w'ANDのつれづれノート w'AND illustration代表の佐藤祐輔が考える絵のこと、仕事のこと、社会のこと・・・そんなことを日々つづっていきます。 2013-05-03T08:04:29+09:00 wand-i Hatena::Blog hatenablog://blog/12704830469097011977 絵描きのためのビジネス戦略6〜確率と行動指針〜 hatenablog://entry/11696248318752989691 2013-05-03T08:04:29+09:00 2013-05-03T08:04:29+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 これまで“ポジショニング”、“ターゲッティング”、“コンセプト”とビジネス戦略の基礎になる考え方をご紹介してきました。今回は少し趣向を変えて、具体的な行動指針を売上目標から導き出す、という話をしましょう。 その前にまず、宝くじの話をしたいと思います。 なぜ宝くじか、というと、投資効率を考える上で良い例になるからです。 宝くじは当選確率がはっきりしており、当選したときの回収金額も分かっています。 簡単な計算をすることで、宝くじの投資効率が分かります。 この計算から、ビジネスをする際の投資効率の重要性を理解してもらう、というのが今回の趣旨で… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>これまで“ポジショニング”、“ターゲッティング”、“コンセプト”とビジネス戦略の基礎になる考え方をご紹介してきました。<br />今回は少し趣向を変えて、具体的な行動指針を売上目標から導き出す、という話をしましょう。 </p> <p> </p> <p>その前にまず、宝くじの話をしたいと思います。<br /> なぜ宝くじか、というと、投資効率を考える上で良い例になるからです。<br /> 宝くじは当選確率がはっきりしており、当選したときの回収金額も分かっています。<br /> 簡単な計算をすることで、宝くじの投資効率が分かります。<br /> <br /> この計算から、ビジネスをする際の投資効率の重要性を理解してもらう、というのが今回の趣旨です。<br /> 確率の考え方に慣れると売上計画を立てやすくなり、売上を上げるための行動指針が得られるので、しっかりついてきていただけるとうれしいです。</p> <p> </p> <h2>宝くじの当選確率を計算する</h2> <p>まず宝くじの当選確率を計算していきましょう。<br /> 今回は2012年年末<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B8%A5%E3%A5%F3%A5%DC%CA%F5%A4%AF%A4%B8">ジャンボ宝くじ</a>をモデルに考えます。</p> <p> </p> <p>宝くじの当選番号は組と番の組み合わせでできています。<br /> 組は01組から100組までの100通り。<br /> 番は100000番〜199999番の100,000通り。<br /> したがって、宝くじの券に記載されている番号の組み合わせは<br /> <br /> <strong>  100 × 100,000 = 10,000,000</strong><br /> <br /> 全部で1,000万通りになります。<br /> つまり、理論上、宝くじ発券枚数の上限は1,000万枚ということになります。</p> <p> </p> <p>次に、各等の当選条件を見てみましょう。</p> <table border="1" cellspacing="0" cellpadding="2"> <tbody> <tr><th>等</th><th>条件</th><th>当選金額</th></tr> <tr> <td>1等</td> <td>組と番が的中した一通り</td> <td align="right">4億円</td> </tr> <tr> <td>1等前後賞</td> <td>組が1等と同じで番が1等の1番違い</td> <td align="right">1億円</td> </tr> <tr> <td>1等組違い賞</td> <td>番が1等と同じで組が1等と異なる</td> <td align="right">10万円</td> </tr> <tr> <td>2等</td> <td>組と番が的中した三通り</td> <td align="right">3000万円</td> </tr> <tr> <td>3等</td> <td>組に関わらず番が的中</td> <td align="right">100万円</td> </tr> <tr> <td>4等</td> <td>番の下4桁が的中</td> <td align="right">10万円</td> </tr> <tr> <td>5等</td> <td>番の下2桁が的中</td> <td align="right">3000円</td> </tr> <tr> <td>6等</td> <td>番の下1桁が的中</td> <td align="right">300円</td> </tr> </tbody> </table> <p><br /> この条件から各等の当選確率を計算すると次のようになります。<br /> <em>1等 1/1000万 (1000万枚のうちの1枚なので)</em><br /><em> 1等前後賞 2/1000万 (1000万枚のうちの2枚なので)</em><br /><em> 1等組違い賞 99/1000万 (組は100通りだが1等が確定しているので99通り)</em><br /><em> 2等 3/1000万 (的中は3通りあるので)</em><br /><em> 3等 100/1000万 (番のみ的中なので、100通りの組が的中)</em><br /> <br /> 4等以降は下◯桁的中、という形なので、少し計算方法を変えます。<br /> <em>4等 1/10000 (下4桁は0〜9999の1万通りなので)</em><br /><em> 5等 1/100 (下2桁は0〜99の100通りなので)</em><br /><em> 6等 1/10 (下1桁は0〜9の10通りなので)</em></p> <p> </p> <p>以上の計算結果から、各等の当選確率は次のようになります。</p> <table border="1" cellspacing="0" cellpadding="2"> <tbody> <tr><th>等</th><th>当選確率</th></tr> <tr> <td>1等</td> <td align="right">0.00001%</td> </tr> <tr> <td>1等前後賞</td> <td align="right">0.00002%</td> </tr> <tr> <td>1等組違い賞</td> <td align="right">0.00099%</td> </tr> <tr> <td>2等</td> <td align="right">0.00003%</td> </tr> <tr> <td>3等</td> <td align="right">0.00100%</td> </tr> <tr> <td>4等</td> <td align="right">0.01000%</td> </tr> <tr> <td>5等</td> <td align="right">1.00000%</td> </tr> <tr> <td>6等</td> <td align="right">10.00000%</td> </tr> </tbody> </table> <p> </p> <h2>宝くじの投資効率</h2> <p>1等が確実に出るためには、1000万枚の宝くじを買う必要があります。<br /> 仮に1000万枚買ったときの回収金額を計算してみましょう。</p> <table border="1" cellspacing="0" cellpadding="2"> <tbody> <tr><th>等</th><th>当選枚数</th><th>回収金額</th></tr> <tr> <td>1等</td> <td align="right">1</td> <td align="right">¥400,000,000</td> </tr> <tr> <td>1等前後賞</td> <td align="right">2</td> <td align="right">¥200,000,000</td> </tr> <tr> <td>1等組違い賞</td> <td align="right">99</td> <td align="right">¥9,900,000</td> </tr> <tr> <td>2等</td> <td align="right">3</td> <td align="right">¥90,000,000</td> </tr> <tr> <td>3等</td> <td align="right">100</td> <td align="right">¥100,000,000</td> </tr> <tr> <td>4等</td> <td align="right">1,000</td> <td align="right">¥100,000,000</td> </tr> <tr> <td>5等</td> <td align="right">100,000</td> <td align="right">¥300,000,000</td> </tr> <tr> <td>6等</td> <td align="right">1,000,000</td> <td align="right">¥300,000,000</td> </tr> <tr> <td> </td> <td>合計</td> <td align="right">¥1,499,900,000</td> </tr> </tbody> </table> <p><br /> 宝くじを1000万枚買った場合、回収できる金額は約15億円です。<br /> では宝くじ1000万枚の購入にはいくら必要でしょうか?<br /> 宝くじ1枚を300円とすると<br /><strong>  300 × 10,000,000 = 3,000,000,000</strong><br />宝くじ1000万枚の購入には30億円必要です。</p> <p>つまり、仮に宝くじを買い占めても半額しか回収できないことになります。<br /> 投資効率は-50%、と言うこともできますね。<br /> <br /> この結果を見て、投資したお金の回収を目的として宝くじに投資しようと思うでしょうか?</p> <blockquote><span style="font-size: 90%;"><span style="font-size: 90%;">誤解のないように補足しておきますと「宝くじの収益金のおよそ4割は全国の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C3%CF%CA%FD%B8%F8%B6%A6%C3%C4%C2%CE">地方公共団体</a>に納められ、公共事業などの社会貢献活動費として使われている」ということを忘れてはいけません。東京都では「子育て推進交付金」「<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C7%A7%BE%DA%CA%DD%B0%E9%BD%EA">認証保育所</a>事業」「公園・街路整備」などに使われている、とあります。宝くじ1枚300円のうち、およそ120円は公園や道路、保育所の整備に使われている、と考えると、その120円は誰かの役にたっているのです。<br /> このように確率計算をすると確かに宝くじの投資効率はマイナスになります。しかしその一部が「社会がより便利で快適になるために使われている」と考えると、日々生活をする上で十分回収できている、と考えることもできるのです。<br /> <br /></span></span><span style="font-size: 90%;"> <ul> <li><em>宝くじ公式サイト <a href="http://www.takarakuji-official.jp/educate/about/proceeds/" target="_blank">収益金の使い道と社会貢献広報</a></em></li> <li><em>宝くじ公式サイト <a href="http://www.takarakuji-official.jp/educate/about/proceeds/001.html" target="_blank">収益金の使い道「収益金充当事業一覧」</a></em></li> </ul> </span></blockquote> <p> </p> <h2>売上目標を行動計画に落とし込む</h2> <p>このように物事を確率でとらえられるようになると、ビジネスをする上での行動指針が立てやすくなります。<br /> 以下、売上目標を行動計画に落とし込んでいくための大まかな考え方をお示しします。</p> <p> </p> <p>ここで売上とはなにか、をあらためておさらいしておきましょう。<br /> なにをいまさら、と思わず、復習と思って読んでください。</p> <p> </p> <p>売上は一般に次の式で表せます。<br /><strong>  売上 = 商品単価 × 販売件数</strong><br /> <br /> ここから諸経費を差し引いたものが経常利益、つまり儲けになります。<br /><strong>  経常利益 = 売上 - 人件費 - 必要経費 - 仕入れ</strong><br /> <br /> 皆さんが個人の絵描きであることを考えると、人件費と仕入れはほぼゼロと考えて良いでしょう。ということは、利益を最大化するためには売上をあげるか必要経費を落とすか、どちらかになります。しかし、アトリエにこもって作業をしている場合、必要経費といってもたかが知れています。したがって、儲けを増やすには売上を上げるのが一番手っ取り早い、ということになります。<br /> <br /> <span style="font-size: 90%;">※一般的な企業の場合はこの限りではありません。一般的な企業の場合、売上げよりも諸経費を減らす方が簡単です。そのためのさまざまな技術がありますが、ここではそこまで立ち入らないことにします。</span></p> <p> </p> <p>さて、あらためて売上の式を眺めてみましょう。<br /><strong>  売上 = 商品単価 × 販売件数</strong><br /> <br /> この式から、売上を上げるには商品単価を上げるか販売件数を増やすか、いずれかの方法をとることになります。</p> <p> </p> <p>商品単価を上げるのには慎重な検討が必要です。というのも、単価が高すぎると購入者数が減る可能性があり、単価が低すぎると販売件数を増やしても目標売上に達しない可能性があるからです。商品単価の決定には市場の動向、顧客ターゲットの層と心理、経済状況、商品の希少性と競合状態を考慮しなければなりません。<br /> 考え出すときりがないので、ここでは2冊の本を紹介するにとどめておきましょう。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534050429/sasuke1977-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41tNNphkPKL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?" title="価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4534050429/sasuke1977-22/">価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか?</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span> リー・コールドウェル,武田玲子</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> 日本実業出版社</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2013/02/15</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> 単行本(ソフトカバー)</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">購入</span>: 3人 <span class="hatena-asin-detail-label">クリック</span>: 108回</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/4534050429/sasuke1977-22" target="_blank">この商品を含むブログ (3件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/402273406X/sasuke1977-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41r92o7%2BhSL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="最新 行動経済学入門 「心」で読み解く景気とビジネス (朝日新書)" title="最新 行動経済学入門 「心」で読み解く景気とビジネス (朝日新書)"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/402273406X/sasuke1977-22/">最新 行動経済学入門 「心」で読み解く景気とビジネス (朝日新書)</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span> 真壁昭夫</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> 朝日新聞出版</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2011/07/13</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> 新書</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">購入</span>: 7人 <span class="hatena-asin-detail-label">クリック</span>: 202回</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/402273406X/sasuke1977-22" target="_blank">この商品を含むブログ (7件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <p>いずれも、心理学的な側面から人間の経済活動を捉えようとする試みです。商品の価格設定に大いに参考になるでしょう。機会があれば内容の一部をご紹介したいとおもいます。</p> <p> </p> <p>では、もう一方の選択肢である「販売件数を増やす」について考えてみましょう。<br /> あなたが個展での絵の販売を収益の柱にしていると想定します。<br /> 計算の簡略化のため、絵の単価を3万円に設定します。<br /> 一回の個展あたり、20枚の絵を展示して5枚売れる、と仮定します。<br /> これを売上の式に当てはめると<br /> <br /><strong>  30,000 × 5 = 150,000</strong><br /> <br /> 一回の個展あたり15万円の収益となります。<br /> 1人あたり1点購入した、とすると5人が購入したことになります。<br /> このとき、期間中の来場者数を100名とすると、購入確率は2%になります。<br /> では、絵の購入確率は何によって決まるでしょうか。<br /> おそらく、次のような要因によって決まるでしょう。</p> <ul> <li><em>期間中の総来場者数</em></li> <li><em>来場者中のファンの割合</em></li> <li><em>丁寧に説明をした割合</em></li> </ul> <p>※他にも要因はたくさんありますから、ご自身でしっかり考えてみてくださいね。<br /> <br /> これを式に直すと次のようになります。<br /> <br /><strong>  販売件数 = 期間中の来場者数 × ファンの割合 × 丁寧に話しかけた割合</strong><br /> <br /> 売上を上げる、つまり販売件数を増やすには上の3要素を増やせば良い、ということになります。ですが、来場者数が増えても、その中の見込み顧客の割合が少なければ意味がありません(冷やかしが増えると労力ばかりかかってしまいますよね)。ということは、ファンを増やすか個展会期中にお客さんに丁寧に声をかける率を増やせば良い、という行動指針が得られます。<br /> もし、人に話しかけるのが自分だけでは難しいようなら、手伝ってくれる方を探すのも良いでしょう。絵の販売1件あたり10%の手数料を支払うとして、販売件数が倍になったらどうでしょうか。<br /> <br /><strong>  30,000 × 10 - (3,000 × 10) = 270,000</strong><br /> <br /> 3万円の人件費がかかってしまいますが、いつもより12万円ほど売上が増えました。<br /> とすれば、お手伝いをお願いする、というのも悪い選択ではない、ということになります。<br /> <strong>「売上をあげるために今日もがんばりましょう!」</strong>と抽象的なかけ声をかけるよりもよほど明確です。</p> <p> </p> <h2>確率が行動指針を浮かび上がらせる</h2> <p>ものごとの成否の確率は「それをやるべきか否か」と「それをどのようにやるか」を考える指針になります。<br /> たとえば冒頭にあげた宝くじの例のように、あらためて考えてみると投資効率がマイナスになってしまうようならば、それには投資をすべきではありません。なぜなら、宝くじの当選確率は自分の行動を変えたところで変えられないからです。<br /> 一方、売上に直結する販売確率は自分の行動によって変えられます。個展での販売の例のように、お客さんに丁寧に対応する回数を増やすだけで販売件数が増えるかもしれません。ファンの方への個展のお知らせをいつもより多くするのも良いかもしれません。<br /> <br /> こうした行動指針はなんとなく「がんばろう」と思うだけでは見いだせません。<br /> 売上に関わる要因を見つけ出し、それを具体的に改善していくことで達成できるものです。</p> <p> </p> <p>どうぞ、あなたのふだんの行動をあらためて見つめ直してみてください。<br /> ふだん、あなたはどんな行動をしていますか?<br /> その行動は売上にどんな影響を及ぼしているとおもいますか?<br /> 売上をあげたいとおもったら、その行動をどのように変えたら良いでしょうか?<br /> <br /> 売上目標の式を自分なりに作ってみてください。<br /> それをじっくり眺めることで、今後の行動指針が得られるはずです。</p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/26/093322" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略1〜経済的自立はなぜ必要か〜</a>(2013年3月26日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/27/073117" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略2〜収益をあげることが大前提〜</a>(2013年3月27日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/15/084737" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略3〜絵描きとポジショニング〜</a>(2013年4月15日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/18/104811" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略4〜効率とターゲッティング〜</a>(2013年4月18日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/30/080919" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略5〜自己満足と顧客満足〜</a>(2013年4月30日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/23/092703" target="_blank"> お金の超初心者がお金の勉強をするのに使ったサイト3つ+本4冊</a>(2013年2月23日)</li> </ul> </blockquote> wand-i 絵描きのためのビジネス戦略5〜自己満足と顧客満足〜 hatenablog://entry/11696248318752896769 2013-04-30T08:09:19+09:00 2013-05-02T21:52:44+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 前回、前々回で“ポジショニング”と“ターゲッティング”についてお話ししました。 ここですこし補足しておきます。 “ポジショニング”“ターゲッティング”は自分の仕事を絞り込むために行うものです。 絞り込む、とは自分のやることとやらないことを決めること。 つまり取捨選択です。 ユニクロは顧客ターゲットを老若男女問わず、幅広く設定しています。 ターゲッティングの考え方からすれば顧客層を幅広くしすぐのようにも見えます。 しかし、ユニクロは“スタンダードなアイテムを低価格で”というポジショニングをしました。 他のアパレル業者が流行を追ったり独自色… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>前回、前々回で“ポジショニング”と“ターゲッティング”についてお話ししました。<br /> ここですこし補足しておきます。<br /> <br /> “ポジショニング”“ターゲッティング”は自分の仕事を絞り込むために行うものです。<br /> 絞り込む、とは自分のやることとやらないことを決めること。<br /> つまり取捨選択です。</p> <p> </p> <p>ユニクロは顧客ターゲットを老若男女問わず、幅広く設定しています。<br /> ターゲッティングの考え方からすれば顧客層を幅広くしすぐのようにも見えます。<br /> しかし、ユニクロは“スタンダードなアイテムを低価格で”というポジショニングをしました。<br /> 他のアパレル業者が流行を追ったり独自色を強めるのに対し、ユニクロはスタンダードなアイテムのみを取り扱うようにしたのです。<br /> たしかに顧客ターゲットは幅広く設定していますが、ポジションは限定的、ともいえます。</p> <p> </p> <p>ポジショニングとターゲッティングで自分のやるべきことが明確になります。<br /> それによって、無駄をなくし、自分の立場をはっきりさせていくのです。</p> <p> </p> <p>以上、前回までの補足でした。</p> <p> </p> <p>今回のテーマは<strong>“コンセプト”</strong>です。<br /> “コンセプト”にはふたつの捉え方があります。</p> <ol> <li><em>あなたの作品の“コンセプト”</em></li> <li><em>あなたの事業の“コンセプト”</em></li> </ol> <p>このふたつを取り違えると大変な失敗をすることになります。<br /> では、まずこのふたつの違いを考えていきましょう。</p> <p> </p> <h2>自己満足と<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B8%DC%B5%D2%CB%FE%C2%AD">顧客満足</a></h2> <p>お客さんはなぜ、商品やサービスにお金を払うのでしょうか?<br /> <br /> <strong>「そんなのわからないよ!」</strong>といきなり考えるのを投げ出してしまったあなた、なぜすぐに考えるのをやめてしまったのですか?<br /> あなたは日常的にお金を払って商品やサービスを買っているはずです。<br /> それならば、「あなたはなぜ、お金を払うのか?」と考えればいいはずです。<br /> <br /> <span style="font-size: 90%;">※他人のことはいきなりは分からなくて当然です。だとしたら、自分に置きかえるか、自分に近しい人たちに置きかえて考えてみましょう。意外に答えが見つかるはずです。</span></p> <p> </p> <p>考えてみたでしょうか?<br /> 答えは簡単。<br /> お客さんは<strong>その商品やサービスを“欲しい”と思うから</strong>です。<br /> その“欲しい”の背景にはさまざまな理由があります。</p> <p> </p> <p>たとえば「甘いお菓子が欲しい」と思ったとき、甘いお菓子を手に取っただけで十分な人は少ないでしょう。その後、きっと食べるはずです。では、甘いお菓子を食べたら何が得られるのか。甘い味です。では、その甘い味から何が得られるのか。満足感です。</p> <p> </p> <p>つまり、人が何かを“欲しい”と思ったとき、その背後には“欲求を満足させたい”という願望が隠れているのです。<br /> 食欲を満たすために食品に、金銭欲を満たすためにギャンブルに、自己顕示欲を満たすために服に、とそれぞれ理由はさまざまでしょうけれども、欲求を満足させるために、人はお金を払うのです。</p> <p> </p> <p>逆に考えると、その商品やサービスが<strong>“自分の欲求を満たせるかどうか?”</strong>がお金を払う判断材料になっている、ということです。ということは、売り手側が買い手側に「この商品やサービスはあなたの欲求を満たすことができますよ」ということをアピールする必要があります。<br /> 前回の“ターゲッティング”の記事で<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>とドトールを比較しました。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>は上質な時間を、ドトールは安価で手軽な休息の時間を、それぞれ提供しています。それは店内の作りや品ぞろえ、価格設定などからもうかがえます。つまり、店内の作りや品ぞろえ、価格設定などによってそれぞれが提供できるものをアピールしている、ということもできるのです。</p> <p> </p> <p>この“お客さんに対して提供している価値”を短い言葉にまとめたのが“事業コンセプト”です。</p> <p> </p> <p>では、ここでもうひとつ質問です。<br /> <br /> あなたの絵のコンセプトはなんですか?</p> <p> </p> <p>私の場合、“美しく幻想的で、人の心に焼き付くような光と影”です。<br /> 私はこのような作品になることを目指して、作品を制作しています。<br /> しかし、これは「私はこういう作品を作りたい」という思いであって、これがお客さんに提供できる価値そのものか、と言われると疑問です。作品コンセプトは自分の思いを満たすものではあっても、お客さんの欲求を満たせるかどうかは分からないからです。</p> <p> </p> <p>このように考えると、<strong>事業コンセプトが<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B8%DC%B5%D2%CB%FE%C2%AD">顧客満足</a>を指向しているのに対し、作品コンセプトは自己満足を指向している</strong>、と言えるでしょう。</p> <p> </p> <p><span style="font-size: 90%;">※誤解のないように書き添えますと、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B8%DC%B5%D2%CB%FE%C2%AD">顧客満足</a>、自己満足のどちらが良くてどちらが悪い、ということではありません。作品コンセプトがしっかりしていることは大事だと思います。一方であなたの絵がお客さんに対してどんな価値を提供できるのか、さらに言えばどんな欲求をどんなふうに満たすことができるのか、を考えなければ、あなたの絵を売るために何をしたら良いのか、がいつまでたってもわかりません。</span></p> <p> </p> <h2>自分を変えるな、自分の考え方を変えよ</h2> <p>なにやら小難しいことを書いてしまいました。<br /> けれども、私は「あなたは顧客獲得のために自分の絵柄を変えるべきだ」とは言いません。<br /> むしろ逆、あなたは自分の絵柄を変えてはいけません。<br /> 変えるのはあなたの考え方です。</p> <p> </p> <p>これまでたくさんのアーティストさんにお会いしてきました。<br /> 多くの方が素晴らしい作品を作っています。<br /> 自分の内面と向きあい、苦しみながらも作品を産み出しています。<br /> それがときおり語られる“作品コンセプト”という形に結実しているのでしょう。</p> <p> </p> <p>けれど、彼ら彼女らの口から“この絵を見たら、所有したら、何が得られるのか?”が語られることはまずありません。<br /> 世にあふれる商品やサービスはひとりでも多くのお客さんをつかもうと、自分たちの良さや効果を懸命にアピールしています。絵で収益をあげようとしたら、同じこと、つまり自分たちの絵の良さやそれによって得られるものをアピールする必要があるのではないですか?</p> <p> </p> <p>絵柄を変えるのは商品を変えることと同じです。<br /> たとえば昨日までコーヒー専門でやっていた喫茶店が、今日から突然紅茶しか出さなくなったらどうでしょうか?コーヒーが売れないから紅茶に、というのでは長く紅茶専門でやっている喫茶店に簡単に負けてしまうでしょう。コーヒーが売れないのなら、売り方を考えるべきなのです。<br /> <br /> 絵も同じ。<br /> 売れないのはあなたの絵が悪いからではない。<br /> 売り方が悪いのです。</p> <p> </p> <p>あらためて、ご自身の絵を眺めてみてください。<br /> それはあなたの商品です。<br /> その絵は、お客さんに対してどんな価値が提供できますか?<br /> お客さんのどんな欲求を満たすことができるでしょうか?<br /> <br /> あなたが絵を自分の部屋に飾ることを想像してみてください。<br /> そのときのあなたの感じる感情が、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B8%DC%B5%D2%CB%FE%C2%AD">顧客満足</a>を考える糸口になるはずです。</p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/26/093322" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略1〜経済的自立はなぜ必要か〜</a><span style="line-height: 1.7;" data-mce-mark="1">(2013年3月26日)</span></li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/27/073117" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略2〜収益をあげることが大前提〜</a><span style="line-height: 1.7;" data-mce-mark="1">(2013年3月27日)</span></li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/15/084737" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略3〜絵描きとポジショニング〜</a><span style="line-height: 1.7;" data-mce-mark="1">(2013年4月15日)</span></li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/18/104811" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略4〜効率とターゲッティング〜</a><span style="line-height: 1.7;" data-mce-mark="1">(2013年4月18日)</span></li> </ul> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/23/092703" target="_blank"> お金の超初心者がお金の勉強をするのに使ったサイト3つ+本4冊</a><span style="line-height: 1.7;" data-mce-mark="1">(2013年2月23日)</span></li> </ul> </blockquote> wand-i 絵描きのためのビジネス戦略4〜効率とターゲッティング〜 hatenablog://entry/11696248318752521434 2013-04-18T10:48:11+09:00 2013-05-02T21:52:12+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 最初に、前回の“ポジショニング”について補足があります。 絵描きが市場に対して自分のポジションをとる場合、大まかに三通りの考え方があります。 自分の描いている絵に合わせてポジションをとる 自分がねらいたいポジションに合わせて絵柄を変える クライアントの望むものはなんでも描く 器用な方なら3のポジションの取り方も十分ありだと考えます。 「あの人に頼めばなんでも描いてくれる」というのは他と大きく差別化できる優位点になるからです。ただ、3のポジションはあくまで絵を描くことを技能として割り切れる方に限られるようにも思います。自分の世界観にこだわ… <p><a style="line-height: 1.5;" href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>最初に、前回の“ポジショニング”について補足があります。<br /> <br /> 絵描きが市場に対して自分のポジションをとる場合、大まかに三通りの考え方があります。</p> <ol> <li><em>自分の描いている絵に合わせてポジションをとる</em></li> <li><em>自分がねらいたいポジションに合わせて絵柄を変える</em></li> <li><em>クライアントの望むものはなんでも描く</em></li> </ol> <p>器用な方なら3のポジションの取り方も十分ありだと考えます。<br /> <strong>「あの人に頼めばなんでも描いてくれる」</strong>というのは他と大きく差別化できる優位点になるからです。ただ、3のポジションはあくまで絵を描くことを技能として割り切れる方に限られるようにも思います。自分の世界観にこだわりのある方にとっては大きなストレスになるでしょう。<br /> <br /> 2のポジションはまだ自分のスタイルがかたまっていない方に有効なポジションの取り方でしょう。<br /> 売れる絵柄や競合がほとんどいない絵柄を見つけ出して自分のスタイルにし、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%E8%B9%D4%BC%D4">先行者</a>優位を確立してしまうのです。他に先んじることができれば、競合が育つまでの間は安泰でしょう。<br /> <br /> しかし、私がここで書いている“絵描きのためのビジネス戦略”では、2や3のポジションを狙う方を対象にはしていません。<br /> <br /> 私がこれまでみてきた多くの絵描きは、すでに自分の絵の世界観ができており、それをお金に変えることが出来ずに苦しんでいたからです。2や3のポジションのように簡単に自分の絵柄を変えられるのであれば良いですが、すでに自分の世界観ができあがっている場合、それを大きく変えていくのは難しい。それならば、自分の絵柄がうまくはまるマーケットを見つけていく方が苦労も少ないはずです。</p> <p> </p> <p>※余談になりますが、「絵を仕事にしてしまうと自分の好きなように描けなくなる」という悩みを持つ方が多いように思います。それはおそらく、1のポジショニングを指向しているのに2もしくは3のポジションをとってしまったために発生した、自分の思いと市場における位置づけの食い違いによるものと思います。</p> <p> </p> <p>前置きが長くなりました。<br /> 今回の本題は<strong>“ターゲッティング”</strong>です。<br /> “ターゲッティング”とは平たくいえば<strong>「売る相手を絞り込む」</strong>ということです。