狂乱のような精神状態となり、従業員と家族は不安のどん底につき落とされ、毎日のように借金取りが家を訪ねてくるようになった。そして、工場、家、大きな持ち物、金目になるものはすべて銀行とこの借金取りたちによって、差し押さえられてしまうという状況におちいってしまった。菅野敬一も、さすがにそのプレッシャーには精神を病ませてしまった。そして、あまりにも辛い想いをしたことから、残された道は、自殺することだけだとも真剣に考えたのだという。</p>
<p>しかし、彼が自殺をせずに済んだのは、ある不幸中の幸いとも呼べる、いい話が舞い込んできたからである。人が死というものと一度真剣に向き合うと、不思議とことがうまくまわることもあるのかもしれない。エアロコンセプトの土台となる「好きなものをつくってやろう」という意欲が彼自身の心の底から沸いてきたのである。つまるところ、倒産という事件こそが、エアロコンセプトという物語の幕を切ったのだ。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/aero13.jpg" alt="aero13" title="aero13" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-613" /></p>
<p>渓水が一度、潰れてしまったのに、息を吹き返したのには理由がある。それを端的に言えば、渓水にはこの町工場でしかつくることのできない技術があったからだ。精密板金加工技術は、板金加工の精度をあげた技術なので、板金工であれば、なにがどうなって、どういう形になるかを頭で理解するのは難しいことではない。この本を読めば、その説明についての大まかなことは理解できる。いわば、透明性のある技術なわけだ。</p>
<p>ところが、精度の高い板金技術を実際に手を動かしてやろうと思ったなら、それは容易なことではないのだ。発注者は、そこの点を理解していないから、製造開発をコストの安いところ安いところへと、話しを持ってまわす。</p>
<p>安かろう悪かろうとはつゆほども考えず、ひたすらにコストを削ろうとする。コストを削ることに成功した発注者は、会社では高い評価を得て、その敏腕ぶりから年俸の査定も高いものを得られるのかもしれない。しかし、現場では何が起っているのかは、その人の想像の外にある。ましてや、現場にいる人間の心が、どういう状態であるかなどということは考えることもしないのだ。つまるところ、ものづくりに対しての想像力というものは、希薄にものづくりをしているわけである。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/aero19.jpg" alt="aero19" title="aero19" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-614" /></p>
<p>結果として、できあがってくるものが不良品の山になるということも、そう珍しいことではないようである。そうなると、今度は、必死になって、その技術を持っている工場を探すというわけだ。</p>
<p>渓水がつぶれてしまったとき、家も取られ、工場も取られ、財産という財産はほとんど差し押さえられてしまったとき、この職人集団のもとに残されたものは何もなかった。しかし、法律では奪えないものがふたつだけあった。それが、技術と知恵である。</p>
<p>菅野の知人が、「腕と脳みそにあるものだけは、誰もうばうことはできない」そう口にしていたのを聞いたことがあった。つまり、菅野の営んでいた渓水という工場が実体験として味わっていたのは、まさにそういうことだったのだろう。時代の流れの必然として、一時的にキャッシュの流れから見放されていても、誰にも奪い去れないもの、技術と知恵を渓水はもっており、それがこの工場を救ったというわけだ。</p>
<p>倒産後、幾社かを訪ね歩き、やはり渓水でなければ気づき、数社の担当者がまた渓水をたずねてきた。</p>
<p>菅野が彼らに対して言ったのは、<br />
「もうお終いだよ。だって、工場がなくなってしまったし、会社は倒産してしまったんだ。</p>
<p>しかし、訪ねてきた数社からは何とか工場のラインを復活させてウチのものをつくってほしいと、また１社からは銀行を紹介するとまで言ってきたのだ。つぶれた会社にである。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/aero01.jpg" alt="aero01" title="aero01" width="500" height="200" class="alignright size-full wp-image-615" /></p>
<p>渓水が今もあるのは、その数社が支えてくれたお陰なのだろう。しかし、その芯の部分をより深くたどってゆけば、渓水が首の皮一枚で生き残れたのは、彼らが一朝一夕には誰にも真似できず、奪いとることのできない技術と知恵というものを、職人という身体のなかに宿していたからだ。</p>
<p>「安くやれ、早くやれ、とばかり言われていたのに、そういう状況になって、自分たちには特別な価値があるんだということがわかったときは、やっぱり嬉しかったよね」。</p>
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		<item>
		<title>異国の楽器で未だ見ぬ世界を：小栗久美子トルン・トリオ</title>
		<link>http://feedproxy.google.com/~r/Nipponscape/J/~3/Ipx-Nc0RA24/</link>
		<comments>http://nipponscape.com/J/2009/09/20/oguri/#comments</comments>
		<pubDate>Sun, 20 Sep 2009 10:01:53 +0000</pubDate>
		<dc:creator>suzu</dc:creator>
				<category><![CDATA[アーティスト]]></category>
		<category><![CDATA[マガジン]]></category>
		<category><![CDATA[音楽家]]></category>

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		<description><![CDATA[<strong>異国の地、ベトナムに伝わる楽器、トルンを日本で演奏するひとりの女性がいます。演奏がはじまると、その小さな体からは想像ができぬほど、大きく、勇壮に音を奏でます。彼女が軸となって結成されるトリオは、ジャズの感触に覆われたアンサンブルを奏で、潤いのあるグルーヴを響かせます。その音は、想像してしまいがちな「伝統」とは違い、現代的であり、未来的ですらある。音楽を聴いていると、この人たちは、一体、どんなところを目指して楽隊の旅を続けているのか、気になってくる。彼らが音楽にのせ、運んでいる想いを、小栗久美子さん、岡山晃久さん、菊田茂伸さんの３人に聞いてみました。</strong>