<br /> 年齢、性別、職業、好み、ライフスタイル・・・そうした要素を絞り込んだ顧客ターゲットを設定することです。<br /> <br /> 前回の記事の中で“ポジションをとるということは顧客を絞り込むこと”と書きました。<br /> “ポジショニング”と“ターゲッティング”は密接に関係しています。</p> <p> </p> <p>まずは前回あげた<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>とドトールの比較を使って、ポジショニングとターゲッティングの関係をみていきましょう。</p> <p> </p> <h2><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>とドトールにみる顧客ターゲットの違い</h2> <p>前回の記事の中で、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>とドトールの特徴を比較しました。</p> <table border="1" cellspacing="0" cellpadding="2"> <tbody> <tr><th><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a></th><th>ドトール</th></tr> <tr> <td>店内禁煙</td> <td>店内喫煙可</td> </tr> <tr> <td>広い店内とゆったり座れるスペース</td> <td>店内は広くなく一人当たりの面積が狭い</td> </tr> <tr> <td>家では作れない種類のコーヒー</td> <td>主力は一般的なコーヒー</td> </tr> <tr> <td>フード類は少ない</td> <td>ランチや軽食に最適なフード類が豊富</td> </tr> </tbody> </table> <p>この比較から、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>とドトールの戦略の違いが浮かび上がります。</p> <p><br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>は来店客の滞在時間が長いため、回転率が低くても収益をあげる戦略が必要になります。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>のコーヒーを「ちょっと高い」と感じられる方もいらっしゃるでしょう。それは回転率を低くするかわりに客単価をあげて収益を確保するためです。そのため、「どこでも飲める」という類いのコーヒーは用意せず、珍しい種類のコーヒーを取り揃えています。</p> <p><br /> 一方のドトールは客単価をおさえるかわりに回転率をあげる戦略をとっています。ドトールのコーヒーは一般的なものですが、低価格なため「ちょっと時間つぶしに」と払える金額設定になっています。ドトールの店内を思い浮かべると、ゆったり座れるスペースはなく、背もたれのない高い椅子や長く座っているとお尻がいたくなるような堅い椅子が置かれています。これも回転率をあげる工夫のひとつでしょう。</p> <p><br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>は<strong>「上質のコーヒーでゆったりした時間を楽しんでもらう」</strong>というポジションを、ドトールは<strong>「低価格で手軽にコーヒーが飲める」</strong>というポジションを、それぞれとっていることになります。</p> <p> </p> <p>では、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>にはいる人とドトールにはいる人の違いはなんでしょうか?</p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>を利用する人の多くは<strong>「ゆったりした時間を店内ですごしたい」</strong>と考えています。喧噪から逃れてしずかな時間をすごし、気持ちをリラックスさせることを求めています。そうした時間と空間にもお金を払うと考えれば、他のコーヒーショップチェーンよりも少々単価が高くても構いません。<br /> 対してドトールを利用する人の多くは<strong>「次の約束までの15分をつぶしたい」「15分で簡単なランチを済ませたい」</strong>といったニーズをもっています。すきまの時間を安く手早く消化したいため、リラックスできる空間は求めていません。必要なのは安さとスピードです。<br /> <br /> 私の経験になりますが、「ゆっくりしずかに本を読みたい」と思ったときにドトールに入るとどうにも落ち着きません。人の出入りが多いですし、どうも急かされている気分になるからです。逆に10分で良いので座ってすこし休みたい、という時はドトールの安さはとても重宝します。<br /> 逆のことが<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>にもいえます。10分だけ休みたいのにゆったりした椅子に座ってしまうと、そのまま立ち上がりたくなくなってしまうのです。これはこれで困りものです。</p> <p> </p> <p>このように、顧客にはそれぞれ求めているニーズがあります。<br /> ニーズは多種多様ですから、すべてを満たそうと思うと逆になんの特徴もないものになってしまいます。<br /> ですから、「自分が提供するサービスは顧客のどういったニーズを満たすことができるのか?」を考えることが重要になってきます。<br /> <br /> これが「誰に売るのか?」を考えること、つまり“ターゲッティング”です。</p> <p> </p> <h2>曖昧な「たくさんの人」の像を具体化する</h2> <p>個展を開くアーティストの多くが<strong>「たくさんの人にみてもらいたいです!」</strong>ということをよく口にします。<br /> 私自身もかつてはそうでした。<br /> けれども、残念ながらマーケティングの観点からすると、この考え方は落第です。<br /> ただ「たくさんの人」に呼びかけても無駄玉が多くなってしまうからです。<br /> 個展のDMを配るのにもコストがかかります。ビジネスの観点からすると、最低限のコストで最大限の効果を得ることを考える必要があります。</p> <p> </p> <p><strong>あなたが「たくさんの人に個展にきてもらいたい」と思ったとき、それは誰でも良いでしょうか?</strong><br /> もし来場者数だけを増やしたいのなら、知り合いの介護施設や幼稚園、小学校、学習塾などの先生や職員に呼びかけて施設入所者や生徒たちを連れてきてもらえば良い。来場者数は一気に伸びるでしょう。</p> <p> </p> <p>けれど、あなたが求めているのはこういうことではないはずです。<br /> 「たくさんの人」といっても、ぼんやりと「こんな感じの人」というイメージがあるのではないでしょうか。<br /> たとえば・・・</p> <ol> <li><em>自分の絵に興味をもってくれてブログや<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/SNS">SNS</a>で紹介してくれる人</em></li> <li><em>きちんと絵をみてくれて的確な批評やアドバイスをくれる人</em></li> <li><em>お金持ちで自分の絵にお金をはらってくれる人</em></li> <li><em>出版関係社で仕事を発注してくれる可能性の高い人</em></li> <li><em>これまで絵に興味はなかったがなんとなく気になって入ってみようと思った人</em></li> </ol> <p>ぱっと考えただけでもこれだけの人物像があがってきます。<br /> このうち、あなたの個展に一番きてほしいタイプの人はどの人でしょうか?</p> <p> </p> <p>もし1の人に来てほしいとしましょう。<br /> そもそも、なぜ1の人に来てほしいのでしょうか?<br /> 自分の絵をその人のブログで紹介してもらい、自分の絵の認知度を高めるためですよね。<br /> ということは、その人のブログが「自分の絵の認知度を高める」のに効果的である必要があります。<br /> たとえばその人のブログが株式投資に関するブログで、ブログ読者のほとんどが絵に興味がないとしたら、その人のブログで紹介してもらう意味はありません。<br /> 逆に、美術館やギャラリーを巡るのが趣味で写真付きで紹介してくれるような人のブログの場合、その読者も美術館やギャラリーに興味があるでしょうから、自分の絵の認知度を高めるのには非常に効果的です。</p> <p> </p> <p>このように「どんな人にサービスや商品を提供したいのか、それはなぜなのか」をなるべく具体的に考えていくことが重要です。できればその人物像を可能な限り具体的にしましょう。友人知人に思い当たる人がいる場合にはその人をモデルに考えても良いでしょう。<br /> そうすることで、自分のターゲットとする人が何を求めていて、どのようにアプローチすれば良いのかがわかってくるからです。</p> <p> </p> <h2>case study:私の場合</h2> <p>私がターゲットを想定したときのことを書き記しておきます。<br /> もちろん、すべての人があてはまるわけではありません。<br /> あくまでもひとつの例としてお読みください。</p> <p> </p> <p>私の場合、<strong>「そもそも絵を買って飾る、ってどういうことだろう?」</strong>というところからスタートしました。<br /> 私が絵を置く場合、自分の作品を置くことになります。</p> <p><br /> 絵を置くのには</p> <ol> <li><em>自分で絵の仕上がりを確認する</em></li> <li><em>人に見せる</em></li> </ol> <p>という二つの目的があります。</p> <p><br /> ここで気づいたのですが<strong>「自分の部屋に絵を飾る」というのは、実は自分の楽しみとしてだけでなく、人に見せる、という目的もある</strong>のです。自分の部屋に人を招く、ということは自分の生活空間を相手に見せることです。生活スタイルや持ち物、趣味嗜好を相手に見せることです。絵の場合は自分に趣味嗜好を見せることになるでしょう。</p> <p><br /> 「自分はこういうものが好きだ」を相手に示すのは、自分の考え方を相手に示すこと、つまり<strong>自己表現</strong>です。ということは、「絵を飾る」とは自己表現の一貫でもあると考えることができます。</p> <p><br /> ここでふと、<strong>「そういえば絵を飾るのは個人だけではない。会社の応接室やレストラン、ホテルの客室にだって絵は飾ってある」</strong>ということに思い当たります。こうした「常に誰かがやってくることが想定される場所」に絵を飾るということはどういうことだろうか。それは「お客様に対して会社もしくはお店が提供しているものを的確に表現すること」、つまり企業としての自己表現であるといえます。</p> <p><br /> しかし、現実的にはそうした企業が適切に自己表現できているか、というとそうではありません。聞いた話によると、一般的な中小企業の応接室でも、ちゃんとした絵ではなく、ストックフォトからもってきたちょっときれいな写真をプリントして飾っているところもあるそうです。それでは企業のイメージダウンにつながります。<br /> ということは、企業の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D6%A5%E9%A5%F3%A5%C7%A5%A3%A5%F3%A5%B0">ブランディング</a>や空間演出の一貫として絵を導入していく、というやり方も十分考えられるはず。<br /> そのためには一緒に仕事ができる建築設計やインテリアデザインの人たちと話をしていけば良い・・・</p> <p> </p> <p>このような流れで私自身は主に建築関係、インテリアデザイン関係の方々との関係作りに奔走しているわけです。</p> <p><br /> 逆にギャラリーや画廊とは距離をおいています。<br /> 自分から協業できる方にアプローチしていけば、マーケティングや広報の機能は自分自身が果たすことになります。ギャラリーや画廊は広報の機能をアーティスト側がアウトソーシングすることに他なりません。その機能をアーティスト自身が果たせるのならば、ギャラリーや画廊とはつきあう必要がないからです。むしろ中間マージンをとられて手元の利益が減ってしまうことになります。<br /> したがって、私自身はギャラリーや画廊に戦略的に嫌われようとしています。</p> <h2> </h2> <p> </p> <p>ターゲッティングはあなたが「顧客になりうる人たちにどのようにアプローチしていくか」を考える上で非常に重要です。人には限られた時間と労力しか与えられていませんから、そこからいかに最大の効果を引き出すか、を考えるべきなのです。</p> <p><br /> <strong>日本ではまだまだ「とにかく苦労すれば良い」という発想が根強くあります。</strong>私はそうした「苦労一辺倒主義」は大嫌いです。無駄な苦労は人をどんどんすり減らしてしまうからです。それなのに、なぜか無駄な苦労が賞賛される傾向にある。これでは日本はますます沈んでいくばかりです。<br /> <br /> もっと効率的に収益をあげる工夫をしましょう。そのひとつの技術がターゲッティングなのです。</p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/26/093322" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略1〜経済的自立はなぜ必要か〜</a>(2013年3月26日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/15/084737" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略2〜収益をあげることが大前提〜</a>(2013年4月15日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/26/093322" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略3〜絵描きとポジショニング〜</a>(2013年3月26日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/30/080919" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略5〜自己満足と顧客満足〜</a>(2013年4月30日)</li> </ul> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/23/092703" target="_blank"> お金の超初心者がお金の勉強をするのに使ったサイト3つ+本4冊</a>(2013年2月23日)</li> </ul> </blockquote> wand-i 絵描きのためのビジネス戦略3〜絵描きとポジショニング〜 hatenablog://entry/6435988827677184228 2013-04-15T08:47:37+09:00 2013-05-02T21:53:14+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 3週間ほど間があいてしまいました。 この間、w'ANDをとりまく状況が大きく変わってきました。 具体的な内容はまだお話しできません。 5月後半にはなにかしらご報告できるかと思います。 さて、“絵描きのためのビジネス戦略”の3回目です。 今回は“ポジショニング”についてです。 前回は「ビジネスの目的は収益をあげること」ということを書きました。 収益をあげるのは生活基盤を安定させ、事業を継続していくための必須条件です。 どんなに崇高な理念を掲げていても、収益があげられなければ趣味でしかありません。 では、収益をあげるためには具体的に何をした… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>3週間ほど間があいてしまいました。<br /> この間、w'ANDをとりまく状況が大きく変わってきました。<br /> 具体的な内容はまだお話しできません。<br /> 5月後半にはなにかしらご報告できるかと思います。</p> <p> </p> <p>さて、“絵描きのためのビジネス戦略”の3回目です。<br /> 今回は<strong>“ポジショニング”</strong>についてです。</p> <p> </p> <p>前回は「ビジネスの目的は収益をあげること」ということを書きました。<br /> 収益をあげるのは生活基盤を安定させ、事業を継続していくための必須条件です。<br /> どんなに崇高な理念を掲げていても、収益があげられなければ趣味でしかありません。<br /> では、収益をあげるためには具体的に何をしたら良いのでしょうか?<br /> <br /> 今回から数回に分けて、絵描きが収益をあげるための戦略を考えていきたいと思います。</p> <p> </p> <h2>コーヒーショップにおける“ポジショニング”</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/grantwickes/7417015374/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(174px 563px 324px 13px); margin: -174px 0 0 -13px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm8.static.flickr.com/7125/7417015374_c6ba29cf04_z.jpg?zz=1" alt="Starbucks at DFW Airport Photo i001 by Grant Wickes" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;"><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Starbucks">Starbucks</a> at DFW Airport Photo i001 by Grant Wickes / Grant Wickes</span></div> <p> </p> <p>マーケティングの用語に<strong>“ポジショニング”</strong>という言葉があります。<br /> <strong>“ポジショニング”</strong>とは<strong>「あなたの提供する商品・サービスの市場における位置づけ」</strong>です。</p> <p> </p> <p>コーヒーショップチェーンを例にとりましょう。<br /> 皆様は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A8%A5%AF%A5%BB%A5%EB%A5%B7%A5%AA%A1%BC%A5%EB">エクセルシオール</a>、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D9%A5%ED%A1%BC%A5%C1%A5%A7">ベローチェ</a>、ドトール、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%F3%A5%DE%A5%EB%A5%AF">サンマルク</a>の5つのうち、どれが一番お好みですか?<br /> <br /> 私は1時間〜2時間くらいひとりで本を読むならコーヒー1杯180円の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D9%A5%ED%A1%BC%A5%C1%A5%A7">ベローチェ</a>を選びます。<br /> しかし、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D9%A5%ED%A1%BC%A5%C1%A5%A7">ベローチェ</a>のスイーツ類はあまり美味しくないため、スイーツが食べたいときは<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%F3%A5%DE%A5%EB%A5%AF">サンマルク</a>です。<br /> すこし小腹がすいた時はドトールでサンドイッチ類をテイクアウト。<br /> 人と会ってゆったり話しをするときはチェーン店はつかいません。</p> <p> </p> <p>このように、コーヒーショップチェーンといっても様々な種類があります。<br /> それぞれに特徴があり、こちらが求めているもの(安いコーヒー、美味しいスイーツ、人と話す親密な空間)によって使い分けることができます。<br /> 逆に考えると、それぞれのコーヒーショップが主に提供するものを変えて客層をずらすことで、市場での真正面勝負を避けている、と見ることもできます。</p> <p> </p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>とドトールを比較してみましょう。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>には次のような特徴があります。</p> <ol> <li><em>店内禁煙</em></li> <li><em>広い店内とゆったり座れるスペース</em></li> <li><em>家では作れない種類のコーヒー</em></li> <li><em>フード類は少ない</em></li> </ol> <p>ドトールの特徴を対応させると次のようになるでしょうか。</p> <ol> <li><em>店内喫煙可</em></li> <li><em>店内はあまり広くなく一人当たりの面積が狭い</em></li> <li><em>主力は一般的なコーヒー</em></li> <li><em>ランチや軽食に最適なフード類が豊富</em></li> </ol> <p>この比較から浮かび上がる<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>とドトールの大きな違いは<strong>「回転率」</strong>です。<br /> 店内が広くゆったりできる<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>はお客さんの滞在時間が長くなる傾向があります。対するドトールを思い浮かべると、ゆったり座れる椅子がなく、お世辞にも「居心地が良い」とは思えません。だから、ドトールではお客さんの滞在時間は短くなります。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>はドトールに比べて回転率が悪くなるため、客単価をあげる必要があります。そのため、通常のコーヒー以外に様々な珍しいコーヒーを用意して一品あたりの価格をあげています。一方、ドトールは回転率がいいため、客単価が安くてもよく、一品あたりの価格を低く抑えられます。<br /> ひとりでゆったりとした時間を過ごしたい人は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>に足を運ぶでしょう。一方で短時間でお昼を済ませたい人やアポイントメントまでのちょっとの時間を埋めたい人はドトールを選ぶのではないでしょうか。<br /> <br /> このように、コーヒーショップチェーンといっても提供する商品やサービス、価格設定、店内の作りによって自分たちが市場に対して提供している価値を変えているのです。<br /> これが<strong>“ポジショニング”</strong>です。</p> <p> </p> <h2>絵描きにとっての“ポジショニング”</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/missrogue/115992472/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(7px 494px 157px -56px); margin: -7px 0 0 56px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm1.static.flickr.com/50/115992472_f7d8130a74_z.jpg?zz=1" alt="Marketing Map" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Marketing Map / miss_<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/rogue">rogue</a></span></div> <p> </p> <p>では、皆様のような絵描きはどのようにポジショニングをしたら良いでしょうか。<br /> といっても、難しいことを考える必要はありません。</p> <p><br /> <strong>実はもうすでに、あなたの市場におけるポジションはほとんど決まっているのです。</strong></p> <p> </p> <p>通常なにかの事業を始めるとき、最初に「どんな商品やサービスを提供するか?」を考えます。<br /> 飲食店をやるのか、印刷屋をやるのか、電機メーカーをやるのか、医者になるのか。<br /> そのために市場の成長性やら競合他社の存在やら、あれこれ考えなければなりません。</p> <p> </p> <p>けれど、絵描きの場合はそれを思い悩む必要がありません。<br /> なぜなら、<strong>あなたはすでに“絵描き”だから</strong>です。<br /> “絵描きであること”があなたが市場に対してすでにとっているポジションなのです。</p> <p> </p> <p>では、ある人が「飲食店をやろう」と思ったとします。<br /> 次に考えるのはなんでしょう?<br /> <br /> そうです、「どんなジャンルの飲食店をやるか?」です。<br /> 和食、イタリアン、フレンチ、スイーツ、ファストフード、いろんな選択肢があります。</p> <p> </p> <p>しかし、ここでもあなたは思い悩む必要がありません。<br /> あなたの描いている絵はどんな絵ですか?<br /> かわいい系ですか?<br /> クール系ですか?<br /> きれい系ですか?<br /> グロテスク系ですか?<br /> これによってあなたが市場に提供できる商品カテゴリー(=絵のジャンル)が決まります。</p> <p> </p> <p>これは同時に、<strong>あなたの絵を必要とする人を絞り込むこと</strong>を意味します。<br /> 赤ちゃんのいるおかあさんはかわいい系の絵を必要とするでしょうが、グロテスク系の絵は必要としないでしょう。<br />ハードロックが好みの男性ならクール系の絵を必要とし、かわいい系の絵は必要としないでしょう。<br /> このように、あなたは「絵描きであること」と「あなたの描いている絵のジャンル」によってすでにポジショニングをしているのです。<br /> <br /> もし「きちんと収益をあげていきたい」とお考えならば、<strong>「自分は市場においてあるポジションをとっている」</strong>ということを明確に意識してください。<br /> ポジションをとるということは顧客を絞り込むことです。<br /> 顧客を絞り込む、ということは、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%BF%A1%BC%A5%D0%A5%C3%A5%AF%A5%B9">スターバックス</a>とドトールの違いでみたように、ビジネス戦略を練る上で重要な要素になってくるからです。</p> <p><br /> <span style="font-size: 90%;">※「ジャンルにこだわらない、売れる絵ならなんでも描く」という方はこの限りではありません。その場合、成長分野がどんなジャンルか、競合状態はどうか、市場規模はどのくらいか、といった市場調査が必要になります。</span></p> <h2> </h2> <p> </p> <p>今回は絵描きにとっての“ポジショニング”を考えました。<br /> あなたが絵描きであることと、あなたの描いている絵のジャンルによって、あなたの市場におけるポジションはほぼ決まっています。それは顧客を絞り込んていることを意味しているのです。<br /> <br /> 自分のポジションをはっきりと意識してください。<br /> そのためには<em><strong>「あなたの描いている絵はどんな絵で、それにお金を払ってくれるのはどんな人か」</strong></em>を考え抜くことです。<br /> それが次回お話しする<strong>“ターゲッティング”</strong>につながっていきます。</p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/26/093322" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略1〜経済的自立はなぜ必要か〜</a>(2013年3月26日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/27/073117" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略2〜収益をあげることが大前提〜</a>(2013年3月27日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/18/104811" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略4〜効率とターゲッティング〜</a>(2013年4月18日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/30/080919" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略5〜自己満足と顧客満足〜</a>(2013年4月30日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/23/092703" target="_blank"> お金の超初心者がお金の勉強をするのに使ったサイト3つ+本4冊</a>(2013年2月23日)</li> </ul> </blockquote> wand-i 絵描きのためのビジネス戦略2〜収益をあげることが大前提〜 hatenablog://entry/6435988827676429924 2013-03-27T07:31:17+09:00 2013-05-02T21:53:42+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 前回から“絵描きのためのビジネス戦略”と題した記事を書き始めています。 私自身も含め、日本のアーティストの皆様がアートで自立できることを願ってのことです。 「絵で食っていくなんて無理」 世間ではそんな声が一般的でしょう。 絵描きになることを推奨する声をほとんど聞いたことがありません。 それだけ「絵で経済的に自立することは難しい」と考えられているようです。 Painter / M-n-M 私自身は絵描きが経済的に自立することは世間が思うほど難しいことではない、と考えます。 経済的な自立は難しい、と世間が考えるのは、絵描きを限定的なイメージ… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>前回から“絵描きのためのビジネス戦略”と題した記事を書き始めています。<br /> 私自身も含め、日本のアーティストの皆様がアートで自立できることを願ってのことです。<br /> <br /> <strong>「絵で食っていくなんて無理」</strong><br /> <br /> 世間ではそんな声が一般的でしょう。<br /> 絵描きになることを推奨する声をほとんど聞いたことがありません。<br /> それだけ「絵で経済的に自立することは難しい」と考えられているようです。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/29839263@N00/1535789552/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(91px 550px 241px 0px); margin: -91px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm3.static.flickr.com/2236/1535789552_907c1aa9ae_z.jpg?zz=1" alt="Painter" /></a>Painter / M-n-M</div> <p> </p> <p>私自身は絵描きが経済的に自立することは世間が思うほど難しいことではない、と考えます。</p> <p><br /> 経済的な自立は難しい、と世間が考えるのは、絵描きを限定的なイメージで捉えているからだと、私は考えます。そして絵描き自身もその限定的なイメージの中でなんとかしようとしているからこそ、経済的な自立が難しくなっている。自分で自分の首を絞めているように私には見えてしまうのです。</p> <p> </p> <p>その限定的なイメージとは「絵は個展や展示会などで売るもの」あるいは「本の装丁や挿絵、CDジャケットなどに使われる」というものです。絵は本来さまざまなシーンで用いられるものですが、その可能性の範囲を多くの人がせばめてしまっています。アーティスト自身、そうした可能性にあまり目を向けていないのが現状だというのが、私の感触です。 </p> <p> </p> <p>その限定的なイメージを取り除き、アートを改めて「ビジネス」という観点で見直すのが、“絵描きとしてのビジネス戦略”の目的です。</p> <p><br /> アートがきちんと収益に結びつけば、生活基盤が安定するでしょう。そうなれば、私が過去見てきたように「生活ができなくなって絵を辞めていく」という人が減るはずです。優れた才能をもつ人がひとりでも多くアートで自立できれば、日本のアートシーンはより活気づいていくでしょう。それが私の願いです。</p> <p> </p> <p>これから何回かにわけてお話しするのは、アーティストがビジネスで自立するための考え方です。「絵を描く以外のことは何があってもやりたくない」とお考えの方、「いつかパトロンがつくのを待っている」という方のお役には立てないでしょう。逆に<strong style="line-height: 1.5;">ご自身で行動を起こされる心構えのある方</strong>には、なにかしらの手助けになるはずです。</p> <p> </p> <p>それでは、始めましょう。</p> <p> </p> <h2>ビジネスにおける5W1H</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/62693815@N03/6277337422/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(91px 550px 241px 0px); margin: -91px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm7.static.flickr.com/6214/6277337422_28e50f7287_z.jpg?zz=1" alt="Newspaper fire orange" /></a>Newspaper fire orange / NS Newsflash</div> <p> </p> <p>前回も書いた通り、どんなビジネスでもまずは5W1Hを考える必要があります。</p> <ul> <li><em>「なにを(what)」=提供する商品、サービス</em></li> <li><em>「だれに(who)」=想定するお客様</em></li> <li><em>「なぜ(why)」=商品・サービスを提供する意味と価値</em></li> <li><em>「どこで(where)」=商品やサービスを提供する場所、地域、リアルorネット</em></li> <li><em>「いつ(when)」=商品・サービス提供の時間帯、曜日、季節など</em></li> <li><em>「どのように(how)」=5Wを具体的に提供する方法</em></li> </ul> <p><span style="font-size: 90%;">※「どのように(how)」を「いくらで(how much)」に置き換えてもいいでしょう。</span></p> <p><br /> この5W1Hにひとつずつ、自分なりの答えをしっかり出していくことで、自然とおおまかなビジネス戦略は出来上がっていくと私は考えています。</p> <p> </p> <p>世の中にはフィリップ・コトラーのマーケティング理論や<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%DE%A5%A4%A5%B1%A5%EB%A1%A6%A5%DD%A1%BC%A5%BF%A1%BC">マイケル・ポーター</a>の競争戦略理論といったさまざまなビジネス戦略の理論が出ており、実際に現場で活用されています。これらの理論は経営学の先生たちが統計データや企業の事例を通して研究した成果です。それを学ぶことがむだだとは思いませんし、私自身、コトラーやポーターの理論をある程度は参考にしています。</p> <p><br /> しかし、ここでの目的はあくまで「アーティストであるあなたがビジネス戦略を立てられるようになること」です。経営学を学ぶことが目的ではありません。もしこの記事をきっかけに経営学に興味をおもちになったら、どうぞ専門書でより深めていってください。</p> <p> </p> <h2>すべてのビジネスの目的は収益をあげること</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/esoastronomy/6812048141/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(299px 550px 449px 0px); margin: -299px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm8.static.flickr.com/7030/6812048141_45476d1dc6_z.jpg?zz=1" alt="Signature of the agreement for the donation of land for the E-ELT" /></a>Signature of the agreement for the donation of land for the E-ELT / European Southern Observatory</div> <p> </p> <p>具体的な話題に入る前にまず確認したいことがあります。<br /> <strong>「すべてのビジネスの目的は収益をあげること」</strong><br /> なぜこれを確認したかというと、勘違いされている方が多いからです。</p> <p style="margin-left: 1.5em;"><em>「ビジネスとは社会貢献することではないのか」</em><br /><em> 「困っている人を助けるのがビジネスでしょう」</em><br /><em> 「ビジネスは夢をかなえていくためのものです」</em></p> <p>このようにおっしゃる方も多いかと思います。<br /> たしかにその主張は間違っていません。しかし、これらは<strong>「あなたが商品やサービスを提供することでもたらされる価値」</strong>であって、<strong>「ビジネスそれ自体の目的」</strong>ではありません。ここを取り違えて混乱している方が多いように思います。</p> <p> </p> <p>病院の例が分かりやすいかもしれません。</p> <p>お医者さんの多くは「病気の人をたすけたい、苦しみを少しでも減らしたい」と考えているでしょう。これは「お医者さん自身が医療行為を患者さんに施す目的」です。つまり<strong>「お医者さん自身の目的」</strong>、5W1Hでいうところの「なぜ(why)」に相当する部分です。</p> <p><br />しかし、実際には病院を経営していかなくてはなりません。病院経営の目的は収益をあげることです。収益をあげなければ病院を存続させられないからです。</p> <p> </p> <p><strong>「ビジネスを行うあなた自身の目的</strong>」と<strong>「ビジネスそのものの目的」</strong>ははっきり切り分けて考えるべきなのです。でなければ、収益をあげることだけが目的になってしまうか、収益をあげることを無視してしまうか、いずれかになってしまうからです。</p> <p><span style="font-size: 90%;">※収益をあげることは重要ですが、それだけが目的になることを私は良いことだとは考えていません。それについては別の項目でご説明したいと思います。</span><br /> <br /> ビジネスを続けていくには収益をあげなければいけません。ですから、これからあなたがアートをビジネスの観点から見直そうとするとき、「収益があげられること」を大前提に考えていかなければなりません。</p> <p> </p> <h2>収益の2つの柱</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/86530412@N02/8265014953/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(127px 550px 277px 0px); margin: -127px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm9.static.flickr.com/8496/8265014953_e1ae76baa3_z.jpg?zz=1" alt="Personal Income Taxes Ver3" /></a>Personal Income Taxes Ver3 / StockMonkeys.com</div> <p> </p> <p>「収益をあげること」がビジネスの目的です。<br /> これから考えていくのはビジネス戦略、つまり<strong>「いかに収益をあげていくか?</strong>」ということです。</p> <p> </p> <p>収益には大まかに2種類あります。</p> <ul> <li><strong>勤労所得</strong></li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;">個人の労働に対して支払われる対価。給与、賃金、謝礼金、報酬など。</p> <ul> <li><strong>不労所得</strong></li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;">労働の必要がない所得。不動産収入、株式による利益、印税、ライセンス収入など。</p> <p> </p> <p>会社勤めやアルバイトの対価は給与所得として支払われます。絵を売った場合、その絵を描いたという作業に対して対価が支払われているので、これも勤労所得と言えるでしょう。</p> <p><br /> 一方、絵描きの場合でしたら画集などを出版してその印税が得られれば、不労所得になります。もちろん画集を作るのに割いた労力はありますが、印税はその労力に対して支払われているものではありません。画集出版に際して勤労所得があるとしたら、原稿料という形になるでしょう。</p> <p> </p> <p>一般的に、収益を確保していくには不労所得の比率を高めていくのが望ましい、とされています。</p> <p><br /> たとえば本を出版した場合のように、一冊あたりの印税額は高くなくとも、長期的に収益があがる手段を確保できたら、収益としては安定するからです。</p> <p><br /> キャラクタービジネスが良い例でしょう。キャラクターを発案し、グッズ展開されてビジネスが広がっていった場合、キャラクターのライセンス料が不労所得になります。ヒットすれば大きな収益の柱になるでしょう。そこまでヒットしなくても、そうした不労所得による収益があることは経済的な安定につながるのです。</p> <p> </p> <p>逆に、会社勤めである、つまり勤労所得が収益の柱で、しかもそれが一つしかないのは非常に危険です。会社が倒産する、解雇される、という事態になればあなたは収益の柱を一挙に失ってしまうことになるからです。</p> <p> </p> <p>個人起業の本には必ずと言っていいほど次のことが書いてあります。<br /> <strong>「取引先はひとつにしぼらず、複数にすること」</strong><br /> クライアントや取引先を、相手が大手だからといってひとつにしぼってはいけない、ということです。その相手がいなくなったら、取引相手がひとりもいなくなってしまうからです。<br /> <br /> これと同じように、収益の柱もひとつにしぼらず、複数もっておいた方が、安定した収益を得ることができるでしょう。</p> <p> </p> <p> </p> <p><span style="font-size: 90%;">※ただし、注意していただきたいのは「不労所得のパフォーマンスは時間経過とともに変化する」という点です。もしあなたがマンションをもっており、家賃収入があるとします。マンションがすべて埋まっていれば問題ありません。しかし、今後20年の間に東京の空き家率は40%を超えるようになる、とも言われています。20年後にあなたが同じ家賃収入を得られるとはかぎりません。<br />したがって、不労所得の源泉は定期的なメンテナンスが必要です。場合によっては思い切ってマンションを売却してしまった方が良い場合もあります。<br />これは投資と回収の考え方そのままです。投資に関してはまた別の項目を立てて考えていきたいと思います。</span></p> <h2> </h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/dougtone/7457608022/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(115px 550px 265px 0px); margin: -115px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm9.static.flickr.com/8011/7457608022_2a1fb19b62_z.jpg?zz=1" alt="Independence, Oregon" /></a>Independence, Oregon / Dougtone</div> <p> </p> <p>経済的な自立を得るには<strong>お金を得る手段をもつこと</strong>が必要です。<br /> ここは勘違いしないで欲しいところです。<br /> 生活基盤を安定させるのはお金そのものではありません。<strong>お金を得る手段</strong>です。<br /> お金がなくても、お金を得る手段さえもっていれば、いつでも生活に必要なお金が得られるようになります。その「お金を得る手段」がすなわち「ビジネス」なのです。</p> <p> </p> <p>次回からビジネスにおける5W1Hをひとつずつ、考えていきましょう。</p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/26/093322" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略1〜経済的自立はなぜ必要か〜</a>(2013年3月26日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/15/084737" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略3〜絵描きとポジショニング〜</a>(2013年4月15日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/18/104811" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略4〜効率とターゲッティング〜</a>(2013年4月18日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/30/080919" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略5〜自己満足と顧客満足〜</a>(2013年4月30日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/23/092703" target="_blank"> お金の超初心者がお金の勉強をするのに使ったサイト3つ+本4冊</a>(2013年2月23日)</li> </ul> </blockquote> wand-i 絵描きのためのビジネス戦略1〜経済的自立はなぜ必要か〜 hatenablog://entry/6435988827676419159 2013-03-26T09:33:22+09:00 2013-05-02T21:54:13+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 これまで「なぜ絵描きにビジネス感覚が必要か?」という記事をいくつか描いてきました。 それらの記事は今思うと、「じゃあ具体的にどうしたらいいの?」という疑問には答えていませんでした。 そこで、これから何回かに分けて、絵描きとして自立していくための具体的なビジネス戦略を考えていきたいと思います。 そのため、まず前段として次の2点を確認しましょう。 絵描きにビジネスが必要な理由 ビジネスとはなにか? なお、これから数回に分けて書く「絵描きのためのビジネス戦略」は次のような絵描き、イラストレーター、アーティストの方を対象にしています。 これから… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>これまで「なぜ絵描きにビジネス感覚が必要か?」という記事をいくつか描いてきました。<br /> それらの記事は今思うと、「じゃあ具体的にどうしたらいいの?」という疑問には答えていませんでした。<br /> そこで、これから何回かに分けて、絵描きとして自立していくための具体的なビジネス戦略を考えていきたいと思います。</p> <p> </p> <p>そのため、まず前段として次の2点を確認しましょう。</p> <ol> <li><strong>絵描きにビジネスが必要な理由</strong></li> <li><strong>ビジネスとはなにか?</strong></li> </ol> <p> </p> <p>なお、これから数回に分けて書く「絵描きのためのビジネス戦略」は次のような絵描き、イラストレーター、アーティストの方を対象にしています。</p> <ul> <li>これから絵で食べていきたい、と考えている</li> <li>今、絵で食べているが、思うように収益があがらず困っている</li> <li>副業として絵を描いているが、もっと効率的に絵で収入を得たいと考えている</li> <li>会社勤めをしているが、今後独立を考えている</li> </ul> <p>逆に、次のような方には参考にはならないでしょう。</p> <ul> <li>すでに絵で十分な収入があり今後も十分な収入が見込める</li> <li>アートをビジネスとしてとらえており、十分学んできた</li> <li>趣味で絵を描いており、絵で収入を得る必要はない</li> <li>アートはお金もうけの手段ではない、と考えている</li> <li>お金もうけは汚いことだと考えている</li> </ul> <p> </p> <h2>経済的自立は絵を描き続けるため</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/abardwell/1333395298/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(150px 550px 300px 0px); margin: -150px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm2.static.flickr.com/1345/1333395298_a9a25af14d_z.jpg?zz=1" alt="Another First!" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;" data-mce-mark="1">Another First! / abardwell</span></div> <p> </p> <p>このブログのなかで「絵描きもビジネス感覚をもつべきである」という主張を繰り返してきました。<br /> それは<strong>絵を描き続けるため</strong>です。<br /> そのためには経済的自立が必須だと、私は考えます。</p> <p> </p> <p>あなたは今、絵を描くことで生活が成り立っていますか?<br /> アルバイトや会社勤めが必要だとしたら、生活が成り立っているとはいえません。<br /> デザイン事務所や印刷会社でイラストレーションの制作をしている場合はどうでしょうか。<br /> 給与収入があるので生活が成り立っているといえます。<br /> それは本当の意味での「経済的自立」でしょうか?<br /> あなたが勤めている会社が倒産した場合、あなたは自分の力で、生活をするためのお金を得られますか?<br /> もしそうでないなら、あなたは経済的に十分自立しているとはいえません。</p> <p> </p> <p>「絵を描き続けたい」と思った場合、生活基盤を安定させることが必要になってきます。<br /> 生活とは衣食住を満たすことです。衣食住が満たされていない状態で絵を描き続けていくことは難しいでしょう。衣食住が満たされていない、ということは絵を描いても衣食住を満たすだけの収入が得られていない、ということだからです。<br /> そのような状態に陥って、残念ながら絵をやめていった知人が何人もいます。</p> <p> </p> <p>生活基盤を安定させるには少なくとも生活を成り立たせるだけの収入が必要です。<br /> そのための金額は人によって異なるでしょう。<br /> しかし、いずれにせよ、収入は必要です。<br /> もしあなたが絵を生業としていきたいのなら、絵を収入の源にしなければなりません。<br /> ですから、あなたはあなたの絵をビジネス的な観点で考え直す必要があるのです。</p> <p> </p> <h2>そもそも「ビジネス」とは?</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/wadem/2730257498/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(129px 550px 279px 0px); margin: -129px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm4.static.flickr.com/3070/2730257498_68837d293f_z.jpg?zz=1" alt="Why?" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;" data-mce-mark="1">Why? / wadem</span></div> <p> </p> <p>「ビジネスをする」ということは<strong>「商品やサービスを提供してお金を受け取る」</strong>ことです。<br /> 絵で言えば<strong>「あなたの絵が売れるようにする」</strong>ことです。<br /> あなたの絵は売れていますか?<br /> もし売れていないとしたら、それはなぜでしょうか?<br /> 逆に売れているとしたら、それはなぜでしょうか?<br /> きちんと考えたことがありますか?</p> <p> </p> <p>最近では、それなりに実績のある画家さんでも個展で絵が売れない方が増えてきているそうです。<br /> そういう方々の中にはこんなふうにぼやく方もいらっしゃるそうです。</p> <p> </p> <p><strong>「最近のひとたちは芸術を理解していない」</strong></p> <p><br /> 本当にそうでしょうか。<br /> この言葉は音楽業界の方が「近頃CDが売れないのは音楽が理解されなくなってきたからだ」と言っているのと同じです。<br /> 商品が売れない責任を消費者に押しつけ、消費者が望んでいることを理解しようとしていないのです。</p> <p> </p> <p>ビジネスは「なにを」「だれに」「どこで」「いつ」「なぜ」「どのように」売るかを考えることから始まります。<br /> 文章を作るときの5W1Hと同じですね。<br /> ビジネス戦略の立て方は経営学の先生たちや経営の達人と言われる人たちがさまざまな本でさまざまなことを言っています。細かい部分では異なりますが、まずこの5W1Hが明確でないとそもそも何をしたら良いのか分かりません。</p> <p> </p> <p>これから数回に分けて、「絵描きにとってのビジネス5W1H」を考えていきたいと思います。<span style="line-height: 1.5;">その過程で、今後どのように絵に向き合っていったら良いか、のヒントが見つかるかもしれません。</span></p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/27/073117" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略2〜収益をあげることが大前提〜</a>(2013年3月27日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/15/084737" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略3〜絵描きとポジショニング〜</a>(2013年4月15日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/18/104811" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略4〜効率とターゲッティング〜</a>(2013年4月18日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/04/30/080919" target="_blank">絵描きのためのビジネス戦略5〜自己満足と顧客満足〜</a>(2013年4月30日)</li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/25/073954" target="_blank"> 絵描きがギャラリーと決別すべき理由</a><span style="line-height: 1.7;" data-mce-mark="1">(2013年3月25日)</span></li> </ul> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/01/080435" target="_blank"> 絵描きにもビジネス感覚が必要な理由</a><span style="line-height: 1.7;" data-mce-mark="1">(2013年3月1日)</span></li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;"><span style="font-size: 90%;">ここで絵が売れないことの絵描き側の問題点を指摘しています。具体的な方法論についてはほとんど言及していないので、これから書く「絵描きのためのビジネス戦略」を参照ください。</span></p> </blockquote> <p> </p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492532706/sasuke1977-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41WPCn5Ck1L._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)" title="ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492532706/sasuke1977-22/">ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C6%EF%CC%DA%B7%FA">楠木建</a></li><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%CD%CE%B7%D0%BA%D1%BF%B7%CA%F3%BC%D2">東洋経済新報社</a></li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2010/04/23</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> 単行本</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">購入</span>: 27人 <span class="hatena-asin-detail-label">クリック</span>: 770回</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/4492532706/sasuke1977-22" target="_blank">この商品を含むブログ (111件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> wand-i 絵描きがギャラリーと決別すべき理由 hatenablog://entry/6435988827676366278 2013-03-25T07:39:54+09:00 2013-05-02T21:54:51+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 ここで何度も書いているように、私は「アートをビジネスとして成立させる」ことを目標の一つに掲げています。 事業を立ち上げるとき、その目標の最大の弊害になるのがギャラリーである、と考えました。 私は当面の間、ギャラリーを利用した個展は行うつもりがありません。 その理由について説明したいと思います。 この記事は「これから本気でアートで食べていきたいと考えている方」を対象としています。ですから、次のような方はこの記事の対象にはなりません。 集客や広報など、アーティストのサポートをしっかり行っているギャラリーの方 個展をやれば確実に収益が見込め、… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>ここで何度も書いているように、私は<strong>「アートをビジネスとして成立させる」</strong>ことを目標の一つに掲げています。<br /> 事業を立ち上げるとき、その目標の最大の弊害になるのがギャラリーである、と考えました。<br /> 私は当面の間、ギャラリーを利用した個展は行うつもりがありません。<br /> その理由について説明したいと思います。</p> <p> </p> <p>この記事は<strong>「これから本気でアートで食べていきたいと考えている方」</strong>を対象としています。ですから、次のような方はこの記事の対象にはなりません。</p> <ul> <li>集客や広報など、アーティストのサポートをしっかり行っているギャラリーの方</li> <li>個展をやれば確実に収益が見込め、十分生活が成り立つアーティストの方</li> <li>展示することに意義があると考え、収益は度外視しているアーティストの方</li> </ul> <p><br /> 逆に、次のような方に読んでほしいと思います。</p> <ul> <li>個展などを行ってきたが期待するほどの収益が得られていないアーティストの方</li> <li>これからアートで食べていきたいがどうしたら良いか分からないアーティストの方</li> </ul> <p> </p> <h2>ギャラリーでの展示は「期間限定でお店を開く」こと</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/klearchos/2789692887/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(122px 550px 272px 0px); margin: -122px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm4.static.flickr.com/3015/2789692887_9217bebf17_z.jpg?zz=1" alt="Shop in Oia" /></a>Shop in Oia / Klearchos Kapoutsis</div> <p> </p> <p>「絵を売る」ことを目的とした場合、「ギャラリーを借りて個展を開く」ということは<strong>「期間限定でお店を開く」</strong>ことと同じです。<br /> 展示経験の浅いアーティストはここを勘違いしがちです。<br />ギャラリーがアーティストをプロデュースしてくれるわけではありません。<br /> 私自身もそうでした。</p> <p> </p> <p>あなた自身のことを考えてみてください。<br /> あなたが何を売っているかよく分からないお店に入る確率はどれくらいでしょうか?<br /> 街中であなたがそのお店に入るきっかけになるくらい興味をひく商品がどれだけあるか、考えてみましょう。<br /> ショーウィンドウに興味のある商品が並んでいれば、そのお店に入ることもあるでしょう。ですが、残念ながら、通りすがりの人があなたの絵に興味を持つことは極めてまれです。<br /> <br /> 積極的に集客・広報活動をしなければ、あなたの個展はほとんど人がこない非常にさびしいものになるでしょう。</p> <p> </p> <h2>ギャラリーの広報活動は限定的</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/23397728@N04/6838202446/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(130px 576px 280px 26px); margin: -130px 0 0 -26px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm8.static.flickr.com/7061/6838202446_bc09ffb399_z.jpg?zz=1" alt="Street Promotion mit Morphsuits und QR Codes" /></a>Street Promotion mit Morphsuits und QR Codes / werbelaeufer</div> <p> </p> <p>私が過去、個展やグループ展を行ってきたギャラリーはすべて、残念ながら集客や広報に積極的ではありませんでした。私が利用した以外に、これまで見てきたギャラリーの多くがそうです。</p> <p><strong>集客、広報はアーティストが自分でやるのが原則</strong>です。ギャラリーがアーティストをプロデュースするのは極めてまれなケースです。</p> <p>利用する際に説明を受けたときには「顧客リストにDMを送る」というサポートをしてくださるギャラリーもありましたが、その「顧客リスト」のうち、どのくらいの人が自分の絵に興味をもつか疑問です。<br /> 最悪のケースだと、「個展をやったが土日に友人知人の一部しか来なかった」ということもあります。<br /> 「展示中に絵が新規顧客に売れること」を目的とするなら、この状況ではコストをかけて展示をする価値がありません。</p> <p> </p> <p>東京都内のギャラリー賃料は6日間15万円程度が相場です。<br /> 銀座の一流と呼ばれるギャラリーになると1週間100万円するところもありますし、逆にギャラリーカフェのような場所では、店内の一部を3万円程度から借りられるところもあります。<br /> この違いは、ギャラリーがもっている顧客の厚さ、見込まれる集客数、運営側の力の入れ具合などによって生まれるようです。</p> <p> </p> <p>一般的なギャラリーの場合、運営側が集客に力を入れることはあまりありません。<br /> 「顧客リストにDMを送る」ことは多くのギャラリーでしてくれます。<br /> それ以上のことを望むのなら、より高額だけれどもサポートのしっかりしたギャラリーを選ぶか、アーティスト自らが集客・広報活動をする必要があるのです。<br /> <br /> ところが、多くのアーティストが集客や広報のノウハウをもっていません。<br /> ここにギャラリー側とアーティスト側のミスマッチが発生するのです。</p> <p> </p> <h2>私がギャラリーと決別した理由</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/library_of_congress/2369111942/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(168px 605px 318px 55px); margin: -168px 0 0 -55px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm4.static.flickr.com/3191/2369111942_81d5ba4819_z.jpg?zz=1" alt="Crowd - Union Sq. (LOC)" /></a>Crowd - Union Sq. (LOC) / The Library of Congress</div> <p> </p> <p>これまでの展示経験をふまえ、自分の絵で収益を出そうと思った場合、<strong>「ギャラリーで個展」というやり方は私自身にとって非常に効率の悪い方法である</strong>、という結論に達しました。<br />そこで、私自身は「自分の絵に興味をもってくれる人を自分から探しにいく」という活動に重点をおくようになりました。</p> <p> </p> <p><strong>「ギャラリーで展示をすることは期間限定のお店を出すこと」</strong>です。<br />一般のお店と同じで、広報活動に力を入れなければなりませんし、広報の効果が出てくるのには時間がかかります。効果を確認するためには個展を開かなければならず、コストがどんどんかさんでいきます。<br />これでは効率が悪い。</p> <p> </p> <p>展示をやるアーティストはよく<strong>「たくさんの人にみてもらいたい」</strong>ということを口にします。<br />その真意はどこにあるのでしょうか?<br />収益を目的とする場合、「たくさんの人がみてくれれば、少しはお金を出してくれる人があらわれるだろう」という思いが背景にあるでしょう。<br />けれど、実際に「ギャラリーに足を運ぶ」という行動を起こさせるのはハードルが高い。もし来てくれたとしても、どんな人かよくわからない「たくさんの人」を相手にするのは大変です。</p> <p> </p> <p>「相手に来てもらう」ことよりも「相手のところにいく」方がハードルはずっと下がります。<br />相手のところにいく場合、こちらから相手を選ぶことができます。<br />自分の絵に興味を持ちそうな人がどういう人か、を考えれば、会わなければいけない人も減るでしょう。<br />なんだかよくわからない「たくさんの人」に会うよりもずっと効率的です。</p> <p> </p> <p>「たくさんの人」に見てもらうのも良いですが、「どういう人に見てもらいたいか?」を考えないと、ただの自己満足に終わる可能性が高いのです。</p> <p> </p> <h2>効果的にギャラリーを使うための留意点</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/annushka_74/3147577650/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(120px 551px 270px 1px); margin: -120px 0 0 -1px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm4.static.flickr.com/3195/3147577650_3198d94b8f_z.jpg?zz=1" alt="The Effectives." /></a>The Effectives. / Anna Oates</div> <p> </p> <p>それでも「どうしても個展をやりたい」という場合には次の観点でのギャラリー選びが重要になります。</p> <ul> <li>自分の絵が売れそうな顧客をそのギャラリーはもっているか</li> <li>ギャラリーに入ってくる一般客の属性(年齢、性別、興味など)はどのようなものか</li> <li>集客・広報のサポートはどこまでやってくれるのか</li> </ul> <p>これらのことを考えずに<strong>「ギャラリーから展示の誘いがきたから」</strong>という理由で展示をしていると、絵が売れないどころか人もほとんど来ない展示になってしまうでしょう。</p> <p><br /> 絵を展示するホームページを運営していると、そうした展示のお誘いメールがよくきます。<br /> 以前は「ギャラリーに見込まれた!?」と思ったものですが、よく内容を確認すると通常の賃料がかかることがほとんどです。こうしたお誘いのほとんどは「ギャラリー利用の広告」です。安易にのってしまうと時間とお金を無駄にすることになるので、よくよく検討したいものです。</p> <p> </p> <h2>私がビジネスにこだわる理由</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/hygienematters/5668998017/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(54px 550px 204px 0px); margin: -54px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm6.static.flickr.com/5142/5668998017_b237aa7569_z.jpg?zz=1" alt="SCA CEO Jan Johansson and CFO Lennart Persson shaking hands" /></a>SCA CEO Jan Johansson and CFO Lennart Persson shaking hands / SCA Svenska Cellulosa Aktiebolaget</div> <p> </p> <p>アーティストがこのように収益にこだわることに眉をひそめる方がいらっしゃるのは十分承知しています。</p> <p><strong>「アートはもっと純粋なもので、金儲けの道具なんかじゃない!」</strong></p> <p>そういう気持ちは、私自身ももっていました。</p> <p> </p> <p>私が収益にこだわるのは<strong>「絵を描き続けたいから」</strong>です。<br /> どんな仕事でもそうですが、生活基盤が安定してはじめて良い仕事ができます。<br /> 生活できないほどになったら、その仕事は続けられません。<br /> 絵だってそうでしょう。生活できなければそれを続けることはできない。<br />生活が続けられなければ、どんなに「アートは純粋なものだ!」と叫んだところで、アートそのものが消滅してしまうでしょう。</p> <p> </p> <p>そのためにも、私はアートをビジネスとして成立させたいと考えているのです。 </p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/14/074826" target="_blank">スヌーズレンとアートが拓く可能性</a>(2013年3月14日)</li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;"><span style="font-size: 90%;">アートにはまだまださまざまな可能性があると思っています。ギャラリーや美術館に展示するだけがアートではありません。その可能性に目を向ければ、アートをビジネスとして成立させることは十分可能だと考えます。</span></p> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/08/072011" target="_blank">“2つの工場”の思考実験〜“思い”とは何か?〜</a>(2013年3月8日)</li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;"><span style="font-size: 90%;">何かをしようと思っとき、まずは自分の存在を周囲にしってもらう必要があります。「広報は必要ない、良いものを作っていれば勝手に広まるから」という人もいますが、それは「すでにあなたのことを知っている人がある程度いる」ことが前提です。何かを始めたばかりの頃は、あなたの存在はほぼまったく知られていないといって良いでしょう。だから、広報は必要なのです。</span></p> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/01/080435" target="_blank"> 絵描きにもビジネス感覚が必要な理由</a>(2013年3月1日)</li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;"><span style="font-size: 90%;">どんな仕事でもそうですが、ただ待っていればお客さんがくる、という時代ではなくなりました。自分の力でお客さんを探しにいく努力が必要です。だから、この先生き残っていくためにも、絵描きにビジネス感覚は必須なのです。</span></p> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/13/111814" target="_blank"> 営業嫌いの背後にあるもの</a>(2013年2月13日)</li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;"><span style="font-size: 90%;">「良いものを作っていれば必ず売れる」という言葉の背後には「営業なんかしたくない」という気持ちが透けて見えます。しかし、良いものがそこにあるだけでは絶対に売れません。その存在が人に知られ、それが良いものであると認められる必要があるのです。そのプロセスを飛ばしてしまったら、本当は売れるものも売れなくなってしまいます。</span></p> </blockquote> wand-i “平均値”は人をだます hatenablog://entry/6435988827676260228 2013-03-23T07:31:03+09:00 2013-03-23T12:19:16+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 ビジネスを行っていく上で、数字は意思決定のための協力なツールになります。 w'ANDでは「アートをビジネスとして成立させる」ことを目標のひとつに掲げていますので、ビジネス的な観点、つまり数字を使った意思決定も重要と考えています。 そのため、数字に関しても勉強してきました。 文系ビジネスマンでもわかる数字力の教科書: 当たり前なのに3%の人しかやってない仕事の数字をつかむ術 (だいわ文庫)作者: 久保憂希也出版社/メーカー: 大和書房発売日: 2012/12/12メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 数字の見方、使い方について分かり… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>ビジネスを行っていく上で、数字は意思決定のための協力なツールになります。<br /> w'ANDでは<strong>「アートをビジネスとして成立させる」</strong>ことを目標のひとつに掲げていますので、ビジネス的な観点、つまり数字を使った意思決定も重要と考えています。<br /> そのため、数字に関しても勉強してきました。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479304118/sasuke1977-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51TpPWLTxoL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="文系ビジネスマンでもわかる数字力の教科書: 当たり前なのに3%の人しかやってない仕事の数字をつかむ術 (だいわ文庫)" title="文系ビジネスマンでもわかる数字力の教科書: 当たり前なのに3%の人しかやってない仕事の数字をつかむ術 (だいわ文庫)"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4479304118/sasuke1977-22/">文系ビジネスマンでもわかる数字力の教科書: 当たり前なのに3%の人しかやってない仕事の数字をつかむ術 (だいわ文庫)</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span> 久保憂希也</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> 大和書房</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2012/12/12</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> 文庫</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/4479304118/sasuke1977-22" target="_blank">この商品を含むブログを見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <p>数字の見方、使い方について分かりやすく説明している本です。