]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/oguri0014.jpg" alt="oguri0014" title="oguri0014" width="500" height="334" class="alignright size-full wp-image-580" /></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/red.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>こんにちは。トルンという楽器、はじめて聞きましたが、とてもいい音が鳴るんですね。どのような楽器かについて、簡単にご説明いただけますか？</strong></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>小栗：</strong>トルンというのは、もともとはタイグエン地方に伝わるベトナムの少数民族の楽器だったものです。簡単に言うと、木琴ならぬ竹琴ですね。</p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/red.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>なぜ日本人の若い女性が中心となって、異国のめずらしい楽器で高いレベルの音楽を鳴らしているのか、とても気になります。一体どんなきっかけから、トルンに触れることになったのでしょうか？</strong></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>小栗：</strong>ベトナムの代表的な楽器として紹介されているもののほとんどは、人口の約9割を占める キン族の文化なんです。でも、トルンという楽器はタイグエン地方の少数民族が生み出した楽器です。あるときに、それを知ることになって、不思議でたまらなくなったんです。ベトナムには50種を超える少数民族がいて、各地に色々な楽器が存在するのに、とりわけトルンが、キン族の文化に並んで全国的に知られることができたは何故なのか？その結論を導くために、私はトルンの改良研究史を追ったわけですね。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/oguri00121.jpg" alt="oguri0012" title="oguri0012" width="500" height="350" class="alignright size-full wp-image-583" /></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/red.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>凄い研究心ですねぇ。でも、そのある種の学術的好奇心が、いつしか自らがプレイヤーになって音楽を演奏する情熱に変わっているのがとても不思議です。</strong></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>小栗：</strong>それには実は理由があり、私は幼い頃からマリンバを習ってきているんです。マリンバは木琴の一種ですから、竹琴であるトルンに興味が移るのは、私としては、とても自然なことだったんです。トルンとの出会いは、大学でベトナム語を専攻したことに始まります。教授の研究室に、お土産品のミニチュアトルンが置かれていて、それを目にしてから、ずっと気になっていたんです。ベトナムで初めて本物を見たとき、その形状、音色ともに、強い衝撃をうけて、完全に惚れこんでしまいました。</p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/red.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>それは何か運命めいたものを感じずにはいられませんね。では、トルン自体はマリンバの演奏テクニックの流用で、独学で学ばれたわけですね。</strong></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>小栗：</strong>いいえ。そうではなくて、ベトナムに１年間留学をし、ハノイ音楽院（現在、“ベトナム国家音楽学院”に改名）のマイ・ライ先生や、ホーチミン市在住のトルン改良研究第一人者であるドーロック先生について、勉強しました。マイ・ライ先生のご一家は、みんな音楽家で、家族でアンサンブルをしたりもするんですよ。旦那さまのドン・ヴァン・ミン氏は元チェリストで、現在は腕の確かな楽器職人。私のトルンは、その方につくってもらっているんです。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/oguri0015.jpg" alt="oguri0015" title="oguri0015" width="500" height="350" class="alignright size-full wp-image-585" /></p>
<p>ハノイ音楽院のマイ・ライ先生。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/oguri0013.jpg" alt="oguri0013" title="oguri0013" width="500" height="364" class="alignright size-full wp-image-586" /></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/red.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>トルンを習うためにベトナム留学をする度胸というのがスゴい。驚きました。ベトナムというと、衛生環境も悪かったり、ある種の逞しさが求められる国だと思うのですけど、そういうところを飛び越えて、ベトナムに人生をかけるというのは、とてもユニークですね。</strong></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>小栗：</strong>ありがとうございます。東南アジア圏の国は、騙されたりするから嫌いという日本人もいますけど、私はベトナムという国が大好きなんです。ベトナムはひと言で言えば、とても人間的な国だと感じています。人と人が近い感じがしたからです。“他人”ということを意識する傾向にある日本に対して、人が隣にいればどこでも会話が始まるし、自然に手を貸し助け合う、そういう“知らない人”であることを意識していないような感覚があって、自然でとてもいいなあと思いました。</p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/red.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>でも、どんなに好きでも、その国の特別な楽器に情熱を傾けるということは、なかなかできることではありませんよね。ところで、現在取り組まれているトルン・トリオでは、どんな経緯、どんな想いで活動をされているのですか？</strong></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>小栗：</strong>トリオは、2008年9月にベトナム・フェスティバルを機に結成しました。