<br /> ビジネスにおいて<strong>「その数字が何を意味しているか?」</strong>を考えられることが重要です。<span style="line-height: 1.5;">暗算や簿記ができても、その背景にある意味が理解できなければ数字には価値がありません。</span></p> <p> </p> <p>今日は私が数字を見る上でもっとも重要だと感じている“平均値に対する考え方”についてお話しします。</p> <p> </p> <h2>“平均年収500万円”の会社に入るべきか?</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/brostad/4025940213/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(171px 550px 321px 0px); margin: -171px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm3.static.flickr.com/2475/4025940213_067b42cb04_z.jpg?zz=1" alt="Tina considering a morning bath" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Tina considering a morning bath / Bernt Rostad</span></div> <p> </p> <p>「年収500万円」を高いと思う方も低いと思う方もいらっしゃるでしょう。<br /> 国税庁の<a href="http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2011/pdf/001.pdf" target="_blank">「平成23年 民間給与実態統計調査」</a>の結果によりますと、平成23年のサラリーマンの平均年収は409万円です。ここからすると、「年収500万円」は平均よりも高い収入になります。</p> <p> </p> <p>では、「平均年収500万円」の会社は収益の良い会社だと判断しても良いでしょうか?</p> <p> </p> <p>とある2つの会社を比較してみましょう。<br /> あなたはA社とB社の2つの会社から内定をもらいました。<br /> いずれも従業員数が100名、平均年収が500万円です。<br /> 仕事内容が大きく変わりませんから、どちらの会社に入っても収入は大きく変わらなそうです。<br /> あなただったらどちらの会社を選びますか?</p> <p> </p> <p>実はこの「平均年収500万円」にはカラクリがあります。<br /> 次のグラフをご覧ください。</p> <p><span><img class="hatena-fotolife" title="f:id:wand-i:20130322111600j:plain" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130322/20130322111600.jpg" alt="f:id:wand-i:20130322111600j:plain" /></span></p> <p>これはA社の社員の年収を分析したものです。<br /> 年収500万円の社員が最も多く60名、それ以外の年収の社員はそれよりも少なくなっています。<br /> 一般的に「平均年収500万円」といわれてとっさに思い浮かべるのがこのようなグラフです。</p> <p>では、B社はどのようになっているでしょうか?</p> <p><span><img class="hatena-fotolife" title="f:id:wand-i:20130322111609j:plain" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130322/20130322111609.jpg" alt="f:id:wand-i:20130322111609j:plain" /></span></p> <p>B社もA社と同じように社員の年収を分析したところ、このような結果となりました。<br /> 最も多いのは年収300万円の60名。平均年収を引き上げているのは年収1000万円の30名です。<br /> このような年収の分布になっていても、平均をとると年収500万円になるのです。</p> <p> </p> <p>この場合、あなたはどちらの会社を選びますか?</p> <p> </p> <h2>平均値は人をだます</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/tasteful_tn/186922745/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(161px 550px 311px 0px); margin: -161px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm1.static.flickr.com/58/186922745_5fde41b22a_z.jpg?zz=1" alt="when first we try to decieve." /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">when first we try to decieve. / 顔なし</span></div> <p> </p> <p>このように、平均値だけをみると同じように見えても、その実態が大きく異なる、ということは良くあります。<br /> ですから、今回のA社とB社のように「分布」を見る必要があるのです。<br /> 国税庁の調査も同じです。この調査では平均年収409万円と出ていますが、その平均値がどのように構成されているかを見なければこの平均値が本当に意味しているところは分からないのです。<br /> ※ちなみに、国税庁調査結果を年齢別に見ると、50〜54歳の年収が485万円と最も高く、20〜24歳では247万円と若年層とほぼ倍の差があります。さらに時系列での変化を考慮すると面白い傾向が見えてくるかもしれません。</p> <p>平均値は多くを語りません。<br /> そのため、B社のように平均値を出してあたかも「年収500万円の社員がもっとも多い」と見せかけることもできてしまうのです。<br /> このように、平均値を使って印象を操作することは日常的にあちこちで行われています。</p> <p> </p> <p>数字は便利な反面、使い方によって人をだますこともできてしまいます。<br /> 数字をみるときは、「それが何を意味しているのか?」を考える習慣をつけたいものですね。</p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/23/092703">お金の超初心者がお金の勉強をするのに使ったサイト3つ+本4冊</a>(2013年2月23日)</li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;">この記事の中でご紹介している本、サイトはどれも有用です。どうぞ手にとってみてください。</p> </blockquote> wand-i 金融業者としての覚悟 hatenablog://entry/6435988827676255445 2013-03-22T09:00:27+09:00 2013-03-22T09:01:55+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 「アートをビジネスとして成立させる」 w'AND illustrationが掲げる目標のひとつです。 この目標の実現のため、さまざまな業界の方とお話しをする機会を作っているところです。 コンサルティング、医療、金融、不動産・・・ お話しをしてみると、それぞれの業界に固有の悩みがあり、アートがそれを解決できる可能性もだんだん見えてきました。 こんなふうにいろいろな業界の方々とお話しをしていると、これまで思いもつかなかったような発想に出会うことがあります。 今日はとあるファンドの方から聞いた、「そのやり方はうまいな」と感心した金融商品と、「… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>「アートをビジネスとして成立させる」<br /> w'AND illustrationが掲げる目標のひとつです。<br /> この目標の実現のため、さまざまな業界の方とお話しをする機会を作っているところです。<br /> コンサルティング、医療、金融、不動産・・・<br /> お話しをしてみると、それぞれの業界に固有の悩みがあり、アートがそれを解決できる可能性もだんだん見えてきました。</p> <p> </p> <p>こんなふうにいろいろな業界の方々とお話しをしていると、これまで思いもつかなかったような発想に出会うことがあります。<br /> 今日はとあるファンドの方から聞いた、「そのやり方はうまいな」と感心した金融商品と、「それってほんとに金融商品なの?」とおもってしまった金融商品の話です。</p> <p> </p> <h2>case1:診療報酬のタイムラグを利用した金融商品</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/agecombahia/4322320118/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(147px 550px 297px 0px); margin: -147px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm3.static.flickr.com/2767/4322320118_1e4941f97a_z.jpg?zz=1" alt="Hospital Roberto Santos recebe novos médicos residentes" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Hospital Roberto Santos recebe novos médicos residentes / Fotos Gov/Ba</span></div> <p> </p> <p>これは医療機関を対象にした金融商品です。<br /> 私たちは保険のきく範囲の医療サービスを受ける場合、実際の医療費の3割を負担するだけで済みます。病院側に入るのは本来受け取れるはずの報酬の3割。残りの7割は、というとその2ヶ月後に国から医療報酬の形でお金がおりてきます。<br /> <br /> サービスを提供してから実際に入金されるまで2ヶ月のタイムラグがあるのです。<br /> <br /> 病院によっては、このタイムラグが経営にとって命取りになることがあるそうです。<br /> スタッフへの給与支払いや高額な医療機器の維持費など、病院の維持には多大なコストがかかります。<br /> 手元に現金がないと維持できない、というケースも多々あるそうです。<br /> <br /> そこで、とあるファンドはあることを思いつきました。<br /> その2ヶ月のタイムラグを埋めるため、診療報酬を債券化したのです。<br /> 病院が本来受け取る診療報酬を100万円としましょう。病院はすぐにでも現金がほしいのだけれど、国からお金がおちてくるのは2ヶ月後。そこで、このファンドは97万円を病院に支払い、満額の診療報酬を受け取る権利を買い取ります。2ヶ月後、ファンドは国から100万円を受け取ります。この差額の3万円がファンドの利益になります。<br /> <br /> これは「診療報酬」という仕組みを巧みに利用した利益の出し方です。<br /> 簡単にいってしまえば「診療報酬を担保にした貸金」というところでしょう。<br /> 「こんなにまでして利益を出したいか?」とも思うのですが、もしこの仕組みのおかげで病院がつぶれずに済んでいるとしたら、私たちにとってもメリットのあることです。</p> <p> </p> <p>同じようなことは飲食店でのクレジット決済でも行われているそうです。<br /> クレジット決済の場合、店側に現金が入るのが決済の2週間後。そのタイムラグをファンドが埋めてあげることで飲食店の資金繰りをしやすくしています。<br /> もしこのおかげでお気に入りのレストランがうまく回っているとしたら・・・と考えると、大事な仕組みのようにも思えてきます。</p> <p> </p> <h2>case2:展覧会の資金集めのためのファンド</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/65172294@N00/147206747/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(157px 550px 307px 0px); margin: -157px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm1.static.flickr.com/54/147206747_ecd93410fc_z.jpg?zz=1" alt="The Story of Tutankhamun" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">The Story of Tutankhamun / get directly down</span></div> <p> </p> <p>このファンドでは展覧会の企画・運営も手がけるそうです。<br /> 最近のものでは2012年の大規模なエジプト展でした。<br /> これは私たちが通常「金融業」と聞いて思い浮かべるものから少しかけ離れているように思います。</p> <p> </p> <p>エジプト展のような大規模な展覧会を行うには多額の費用がかかります。<br /> エジプト政府と交渉し、展示品を借り受け、日本に輸送し、日本で会場を用意し、設営や警備などのスタッフを雇う、これらに数億円のコストがかかります。しかも、展覧会をやったからといって必ずしも利益が出るとはかぎりません。<br /> そこでこのファンドは一種のリスク商品として、資金を募りました。<br /> たとえば、一口10万円、展示会の収益により数%のリターンを出資者にバック。ただし、展覧会が赤字の場合は元本が減る・・・このようなリスク商品です。</p> <p> </p> <p>こんな金融商品があることに私はびっくりしました。<br /> 「金融業」というと「あちらからこちらにお金を動かしてその差額で設ける<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B5%F5%B6%C8">虚業</a>」という、あまり良いイメージをもっていませんでした。ところが、「展覧会の企画」のような実際に形のあるものにお金を出していく、という仕事もしています。こうした仕事は単純に「<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B5%F5%B6%C8">虚業</a>」とは呼べません。</p> <h2> </h2> <p> </p> <p>私たちは実際はよく知らないのに、イメージだけで物事を判断してしまいがちです。<br /> けれども実際にこうして話を聞いてみると、意外な発見があるものです。</p> <p> </p> <p>ちなみに、私が話をうかがったファンドは「なるべく元本を減らさない運用」を理念としているそうです。<br /> 母体は金融ファンドなのですが、その他にIT会社、飲食店、アパレルなどの会社をもち、万が一ファンドが何らかの理由で大幅に資金を減らしてしまった場合、それら子会社を売却することで資金を保全する、ということをやっています。<br /> そこまでしてファンドを運営しようとするところに、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D3%A5%B8%A5%CD%A5%B9%A5%D1%A1%BC%A5%BD%A5%F3">ビジネスパーソン</a>としての覚悟を感じたのでした。</p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/12/071340">長財布とお金のキモチ(あるいは付喪神)</a>(2013年3月12日)</li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;">もしかしたら金融業に対するマイナスイメージは、お金そのものに対する悪いイメージに原因があるのかもしれません。私自身、最近になってようやく、お金に対するマイナスイメージがなくなってきました。</p> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/01/080435">絵描きにもビジネス感覚が必要な理由</a><span style="line-height: 1.7;">(2013年3月1日)</span></li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;">昔はそれこそ、「貴族のお抱え画家になれば一生困らない」なんてこともありましたが、現代ではそんなことは期待できません。絵描きが生き残っていくためにも、やはりビジネス感覚は必須だとおもっています。</p> </blockquote> wand-i ブログ毎日更新を一日休んでみました。 hatenablog://entry/6435988827676208378 2013-03-21T07:10:53+09:00 2013-03-21T10:53:53+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 31日間続いてきていたブログの毎日更新を休みました。 花粉症なのか風邪なのか、くしゃみ鼻水、目のかゆみがひどいのにくわえ、連日の外出もたたって疲労がたまっていたためです。 顔の周辺がずっともやっとするような、かゆいような、なんともいえない“もや”のようなものに包まれている感じです。 花粉症の線が濃厚かもしれません。 目を洗ったり、生理食塩水で鼻をうがいすると症状が緩和するので。 ブログを休むことに非常に強い葛藤がありました。 大きくは2つの理由からです。 理由1:事業上の効果 3-D Line Graph / k.steudel ブログ… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>31日間続いてきていたブログの毎日更新を休みました。<br /> 花粉症なのか風邪なのか、くしゃみ鼻水、目のかゆみがひどいのにくわえ、連日の外出もたたって疲労がたまっていたためです。<br /> 顔の周辺がずっともやっとするような、かゆいような、なんともいえない“もや”のようなものに包まれている感じです。<br /> 花粉症の線が濃厚かもしれません。<br /> 目を洗ったり、生理食塩水で鼻をうがいすると症状が緩和するので。</p> <p> </p> <p>ブログを休むことに非常に強い葛藤がありました。<br /> 大きくは2つの理由からです。</p> <p> </p> <h4>理由1:事業上の効果</h4> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/snaks/3286666946/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(153px 550px 303px 0px); margin: -153px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm4.static.flickr.com/3224/3286666946_e4a3499378_z.jpg?zz=1" alt="3-D Line Graph" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">3-D Line Graph / k.steudel</span></div> <p>ブログを毎日更新し続けることの効果もあちこちで言われています。</p> <ul> <li><span style="line-height: 1.5; text-indent: 1.5em;">毎日更新することで<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Google">Google</a>に「アクティブなサイト」と認定されて検索順位が上がる。</span></li> <li><span style="line-height: 1.5; text-indent: 1.5em;">コンテンツが増えていくので<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/SEO">SEO</a>対策としても効果がある。</span></li> <li><span style="line-height: 1.5; text-indent: 1.5em;">頻繁に更新することで読者の目に止まりやすくなり、結果読者獲得につながる。</span></li> </ul> <p>などなど。</p> <p> </p> <p>こうした効果は、ブログをw'ANDの事業活動の一部として位置づけている以上、重要です。<br /> 仕事上の理由から、ブログ継続を止めたくない、と感じていました。</p> <p> </p> <p>もちろん、ここには「ブログを休むと仕事に支障が出るかもしれない」という不安感も混ざっています。</p> <p> </p> <h4>理由2:サンクコスト効果</h4> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/btaroli/8193352365/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(211px 550px 361px 0px); margin: -211px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm9.static.flickr.com/8483/8193352365_2f9a6d3e79_z.jpg?zz=1" alt="250_20121114_bt_chumley_bear_cruise" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">250_20121114_bt_chumley_bear_cruise / btaroli</span></div> <p><strong>「せっかく31日続いたのだから、連続記録を32日に伸ばしたい」</strong>という気持ちもあります。<br /> これは仕事がどう、とか<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/SEO">SEO</a>がどう、といった実際的な理由ではありません。<br /> 単純な「もうちょっとやれば・・・」という心理です。<br /> <br /> この心理はギャンブルをやっているときの心理に近いかもしれません。<br /> ギャンブルで負けがこんできたとき、ついつい「あと1万円出せば取り返せる!」と思ってしまいがちです。<br /> ギャンブルではこの「あとちょっと・・・」が命取りになることがよくあります。<br /> <br /> この心理を<strong>「サンクコスト効果」</strong>と呼びます。<br /> サンクコストとは</p> <blockquote><em>ある経済活動・投資活動にいったん投下され、その後にどのような決定(活動の縮小・中止など)を行っても回収することができない費用のこと。投資の評価・意思決定においては、過去の出来事であるサンクコストは一切に考慮に入れてはならず、評価時点以降に起こり得る支出と期待できる利益だけを判断基準とするように推奨している。</em><br /> <span style="font-size: 90%;">(<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%40IT">@IT</a>情報マネジメント<a href="http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/sunkcost.html" target="_blank">「サンクコスト」</a>)</span></blockquote> <p>ギャンブルの例で言えば、負けがこんできていることを「さらにゲームを続けるか」の意思決定の材料に持ち込んではいけません。<br /> 同じように「今日ブログを書くべきか否か」という意思決定に「ここまで31日間ブログを続けてきた労力」は評価に入れてはいけないのです。にも関わらず、どうしても「ここまでがんばってきたのに・・・」と思ってしまうのは人の性というものです。</p> <h2> </h2> <p> </p> <p>冒頭でも書いた通り、「3月20日はブログを書かない」と決めました。<br /> 2つの葛藤がありましたが、決め手となったのは「人間は完璧ではない」という考えです。<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/22/092135">“「継続する意志」を鍛えるたった5つのコツ”</a>でも書いたように、なにかを継続するにはコツがあります。<br /> そのうちの一つが「完璧主義にならないこと」。<br /> 完璧主義の人の多くが、「30日続けてきたけど昨日ついつい休んでしまった、だから自分はだめなんだ」と考え、そこで続けるのをやめてしまいます。ちょっとの失敗ですべてがだめになってしまったように錯覚してしまうのです。<br /> <br /> たとえば1年間ブログを書き続けようとしたとき、その1年の間には何が起こるかわかりません。<br /> 風邪で寝込むかもしれないし、パソコンが壊れてしまうかもしれない、あるいは隕石が降ってきて家がなくなってしまうかもしれません。<br /> そんな状況で続けていくのは実質的に不可能です。<br /> そもそも「完璧であろうとすること」事態が不可能なことなのです。<br /> だから、こんなふうに考えるのです。<br /> <br /> <strong><em>今日休んだから31日連続更新で止まってしまった。けれども、明日書けば33日中32日更新したことになる。達成率はおよそ97%だからずいぶん良い数字じゃないか。</em></strong></p> <p> </p> <p>そんなわけで、一日お休みさせていただきましたが、また今日から更新を続けていきたいと思います。</p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="ttp://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/22/092135">「継続する意志」を鍛えるたった5つのコツ</a><span style="line-height: 1.7;">(2013年2月22日)</span></li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;">物事を継続していくのにもコツがあったのでした。</p> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/17/095738">ビジネスで成功する「ネガティブ思考」が流行!? でもその前に・・・</a><span style="line-height: 1.7;">(2013年2月17日)</span></li> </ul> <p style="margin-left: 1.5em;">「途中でやめてしまった」というのはネガティブな感情に結びつきがちです。けれど、それを無理矢理ポジティブにもっていく必要はないのです。</p> </blockquote> wand-i 桜の小盆栽、あるいは可能性の総体 hatenablog://entry/6435988827676081061 2013-03-19T06:26:29+09:00 2013-03-19T06:26:30+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 先日、桜の小盆栽を購入しました。 丸ビルの植木屋さんで見かけ、ずっと気になっていたのです。 お目当ての桜はもう売れてしまっていましたが、なかなかかわいらしい枝振りの桜が手に入りました。 花はもう終わってしまったので葉しかありませんが、これはこれで良いものです。 それに来年また咲きますしね。 来年の春の楽しみが増えました。 私は植物、とくに木に深い愛着があるようです。 植木を選ぶときも、一年草や蔓植物は選びません。小さくても構わないので木を選びます。 おそらく「育てる楽しみ」が木にはあるからなのでしょう。 小さな鉢に植えられている小さな木… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>先日、桜の小盆栽を購入しました。<br /> 丸ビルの植木屋さんで見かけ、ずっと気になっていたのです。<br /> お目当ての桜はもう売れてしまっていましたが、なかなかかわいらしい枝振りの桜が手に入りました。</p> <p><span><img class="hatena-fotolife" title="桜の小盆栽" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130318/20130318194422.jpg" alt="桜の小盆栽" /></span></p> <p>花はもう終わってしまったので葉しかありませんが、これはこれで良いものです。<br /> それに来年また咲きますしね。<br /> 来年の春の楽しみが増えました。</p> <p> </p> <p>私は植物、とくに木に深い愛着があるようです。<br /> 植木を選ぶときも、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B0%EC%C7%AF%C1%F0">一年草</a>や蔓植物は選びません。小さくても構わないので木を選びます。<br /> おそらく<strong>「育てる楽しみ」</strong>が木にはあるからなのでしょう。<br /> 小さな鉢に植えられている小さな木を見ると、それが大きく育っていく姿を想像します。<br /> もちろん、山にはえているような大きな木になるには何十年もかかるでしょう。<br /> それでも、そのように大きく育っていく“可能性”をイメージとして見ているのです。</p> <h2> </h2> <p> </p> <p>今から4〜5年前のことです。<br /> 私がまだ仙台に住み、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%CB%CC%C2%E7%B3%D8">東北大学</a>に勤めていた頃。<br /> <br /> 勤務先の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%CB%CC%C2%E7%B3%D8">東北大学</a>工学研究科は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%C4%CD%D5%BB%B3">青葉山</a>にあります。<br /> 周りが山に囲まれ、キャンパスから少し離れるとうっそうとした森の中に入っていくことができます。<br /> そんな木々を眺めていたある日、一本の木に目が止まりました。<br /> 正確に言うと、根が同じで太い幹が二本に分かれた、一見すると二本に見える一本の木です。</p> <p> </p> <p>もともと根がひとつですから、本来は一本の幹になるはずでした。<br /> それがなんらかの理由で二本の幹に分かれている。<br /> 私には、その木がふたつの可能性を同時に生きているように見えたのです。</p> <p> </p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BC%EA%C4%CD%BC%A3%C3%EE">手塚治虫</a>の「八角形の館」という作品をごぞんじでしょうか。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Wikipedia">Wikipedia</a>によれば、このようなあらすじの漫画です。</p> <blockquote><em>進学するか漫画家になるか悩んでいた熊隆一の前に、不思議な老婆が現れ、コインを渡してその出目で将来を決めろと勧める。コインの出目は漫画家を示していたが、隆一は不安そうだった。それを見た老婆は、「もし漫画家でいることが嫌になったら、八角形の館に来い。そうすれば一度だけもうひとつの人生に変わることができる。ただし二度目は許されない」と言い残して消えた。漫画家になった隆一は多くの連載を抱える人気作家として成功したが、一度だけファンの好みを無視した作品を描き、それがきっかけで人気が落ちてしまう。漫画家に失望した隆一は八角形の館で人生を切り替えた。別の世界では隆一はボクサーになっていたが、ここでも意に添わない試合をする結果となり、ボクサーにも失望する。その時、隆一に破滅が訪れた。</em></blockquote> <p>漫画の主人公、隆一は漫画家かボクサーのいずれかの人生を生きます。<br /> ところが、私の見た二本に幹が分かれた木は、隆一が漫画家の人生もボクサーの人生も、同時に生きているようなものとして見えたのです。</p> <p> </p> <p>この見え方は自分にとって衝撃的でした。<br /> おそらく、一本の幹になることもできたでしょう。もしかしたら二本に分かれることも可能性のひとつとして入っていたのかもしれません。<br /> いずれにせよ、そうした様々な可能性が、この木には宿っていたのです。<br /> 二本の幹に分かれたことによって、この木は一本の幹になる可能性をなくしましたが、この先、どのように成長していくかは様々な可能性を秘めています。つまり、この木は<strong>“可能性の総体”</strong>としてそこに存在しているのです。</p> <h2> </h2> <p> </p> <p>先日購入した桜の小盆栽を眺めていると、枝のあちこちから小さな芽が出ようとしています。<span style="line-height: 1.5;">これが葉になり、あるいは来年花を咲かせるもとになるのでしょうか。</span><br /> そうした可能性をこの桜ももっています。<br /> そして、たとえば30年後に大きく育つ可能性をイメージとして眺めながら、日々の世話をしていこうと思うのです。</p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/04/085359">【絵のこと】循環システムとしての植物</a><span style="line-height: 1.7;">(2013年3月4日)</span></li> </ul> <p style="text-indent: 1.5em;">やはり私は植物に愛着を抱いているようなのです。</p> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/14/083353">みそ汁騒動がおしえてくれたこと</a><span style="line-height: 1.7;">(2013年2月14日)</span></li> </ul> <p style="text-indent: 1.5em;">日常のちょっとしたことから学ぶこと、気づくことはたくさんあります。</p> </blockquote> wand-i 料理で鍛えられる4つのビジネススキル+α hatenablog://entry/6435988827676019448 2013-03-18T07:17:37+09:00 2013-03-18T07:17:37+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 今回は「料理はビジネススキルを磨くのに最適である」ということをお話ししましょう。 Cooking! / Webb Zahn 料理をしていると、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)を全部使います。 舌で味を確認するのはもちろん、目で材料の良し悪しや火の通り具合を判断し、耳で煮え具合や焼ける過程を確認し、手で固さを確認し、鼻で臭いを確認します。 このように、料理をしていると五感をフル稼働させるため、効率よくすべての感覚を磨くことができます。 "五感を研ぎ澄ましてビジネスに取り組むべき理由"でも書いたように、五感はビジネスの上でも重要な役割を… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>今回は<strong>「料理はビジネススキルを磨くのに最適である」</strong>ということをお話ししましょう。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/webb-zahn/5169215261/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(120px 550px 270px 0px); margin: -120px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm2.static.flickr.com/1415/5169215261_d468a8c81d_z.jpg?zz=1" alt="Cooking!" /></a>Cooking! / Webb Zahn</div> <p> </p> <p>料理をしていると、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)を全部使います。<br /> 舌で味を確認するのはもちろん、目で材料の良し悪しや火の通り具合を判断し、耳で煮え具合や焼ける過程を確認し、手で固さを確認し、鼻で臭いを確認します。<br /> このように、料理をしていると五感をフル稼働させるため、効率よくすべての感覚を磨くことができます。<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/16/072352">"五感を研ぎ澄ましてビジネスに取り組むべき理由"</a>でも書いたように、五感はビジネスの上でも重要な役割を果たします。</p> <p> </p> <p>最近、それ以外にも料理をすることで鍛えられる様々なビジネススキルがあることに気づきました。<br /> それが次の4つのスキルです。</p> <ol> <li><strong>予算立案・折衝スキル</strong></li> <li><strong><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%D7%A5%E9%A5%A4%A5%C1%A5%A7%A1%BC%A5%F3">サプライチェーン</a>マネジ<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%E1%A5%F3%A5%C8%A5%B9">メントス</a>キル</strong></li> <li><strong>マーケティングスキル</strong></li> <li><strong>タイムマネジ<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%E1%A5%F3%A5%C8%A5%B9">メントス</a>キル</strong></li> </ol> <p> </p> <h2>1.予算立案・折衝スキル</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/library_of_congress/2909835902/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(187px 573px 337px 23px); margin: -187px 0 0 -23px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm4.static.flickr.com/3276/2909835902_278b1d322d_z.jpg?zz=1" alt="Pres. Wilson addressing Congress (LOC)" /></a>Pres. Wilson addressing Congress (LOC) / The Library of Congress</div> <p> </p> <p>一般家庭では日々のご飯に潤沢にお金をかけることはできません。<br /> そのため、限られた予算の範囲内で日々のご飯を設計する必要があります。<br /> まず、何人分の食事を作らなければならないのか、から考える必要があります。<br /> 飢えてしまってはいけませんから、飢えないだけの量の食事を確保する必要があるでしょう。<br /> しかし、あなたが得られる資金には限りがあります。それにはあらかじめ他の使途もあるでしょうから、食事にかけられる予算は決して潤沢ではないでしょう。ですから、限られた予算の範囲内で飢えないだけの食事をいかに確保できるか、を設計する必要がでてくるのです。</p> <p> </p> <p>たとえば家族が増えるなどの事態が発生したとき、これまでと同じ予算では足りなくなるかもしれません。そうしたとき、予算を増やすために折衝しなければならないこともありうるでしょう。あなたは自らの思いをプレゼンテーションし、予算を獲得しなければなりません。</p> <p> </p> <p>これらのスキルはビジネスにおいて予算を立案し、ときに予算確保の折衝するのにきっと役立つでしょう。</p> <p> </p> <h2>2.<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%D7%A5%E9%A5%A4%A5%C1%A5%A7%A1%BC%A5%F3">サプライチェーン</a>マネジ<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%E1%A5%F3%A5%C8%A5%B9">メントス</a>キル</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/usarmyafrica/4926219191/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(97px 574px 247px 24px); margin: -97px 0 0 -24px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm5.static.flickr.com/4141/4926219191_a31e2c49bd_z.jpg?zz=1" alt="Supply Excellence 2010" /></a>Supply Excellence 2010 / US Army Africa</div> <p> </p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%C6%FC%CB%DC%C2%E7%BF%CC%BA%D2">東日本大震災</a>で交通網が寸断され、物資はあるのに必要なところに届かない、という事態が発生しました。<br /> 2011年10月にタイで発生した大洪水では、多くの企業の工場が浸水し、製品製造が続けられなくなる、という事態が発生しました。<br /> いずれも、サプラーチェーンが寸断されてしまったがために、大きな打撃を与えた例です。</p> <p> </p> <p>日々の料理でも同じです。<br /> 近所のスーパーがある日突然倒産する、という事態はいつでも起こりえます。<br /> これまで安く買えていた商品が何らかの影響で突然高騰してしまう、ということもあり得るでしょう。あるいは地震のような大災害で物資そのものが枯渇する、というリスクだって考えられます。<br /> そうした事態にあっても、我々には日々のご飯が必要です。</p> <p> </p> <p>スーパーの倒産リスクに備えて2番手に使えるスーパーを発掘しておく必要があるでしょう。<br /> 高騰した商品の代替になるような商品を見つけておく必要もあるでしょう。<br /> 物資が枯渇したとしたら、自分で物資を何らかの方法で調達してこなければなりません。</p> <p> </p> <p>このように、日々のご飯を安定供給するためには、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%D7%A5%E9%A5%A4%A5%C1%A5%A7%A1%BC%A5%F3">サプライチェーン</a>マネジメントが適切になされている必要があるのです。<br /> このスキルを活かすことで、あなたの会社の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%D7%A5%E9%A5%A4%A5%C1%A5%A7%A1%BC%A5%F3">サプライチェーン</a>を最適化し、かつ不測の事態にも備えられるようなグランドデザインが描けるようになるでしょう。</p> <p> </p> <h2>3.マーケティングスキル</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/masahiko/5203662057/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(410px 550px 560px 0px); margin: -410px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm6.static.flickr.com/5049/5203662057_44b3f56576_z.jpg?zz=1" alt="Twitterマーケティングなう。 @farmparty" /></a><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Twitter">Twitter</a>マーケティングなう。 @farmparty / masahiko</div> <p> </p> <p>ビジネスの世界でマーケティングは非常に重要です。<br /> 日々のご飯を作るにあたっても、マーケティングは必須です。</p> <p> </p> <p>お子さんやパートナーの好き嫌いをきちんと把握していますか?<br /> 最近の体調でどんな料理が喜ばれるかリサーチできていますか?<br /> 世間の料理トレンド(=旬)には敏感になっていますか?<br /> あなたはあなたの料理をお子さんやパートナーが欲する形で提供できていますか?</p> <p> </p> <p>人が嫌がる料理を提供していませんか?<br />自分の満足のためだけに無駄に予算をかけていませんか?<br />適切な色合いが使われ、見た目に食べたいと思える盛りつけになっていますか?</p> <p> </p> <p>より多く食べてもらうためには、こうしたリサーチが必須なはずです。</p> <p> </p> <p>こうした発想は極めてマーケティング的です。<br /> これらの感覚が磨かれれば、あなたのマーケティングスキルは格段に向上し、これまでなかなか売れなかった商品もあなたの手でヒット商品に変えていくことができるでしょう。</p> <p> </p> <h2>4.タイムマネジ<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%E1%A5%F3%A5%C8%A5%B9">メントス</a>キル</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/nnova/2065835201/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(153px 550px 303px 0px); margin: -153px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm3.static.flickr.com/2041/2065835201_a80e0326b0_z.jpg?zz=1" alt="Watch the watch" /></a>Watch the watch / nicolasnova</div> <p> </p> <p>料理をつくるとき、タイムマネジメントが重要になってきます。</p> <p> </p> <p>たとえばお子さんにできたてのご飯を食べさせたいとき。<br /> 何時にお子さんに食べさせたいですか?<br /> そのためには、何時から作り始めるのが適切ですか?<br /> すべての料理ができたての状態で提供できるためには、どの順番で作ったら良いでしょう?</p> <p> </p> <p>これらをうまくこなすためには、最適化された段取りを組む必要があります。<br /> 手がはやくないならはやくないなりに、「どの作業にどれだけ時間がかかるのか」がざっくりとでも把握できていれば、おなかをすかせたお子さんをいつまでも待たせることもなくなるでしょう。<br /> <br /> 逆に、旦那さんにわざと冷たいご飯を食べさせるには何時までに冷たくなるか、を逆算すれば良いのです。</p> <p> </p> <p>これが適切にできるようになれば、ビジネスの現場でもあなたのタイムマネジ<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%E1%A5%F3%A5%C8%A5%B9">メントス</a>キルはきっと上司に評価されるはずです。</p> <h2> </h2> <p> </p> <p>これらのスキルはあくまで一般家庭を想定しています。状況により、他のスキルも鍛えられるはずです。<br />たとえば・・・</p> <ul> <li><span style="line-height: 1.5;">一人暮らしの方でしたら、好きな物だけに偏らないようにするために</span><strong style="line-height: 1.5;">セルフマネジ<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%E1%A5%F3%A5%C8%A5%B9">メントス</a>キル</strong><span style="line-height: 1.5;">が鍛えられるでしょう。</span></li> <li><span style="line-height: 1.5;">お子さんがお手伝いしてくれるようなお年頃でしたら、</span><strong style="line-height: 1.5;">部下を使うスキル</strong><span style="line-height: 1.5;">が鍛えられるかもしれません。</span></li> <li><span style="line-height: 1.5;">もしあなたが謎の創作料理を作るのがお好きでしたら、それを躊躇なく試食してもらうために</span><strong style="line-height: 1.5;">プレゼンテーションスキル</strong><span style="line-height: 1.5;">が磨かれていくに違いありません。</span></li> </ul> <p> </p> <p><span style="font-size: 160%;">さぁ、今日からいっしょうけんめい料理をして、第一線で活躍できる<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D3%A5%B8%A5%CD%A5%B9%A5%D1%A1%BC%A5%BD%A5%F3">ビジネスパーソン</a>を目指しましょう。</span></p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/16/072352">五感を研ぎ澄ましてビジネスに取り組むべき理由</a>(2013年3月16日)<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/14/074826">スヌーズレンとアートが拓く可能性</a>(2013年3月14日)</blockquote> wand-i 夢・野心・挑戦 hatenablog://entry/6435988827675998390 2013-03-17T07:56:05+09:00 2013-03-17T07:56:05+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 「女にも野心がある。ただ、女はそれを夢と呼ぶのです。」 中央線に乗っていると、東京経済大学のこんな広告コピーが目に入ってきます。 このコピーに対してネット上に「単なる言葉のすりかえ」という批判が散見されました。 私自身もなんとなく違和感を覚えます。 もちろん、これは35歳男性の感覚であって、広告のターゲットである受験を控えた17歳、18歳の女性にどう響くのかは分かりません。 先日、こんなことがありました。 とある経営者向けのパーティーに参加したときのことです。 ある会社の社長さんと名刺交換させていただき、私の事業構想をお話ししました。 … <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p><em><strong>「女にも野心がある。ただ、女はそれを夢と呼ぶのです。」</strong></em><br /> <br /> 中央線に乗っていると、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%B5%FE%B7%D0%BA%D1%C2%E7%B3%D8">東京経済大学</a>のこんな広告コピーが目に入ってきます。<br /> このコピーに対してネット上に「単なる言葉のすりかえ」という批判が散見されました。<br /> 私自身もなんとなく違和感を覚えます。<br /> もちろん、これは35歳男性の感覚であって、広告のターゲットである受験を控えた17歳、18歳の女性にどう響くのかは分かりません。</p> <p> </p> <p>先日、こんなことがありました。<br /> とある経営者向けのパーティーに参加したときのことです。<br /> ある会社の社長さんと名刺交換させていただき、私の事業構想をお話ししました。<br /> 将来的にやりたいプロジェクト、そのプロジェクトの価値、社会に与えるであろう<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%F3%A5%D1%A5%AF">インパク</a>ト。<br /> 一通り話し終えたところでその社長さんがぼそっとひとこと。<br /> <br /> <strong><em>「きみ、ずいぶん野心的だねぇ」</em></strong><br /> <br /> ここでどきっとしました。<br /> 「野心」という言葉に対してあまりよくないイメージをもっていたためでしょう。<br /> 「野心」というと「人を蹴落としてまで自分の手に入れたいものを手に入れる、欲の皮の突っ張ったような人物」というイメージです。<br /> このイメージが、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%B5%FE%B7%D0%BA%D1%C2%E7%B3%D8">東京経済大学</a>の広告コピーに対する違和感の源にもなったのでしょう。</p> <p> </p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%E7%BC%AD%CE%D3">大辞林</a>の「野心」の項には次のようにあります。</p> <blockquote><em>1.現状よりもさらに高い権力・名誉・財力などを得ようとする心。ひそかにいだいている分をこえた望み。</em><br /><em> 2.(野の獣が人になれないように)なれ服さないで,害そうとする心。謀反の心。 「此の謀いかなる-の者が京都へ告げたりけん/<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%C0%CA%BF%B5%AD">太平記</a> 17」</em></blockquote> <p><br /> 大辞泉では次のようにありました。</p> <blockquote><em>1.ひそかに抱く、大きな望み。また、身分不相応のよくない望み。野望。「政治家になりたいという―に燃える」「政権奪取の―をもつ」</em><br /><em> 2.新しいことに取り組もうとする気持ち。「―作」</em><br /><em> 3.野生の動物が人に馴れずに歯向かうように、人に馴れ服さず害を及ぼそうとする心。「但し―改め難くして、情(こころ)に猶予を懐けり」〈三教指帰・下〉</em></blockquote> <p> </p> <p>一般的にイメージされている「野心」は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%E7%BC%AD%CE%D3">大辞林</a>の1、大辞泉の1のイメージでしょう。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%E7%BC%AD%CE%D3">大辞林</a>の2、大辞泉の3は私のイメージだと「野性」の方がよりぴったりきます。<br /> <br /> 私がw'ANDの事業でやろうとしていることは大辞泉の2、「新しいことに取り組む」ということです。<br /> それを私自身の言葉でいうと「チャレンジ」「挑戦」であり、もともともっていた「野心」のイメージとはことなります。<br /> それは<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%B5%FE%B7%D0%BA%D1%C2%E7%B3%D8">東京経済大学</a>の広告のような「夢」でもありません。<br /> 私は自分の事業を徹底的に現実的に考えているからです。<br /> <span style="font-size: 90%;">※ここで今度は「夢」の定義やイメージの違いが関わってくるのですが、その話はここではやめておきましょう。</span><br /> <br /> 先日の社長さんはどのような意味を込めて「野心」といったのでしょうか。</p> wand-i 五感を研ぎ澄ましてビジネスに取り組むべき理由 hatenablog://entry/6435988827675946834 2013-03-16T07:23:52+09:00 2013-03-16T07:23:52+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 本田宗一郎さんのこんなエピソードを聞いたことがあります。 レース場でマシンの性能チェックをしていたときのこと。本田宗一郎さんは路面に腹這いになって表面を観察し、触って感触を確かめ、路面を伝わってくるマシンの音を聴いたそうです。五感のすべてを使ってレース場とマシンの状態をチェックしていたのです。 技術者としても優秀だった本田宗一郎さんらしいエピソードです。 Full Speed Ahead... / jdanvers 技術を磨くには、すべての感覚を総動員する必要がある、と考えています。 和食が良い例でしょう。 和食は味の良さはもちろんです… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CB%DC%C5%C4%BD%A1%B0%EC%CF%BA">本田宗一郎</a>さんのこんなエピソードを聞いたことがあります。<br /> <br /> <em>レース場でマシンの性能チェックをしていたときのこと。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CB%DC%C5%C4%BD%A1%B0%EC%CF%BA">本田宗一郎</a>さんは路面に腹這いになって表面を観察し、触って感触を確かめ、路面を伝わってくるマシンの音を聴いたそうです。五感のすべてを使ってレース場とマシンの状態をチェックしていたのです。</em><br /> <br /> 技術者としても優秀だった<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CB%DC%C5%C4%BD%A1%B0%EC%CF%BA">本田宗一郎</a>さんらしいエピソードです。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/jdanvers/4943429716/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(230px 550px 380px 0px); margin: -230px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm5.static.flickr.com/4074/4943429716_d0cd377a46_z.jpg?zz=1" alt="Full Speed Ahead..." /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Full Speed Ahead... / jdanvers</span></div> <p> </p> <p>技術を磨くには、すべての感覚を総動員する必要がある、と考えています。</p> <p><br /> 和食が良い例でしょう。<br /> 和食は味の良さはもちろんですが、見た目の美しさも重視されます。それをいただく部屋の雰囲気、空気、音、そうしたものがすべて一体となって、和食というものが演出されます。<span style="line-height: 1.5;">本当に素晴らしい和食とは、食事だけでなく、その他の要素も組み合わされて初めて完成するのです。</span><span style="line-height: 1.5;">そのためには、味覚だけでなく、視覚、触覚、嗅覚、聴覚、すべての感覚を動員する必要があるのです。</span></p> <p> </p> <p>私はかつて印刷会社に勤めていました。<br /> そのときのベテラン社員さんのなかに、こんな方がいらっしゃいました。<br /> 親指と人差し指で挟むだけで紙の厚さが分かる、ちょっとなめればそれがどの紙なのか分かる、という方です。長年紙を扱ってきたために、それぞれの紙の微妙な違いに精通していった結果でした。</p> <p> </p> <p>私自身は絵描きですから、視覚は鋭い方だと思います。<br /> それに加え、触覚が発達したと思っています。<br /> ペンや絵筆をもって絵を描くため、筆圧の細かな違い、紙の手触り、曲線の動き、そうしたものに対する感覚が発達したのだろうと考えています。<br /> 今後は空間や雰囲気に対する感覚をもっと鋭敏にしたいと考えています。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/c2mtl/7250373868/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(87px 550px 237px 0px); margin: -87px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm9.static.flickr.com/8166/7250373868_8fa985197c_z.jpg?zz=1" alt="Have you met with your Concierge Extraordinaire? 05-22-2012 © Karel Chladek - C2-MTL" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Have you met with your Concierge Extraordinaire? 05-22-2012 © Karel Chladek - C2-MTL / C2-MTL</span></div> <p> </p> <p>こうした「感覚」はビジネスの現場でも重要と考えます。</p> <p> </p> <p>巷には様々なビジネス本があふれています。<br /> 「成功する接客」だったり「売上げがあがるホームページ作り」だったり「儲かるデザイン」だったり。<br /> もちろん、こうした本は基礎知識として知っておいて損はないでしょう。<br /> しかし、これらの知識はあくまで一般論でしかありません。<br /> <br /> 実際の現場で接客してみると、本には書いていない事態が多々発生するでしょう。<br /> 本に書いてある通りにやっているのになかなか売れない、お客様を怒らせてしまった、クレーム問題にまで発展してしまった・・・<br /> なぜこうした事態になってしまうのでしょうか?<br /> 個々のケースには一般論では語りきれない様々な個別の事情があるからです。<br /> <br /> それを敏感に察知するのは、知識や理屈ではなく、五感です。</p> <p> </p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CB%DC%C5%C4%BD%A1%B0%EC%CF%BA">本田宗一郎</a>さんがなぜ路面に腹這いになってまで状態をチェックしたのか。<br /> それはレース場によって、その日の天気や温度によって、状態が変わるからです。<br /> その違いを察知できなければ、「この場所、このとき」に最適な状態にマシンをチューニングすることができません。<br /> だからこそ、五感を総動員する必要があるのです。</p> <p> </p> <p>これは接客でお客様に対応する場合でも同じです。<br /> お客様には様々な方がいらっしゃいます。<br /> 本に書いてあるような型通りの方ばかりではありません。<br /> それを敏感に見分けるためにも、五感を研ぎすます必要があるのです。</p> <p> </p> <p>みなさんは知識を詰め込みすぎて頭でっかちになっていませんか?<br /> 知識も大事ですが、それと同時にもっと、五感も研ぎすませていきましょう。<br /> ビジネスのやり方がきっと変わっていくはずです。</p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/14/074826">スヌーズレンとアートが拓く可能性</a>(2013年3月14日)<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/25/092222">日常におけるアートの役割と効果</a>(2013年2月25日)<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/19/094812">「成功法則」があなたの役には立たない本当の理由</a>(2013年2月19日)</blockquote> wand-i ブレーキは安心してアクセルを踏み込むためにある hatenablog://entry/6435988827675921408 2013-03-15T07:35:26+09:00 2013-03-15T07:35:26+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 先日、ファーストヴィレッジ株式会社さんが主催する経営者向けセミナーに参加してきました。ファーストヴィレッジさんの社長である市村洋文さんを含め、4社の代表の方が講演をされました。 市村社長は学生時代、学生向けスキーツアーを企画、4年間で60億の売上げをあげる、という学生起業家のはしりでした。大学卒業後は野村証券で預かり資産を20億から2000億まで増やすなど、敏腕を振るわれました。その手腕を見込まれ、厳しい経営状態が続いていたKOBE証券にスカウトされ、数年で上場を果たします。その後、KOBE証券を退職され、2007年にファーストヴィレッ… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>先日、<a href="http://www.firstvillage.co.jp/" target="_blank">ファーストヴィレッジ株式会社</a>さんが主催する経営者向けセミナーに参加してきました。<span style="line-height: 1.5;">ファーストヴィレッジさんの社長である</span><a style="line-height: 1.5;" href="http://ameblo.jp/firstvillage/" target="_blank">市村洋文</a><span style="line-height: 1.5;">さんを含め、4社の代表の方が講演をされました。</span></p> <p><span style="font-size: 70%;">市村社長は学生時代、学生向けスキーツアーを企画、4年間で60億の売上げをあげる、という学生起業家のはしりでした。大学卒業後は野村証券で預かり資産を20億から2000億まで増やすなど、敏腕を振るわれました。その手腕を見込まれ、厳しい経営状態が続いていたKOBE証券にスカウトされ、数年で上場を果たします。その後、KOBE証券を退職され、2007年にファーストヴィレッジを設立されました。</span></p> <p>市村社長の講演の中でとても印象的な言葉があったのでご紹介します。</p> <p> </p> <p><span style="font-size: 110%;"><strong><em>ブレーキは止まるためにあるのではない。「いつでも止まれる」という安心感をもってアクセルを思い切り踏み込むためにあるのだ。</em></strong></span></p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/takot/5815025857/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(128px 550px 278px 0px); margin: -128px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm3.static.flickr.com/2094/5815025857_710eed2952_z.jpg?zz=1" alt="IMGP1354" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">IMGP1354 / takot</span></div> <p> </p> <p>これは、<strong>“企業は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B3%A5%F3%A5%D7%A5%E9%A5%A4%A5%A2%A5%F3%A5%B9">コンプライアンス</a>(法令遵守)を徹底すべきである”</strong>という話の中で語られた言葉でした。<br /> <br /> 民間企業はその理念がどうあれ、利益をあげなければ存続できません。<br /> ですから、利益をあげるためにそれこそ<strong>「アクセル全開で」</strong>事業を推進していきたいところでしょう。<br /> だからといって、利益のためにはなにをしてもいいか、というとそうではありません。<br /> その歯止めとなるのが法律です。<br /> 企業として、あるいは人としてやってはいけない最低限のラインがある。<br /> それを、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B3%A5%F3%A5%D7%A5%E9%A5%A4%A5%A2%A5%F3%A5%B9">コンプライアンス</a>という形で守るのです。<br /> 逆にいえば、その歯止めがあるからこそ、アクセルをどこまで踏み込んで良いかも分かるのです。</p> <p> </p> <p>ただ、残念ながらその歯止めがきかなかった例も多々あります。<br /> たとえば2011年に発覚した<a href="http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/100618.html" target="_blank">オリンパスの不正会計事件</a>、2012年に<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C6%C3%CA%CC%C7%D8%C7%A4%BA%E1">特別背任罪</a>が確定した<a href="http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121010/trl12101011100001-n1.htm" target="_blank">大王製紙の前会長の職権乱用事件</a>などです。</p> <p> </p> <p>たしかにブレーキがあればいつでもとまれる、と思えるでしょう。<br /> けれども、そのブレーキがきかなかったり、あえてブレーキの存在を無視してしまったり、そうなってしまったら、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AA%A5%EA%A5%F3%A5%D1%A5%B9">オリンパス</a>や<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%E7%B2%A6%C0%BD%BB%E6">大王製紙</a>のような事件に発展してしまうのです。<br /> だからこそ、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B3%A5%F3%A5%D7%A5%E9%A5%A4%A5%A2%A5%F3%A5%B9">コンプライアンス</a>は大事にしなければなりません。</p> <p> </p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B3%A5%F3%A5%D7%A5%E9%A5%A4%A5%A2%A5%F3%A5%B9">コンプライアンス</a>もそうですが、仕事の仕方、とくに体調管理の面でもブレーキをきかせたいところです。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/spirouzi/6311465448/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(97px 550px 247px 0px); margin: -97px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm7.static.flickr.com/6032/6311465448_4299590bb4_z.jpg?zz=1" alt="Overwork" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Overwork / Sandy Pirouzi</span></div> <p> </p> <p>20代前半のころは深夜まで仕事をしていても、翌日早朝に出勤するくらいは平気でした。<br /> けれど、身体はどうやっても年齢と共に衰えてきます。<br /> かつて平気でできた徹夜仕事もできなくなってきています。<br /> 無理をすることは可能ですが、無理が続けば将来的に支障をきたすことになるでしょう。<br /> 長く仕事を続けたい、と思ったら極端な無理はしないようにする必要があります。<br /> そういう意味でも、体調管理のために自分にブレーキをかける必要があるのです。<br /> これは「ながく安心してアクセルを踏み続けるためのブレーキ」ですね。</p> <p> </p> <p><strong>ブレーキは止まるためにあるのではない。「いつでも止まれる」という安心感をもってアクセルを思い切り踏み込むためにあるのだ。</strong><br /> <br /> この言葉、角度を変えて捉え直すといろいろな発見があるかもしれません。</p> wand-i スヌーズレンとアートが拓く可能性 hatenablog://entry/6435988827675853090 2013-03-14T07:48:26+09:00 2013-03-14T07:48:26+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 “日常におけるアートの役割と効果”の中で、建築医療という学問分野をご紹介しました。クリニックの建築物、その外装や内装そのものが治療効果に影響を及ぼす、という考え方です。 これと似た考え方に“スヌーズレン”というものがあります。 playroom / surlygirl スヌーズレン (Snoezelen) とは、重度知的障害者を魅了する感覚刺激空間を用いて彼らにとって最適な余暇やリラクゼーション活動を提供する実践であり、またそのプロセスを通して構築されてきた理念でもある。 スヌーズレンという用語は、オランダ語で「クンクン匂いを嗅ぐ」、「… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p><a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/25/092222">“日常におけるアートの役割と効果”</a>の中で、<strong>建築医療</strong>という学問分野をご紹介しました。<span style="line-height: 1.5;">クリニックの建築物、その外装や内装そのものが治療効果に影響を及ぼす、という考え方です。</span><br /> これと似た考え方に<strong>“スヌーズレン”</strong>というものがあります。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/jm_photos/6768701247/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(167px 550px 317px 0px); margin: -167px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm8.static.flickr.com/7031/6768701247_8533f6f86d_z.jpg?zz=1" alt="playroom" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">playroom / surlygirl</span></div> <p> </p> <blockquote><em>スヌーズレン (Snoezelen) とは、重度<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C3%CE%C5%AA%BE%E3%B3%B2%BC%D4">知的障害者</a>を魅了する感覚刺激空間を用いて彼らにとって最適な余暇やリラクゼーション活動を提供する実践であり、またそのプロセスを通して構築されてきた理念でもある。</em><br /><em> スヌーズレンという用語は、オランダ語で「クンクン匂いを嗅ぐ」、「うとうとする」という用語を組み合わせた造語で、外界を探索することや心地よくまどろむ状態を示すものである。</em><br /><em> スヌーズレンの実践とは、障害を持つ人々(スヌーズレン利用者)にとって受け取りやすい感覚刺激に満たされた物理的環境、そして利用者と支援者が楽しみや安らぎを共有できる雰囲気のなかで、利用者が自分にとって意味のある活動に携わることである。</em><br /><em> この実践は、1970年代、オランダにて始まったが、現在ではヨーロッパを中心に全世界へ広がってきており、日本においても重症心身障害児・者施設や知的障害児・者施設を中心に試みられつつある。</em><br /> <span style="font-size: 90%;">(<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Wikipedia">Wikipedia</a><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%AC%E3%83%B3" target="_blank">「スヌーズレン」</a>より)</span></blockquote> <p> </p> <p>“建築医療”と“スヌーズレン”はまったく同じ概念ではありません。<br /> 建築医療では建築物そのものが治療効果に影響を及ぼす、と考えますが、スヌーズレンでは感覚刺激に満たされた物理的環境や雰囲気を用意してリラクゼーション効果をもたらす、と考えます。建築医療が建築物内での活動を想定しているのに対し、スヌーズレンは必ずしも屋内での活動に限定されません(スヌーズレン効果のある部屋を<strong>スヌーズレン・ルーム</strong>と呼ぶようです)。</p> <p> </p> <p>スヌーズレンの実践に取り組んでおられる、<a href="http://www.atsushi.info/index.html" target="_blank">姫路獨協大学の教授、太田篤志先生</a>という方がいらっしゃいます。<br /> <a href="http://www.atsushi.info/snoezelen.html" target="_blank">こちらのページ</a>にスヌーズレン・ルームの例が写真で掲載されています。<br /> こちらをみると、さまざまな色の光が飛び交い、鏡が置かれ、不思議な形状のおもちゃが置かれています。<br /> それらがもたらす感覚的な刺激が、こころと身体を楽しませ、「緊張がほぐれる」「穏やかになる」「積極的になる」といった療法的効果も報告されているそうです。<br /> しかし、日本ではこうした効果が十分に浸透しているとは言えない状況なのだそうです。</p> <p> </p> <p><strong>「新しい感覚的刺激」</strong>を創り出すことは、アーティストがもっとも得意とするところと考えています。<br /> 色、光、形、素材、造形の組み合わせ・・・アーティストの中には、こうした実験的な取り組みをおこなっている方も多いでしょう。<br /> ですから、このスヌーズレンの話を聞いたとき、アートとの親和性の良さを感じたのです。