私は、トルンを通じて、民族音楽というジャンルにこだわらない音楽づくりを模索しています。ベトナムの伝統音楽をやることも大切なのですが、それだけにとどまらず、自分自身が持っているリズム感や音感、感性を活かせるように、トルンを演奏していきたい。ベトナム人にとっては、外国人である私ならではの立場からトルンを新しいスタイルで鳴らしたら、どんな新しい世界が広がるだろう？　そういう想いが根にあるんだろうと思います。そんな新しいトルンの世界を多くの人に聴いてもらうことで少しでも元気づけられるようなことができたら、それ以上に嬉しいことはないかもしれないですね。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/oguri0002.jpg" alt="oguri0002" title="oguri0002" width="500" height="333" class="alignright size-full wp-image-587" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/oguri00081.jpg" alt="oguri0008" title="oguri0008" width="500" height="333" class="alignright size-full wp-image-589" /></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/red.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>メンバーのおふたりはいかがでしょうか？</strong></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>岡山：</strong>パーカッションを担当している岡山です。このトリオは他に類を見ない編成なので、参加できることをとても嬉しく思っています。このトリオは、文化交流的な面と独立した音楽を追求した面のふたつの側面があって、僕らにはどちらも大事なんですが、一番大事なのは、やっぱり自分にとって「気持ちいい」とか「かっこいい」とか、そういう感覚なのかなぁ、と思っています。</p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>菊田：</strong>ベースの菊田です。自分は最終的にそこに置いてある楽器からではなく、演奏家・作り手から音楽が聴こえてくると思うので、このトリオを始めたとき「民族楽器だから」「希少な楽器だから」とか「トルンでこの曲を演奏するのは世界初！」という面に頼らないように、と思いました。何か狙って特別なことをしようとは思わず、ただ「良い」音楽を、と思っています。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/oguri0007.jpg" alt="oguri0007" title="oguri0007" width="500" height="367" class="alignright size-full wp-image-590" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/oguri0005.jpg" alt="oguri0005" title="oguri0005" width="500" height="360" class="alignright size-full wp-image-591" /></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/red.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>ライブを聴かせていただいて、ジャズっぽい要素に包まれる形で全体のアンサンブルがうまく調和しているように感じたんですけど、この編成は計算されたものなのでしょうか？また、３人の音を調和させるために、気をつけていることなどがあれば、教えてください。</strong></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>菊田：</strong>計算とまでは言わないですが、自然の竹の素材の音を生かしたトルンとウッドベースの温かい音、おそらく調和するのでは？とパーカッションの岡山さんのアイデアで誘っていただきました。トルンは気温湿度によってかなりピッチが変化するので、フレットがないウッドベースは、トルンに合わせやすいのかもしれませんね。。ちなみに昨年の冬は、竹が縮こまったせいか音が低くなり、とても苦労しました。自分はアレンジャーも担当してるのですが、トルンの音階配置のモデルとにらめっこしながら作っています。鍵盤の並びが他に例を見ない配置なので、アレンジをする際は考る必要があるからです。</p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>岡山：</strong>自分のパーカッションというパートにおいては、リズムを刻むというよりは、ワクワクドキドキな感じ、緊張感、ノリノリ感、楽しい感じ、寂しい感じ など、空気を作れるように意識して演奏しています。そういうものがうまくアンサンブルに影響しているのではないでしょうか。</p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>小栗：</strong>私は、どちらかというとクラシックの畑出身なんです。だから、ジャズっぽいバンドというのは、私の中ではじめは冒険的な要素が強かったんだけど、最近、そういう空気をもっと自分のものにしたいなぁという想いが強くなってきていますね。</p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/oguri0003.jpg" alt="oguri0003" title="oguri0003" width="500" height="350" class="alignright size-full wp-image-592" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/oguri0004.jpg" alt="oguri0004" title="oguri0004" width="500" height="340" class="alignright size-full wp-image-593" /></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/red.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>こういうユニークな音の世界の追求が、より多くの人の耳に届くといいですね。最後に、今後のビジョンのようなものがあったら、教えてください。</strong></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>小栗：</strong>トルンはベトナムの伝統文化の一としてすでに充分魅力的ですが、「ベトナムの楽器」という枠だけでなく、ひとつの｢竹製の楽器｣として視野を広げてみたときに、もっと出来ることがあると思っています。