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/vandenbussche_wim/2541905328/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(224px 550px 374px 0px); margin: -224px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm3.static.flickr.com/2395/2541905328_ef997169f1_z.jpg?zz=1" alt="dark candle" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">dark candle / Wim Vandenbussche</span></div> <p> </p> <p>宮城県<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%E7%BA%EA%BB%D4">大崎市</a>に<a href="http://www.kankaku.org/" target="_blank">“感覚ミュージアム”</a>という施設があります。<br /> 私自身、2度ほど行ったことがあるのですが、一般的な美術館や博物館と違い、展示されている作品を「見る」「聞く」「触る」「嗅ぐ」ことを通して体験していく形式をとっています。視覚だけでなく、聴覚・触覚・嗅覚を通して、様々な感覚を楽しんでいくことを目的としているのです。<br /> スヌーズレンのように療法的効果を狙ったものではありませんが、その根底には同じ思想があるように感じます。<br /> 類似の体験ができる場所として、<a href="http://www.dialoginthedark.com/" target="_blank">“ダイアログ・イン・ザ・ダーク”</a>というものがあります。<br /> これは完全な暗闇の中で、「暗闇のエキスパート」である全盲の方のナビゲーションの元、聴覚・触覚・嗅覚・味覚を最大限に活用して施設の中を進んでいく、というものです。<br /> 私も一度体験したことがありますが、視覚以外の感覚も想像以上に働いているのだな、ということを改めて実感してきました。</p> <p> </p> <p>このように、アートにはまだまだたくさんの可能性があると、私は信じています。<br /> ギャラリーや美術館におさまっているだけがアートではありません。<br /> それはもっと、人の感覚の可能性を拓いていくものだと、私は思うのです。</p> <p> </p> <blockquote>関連記事:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/25/092222">日常におけるアートの役割と効果</a>(2013年2月25日)</li> </ul> </blockquote> <blockquote>参考リンク:<br /> <ul> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%AC%E3%83%B3" target="_blank">Wikipedia「スヌーズレン」</a></li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://snoezelen.jp/index.html" target="_blank">日本スヌーズレン協会</a></li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://www.atsushi.info/index.html" target="_blank">太田篤志研究室</a></li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://www.kankaku.org/index.htm" target="_blank">感覚ミュージアム</a></li> <li><a style="line-height: 1.7;" href="http://www.dialoginthedark.com/" target="_blank">ダイアログ・イン・ザ・ダーク</a></li> </ul> </blockquote> wand-i リスクをとる〜安いものには理由がある〜 hatenablog://entry/6435988827675843583 2013-03-13T07:21:34+09:00 2013-03-13T07:21:34+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 昨年に初めてお会いしてからなにかとご縁のあるego factoryの阿部さんと打ち合わせをしてきました。 阿部さんは「a・priori」(アプリオリ)というフリーペーパーを発行しておられます。 フリーペーパーといっても、駅やお店のラックに設置されているようなものではありません。紙面にアーティストの手によるビジュアルアート作品を使った、「写真集」「作品集」に近いものです。一見すると市販の雑誌のようですが、あくまでもフリーペーパーです。 ※各所美術館やギャラリーなどに設置されておりますが、すぐになくなってしまうそうです。 この阿部さんが、「… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>昨年に初めてお会いしてからなにかとご縁のある<a href="http://www.egofactory.jp/" target="_blank">ego factory</a>の阿部さんと打ち合わせをしてきました。</p> <p> </p> <p>阿部さんは「a・priori」(<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%D7%A5%EA%A5%AA%A5%EA">アプリオリ</a>)というフリーペーパーを発行しておられます。<br /> フリーペーパーといっても、駅やお店のラックに設置されているようなものではありません。紙面にアーティストの手によるビジュアルアート作品を使った、「写真集」「作品集」に近いものです。一見すると市販の雑誌のようですが、あくまでもフリーペーパーです。<br /> ※各所美術館やギャラリーなどに設置されておりますが、すぐになくなってしまうそうです。</p> <p> </p> <p>この阿部さんが、「a・priori」の次の展開として、今年の春に<a href="http://www.egofactory.jp/aprioriweb/" target="_blank">「aprioriWEB」</a>を発足させます。<br /> 阿部さんをバックアップしておられる<a href="http://www.facebook.com/gallerychord" target="_blank">Gallery Chord</a>さんとの顔合わせも兼ね、いろいろとお話をうかがってきたのでした。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/seeminglee/3988318885/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(75px 550px 225px 0px); margin: -75px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm3.static.flickr.com/2451/3988318885_f7c5084067_z.jpg?zz=1" alt="Artist in Action / Dumbo Arts Center: Art Under the Bridge Festival 2009 / 20090926.10D.54904.P1.L1.BW / SML" /></a>Artist in Action / Dumbo Arts Center: Art Under the Bridge Festival 2009 / 20090926.10D.54904.P1.L1.BW / SML / See-ming Lee 李思明 SML</div> <p> </p> <p><strong>「アートをビジネスとしてきちんと成立させる」</strong>というのが私の理念です。<br /> その考え方は阿部さん、Gallery Chordさんとも共通していました。<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/01/080435" target="_blank">“絵描きにもビジネス感覚が必要な理由”</a>にも書いたように、良い絵を描いたからといって、それだけではお金にはなりません。</p> <p><br /> 今現在の社会の仕組みでは、お金は何かしらの活動を継続していくのに必要なものです。だから、絵を続けていきたいと考えるならば、そこからいかにお金を得るか、ということもきちんと考える必要があるのです。<br /> ※もちろん、お金の必然性に関しては様々な意見があろうかと思いますが、“現段階では”お金がもっとも効率的な手段だと、私は考えています。</p> <p> </p> <p><a href="http://www.egofactory.jp/app/download/4894222873/aprioriWEB%E7%AC%AC%E4%B8%80%E6%9C%9F%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%88%E5%8B%9F%E9%9B%86%E8%A6%81%E9%A0%85201302.pdf?t=1362132944" target="_blank">【aprioriWEB募集要項】</a>をご覧いただくとお分かりかと思いますが、この活動に参加するには年会費が必要になります。<br /> お金がかかる、ということで躊躇される方も多いでしょう。<br /> けれど、私はそれで良いと思うのです。</p> <p> </p> <p>イラストなどを無料で登録できるサイトがだいぶ増えてきました。<br /> 見ると、膨大な人数が登録されています。<br /> 無料で誰でも登録できる、という敷居の低さがうけたようです。</p> <p> </p> <p>ところが、その実態をよくみてみると、極少数の優秀なイラストレーターさんとその他大勢、というように二極化しているようです。<br /> 売れる方はますます目立ち、そうでない方はどんどん埋もれていく、という流れが出来上がっています。<br /> こうした無料登録サイトで実際にビジネスになっている方はほんのわずかでしょう。<br /> ビジネスを求めていない方にとってはそれで十分なのでしょうが、こうしたサイトをビジネスに結びつけようと思うととても難しいと思います。</p> <p> </p> <p>対して、aprioriWEBでは登録費用がかかります。<br /> それはリスクをとることと同じです。<br /> 登録費用が確実に回収できるとは限らない、というリスクです。<br /> けれども、登録費用はaprioriの営業活動などに使われるため、費用回収の確率は格段に高まります。<br /> 無料登録サイトは場を提供するだけですから、費用を負担するというリスクはありませんが、ビジネスにつながる確率は大幅に低下します。</p> <p> </p> <p>無料であることにも、有料であることにも、それぞれ理由があるのです。<br />安ければいいというものでもないし、高ければいいというものでもない。<br />お金を払うことによって得られる効果が自分にとって価値あるものなのかどうか、を判断する目が必要になるのです。</p> <p>※<a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/20/094033">“顧客におびえる日本人〜お客様は神様じゃない〜”</a>に書いた<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/LCC">LCC</a>の例が分かりやすいでしょう。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/LCC">LCC</a>は格安で飛行機を利用できるサービスですが、オペレーション効率化のため、欠航や遅延のリスクが通常の航空会社よりも格段に高くなっています。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/sercasey/324341982/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(127px 550px 277px 0px); margin: -127px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm1.static.flickr.com/131/324341982_86b0df363d_z.jpg?zz=1" alt="Taking a test at the Real Estate Investing College" /></a>Taking a test at the Real Estate Investing College / Casey Serin</div> <p> </p> <p>ビジネスの基本は<strong>「投資と回収」</strong>と私は考えています。<br /> 小売店がその典型です。<br /> 商品を仕入れ(=投資)、付加価値をつけて販売する(=回収)という流れにのせることで収益を上げていきます。<br /> 仕入れ、つまり投資をしなければ、そもそも利益を得ることはできません。</p> <p> </p> <p>リスクをとる、ということはビジネスに対して本気で取り組む姿勢がある、ということです。利益だけを求めてリスクを負わなければ、結局のところ、利益を得ることはできないでしょう。</p> <p><a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/07/074038">“与沢翼氏と絵描きとしての矜持”</a>で書いたように、与沢氏は短期間で利益をあげるため、はじめに5,000万円の損失を被るリスクを負っています。与沢氏には勝算があったのでしょうが、一般の人にとっては5,000万円の損失を被るリスクはなかなか負えません。</p> <p>※もちろんリスクをとるにしても、なるべくリスクを小さくしたいものです。そのために様々なリスク回避の手法が考え出されていますが、それはまた別の話。 </p> <p> </p> <p>現代の資本主義の仕組みには様々な議論がありますが、少なくとも現段階では、利益を得るにはそれに見合ったリスクを負う必要があるのです。</p> wand-i 長財布とお金のキモチ(あるいは付喪神) hatenablog://entry/13425511277527258684 2013-03-12T07:13:40+09:00 2013-03-12T07:26:34+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 先日、長財布を買いました。 革製で、深い緑のものです。 もともと、事業用に通帳が入るものを、と探していたのですが、なかなか「これ!」というものに出会えませんでした。 法事で新宿に出ることになったため、帰りに高島屋にふらっと寄りました。 特に何かを買う目的ではなく、どんなものがどこにあるのか、を見にいくためでした。 そこで目についたのがこの財布です。 FUJITAKA FLAX LEATHER (フラックスレザー) フェロー型長財布 大きな出費のようにも感じてしまい、なかなか踏ん切りがつかずにいたのですが、えいやっ、と買うことにしました。… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>先日、長財布を買いました。<br /> 革製で、深い緑のものです。<br /> もともと、事業用に通帳が入るものを、と探していたのですが、なかなか<strong>「これ!」</strong>というものに出会えませんでした。</p> <p> </p> <p>法事で新宿に出ることになったため、帰りに高島屋にふらっと寄りました。<br /> 特に何かを買う目的ではなく、どんなものがどこにあるのか、を見にいくためでした。</p> <p> </p> <p>そこで目についたのがこの財布です。</p> <ul> <li><strong><a style="line-height: 1.5;" href="http://fujitaka-japan.com/product/accessories/flax-leather-accessories/4055/" target="_blank">FUJITAKA FLAX LEATHER (フラックスレザー) フェロー型長財布</a></strong></li> </ul> <p>大きな出費のようにも感じてしまい、なかなか踏ん切りがつかずにいたのですが、えいやっ、と買うことにしました。</p> <p> </p> <p>これまで長財布をもったことがありませんでした。<br /> 大きいのでかさばる、という思い込みがあったからだと思っています。<br /> が、実際に使ってみるとむしろ二つ折り財布の方が、厚みが出る分かさばることに気づきました。</p> <p> </p> <p>この財布を使い始めてようやく10日ですが、すっかり気に入りました。</p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/68751915@N05/6355351769/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(80px 550px 230px 0px); margin: -80px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm7.static.flickr.com/6040/6355351769_766503f534_z.jpg?zz=1" alt="Money" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Money / 401(K) 2013</span></div> <p>さて、この財布にお金を入れてみて、ふと気づいたことがあります。<br /> なんとも奇妙な感覚なのですが、<strong>「お金が気持ち良さそうにしている」</strong>と感じたのです。<br /> お札が折り曲げられずにいると、不思議なことに、お金がのびのびとしているように見えるのです。</p> <p> </p> <blockquote><em>お金持ちは、例外なく長財布を使っている。なぜなら、お金持ちはお金をもてなしたいというマインドを持っているからだ。お金をもてなすには、お金が居心地のいい空間を提供しなくてはならない。それには、お金が思い切り手足を伸ばせる長財布が最適なのだ。お財布は、お金のホテル。ホテルの居心地がよければ、お金は仲間を連れてリピートしてくれる。</em><br /> <span style="font-size: 90%;">(参考:<a href="http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130204-00008500-president-nb" target="_blank">「年収は、なぜ「使う財布の値段」の200倍になるか?」</a>2013年2月4日)</span></blockquote> <p><br /> 以前ご紹介した記事のなかに、こんな記述がありました。<br /> 「お金が思い切り手足を伸ばせる」なんて馬鹿げたことを、とこの記事を読んだときは思ったものでした。<br /> ところが、いざ長財布を使ってみると、たしかに財布の中でお金がのびのびしているように思えたのです。</p> <p> </p> <p>この感覚が意味するところはなんだろうか、と考えています。<br /> もしかしたら単純に「お札が折り曲げられずに伸びている=のびのびしている」という連想かもしれません。<br /> あるいは、折り目のついていないお札がきれいに見える気持ちよさかもしれません。</p> <p> </p> <p>日本の民間信仰に<strong>“<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C9%D5%C1%D3%BF%C0">付喪神</a>”</strong>という考え方があります。<br />長い年月を経て古くなった物や長生きした動物には特別な神や霊魂が宿る、という考え方です。<br />私個人としては<strong>「お金というものは価値交換のための道具」</strong>、あくまで紙幣や硬貨という物質としてみています。しかし、私の手に届くまでにたくさんの人の手を経てやってくる、ということを考えると、その過程で様々な思いが宿ってもそれほどおかしな話でもないように思います。<br />もしかしたら、お金もある種、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C9%D5%C1%D3%BF%C0">付喪神</a>のようなものになっている、なんてこともあるのかもしれませんね。</p> <p> </p> <p>いろんな考え方があると思いますが、自分自身としては、「本来、感情や感覚をもたない物質がなにかを感じているように思える」という感覚は、自分がその物質に対して抱いている感情・感覚の投影と考えます。</p> <p>だから、「お金が気持ちいいと感じている」と感じたのは、もしかしたらお金に対する自分のネガティブなイメージがだいぶなくなってきた、ととらえることもできるかもしれません。</p> wand-i 【震災関連】世界がひっくり返った日〜東日本大震災回想〜 hatenablog://entry/13425511277527182100 2013-03-11T06:59:54+09:00 2013-03-12T08:30:16+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 今回は東日本大震災当日に起こったことを記します。なかにはあの日のことを思い出すのも辛い方もいらっしゃるでしょう。もし辛いと感じられたら、どうぞこのウィンドウを閉じてください。 こうしてあの日のことを書き記すのは、私自身のリハビリでもあります。地震から1年半近く、自分が軽いPTSDになっていることに無自覚でした。小さな地震でも身体が硬直したり、心臓が飛び上がったり。そうした反応が「怖い」という感情と「理不尽だ」という思いに原因があることが、地震から1年半以上経ったある日、カウンセリングのセッションで気づいたのです。そのときに、記憶の欠落が… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>今回は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%C6%FC%CB%DC%C2%E7%BF%CC%BA%D2">東日本大震災</a>当日に起こったことを記します。<br />なかにはあの日のことを思い出すのも辛い方もいらっしゃるでしょう。<br />もし辛いと感じられたら、どうぞこのウィンドウを閉じてください。</p> <p> </p> <p>こうしてあの日のことを書き記すのは、私自身のリハビリでもあります。<br />地震から1年半近く、自分が軽い<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/PTSD">PTSD</a>になっていることに無自覚でした。<br />小さな地震でも身体が硬直したり、心臓が飛び上がったり。<br />そうした反応が「怖い」という感情と「理不尽だ」という思いに原因があることが、地震から1年半以上経ったある日、カウンセリングのセッションで気づいたのです。<br />そのときに、記憶の欠落があることにも気づきました。</p> <p> </p> <p>あの日の出来事を思い出すこと、それをあらためて受け止め直すことが、この先に進んでいくための最良の方法であると思っています。</p> <p> </p> <p>津波被害に遭われた方ほどの苛烈な経験ではないかもしれません。<br />が、これは直接、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%C6%FC%CB%DC%C2%E7%BF%CC%BA%D2">東日本大震災</a>を体験した<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%B4%D6%A4%CE%B5%AD%CF%BF">人間の記録</a>です。<br />もしかしたらなにか、お役にたつこともあるかもしれません。</p> <p> </p> <h2>序</h2> <p>いまからちょうど2年前、14時46分に<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%C6%FC%CB%DC%C2%E7%BF%CC%BA%D2">東日本大震災</a>が発生しました。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%DE%A5%B0%A5%CB%A5%C1%A5%E5%A1%BC%A5%C9">マグニチュード</a>9.0というかつてない規模の地震。<br /> 広い範囲で強い揺れが観測されたとともに、過去最大級の津波が東北地方沿岸部を襲いました。<br /> その影響で<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CA%A1%C5%E7%C2%E8%B0%EC%B8%B6%C8%AF">福島第一原発</a>が爆発、放射性物質の飛散という事態にまで発展しました。<br /> そのとき、私は仙台に住んでおり、この地震を直接体験しました。</p> <p> </p> <p>地震からおよそ3ヶ月後の6月末に、私は仙台から東京に引っ越しました。<br /> こちらにいると、地震があったことがうそのようです。<br /> もしかしたら、多くの人が「地震は過去のこと」と思っているのかもしれません。<br /> けれど、現実的には被災地の復興活動は進んでおらず、処理しきれないがれきが山積みになり、家の建て替えも進まず<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B2%BE%C0%DF%BD%BB%C2%F0">仮設住宅</a>暮らしの方も多いようです。</p> <p> </p> <p>この未曾有の地震でさえ、おそらくいつかは忘れられていくでしょう。<br /> それでも、この地震を体験した者として、なにか残しておけるものはあると思うのです。<br /> ですから、私自身の体験を、ここに残しておきたいと思います。</p> <p> </p> <h2>2011.03.11 日常の始まり</h2> <p>2011年の3月11日は金曜日でした。<br /> 週末を利用して東京にいく予定で、着替えやら何やらを入れたスーツケースをもって職場にいきました。<br /> 混み合ったバスにスーツケースを持ち込むのはなんだか申し訳ない気持ちもありましたが。<br /> バスは<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%C4%CD%D5%BB%B3">青葉山</a>にある<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%CB%CC%C2%E7%B3%D8">東北大学</a>の工学部キャンパスに向かいます。<br /> 職場に着いたのは7時40分。<br /> いつもと変わらない一日の始まり、のはずでした。</p> <p> </p> <p>メールをチェックすると、共同研究をやっている企業の方からいくつかメールがありました。<br /> 3月9日にあった地震を心配してのことです。<br /> 3月9日の地震は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%DE%A5%B0%A5%CB%A5%C1%A5%E5%A1%BC%A5%C9">マグニチュード</a>7.3、最大<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CC%C5%D95%BC%E5">震度5弱</a>の大きな地震でした。<br /> 幸い、この地震で大きな被害はなく、いただいたメールに感謝の旨、返信したのでした。</p> <p> </p> <p>普段は会議が詰まっていることが多かったのですが、この日はとりたてて会議もありませんでした。<br /> さほど作業も忙しくなく、定時になったらさっさと新幹線にのってそのまま東京に行くつもりでした。</p> <p> </p> <h2>2011.03.11 14時46分</h2> <p>ゆらゆらと揺れが始まりました。<br /> なんとなく嫌な感じの揺れでしたが、3月9日にも地震があったため、また同じようにおさまるだろうと椅子に座っていました。<br /> しかし、揺れはなかなかおさまりません。むしろ、大きくなっていくように感じます。<br /> なにかおかしいな、と思った瞬間、強烈な横揺れがやってきました。<br /> 椅子に座っていられないほどの強い揺れ。デスクに手をかけて支えようにも、デスク自体が動いてしまうので支えにもなりません。<br /> <br /> 「机の下に潜ってください!」<br /> <br /> 職場の誰かが叫びました。もう立っていられないほどの揺れです。<br /> なんとかデスクの下に潜り込むと、パソコンやディスプレイが落ちる音があちこちから聞こえてきました。<br /> 重たい<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%EC%A1%BC%A5%B6%A1%BC%A5%D7%A5%EA%A5%F3%A5%BF%A1%BC">レーザープリンター</a>が目の前に転がってきたのもこのときです。<br /> あのまま椅子に座っていたら直撃したであろう場所に転がってきました。<br /> デスクに潜っていなかったらけがをしていただろうと思うと、いまでもぞっとします。</p> <p> </p> <p>揺れは2度、やってきました。<br /> 1度めの揺れがおさまってデスクからはい出し、避難しようとしたときです。<br /> 1度めほどの強さではありませんでしたが、なかなか揺れがおさまらないことに強い不安を感じた人も多かったでしょう。<br /> 職場のところどころから、すすり泣きのような声が聞こえました。</p> <p> </p> <p>大きな揺れは賞味1分〜2分くらいだったと記憶しています。<br /> 数字にしてしまうと短い時間ですが、実際にその揺れのなかにいると、とても長い時間のように感じました。</p> <p> </p> <p>デスクからはい出してみると部屋の中はめちゃくちゃになっていました。<br /> パソコンやディスプレイは倒れてあちこちに散乱。デスクの配置もぐちゃぐちゃに。<br /> 幸い、当時の仕事部屋には本棚がなかったため、大型の本の落下などはありませんでした。<br /> 2つあった冷蔵庫が倒れていたようにも思いますが、記憶が定かではありません。</p> <p> </p> <p>「みなさん、とりあえず避難しましょう」<br /> そう言ったのは当時の准教さんです。普段からマイペースな方でしたが、ここでもそのマイペースっぷりが発揮されていました。<br /> この惨状を目の前にして呆然としながらも、とにかく避難しなければなりません。<br /> ここで自分の携帯電話がどこかにいってしまっていることに気づきました。<br /> そこで恐怖感が押し寄せてきました。この大災害にあって、連絡手段が絶たれてしまうのは致命的と感じたのです。<br /> その恐怖心に一瞬パニックになりかけました。が、件の准教さんに声をかけてもらい、ひとまず避難することになったのです。</p> <p> </p> <h2>2011.03.11 緊急避難</h2> <p>いつもやっている避難訓練通り、支給されているヘルメットをかぶり、非常階段を通って外にでました。<br /> 外ではすでに建物から避難してきた人たちが多数集まり点呼をとっている最中でした。<br /> その間にも余震は続いています。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%EF%A5%F3%A5%BB%A5%B0%CA%FC%C1%F7">ワンセグ放送</a>でニュースをチェックしている人に画面をのぞかせてもらいました。<br /> どうやら“とんでもない出来事”が起こったようです。けれど、その全容はその場でははっきりしないままでした。<br /> わかったのは「これまでにない巨大な地震が起こった」ということだけ。</p> <p> </p> <p>点呼が終わり、一通りの安全確認ができたところで帰宅の指示がでました。<br /> なんにせよこのままいても仕事にはならないし、なにより危ないからです。<br /> それに、土日が明ければまたもとどおりになっているだろう、と楽観的に考えていたのもありました。<br /> いったん仕事場に戻ってスーツケースを持ち出しました。紛失したと思っていた携帯電話は落ちた紙の資料に紛れていました。これで連絡手段も確保できます。<br />そしてそのまま仙台駅に向かうつもりでした。</p> <p> </p> <p>どうやらバスは動いていなさそうです。<br /> しかたなく徒歩で帰宅することに。<br /> 同じ方面の同僚と一緒に、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%C4%CD%D5%BB%B3">青葉山</a>をくだる道を歩き始めました。</p> <p> </p> <p>帰宅途上、研究棟のところどころから小さな爆発音が聞こえてきました。<br /> 何かが焦げるような臭い、火薬の臭いがかすかに漂ってきます。<br /> 揺れの影響で混ぜてはいけない薬品が混ざったり、大型の実験装置が壊れたりしたのでしょう。<br /> 大勢の人たちが不安げに歩いている中を、私も歩いていきました。</p> <p> </p> <p>キャンパス内の道のあちこちが盛り上がったり陥没したりしていまいた。<br /> 壁が崩れたり、フェンスがゆがんでいたりもしています。<br /> なかには傾いた研究棟もありました。<br /> 車はほとんど走っておらず、マスコミか自衛隊のものであろうヘリコプターが飛び交い始めていました。<br /> 不穏な空気は感じていました。<br /> けれど、やはり週明けにはまた元通りになっているだろう、という思いがこの段階では強かったと思います。<br /> 同僚と笑い話をしながら、家まで歩いていきました。</p> <p> </p> <h2>2011.03.11 帰宅</h2> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%C4%CD%D5%BB%B3">青葉山</a>をくだり、広瀬側を渡る大橋を通るころ、なにかがおかしいと感じ始めました。<br /> 歩いている人が非常に多いのです。道路いっぱいに人が歩いています。<br /> 工学部という性質上、危険な薬品や設備があるために避難指示が出たのだとばかり思っていたのですが、どうやらその程度で済む話ではなさそうです。<br /> 大橋の途中でたまたま友人に出くわしたので話を聞いたところ、どうやらとんでもないことになっているらしい、ということがおぼろげながらに実感されてきました。</p> <p> </p> <p>ちょうどそのとき、しめった雪が吹雪のように降り始めました。<br /> 目の前が見えなくなるくらいの強さです。<br /> 私はそこから家が近かったのでよかったのですが、同僚はそこからさらに歩かねばならず、大変な思いをしたことでしょう。</p> <p> </p> <p>当時住んでいたマンションにたどり着くと、大勢の人たちが外にでていました。<br /> マンションの壁面がところどころはがれおちて、コンクリートの破片がそこらじゅうに散らばっていました。<br /> エントランスに入るとエレベーターは停止中、ここで初めて停電していることに気づきます。<br /> しかたなしにスーツケースを抱えて10階にある自室まで階段で上りました。</p> <p> </p> <p>部屋に入るとひどい状態になっていました。<br /> 棚が倒れて部屋に通じる入り口が塞がれており、それを乗り越えるのに一苦労した記憶があります。<br /> 電気はすべて停止。水道も確認しましたが、水もでません。<br /> このままここにいても、また揺れがくるおそれがあるので、いったん外に出て、仙台駅の様子を見に行くことにしました。<br /> 本来ならばこのまま新幹線に乗って東京にいくつもりだったのです。<br /> それをどうしたらいいのか、判断する必要もありました。</p> <p> </p> <h2>2011.03.11 変わり果てた光景</h2> <p>仙台駅に向かう道はずいぶんと変わり果てていました。<br /> コンビニや飲食店はほとんどが閉店、普段ならば活気のある時間帯のはずが、人の気配すらありません。<br /> あちこちのビルから看板が落ち、ガラス窓が落ちているところもありました。<br /> いろいろなものが落下し散乱している道路は、まったく見慣れない変わり果てた姿で、ことの重大さがだんだんと見に染みてきました。</p> <p> </p> <p>その間にも余震は続いています。<br /> 歩いていても感じるくらいの余震が何度も何度も繰り返しやってきます。<br /> その度毎に心臓がどきどきと高鳴り、身体が緊張しました。</p> <p> </p> <p>駅へ向かう途中、アーケード街を通ることもできたのですが、天井が落下してくる危険性もあるために避けました。<br /> 地下道も同じ理由で避けて通りました。</p> <p> </p> <p>歩いておよそ30分、空が暗くなり始めたころに仙台駅に到着しました。<br /> 周辺には人だかりができています。<br /> スーツ姿の人も多数みかけたので、職場から避難してきた人たちが電車に乗って帰ろうとしていたのでしょう。<br /> なかにはおそらく、仙台に出張してきた人たちもあったはずです。<br /> にしても、なぜこんなに人が駅周辺にいるのかよく分かりませんでした。<br /> いずれにせよ、駅に入れば状況くらいはわかるだろう、と。</p> <p> </p> <p>しかし、仙台駅は封鎖されていました。<br /> 入り口の扉はすべて閉じられ、中に入ることができません。<br /> 電車をあてにしてきた人たちが移動手段をなくして、駅の周りにたまっていたのです。<br /> 在来線はすべて停止、新幹線も止まっています。<br /> 駅員さんに聞いたところ、新幹線の再開は1ヶ月ほど先ではないか、とのこと。<br /> <br /> 再開まで1ヶ月?<br /> <br /> 新幹線が1ヶ月も止まるなんて、現実味のない話に聞こえました。けれど、現実に新幹線が再開したのは1ヶ月後の4月でした。</p> <p> </p> <h2>2011.03.11 不穏な空気</h2> <p>仙台駅周辺はぴりぴりした空気に包まれていました。<br /> 地元の人たちだけでなく、たまたま出張で仙台にきていたひとたちもいます。<br /> 土地勘のないところでこんな大災害にあったのだから、不安も緊張も人一倍と思います。<br /> あちこちから怒鳴り声や喧嘩の声が聞こえてきました。<br /> 日が落ちて暗くなってきています。<br /> 停電のおかげで信号はとまり、街灯もほとんどついていません。<br /> このまま暗くなったら、何が起こるかわかりません。<br /> 少なくとも、自分の身の安全は確保する必要があります。<br /> とにかく今日はいったん引き上げて、この後のことは明日考えることにしました。</p> <p> </p> <p>実は、仙台駅から家に戻るまでの間の記憶が一部欠落しています。<br /> 暗い夜道を歩いて戻ったのは確かなのですが、どうしても思い出せないのが「どこで現金を確保したのか」というところ。<br /> おそらくこの状況ではクレジットカードは機能しない、とにかく現金を手に入れるべきだ、と判断したのは覚えています。が、停電でATMも止まっているはず、どうして現金を手にしたのか、覚えていないのです。<br />※銀行からおろしたのはたしかです。後日確認したところ、たしかに引き出した記録が残っていましたから。</p> <p> </p> <p>いずれにせよ、現金を確保した後、家に戻ります。<br /> 途中、最寄りの避難所(小学校の校舎でした)の様子を見に行ったのですが、続々人が集まってきており、とても入れる余地はなさそうでした。<br /> 部屋はめちゃくちゃになってしまったけれども、マンション自体が崩れているわけでもなし、危険なのはどこも同じだろうと判断し、部屋に戻って夜を明かすことにしました。</p> <p> </p> <h2>2011.03.11 一日の終わり</h2> <p>外はすっかり夜になっています。<br /> 停電のため、街には明かりがほとんどありません。<br /> ところどころ見える明かりは、非常用電源か自家発電装置のものでしょう。<br /> もしかしたらたき火の明かりかもしれません。<br /> こんなに暗い夜は山にキャンプにいったときくらいしか記憶にありません。<br /> それほどに、非現実的な光景でした。</p> <p> </p> <p>救助に向かうであろうヘリコプターの音があちこちから聞こえてきます。<br /> いつもは車の音が聞こえてくる外からは、ヘリの音以外聞こえてきません。<br /> 携帯電話であちらこちらに安否の連絡を入れながら、私の3月11日は終わっていったのでした。</p> wand-i 夢を語る hatenablog://entry/13425511277527146002 2013-03-10T07:01:08+09:00 2013-03-10T07:01:09+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 私の理想は「絵を描くことがビジネスとしてきちんと成り立つこと」です。 絵がビジネスとしてきちんと成り立つようになれば、日本のアート文化が発展すると考えるからです。 dream, interrupted / Robert Couse-Baker 友人の絵描きたちのなかには絵をうまく売ることができずにいるのが少なからずいます。 なかには資金繰りに苦しみ、絵を描くことをやめてしまった友人もいます。 たとえどんなに良い絵を描いていても、それがお金にならなければ生活に行き詰まり、絵をやめざるをえなくなってしまいます。 これは文化的な損失といわざる… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>私の理想は<strong>「絵を描くことがビジネスとしてきちんと成り立つこと」</strong>です。<br /> 絵がビジネスとしてきちんと成り立つようになれば、日本のアート文化が発展すると考えるからです。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/29233640@N07/3422170974/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(205px 550px 355px 0px); margin: -205px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm4.static.flickr.com/3558/3422170974_3ee16376e7_z.jpg?zz=1" alt="dream, interrupted" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">dream, interrupted / Robert Couse-Baker</span></div> <p> </p> <p>友人の絵描きたちのなかには絵をうまく売ることができずにいるのが少なからずいます。<br /> なかには資金繰りに苦しみ、絵を描くことをやめてしまった友人もいます。<br /> たとえどんなに良い絵を描いていても、それがお金にならなければ生活に行き詰まり、絵をやめざるをえなくなってしまいます。<br /> これは文化的な損失といわざるをえません。</p> <p> </p> <p><strong>「絵描きとしての成功」</strong>といわれたとき、どんな状態を思い浮かべるでしょうか。<br /> 一般的には、たくさんの賞を受賞し、有名になり、画集をたくさん出版し、お金をたくさん得る、というところだと思います。<br /> もちろん、それを目指して日々がんばることはとても良いことだと思います。<br /> が、本当に成功とはそれだけなのでしょうか。</p> <p> </p> <p>私自身は、まず絵描きが自分の生活を自分で成り立たせることから始めるべきだと思っています。<br /> 自分の生活基盤が安定すれば、少なくとも絵は続けていくことができる。<br /> 生活ができなくなってやめてしまう、という損失は防ぐことができるのです。</p> <p> </p> <p>2月後半から、なるべくたくさんの人に会ってお話しをするようにしています。<br /> それも企業の経営者の方など、ビジネスの世界に身をおいていらっしゃる方々です。<br /> そうした方々に、私の理想である「絵を描くことがビジネスとしてきちんと成り立つこと」をお話しさせていただいています。<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/01/080435">“絵描きにもビジネス感覚が必要な理由”</a>にも書いた通り、アートとビジネスはなかなか結びつけて考えられることがありません。<br /> けれど、「収益をあげて自分の生活基盤を安定させる」という観点からすると、ビジネスという視点で絵描きの活動を見る必要がどうしてもあるのです。<br /> ですから、ビジネスの現場にいる方々に、自分の思いを語る必要があるのです。<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/08/072011">語らなければ、その思いはないも同然</a>だからです。</p> <p> </p> <p>仙台にいたころ、とあるギャラリーのオーナーさんにとてもお世話になりました。<br /> その方の言葉がいまだに印象に残っています。</p> <p> </p> <p><em><strong>10の夢を語ってひとつでも実現すれば、そんなにいいことはないじゃないか。</strong></em><br /><em><strong> だって、夢を語るのはタダだもの。</strong></em></p> <p> </p> <p>このオーナーさんも、「絵描きが自らの生活基盤を自分で安定させること」をとても重要視していました。<br /> その思いが、w'ANDの事業を続けていくにあたって支えになっているようにも思います。</p> wand-i 豊かな色彩に満ちた世界 hatenablog://entry/13425511277527113888 2013-03-09T07:45:06+09:00 2013-03-09T07:45:06+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 私の絵の中から一枚、ご紹介します。 "Meet You"というタイトルの絵です。 セラピールームすずき様で昨年、レンタルしていただきました。 その一部を拡大したものが下の画像です。 ちいさくちょこんといる“ひつゅじ”を拡大したものです。 “ひつゅじ”の左下がちょうど影の部分にあたりますが、影を複数の色で表現しているのがお分かりでしょうか。 ピンク、紫、青緑、水色を重ねて、このような色を出しています。 “影“というと、多くの人が黒を思い浮かべるでしょう。 本当にそうでしょうか? 高校生の頃、美術の先生がこんなことを言っていました。 「よく… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>私の絵の中から一枚、ご紹介します。</p> <p> </p> <center> <p><span><img class="hatena-fotolife" title="Meet You全体像" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130308/20130308202105.jpg" alt="f:id:wand-i:20130308202105j:plain" /></span></p> </center> <p> </p> <p><a href="http://wand-i.com/gallery/meet-you-2/" target="&quot;_blank">"Meet You"</a>というタイトルの絵です。<br /><a href="http://yumikosan.biz/" target="_blank"> セラピールームすずき</a>様で昨年、レンタルしていただきました。<br /> その一部を拡大したものが下の画像です。</p> <p> </p> <center> <p><span><img class="hatena-fotolife" title="Meet You拡大" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130308/20130308202122.jpg" alt="f:id:wand-i:20130308202122j:plain" /></span></p> </center> <p> </p> <p>ちいさくちょこんといる<a href="http://nostalgia.2.pro.tok2.com/hblog/" target="_blank">“ひつゅじ”</a>を拡大したものです。<br /> “ひつゅじ”の左下がちょうど影の部分にあたりますが、影を複数の色で表現しているのがお分かりでしょうか。<br /> ピンク、紫、青緑、水色を重ねて、このような色を出しています。</p> <p> </p> <p>“影“というと、多くの人が黒を思い浮かべるでしょう。<br /> 本当にそうでしょうか?</p> <p> </p> <p>高校生の頃、美術の先生がこんなことを言っていました。</p> <p><em style="line-height: 1.5;"><strong>「よく観察してみなさい。影が黒だと思い込んでいるなら、その思い込みをなくして、自分の目で見たものを信じなさい。それはいったいどんな色にみえるか?思った色ではなく、見えた色を描きなさい」</strong></em></p> <p>最初、何を言っているのかよく分かりませんでした。<br /> 影は黒に決まってるじゃないか、と。</p> <p> </p> <p>ところがあるとき、影が黒以外の色で見えるようになりました。<br /> 具体的にどう、と説明できないのがもどかしいのですが、たしかにそこには、様々な色が混ざり合っていたのです。</p> <p> </p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%EB%A5%CE%A5%EF%A1%BC%A5%EB">ルノワール</a>という画家をご存知でしょうか。<br /> 上野の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B9%F1%CE%A9%C0%BE%CD%CE%C8%FE%BD%D1%B4%DB">国立西洋美術館</a>にも作品が何点か収蔵されています。<br /> そのなかに<a href="http://collection.nmwa.go.jp/P.1959-0181.html" target="_blank">“帽子の女”</a>という作品があります。<br /> 白い服に帽子をかぶった女性が椅子に座っている絵です。この服の色合いをみると、たしかに白ではあるのですが、青、紫、黄色、茶色といった様々な色がこの服の陰影を表現するのに使われています。白い服だからといって、必ずしも白だけでできているわけではないのです。</p> <p> </p> <p>こんなふうに見えるようになると、世界を見る目が一変します。<br /> <strong>世界はなんと豊かな色彩に満ちていることか</strong>、と。<br /> 葉っぱは緑、土は茶色、道路はグレー、顔は肌色、と思い込んでいるけれども、実はそうではなかった。<br /> その思い込みが、世界の豊かさを見えなくしていたのだと、気づいたのです。</p> <p> </p> <p>思い込みをはずして、ありのまま、目にうつるままの世界を眺めてみましょう。<br /> どんな世界が、目にうつるでしょうか。</p> wand-i “2つの工場”の思考実験〜“思い”とは何か?〜 hatenablog://entry/13425511277527046747 2013-03-08T07:20:11+09:00 2013-03-08T07:20:11+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 昨日の記事“与沢翼氏と絵描きとしての矜持”で「自分の愛着のある商品は大切に扱ってほしい」ということを書きました。 ひとつひとつの絵には私の「思い」がこもっています。 手作りの商品にはよく「作り手の思いがこもっている」といわれます。 その「思い」が大量生産の商品とは異なるため、付加価値として評価されます。 では、この「思い」とはいったい何なのでしょうか? それを考えるために、思考実験“2つの工場”を思いつきました。 思考実験 “2つの工場” Cynthia Vardhan Ceramics Dish Set / *NEXT* design… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>昨日の記事<a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/07/074038">“与沢翼氏と絵描きとしての矜持”</a>で「自分の愛着のある商品は大切に扱ってほしい」ということを書きました。<br /> ひとつひとつの絵には私の「思い」がこもっています。<br /> <br /> 手作りの商品にはよく<strong>「作り手の思いがこもっている」</strong>といわれます。<br /> その「思い」が大量生産の商品とは異なるため、付加価値として評価されます。</p> <p> </p> <p>では、この「思い」とはいったい何なのでしょうか?<br /> それを考えるために、思考実験<strong>“2つの工場”</strong>を思いつきました。</p> <p> </p> <h2>思考実験 “2つの工場”</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/31274030@N08/4999302338/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(0px 550px 150px 0px); margin: 0px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm5.static.flickr.com/4126/4999302338_3e81d93fbd_z.jpg?zz=1" alt="Cynthia Vardhan Ceramics Dish Set" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Cynthia Vardhan Ceramics Dish Set / *NEXT* design for your modern home</span></div> <p> </p> <p>あるところに工場が2つ、並んで建っています。<br /> 外観は地味で、さほど目立つ建物ではありません。<br /> 2つはよく似ており、ぱっと見には区別が難しい。<br /> その工場では陶器の皿を製造しています。<br /> 絵付けから最後の梱包まで、一貫して行っています。<br /> この陶器の皿は「人の手の温もりが感じられる」と評判です。</p> <p> </p> <p>それもそのはず、片方の工場では職人さんがひとつひとつ、丁寧に絵付けをし、人の目で温度管理をした窯で焼き、ひとつひとつ梱包しているのです。<br /> その工程が「人の思いがこもっている」という評判の源なのです。</p> <p> </p> <p>もう一方の工場に目を転じてみましょう。<br /> こちらの工場では、製造ラインがすべて機械化されています。<br /> 絵付けも窯の温度管理も梱包も、すべて機械が行っています。<br /> <br /> この完全に機械化された工場でも、同じように陶器の皿を製造しています。<br /> 実はこの皿、隣で職人さんが手作りしている皿と全く同じ見た目をしています。<br /> 「人の手で作られた証拠」としてよくあげられる「ひとつひとつの絵付けがふぞろい」という点も、機械にランダム要素をプログラミングすることで実現したのです。<br /> それだけではありません。<br /> 温度管理の際の「人の勘」も完全にプログラミングされ、職人さんが管理するのとまったく同じ方法で機械が窯を管理しています。<br /> ある特殊な感性をもつ方には人の手に成ることをオーラのようなもので感じるそうですが、機械でもそれを再現することに成功しました。<br /> <br /> このように、職人さんが作った陶器の皿と、完全機械化された工場で作られた陶器の皿は、まったく一緒のものです。</p> <p> </p> <p>これでも、一方は「人の手のぬくもりがある」と、一方は「機械による大量生産」と言い切れるでしょうか?</p> <p> </p> <h2>思いは“物語”に宿る</h2> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/yourdon/3332143034/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(25px 550px 175px 0px); margin: -25px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm4.static.flickr.com/3368/3332143034_6b92c829f7_z.jpg?zz=1" alt="Reading on a sunny late-winter afternoon" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Reading on a sunny late-winter afternoon / Ed Yourdon</span></div> <p> </p> <p>完全機械化工場では職人さんの作るものを完璧に再現することができました。<br /> では、人の手が作ったものと機械が作ったものには全く違いがない、ということになるのでしょうか?</p> <p> </p> <p>よくよく考えてみると、完全機械化工場にはひとつ、決定的に足りない部分があることに気づきました。<br /> それは<strong>“物語”</strong>です。</p> <p> </p> <p>絵付けをする職人さんたちは、どうしてその絵にしたのかを知っています。<br /> 窯の管理をする職人さんたちは、なぜその温度に保つのかを知っています。<br /> 木の箱に梱包していく職人さんたちは、なぜその木を使って梱包するのかを知っています。</p> <p> </p> <p>機械化工場を作ったエンジニアは非常に優秀でした。<br /> 職人さんの作業工程をすべて模倣することができる機械を作り上げたのです。<br /> しかし、ひとつだけ忘れていたことがありました。<br /> 「なぜその作業が必要なのか?」という、作業工程の背景にある「なぜ?」を知らなかったのです。</p> <p> </p> <p>職人さんたちは自分たちが作る陶器の皿について、その背景を語ることができます。<br /> 一方、機械化工場はそれを語ることができません。<br /> この物語が、商品に対する思いそのもののように感じるのです。</p> <p> </p> <p>もちろん、物語は語られなければ存在しないも同じです。<br /> だから、<strong>思いは物語を語って始めて宿る</strong>ものなのです。<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/13/111814">“営業嫌いの背後にあるもの”</a>で書いたように、どんなに良いものでも、それを発信しなければ知られることはないのです。<br /> 陶器の皿の背景を語らなければ、職人さんの工場の製品も、機械化された工場の製品も、同じものだとして流通することになるでしょう。</p> <p> </p> <p><補足><br /> “2つの工場”の思考実験は哲学者<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B8%A5%E7%A5%F3%A1%A6%A5%B5%A1%BC%A5%EB">ジョン・サール</a>が考案した“<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C3%E6%B9%F1%B8%EC%A4%CE%C9%F4%B2%B0">中国語の部屋</a>”を下敷きにしています。</p> <blockquote><em>ある小部屋の中に、アルファベットしか理解できない人を閉じこめておく(例えば英国人)。この小部屋には外部と紙きれのやりとりをするための小さい穴がひとつ空いており、この穴を通して英国人に1枚の紙きれが差し入れられる。そこには彼が見たこともない文字が並んでいる。これは漢字の並びなのだが、英国人の彼にしてみれば、それは「★△◎∇☆□」といった記号の羅列にしか見えない。 彼の仕事はこの記号の列に対して、新たな記号を書き加えてから、紙きれを外に返すことである。どういう記号の列に、どういう記号を付け加えればいいのか、それは部屋の中にある1冊のマニュアルの中に全て書かれている。例えば"「★△◎∇☆□」と書かれた紙片には「■@◎∇」と書き加えてから外に出せ"などと書かれている。</em><br /><em> 彼はこの作業をただひたすら繰り返す。外から記号の羅列された紙きれを受け取り(実は部屋の外ではこの紙きれを"質問"と呼んでいる)、それに新たな記号を付け加えて外に返す(こちらの方は"回答"と呼ばれている)。すると、部屋の外にいる人間は「この小部屋の中には中国語を理解している人がいる」と考える。しかしながら、小部屋の中には英国人がいるだけである。彼は全く漢字が読めず、作業の意味を全く理解しないまま、ただマニュアルどおりの作業を繰り返しているだけである。それでも部屋の外部から見ると、中国語による対話が成立している。</em><br /> <span style="font-size: 90%;">(<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Wikipedia">Wikipedia</a><a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E3%81%AE%E9%83%A8%E5%B1%8B" target="_blank">「中国語の部屋」</a>より)</span></blockquote> <p>この思考実験はもともと、<strong>「コンピュータが人間と同じような反応を示したら意識をもっているといえるのか?」</strong>を考えるために考案されました。<br /> 非常に興味深い思考実験ですので、ぜひご自身で調べてみてください。</p> wand-i 与沢翼氏と絵描きとしての矜持 hatenablog://entry/6435922169449658122 2013-03-07T07:40:38+09:00 2013-03-07T07:40:38+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 与沢翼氏という方が話題になっているようです。 1月13日から2週間、関東のJR前線に黄色の広告を出していたのを目にされた方も多いことでしょう。 (“与沢翼氏の総額3800万円かけた『JR広告ジャック』が話題に”) ご自身の会社が資金ショートで倒産した後、元手10万円から2ヶ月で2000万円の利益をあげたそうです。 私はこの与沢さんという方に大変な嫌悪感を抱いています。その理由について、私なりに考えてみました。 与沢氏の評価すべき点 「ネタフル」コグレマサト氏推薦! / yto 「嫌悪感を抱いている」と書きましたが、与沢氏のすべてを否定し… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>与沢翼氏という方が話題になっているようです。<br /> 1月13日から2週間、関東のJR前線に黄色の広告を出していたのを目にされた方も多いことでしょう。<br /> <span style="font-size: 90%;">(<a href="http://yozawa-matome.com/002/3539" target="_blank">“与沢翼氏の総額3800万円かけた『JR広告ジャック』が話題に”</a>)</span><br /> ご自身の会社が資金ショートで倒産した後、元手10万円から2ヶ月で2000万円の利益をあげたそうです。</p> <p> </p> <p>私はこの与沢さんという方に大変な嫌悪感を抱いています。<br />その理由について、私なりに考えてみました。</p> <p> </p> <h2>与沢氏の評価すべき点</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/yto/4699640260/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(62px 550px 212px 0px); margin: -62px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm5.static.flickr.com/4026/4699640260_74bbbe046d_z.jpg?zz=1" alt="「ネタフル」コグレマサト氏推薦!" /></a>「ネタフル」コグレマサト氏推薦! / yto</div> <p> </p> <p>「嫌悪感を抱いている」と書きましたが、与沢氏のすべてを否定しているわけではありません。<br /> 評価している点ももちろんあります。</p> <blockquote><em>従来の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%D5%A5%A3%A5%EA%A5%A8%A5%A4%A5%C8">アフィリエイト</a>では、ブログやメルマガなどで読者に<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%D5%A5%A3%A5%EA%A5%A8%A5%A4%A5%C8">アフィリエイト</a>商材を紹介して報酬を獲得します。</em><br /><em> 従来の方法で大きな利益をあげるためには、ブログやメルマガの読者数を増やす作業が必要となり膨大な時間がかかります。</em><br /><em> 一方、彼の方法では、まず広告主となって短期間のうちに顧客リスト(メールアドレス)を大量に入手し、それと同時に今度はアフィリエイターとして顧客リストに対して商材を紹介して報酬を獲得しています。</em><br /><em> つまり、従来の方法と比較して圧倒的に「速い」のが特徴です。</em><br /><em> しかし、広告主となって顧客リストを取得する段階では、500円/件のマイナスとなるため大きなリスクを伴います。</em><br /> <span style="font-size: 90%;">(ACラボ<a href="http://w-just.com/blog/yozawa-method-1182.html" target="_blank">“与沢翼が10万円の元手から2ヶ月間で2千万円の利益を上げた方法”</a>より)</span></blockquote> <p>この記述によれば、通常の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%D5%A5%A3%A5%EA%A5%A8%A5%A4%A5%C8">アフィリエイト</a>とは異なり、まず自分が広告主として出稿することでメールアドレス10万件を取得するところから始めています。10万件のメールアドレスを取得するには5000万円のコストがかかるそうです。その10万件のメールアドレスをつかって7000万円の利益をあげたため、差し引き2000万円の利益、というわけです。</p> <p> </p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%D5%A5%A3%A5%EA%A5%A8%A5%A4%A5%C8">アフィリエイト</a>や<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BE%F0%CA%F3%BE%A6%BA%E0">情報商材</a>に関する是非はともかく、与沢氏が2000万円の利益をあげたことは事実です。<br /> その際、<strong>「最悪の場合5000万円の負債が発生する」</strong>というリスクを負っています。<br /> ノーリスクハイリターンを求めがちな多くの人にとって、このリスクは背負いきれないものでしょう。<br /> それでもこのリスクを負ってリターンを得た、という点は、多いに評価すべきだろうと考えています。</p> <p> </p> <p><span style="font-size: 80%;">※日本人には「可能な限りリスクはとりたくない」という心理が強く働いているように思います。けれど、リスクをとらなければリターンは得られません。リスクを最小化する努力は必須ですが、「そもそもリスクをとらない」というところに問題があるようにも感じますが、これは別の話。</span></p> <p> </p> <h2>嫌悪感の源</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/danielfoster/4725849931/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(62px 550px 212px 0px); margin: -62px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm2.static.flickr.com/1316/4725849931_5af5a4ee58_z.jpg?zz=1" alt="Silk Factory Machinery" /></a>Silk Factory Machinery / danielfoster437</div> <p> </p> <p>与沢氏は短期間で2000万の利益を出すため、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BE%F0%CA%F3%BE%A6%BA%E0">情報商材</a>を扱いました。<br /> ここでひとつ疑問が。<br /> <strong>もし同じ方法で利益をあげられるのなら、扱う商品は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BE%F0%CA%F3%BE%A6%BA%E0">情報商材</a>でなくても良かったのではないか?</strong><br /> たとえば壷だったり絵だったり石油だったりしても、仮にまったく同じ手法がとれるのなら、与沢氏はどんな商品でも扱ったのではないか。<br /> こんな疑問です。</p> <p> </p> <p>私は自分の絵とともに、その絵に込めた思いもお客様に届けたいと思っています。<br /> その思いとは<strong>「絵を飾ると、その空間に訪れた人がほっと安心できること」</strong>です。<br /> ですから、カフェやレストラン、クリニックなどにおすすめしているのです。</p> <p> </p> <p>この思いを抜きに「この商品は儲かるから」という思いで扱ってほしくない、と感じるのです。<br /> お金に変えることにこだわるあまり、私の思いとは違うところに売られてしまったり、極端な安売りをされてしまったりするのではないか、という危惧があるのです。</p> <p> </p> <p>これはなにも与沢氏に限ったことではありません。<br /> おそらく「中間業者」と呼ばれる人たち全般に私が感じていることでしょう。<br /> それがたまたま、与沢氏に関する記事などを読んで噴き出してきたものだと思います。</p> <p> </p> <p>私は絵描きです。自分の描いた絵に愛着をもっています。<br /> 「愛着のあるものを大切にしてほしい」というのが私の正直な思いであり、矜持です。</p> <p> </p> <p>日本はものづくりで世界をリードしてきました。<br /> ところが昨今、日本製品はなかなか売れずに苦しんでいます。<br /> 「良いものさえ作っていればいい」という時代ではなくなってきているのです。<br /> <span style="font-size: 90%;">(<a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/11/105609">“「良いものはかならず売れる」のウソ”</a>)</span><br /> その影響か、「<a style="line-height: 1.5;" href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B0093SYMCM/sasuke1977-22">100円のコーラを1000円で売る方法 </a>」といった販売やマーケティングに関する本がたくさん出版されるようになってきました。</p> <p> </p> <p>これは良いことだと思います。<br /> 従来弱かった部分を補完しよう、という動きですから。<br /> ただ、「売る」ことにばかりフォーカスがあたってしまうことにも危惧をもっています。<br /> 「売る」ためには前提となる商品が必要です。「売る」ことを気にかけるあまり、商品を作るひとをないがしろにしてしまうのではないか、という不安があるのです。</p> <p> </p> <p>私は絵描きであることに誇りをもっています。<br /> 価値を創造する仕事ですから。</p> wand-i あまりきれいではない共感覚 hatenablog://entry/6435922169449636888 2013-03-06T07:32:25+09:00 2013-03-06T07:32:25+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 みなさんは“共感覚”というものをご存知でしょうか? ある音を聞くと色が見えたり、数字が色に見えたり、味が触った感覚として現れたり。 このようにある感覚が別の感覚と結びつく現象を“共感覚”と呼ぶのだそうです。 近頃は下火になっているようにも思いますが、昨年あたり、本やテレビで取り上げられたことで多くの人の関心をひいたようです。 Massage at Witches Falls Cottages / Witches Falls Cottages 先日、肩がひどくこったのでパートナーにマッサージをしてもらいました。 特に左肩がしびれたような感… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p> </p> <p>みなさんは<strong>“<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>”</strong>というものをご存知でしょうか?<br /> ある音を聞くと色が見えたり、数字が色に見えたり、味が触った感覚として現れたり。<br /> このようにある感覚が別の感覚と結びつく現象を“<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>”と呼ぶのだそうです。<br /> 近頃は下火になっているようにも思いますが、昨年あたり、本やテレビで取り上げられたことで多くの人の関心をひいたようです。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/witchesfallscottages/5798887144/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(218px 550px 368px 0px); margin: -218px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm4.static.flickr.com/3560/5798887144_307e36038b_z.jpg?zz=1" alt="Massage at Witches Falls Cottages" /></a>Massage at Witches Falls Cottages / Witches Falls Cottages</div> <p> </p> <p>先日、肩がひどくこったのでパートナーにマッサージをしてもらいました。<br /> 特に左肩がしびれたような感じになっていて、触ってもほとんど感覚がないほどです。首筋から肩、肩甲骨まわり、背中、と上から順にほぐしていってもらいました。<br /> <br /> ちょうど肩甲骨まわりにさしかかった頃です。<br /> なにやら目の前にピンク色のちかちかする光が見えたと思ったら、メリーゴーランドのイメージが見えたのです。暗い、おそらく夜を背景にしているであろう場所で、ピンクと黄色と白の光が右から左に流れていくのです。そのイメージをあえていうとメリーゴーランドなのですが、実際にはいくつかの色の光が動いていくイメージでした。<br /> その後、マッサージの部位が変わるたびに、異なる光景が見えるようになりました。</p> <ul> <li>青白い部屋(動きのない黒と青)</li> <li>ギャングイルカ(激しく上下に動く青と白と黒)</li> <li>西洋甲冑(グレーとオレンジの背景に金属光沢のような白い点)</li> </ul> <p>といった感じです。明確にそのイメージがあるわけではなく、あえて言葉にするとこのような感じになります。<br /> 見えたものを逐一報告すると、パートナーは大笑いして喜んでくれました。</p> <p> </p> <p>正直言って、これを<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>と呼んで良いものかどうかわかりません。<br /> 背中を触られると奇妙なイメージが見える、というのは「音が色で見える」という一般的な<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>のイメージのようにきれいで繊細なものではありません。私自身、単に<strong>「変な体質」</strong>としか捉えていませんでした。<br /> <br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Wikipedia">Wikipedia</a>の定義によると<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>とは</p> <blockquote><em>女性の高い声を「黄色い声」などと言うように、人類、あるいは特定の環境・文化において複数の種類の感覚を結びつける比喩的習慣が広く存在するが、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>はそのようなものと直接は関係しておらず、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>を持たない人には感じられない上述の数字に色を見るなどの感覚を、主観的な知覚現象 (<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AF%A5%AA%A5%EA%A5%A2">クオリア</a>) として生々しく感じている。 <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>は五感のような基本的な感覚の種別に関してだけではなく、感情や単語や数などに関して起こることもある。 <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>者の間での複合した知覚の関係に相関は認められていない。 例えば、ある人がある文字を青く感じたとしても、他の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>者が同様に感じる傾向があるとは限らない。</em><br /> (<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Wikipedia">Wikipedia</a>「<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>」より)</blockquote> <p><br /> となっています。数字に色を感じる人ならば1は黒、2は赤、といったように結びつきがはっきりしているでしょう。ところが自分の場合、同じ場所を触ってもらっても同じイメージが見えるとは限らないため、定義からはずれているようにも思うのです。<br /> ※部位ではなく、触ったときの感覚(痛い、くすぐったい、気持ちいい)と結びついているとしたら、部位とは関係がなくても定義には合致しそうですが。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/kayakaya/7929643610/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(62px 550px 212px 0px); margin: -62px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm9.static.flickr.com/8321/7929643610_7592699999_z.jpg?zz=1" alt="円周率表 1,000,000桁表。ネタ以外にもランダムに数字を選べは乱数表としても使える実用書。" /></a>円周率表 1,000,000桁表。ネタ以外にもランダムに数字を選べは乱数表としても使える実用書。 / kayakaya</div> <p> </p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>について語られるとき、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%F4%A5%A1%A5%F3%BE%C9%B8%F5%B7%B2">サヴァン症候群</a>も合わせて語られることが多いようです。