ですから、私はこのトリオで 伝統楽器の新天地の開拓をしていきたい。それから、個人的には、声楽家だった母のことをとても尊敬しています。母のまわりには、なぜかいつも人が集まってきて、母の歌を聴いて、みんな、元気になっていく。病気をして他界してしまいましたが、母がこれまで音楽を通じてしてきた活動を少しでも受け継いでいけたらいいなぁという想いがあります。</p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>菊田：</strong>自分個人の演奏の信条として、カッコ良くも悪くも「生きる」というテーマでやっております。プレイヤーから発する音は、その人の生き様が影響していると思います。なので自分が出す音、紡ぐメロディは自分に正直にありたいです。その結果、誠実な音楽が生まれるのだと思っております。トルントリオは比較的、この自分の目標に近いことをやってると思います。メンバー2人も音楽に対してとても誠実で信頼してます。今後のトリオに関しては、さっき述べたように、このバンドは「民族楽器だから」「希少な楽器だから」とかそういった面に頼らず、単に音楽的にもすごいバンドにしたいと思ってます。もちろん、ベトナムの少数民族の文化を理解し、それを幅広い方々に紹介する。という役目もあると自覚しております。しかしそれだけに甘えてるのは、音楽の発信者としてのチャンスを逃すことにならないか？と考えてます。つまりはより多くの音楽好きが「おお！」と注目することをやっていきたいですね。</p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>岡山：</strong>とにかく、自分たちに正直に演奏していくしかないと思います。自分が「良い」と思ったら、そこには自信と責任をもって取り組めるようなそんな姿勢と、自分ではない外からの意見を柔軟に取り組んでいける姿勢と、どちらもバランスよく持ちながら音楽に接していけば、自然と自分の音が発信されるのかな、と考えています。あとはそれを続けていける強さを持っていきたいですね。</p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>小栗：</strong>10月には、大きなライブを控えているので、そこでは、私たちだけにしか出せない空気を出して、みなさんを、新しい音楽の世界へお連れできればいいなぁと思っています。</p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/red.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>どうもありがとうございました！若いみなさんが、新しい世界を探求している姿を見ていると、何だか元気づけられます。新しい音の世界、楽しみですね。</strong></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/09/oguri0018.jpg" alt="oguri0018" title="oguri0018" width="500" height="350" class="alignright size-full wp-image-597" /></p>
<p><img src="http://dev.nipponscape.com/scape-ja/wp-content/themes/nipponscape-ja/images/blue.gif" alt="" class="floatleft"/><strong>Information!!</strong></p>
<p><strong>トルン＆マリンバ・トリオライブ</br><br />
＠横浜赤レンガ倉庫１号館３Fホール</strong><br />
2009年10月4日（日）<br />
17時30分オープン<br />
18時00分開演<br />
出演：小栗久美子（トルン・マリンバ）、菊田茂伸（ウッドベース）、岡山晃久（パーカッション）<br />
全席自由3000円（Pコード：324-126）<br />
チケット取り扱い：<br />
電子チケットぴあ：0570-02-9999</p>
<p>主催：<a href="http://www.geocities.jp/nhaccu_vn/">Oguri Kumiko Trio</a><br />
共催：日本トルン協会<br />
後援：ベトナム航空、ベトナム大使館、朝日新聞横浜総局、マリンバ北星会、neoria KOROGI、アジア文化社</p>
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		<title>明るいマチ</title>
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		<pubDate>Mon, 31 Aug 2009 05:39:32 +0000</pubDate>
		<dc:creator>suzu</dc:creator>
				<category><![CDATA[イメージ]]></category>

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		<description><![CDATA[渋谷というところを夜中すぎに、ぷらぷらすると、その明るさにハッとびっくりしてしまいます。明るい明るい。一体、なんで、こんなに明るいのでしょうか。電灯があるからです。街に電気が通っているからです。この星に流れる電流の素を絞り出す法則を科学者が発見したからです。電気の法則も科学者も偉いもんなのだなぁ。でも一番偉いのは、電気も科学者も生んだ地球だよなぁ。地球さんは、本当に生命の母、灯火なのでした。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/akaruiyoru-003.2.jpg" alt="akaruiyoru-003." title="akaruiyoru-003." width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-560" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/akaruiyoru-005.jpg" alt="akaruiyoru-005" title="akaruiyoru-005" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-553" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/akaruiyoru-004..jpg" alt="akaruiyoru-004." title="akaruiyoru-004." width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-554" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/akaruiyoru-006.jpg" alt="akaruiyoru-006" title="akaruiyoru-006" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-555" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/akaruiyoru-009.jpg" alt="akaruiyoru-009" title="akaruiyoru-009" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-556" /></p>
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		<title>東京の空</title>
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		<pubDate>Thu, 27 Aug 2009 12:17:14 +0000</pubDate>
		<dc:creator>suzu</dc:creator>
				<category><![CDATA[イメージ]]></category>

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		<description><![CDATA[東京には空があり、地面があり、地底がある。地底には人が往来する。彼らは、地底を歩くが地底人とは呼ばれていないようです。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/sky00.jpg" alt="sky00" title="sky00" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-530" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/sky06.jpg" alt="sky06" title="sky06" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-531" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/sky05.jpg" alt="sky05" title="sky05" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-532" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/sky10.jpg" alt="sky10" title="sky10" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-533" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/sky131.jpg" alt="sky13" title="sky13" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-539" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/sky07.jpg" alt="sky07" title="sky07" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-535" /></p>
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		<title>午後の一服</title>
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		<pubDate>Thu, 27 Aug 2009 01:41:58 +0000</pubDate>
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		<description><![CDATA[



]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/cigar005.jpg" alt="cigar005" title="cigar005" width="500" height="375" class="alignright size-full wp-image-521" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/cigar012.jpg" alt="cigar012" title="cigar012" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-523" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/cigar001.jpg" alt="cigar001" title="cigar001" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-525" /></p>
<p><img src="http://nipponscape.com/scape-ja/wp-content/uploads/2009/08/cigar007.jpg" alt="cigar007" title="cigar007" width="500" height="500" class="alignright size-full wp-image-524" /></p>
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		<title>商店街のお花屋さん</title>
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		<pubDate>Tue, 18 Aug 2009 15:04:37 +0000</pubDate>
		<dc:creator>suzu</dc:creator>
				<category><![CDATA[イメージ]]></category>

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		<description><![CDATA[錆び付いた雰囲気と花のコンビネーションというのは、いいものですね。
朽ちる美しさと、咲き誇る美しさと、何か対照的な感じもあるけど、素敵ですね。（スズ）]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[錆び付いた雰囲気と花のコンビネーションというのは、いいものですね。
朽ちる美しさと、咲き誇る美しさと、何か対照的な感じもあるけど、素敵ですね。（スズ）<img src="http://feeds.feedburner.com/~r/Nipponscape/J/~4/lGzv1Cg5XPE" height="1" width="1"/>]]></content:encoded>
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