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>を持ち合わせる人に<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%F4%A5%A1%A5%F3%BE%C9%B8%F5%B7%B2">サヴァン症候群</a>の方が比較的多くみられるためだそうです。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%F4%A5%A1%A5%F3%BE%C9%B8%F5%B7%B2">サヴァン症候群</a>とは</p> <blockquote> <ul> <li><em>ランダムな年月日の曜日を言える(カレンダー計算)。ただし通常の計算は、1桁の掛け算でも出来ない場合がある。</em></li> <li><em>航空写真を少し見ただけで、細部にわたるまで描き起こすことができる(映像記憶)。</em></li> <li><em>書籍や電話帳、円周率、周期律表などを暗唱できる。内容の理解を伴わないまま暗唱できる例もある。</em></li> <li><em>並外れた暗算をすることができる。</em></li> </ul> (<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Wikipedia">Wikipedia</a>「<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%F4%A5%A1%A5%F3%BE%C9%B8%F5%B7%B2">サヴァン症候群</a>」より)</blockquote> <p>というように、「知的障害・<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BC%AB%CA%C4%BE%C9">自閉症</a>障害があり、かつ特定の分野に驚異的な能力を有する」状態を指します。特定の分野に関しては非常に高い能力を示すため、しばしば天才の代名詞のようにも扱われます。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%F4%A5%A1%A5%F3%BE%C9%B8%F5%B7%B2">サヴァン症候群</a>の方がしばしば<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>をもっていると思われることから、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>が優れた能力をもっていることの証のようにとられることもあるようです。</p> <p> </p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Google">Google</a>で検索すると「あなたも<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>がもてる!」といった文句のページが散見しました。<br /> <strong>「<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>がもてれば自分も特別な存在になれる!」</strong>という思いがあるのでしょう。<br /> 自己研鑽も良いものですが、それがたとえば「周囲に一目おかれたい」というような目的であるのならおすすめはしません。</p> <p> </p> <p>マッサージしてもらった後、肩はとても楽になりました。<br /> と同時に、ちかちかといろんなものが見えたため、目の辺りはかえって疲れてしまいました。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B6%A6%B4%B6%B3%D0">共感覚</a>をもっている人の中には「複数の感覚が同時にやってくるので疲れて仕方がない」と訴える方も少なくないそうです。</p> wand-i 【震災関連】東日本大震災で学んだ知っておくと便利な6つのこと hatenablog://entry/6435922169449626403 2013-03-05T08:40:00+09:00 2013-03-05T08:40:30+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 東日本大震災から間もなく丸2年。 先日も“理不尽さとともに生きる〜東日本大震災から2年目に思うこと〜”という記事を書きました。 被災者の視点から、もう2、3の記事を書いていこうと思います。 今回は地震のときに具体的に役に立った知識や準備について。実際に被災した者の立場から、なにか少しでもお役にたてれば、と思います。 私自身が実際に知っていて便利だったことは次の6つです。 自転車は常に用意すべきである ノートパソコンはそれ自体が充電器になる 都市ガスは復旧に時間がかかると心得よ 肉類は塩をふって干しておくと良い 断水になっても公園では水が… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%C6%FC%CB%DC%C2%E7%BF%CC%BA%D2">東日本大震災</a>から間もなく丸2年。<br /> 先日も<a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/02/080028">“理不尽さとともに生きる〜東日本大震災から2年目に思うこと〜”</a>という記事を書きました。<br /> 被災者の視点から、もう2、3の記事を書いていこうと思います。<br /> 今回は地震のときに具体的に役に立った知識や準備について。実際に被災した者の立場から、なにか少しでもお役にたてれば、と思います。</p> <p> </p> <p>私自身が実際に知っていて便利だったことは次の6つです。</p> <ol> <li>自転車は常に用意すべきである</li> <li>ノートパソコンはそれ自体が充電器になる</li> <li>都市ガスは復旧に時間がかかると心得よ</li> <li>肉類は塩をふって干しておくと良い</li> <li>断水になっても公園では水が出る可能性がある</li> <li>水洗トイレに洗浄剤を使ってはいけない</li> </ol> <p>ただし、これらは<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%E7%C2%E6%BB%D4">仙台市</a>中心部のように<span style="text-decoration: underline;">「沿岸部のように甚大な被害は受けていないが、日常生活には支障をきたす程度の被害を受けている」</span>地域で有効です。津波被害が出たらこんなことをしている暇はありませんのであしからず。</p> <p>※たとえば「水は○○リットル用意すべし」とか「家に入るときは靴を履いたままで」といった良く知られていることはここでは除いています。</p> <p> </p> <h2>1.自転車は常に用意すべきである</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/dailyinvention/23126696/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(158px 550px 308px 0px); margin: -158px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm1.static.flickr.com/17/23126696_ca81f42e6d_z.jpg?zz=1" alt="Bicycle Repetition" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Bicycle Repetition / dailyinvention</span></div> <p>大きな地震があった場合に備えて、自転車は確保しておくべきです。<br /> <br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%C6%FC%CB%DC%C2%E7%BF%CC%BA%D2">東日本大震災</a>直後、広範囲にわたって停電とガソリン不足が発生しました。この場合、燃料を必要とする移動手段(車、バイクなど)は使えなくなる可能性が非常に高くなります。揺れの影響で線路がゆがみ、電車が不通になることも考えられます。そうなると、移動手段としては自転車が非常に有利になります。<br /> <br /> ただし、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%C5%C6%B0%A5%A2%A5%B7%A5%B9%A5%C8%BC%AB%C5%BE%BC%D6">電動アシスト自転車</a>はだめです。停電してしまった場合、充電ができなくなり、電源ユニットが重しになって負担がかかってしまうからです。</p> <p> </p> <h2>2.ノートパソコンはそれ自体が充電器になる</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/yourdon/3475417696/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(167px 550px 317px 0px); margin: -167px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm4.static.flickr.com/3307/3475417696_9565941ee0_z.jpg?zz=1" alt="Bryant Park, late Apr 2009 - 21" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Bryant Park, late Apr 2009 - 21 / Ed Yourdon</span></div> <p>もしかしたらこれは盲点かもしれません。<br /> <br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%DE%A1%BC%A5%C8%A5%D5%A5%A9%A5%F3">スマートフォン</a>はUSBケーブルがあればノートパソコンからでも充電が可能です。ノートパソコンをスリープモードにしておけば電力消費も抑えられますし、携帯バッテリーに比べて容量も大きいため、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%DE%A1%BC%A5%C8%A5%D5%A5%A9%A5%F3">スマートフォン</a>の充電には適しています。停電時にノートパソコンがフル充電になっていれば比較的長期間、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%DE%A1%BC%A5%C8%A5%D5%A5%A9%A5%F3">スマートフォン</a>のバッテリーの心配はなくなります。<br /> <br /> 地震直後、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%E7%C2%E6%BB%D4">仙台市</a>内も停電しました。<br /> その期間、有志が商店街のあちこちに自家発電機を設置して携帯機器を充電できるようにしてくれていました。そこには長蛇の列。震災直後はできることも少ないので並んでも良いのですが、あの行列を見てしまうと、自前でできるものは自前でしたい、と思ってしまいます。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%E7%C2%E6%BB%D4">仙台市</a>中心部でもっとも早く電力が回復した仙台駅周辺では、コンビニやファーストフード店が店先を解放して電源をとれるようにしてくれていました。が、人が多く極端な<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A4%BF%A4%B3%C2%AD">たこ足</a>配線になるため、充電には時間がかかります。私も試しましたが、いつもは1時間程度で充電が終わるところ、6時間ほどかかりました。<br /> <br /> 手回し充電器も要注意です。<br /> 安価に手に入る手回し充電器には整流器がついていないため、電流電圧が安定しません。そのため、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%DE%A1%BC%A5%C8%A5%D5%A5%A9%A5%F3">スマートフォン</a>のように比較的大きな電力を必要とする機器の充電には向きません。手回しで役に立つのはラジオと懐中電灯。<br /> 「自分で発電したいが燃料をつかう発電機まではいらない」という場合、自転車にとりつけて発電できる発電機があります。たしかAmazonで売っていました。整流器がついているので、携帯機器の充電にもじゅうぶん使えます。</p> <p> </p> <h2>3.都市ガスは復旧に時間がかかると心得よ</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/snoozer/3912483850/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(138px 550px 288px 0px); margin: -138px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm3.static.flickr.com/2674/3912483850_de10b0b87e_z.jpg?zz=1" alt="ガスコンロのような" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">ガスコンロのような / snoozer05</span></div> <p>地震直後、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%E7%C2%E6%BB%D4">仙台市</a>内は広い範囲にわたって都市ガスが停止しました。<br /> ガス供給施設が被害を受けたのもありますが、一番の原因はガス管の破損です。<br /> 都市ガスは復旧まで非常に時間がかかります。私の住んでいた地域でも、復旧まで1ヶ月以上かかりました。<br /> 都市ガスのガス管は地中に埋め込まれています。そのため、揺れの影響で破損している可能性があります。ガスの供給そのものは、新潟などから融通してもらうことで継続できていました。しかし、破損した可能性のあるガス管にガスを流してしまうと、爆発等の危険性があります。そのため、地中のガス管の破損状況をひとつひとつ確かめながら、ガス供給を再開するのです。<br /> <br /> この作業には数万人規模で人員があてられたと聞いています。市内のあちこちで東京ガスや<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%E7%BA%E5%A5%AC%A5%B9">大阪ガス</a>といった腕章をつけている方をたくさん見ました。当時住んでいた私の部屋にガスの安全確認にきてくれた方は、東京ガスの方でした。<br /> <br /> ガスよりも電気の方が早く復旧する可能性が高いため、IHなどの電気で調理できる機器をひとつでももっていると、非常時には役にたつことでしょう。</p> <p> </p> <h2>4.肉類は塩をふって干しておくと良い</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/54383933@N03/6501910729/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(257px 550px 407px 0px); margin: -257px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm8.static.flickr.com/7020/6501910729_76d49e7532_z.jpg?zz=1" alt="何日目か(数え忘れた)の干し肉。だいぶ縮まった。" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">何日目か(数え忘れた)の干し肉。だいぶ縮まった。 / monoprixgourmet_bis</span></div> <p>停電になったときに気になるのが食糧の保存です。特に肉・魚などの生ものはいたみが非常にはやくなります。<br /> <br /> 冷凍保存しておいたものは、停電した後もそのまま冷凍庫においておけば比較的長持ちします。冷凍した食材自体が保冷剤の役割を果たすからです。冷凍庫の断熱効果がそれに加わるので、数日は解けることはありません。<br /> <br /> ただ、冷蔵庫に置いていた肉類は危険です。市販のハムやベーコンも、封を切ってあればすぐにいたみます。<br /> いたむ原因は水分。水分をなるべく減らすことができれば、長期保存が可能になります。<br /> 停電が長期にわたりそうだと判断したら、冷凍していない肉や魚はすぐに軽く塩をふって水だしすることをおすすめします。その際、キッチンペーパーなどで水分をふきとるのがベストですが、地震直後で物資が少ないときはキッチンペーパーも貴重です。そこで、塩をふった肉や魚は網の上に載せておきましょう。<br /> その際、直射日光があたらず風通しの良いところで陰干し状態にするのが理想です。温度が上がりにくく雑菌が繁殖しにくいためです。<br /> このように塩をして干物にしておくと、生ハムかジャーキーのような状態になるので、火を通さなくても肉が食べられるようになります。非常食として便利です。</p> <p> </p> <h2>5.断水になっても公園で水が出る可能性がある</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/jcheng/11438637/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(78px 550px 228px 0px); margin: -78px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm1.static.flickr.com/9/11438637_5f39b17d38_z.jpg?zz=1" alt="Tap Water" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Tap Water / jcheng</span></div> <p>私も知らなかったのですが、断水になった際でも、公園などの公共施設の水道からは水が出る可能性があります。<br /> <br /> 「断水の際も公共施設には優先的に通水される」ということなのだそうですが、この真偽は分かりません。<br /> 私の感じた限りでは「マンションの給水施設は電力を使うため、停電とともに水道が機能しなくなる」というのが正解と思います。そのため、給水所が被害を受けていなければ公園などの水道からは水が出るはずです。<br /> <br /> ただし、揺れの影響で水道管の内側に付着したゴミが水道水に混ざっており、濁った水がでてきます。そのまま飲んでも影響がない範囲だとは思いますが、気になる方は濾過した方が良いでしょう。</p> <p> </p> <h2>6.水洗トイレに洗浄剤を使ってはいけない</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/unapan/78504109/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(78px 550px 228px 0px); margin: -78px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm1.static.flickr.com/40/78504109_be8f11785c_z.jpg?zz=1" alt="這是胖胖水瓶底" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">這是胖胖水瓶底 / Una_Pan</span></div> <p>水洗トイレのタンクには水がたまっています。この水を飲用にするのはおすすめはしませんが、飲用にしなければならない事態も発生するでしょう。<br /> そのとき、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D6%A5%EB%A1%BC%A5%EC%A5%C3%A5%C8">ブルーレット</a>などの洗浄剤を使っていると、タンクの水に洗浄成分が入り込んでいるため、飲用にできなくなってしまいます。<br /> マンションが断水した際、私は水洗トイレのタンクの水が使えないかを試しました。残念ながらそのときは洗浄剤を使っていたため、飲用にできる状態ではありませんでした。</p> <p> </p> <p>以上、私が体験した範囲で「これは便利」と思ったことです。ひとつでもお役に立つことがあれば幸いです。<br /> なお、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%B5%FE%BE%C3%CB%C9%C4%A3">東京消防庁</a>が地震に対する備えについてまとめたページがあります。こちらもご参考になさってください。</p> <ul> <li><strong style="line-height: 1.5;"><a href="http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/bou_topic/jisin/life00.html" target="_blank">東京消防庁「地震に備えて」</a></strong></li> </ul> wand-i 【絵のこと】循環システムとしての植物 hatenablog://entry/6435922169449597165 2013-03-04T08:53:59+09:00 2013-03-04T08:55:26+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 私は「循環」の考え方をとても重視しています。 とくに植物はその「循環」の象徴であると考えています。 先日、ツーバイフォー建材を組み上げて壁を本棚にしました。 (“憧れの壁面本棚を2x4木材15本で手作りしました”) これまで使っていた本棚よりもおおく入るため、すこし余裕ができています。 あまった空間は飾り棚として活用。日陰にも強い観葉植物を置きました。 植物のある空間はとても良いものです。 パキラです。すくすくと育ってほしいものです。 私は植物をよく絵のモチーフに使います。 こちらは7年前の2006年に制作した"Water Cycle"… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p>私は<strong>「循環」</strong>の考え方をとても重視しています。<br /> とくに植物はその「循環」の象徴であると考えています。</p> <p> </p> <p>先日、ツーバイフォー建材を組み上げて壁を本棚にしました。<br /> (<a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/24/090541">“憧れの壁面本棚を2x4木材15本で手作りしました”</a>)<br /> これまで使っていた本棚よりもおおく入るため、すこし余裕ができています。<br /> あまった空間は飾り棚として活用。日陰にも強い観葉植物を置きました。<br /> 植物のある空間はとても良いものです。</p> <center> <p><img class="hatena-fotolife" title="パキラの写真" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130304/20130304083754.jpg" alt="f:id:wand-i:20130304083754j:plain" /></p> パキラです。すくすくと育ってほしいものです。</center> <p> </p> <p>私は植物をよく絵のモチーフに使います。</p> <center> <p><img class="hatena-fotolife" title="water cycle りそなーれ2006年7月号表紙" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130304/20130304083814.jpg" alt="f:id:wand-i:20130304083814j:plain" /></p> </center> <p><img class="hatena-fotolife" title="water cycle りそなーれ2006年7月号表紙" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130304/20130304084245.jpg" alt="f:id:wand-i:20130304084245j:plain" align="left" /></p> <p>こちらは7年前の2006年に制作した<a href="http://wand-i.com/gallery/water-cycle/" target="_blank">"Water Cycle"</a>という絵です。<br /> 2004年から2006年にかけて、りそな総合研究所が会員向けに発行している「りそなーれ」という雑誌の表紙を担当していました。"Water Cycle"は2006年7月号の表紙です。</p> <p> </p> <p>植物は物質の循環の要だと、私は考えています。<br /> その考えを持ち始めたのは、仙台で一人暮らしを始めた頃でした。</p> <p> </p> <p>当時、私は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%CB%CC%C2%E7%B3%D8">東北大学</a>の化学系研究室に研究員として勤めていました。<br /> それほど給料がよくなかったので実家暮らしだったのですが、勤めはじめて2年、研究室への貢献が認められて給料が上がりました。一人暮らしが十分可能な額でしたし、通勤時間をなるべく短縮したかったのもあり、職場の近くのマンションに引っ越すことにしました。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%CB%CC%C2%E7%B3%D8">東北大学</a>は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%C4%CD%D5%BB%B3">青葉山</a>の中に広大な敷地をもっています。教養部と文系学部は山のふもとに、理系学部は山の奥まったところにそれぞれキャンパスがあります。職場の近くに住もうと思うと、どうしても山のそばになります。<br /> 私が選んだのは片平という、仙台の中心街からすこし離れたところでした。すぐ近くが<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B9%AD%C0%A5%C0%EE">広瀬川</a>で、ベランダからは<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%C4%CD%D5%BB%B3">青葉山</a>が見渡せます。視力の良い人なら<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%E7%C2%E6%BE%EB">仙台城</a>趾にある<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B0%CB%C3%A3%C0%AF%BD%A1">伊達政宗</a>像を見つけることもできました。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/aigle_dore/6365043301/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(71px 550px 221px 0px); margin: -71px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm7.static.flickr.com/6099/6365043301_b36561e56b_z.jpg?zz=1" alt="Mountains" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Mountains / Moyan_Brenn</span></div> <p> </p> <p>春が近づき、だんだん暖かくなってくるころ。<br /> 朝方、向こうに見える山並みからもうもうと蒸気が立ち上るのをみることができました。山の樹が活発に活動をし始めて、吸い上げた地中の水分を大気中に放出しているのです。<br /> その様はまるで、森から雲が生まれていくようでした。</p> <p> </p> <p>「蒸散」と呼ばれる現象です。<br /> 植物は地中から水分を吸い上げます。下から上へ、重力に逆らうのですから、吸い上げるためにはエネルギーが必要です。植物は葉から水分を蒸発させることで上部の水分量を低下させ、その濃度差を利用して上に水分を送り届けます。</p> <p>この「蒸散」の現象が、私には<strong>「植物を介した自然の水循環システム」</strong>のようにみえました。<br /> 地中に蓄えられた水分を植物が吸い上げます。植物が吸い上げた水分は葉から蒸発していきます。蒸発した水分は空に達して雲になり、その雲はやがて雨を降らせて地上をうるおします。それをふたたび植物が吸い上げて・・・<br /> このような水の循環が成立するのです。</p> <p> </p> <p>私はこの「循環」という考え方が気に入りました。<br /> 以降、「循環」の視点から物事を見るようになっています。<br /> 水分だけでなく、物質やエネルギー。人の動きや経済も循環として捕えることができると考えています。<br /> 植物は私が物事を考えるためのテーマのひとつでもあるのです。</p> <p> </p> <p><a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/03/03/090627">“次世代に手渡すのは「生きる術」”</a>に書いたことは、まさに世代間の循環のようなものです。</p> wand-i 次世代に手渡すのは「生きる術」 hatenablog://entry/6435922169449554913 2013-03-03T09:06:27+09:00 2013-03-03T09:06:27+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 ちかごろよく、「自分の次の世代」のことを考えます。 いまはまだ、自分の仕事を軌道に乗せるのが最優先です。 けれど、まだ「その先」があります。 年齢を経ていくにつれ、ともに仕事をしていく相手はどんどん年下になっていくでしょう。 そうなったとき、自分はいったいどうするのか、を考えるのです。 Jack Whinery and his family, homesteaders, Pie Town, New Mexico (LOC) / The Library of Congress パートナーのおじいさんの法事に参加してきました。 50回忌だそ… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p>ちかごろよく、「自分の次の世代」のことを考えます。<br /> いまはまだ、自分の仕事を軌道に乗せるのが最優先です。<br /> けれど、まだ「その先」があります。<br /> 年齢を経ていくにつれ、ともに仕事をしていく相手はどんどん年下になっていくでしょう。<br /> そうなったとき、自分はいったいどうするのか、を考えるのです。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/library_of_congress/2179146618/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(115px 550px 265px 0px); margin: -115px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm3.static.flickr.com/2236/2179146618_474b76c632_z.jpg?zz=1" alt="Jack Whinery and his family, homesteaders, Pie Town, New Mexico (LOC)" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Jack Whinery and his family, homesteaders, Pie Town, New Mexico (LOC) / The Library of Congress</span></div> <p> </p> <p>パートナーのおじいさんの法事に参加してきました。<br /> 50回忌だそうです。亡くなったのが50歳と3ヶ月。生まれてから100年経った計算になります。<span style="line-height: 1.5;">今から100年前というと1913年、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%E8%B0%EC%BC%A1%C0%A4%B3%A6%C2%E7%C0%EF">第一次世界大戦</a>の前年にあたります。</span></p> <p>100年という年月を長いと感じるか、短いと感じるかは人それぞれと思います。<br /> 私自身は「100年」と聞くととっさに「たった100年?」と感じます。<br /> 人生80年と言われる現在、2〜3世代が経過するくらいの時間です。100歳でご存命の方も多くいらっしゃるということもあり、それほど極端に長い時間とは感じません。</p> <p>ところが、100年前に何があったか、と考えると、1913年、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%E8%B0%EC%BC%A1%C0%A4%B3%A6%C2%E7%C0%EF">第一次世界大戦</a>の前年です。<br /> 携帯電話もパソコンも存在せず、現代戦車の原型となるものがようやく出てきた時代です。世界大戦というとナチスドイツのイメージが強いかもしれませんが、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%C9%A5%EB%A5%D5%A1%A6%A5%D2%A5%C8%A5%E9%A1%BC">アドルフ・ヒトラー</a>はこの戦争では一人の兵士として従軍していました。100年前のカラー写真なんて見ることはできません。<br /> そう思うと、100年という年月の長さを強く感じます。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/epsos/4929687589/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(30px 550px 180px 0px); margin: -30px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm5.static.flickr.com/4114/4929687589_6dd6b4ac53_z.jpg?zz=1" alt="Happy Children Playing Kids" /></a><span style="position: absolute; bottom: 0; right: 0; background: #333; color: #ddd; font-size: 10px; padding: 3px;">Happy Children Playing Kids / epSos.de</span></div> <p> </p> <p>パートナーのいとこにはすでに結婚して子どもがいる人たちもいます。<br /> 法事の前後では元気に走り回ったりしていました。<br /> この子たちは、私が2つの世界大戦を知らないように、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D9%A5%EB%A5%EA%A5%F3%A4%CE%CA%C9">ベルリンの壁</a>崩壊も、ソ連崩壊も、湾岸戦争も、9.11の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C6%B1%BB%FE%C2%BF%C8%AF%A5%C6%A5%ED">同時多発テロ</a>も知らない世代です。その次には<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%C6%FC%CB%DC%C2%E7%BF%CC%BA%D2">東日本大震災</a>を知らない世代がやってきます。</p> <p>第二次世界大戦を生き抜いた祖父たちから多くのことを学んできたように、私たちも多くのことを次の世代に手渡していく必要がある、と考えています。</p> <p><br /> それは一言でいえば<strong>「生きる術」</strong>です。</p> <p><br /> 「おばあちゃんの知恵」なんてよく言われます。日々の生活をもっと便利に、もっと豊かにするためのさまざまな知恵です。私からみた祖母はちょうど戦中戦後の世代ですから、モノがない時代を生き抜いた人でした。その状況でいかに生活していくか、というのはまさに生きることそのものです。</p> <p> </p> <p><strong>「生きる術」</strong>は時代によって異なります。<br /> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%D0%B4%EF%BB%FE%C2%E5">石器時代</a>には食糧の確保が生死を分けました。戦争中では殺し合いの中で生き残ることが必要でした。<br /> 現代の日本ではどうでしょうか。</p> <p><br /> それが、私たちが次の世代に手渡していけるものだと、考えます。</p> wand-i 理不尽さとともに生きる〜東日本大震災から2年目に思うこと〜 hatenablog://entry/6435922169449498729 2013-03-02T08:00:28+09:00 2013-03-02T08:00:28+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 もう間もなく、東日本大震災から丸2年になりますね。 そろそろあの地震があったことを忘れた方もいることでしょう。 私は東日本大震災の被災者です。 当時、私は仙台に住んでおり、職場であの地震を体験しました。 震度6弱という強烈な揺れは人生で初めて。すぐにデスクの下に隠れたのですが、重たいレーザープリンターが目の前に飛んでくる、という恐怖体験をしました。もう生きた心地がせず、半ばパニックになっていたようにも記憶しています(※だいぶ回復してきていますが、実は一部記憶の欠落がのこっています)。 地震の影響で東北新幹線は1ヶ月間不通。仙台市内でも2… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p>もう間もなく、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%C6%FC%CB%DC%C2%E7%BF%CC%BA%D2">東日本大震災</a>から丸2年になりますね。<br /> そろそろあの地震があったことを忘れた方もいることでしょう。</p> <p> </p> <p>私は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%C6%FC%CB%DC%C2%E7%BF%CC%BA%D2">東日本大震災</a>の被災者です。</p> <p><img class="hatena-fotolife" title="f:id:wand-i:20130301221247j:plain" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130301/20130301221247.jpg" alt="f:id:wand-i:20130301221247j:plain" /></p> <p>当時、私は仙台に住んでおり、職場であの地震を体験しました。</p> <p>震度6弱という強烈な揺れは人生で初めて。すぐにデスクの下に隠れたのですが、重たい<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%EC%A1%BC%A5%B6%A1%BC%A5%D7%A5%EA%A5%F3%A5%BF%A1%BC">レーザープリンター</a>が目の前に飛んでくる、という恐怖体験をしました。もう生きた心地がせず、半ばパニックになっていたようにも記憶しています(※だいぶ回復してきていますが、実は一部記憶の欠落がのこっています)。</p> <p>地震の影響で東北新幹線は1ヶ月間不通。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%E7%C2%E6%BB%D4">仙台市</a>内でも2〜3日程度の停電と1ヶ月程度のガス停止。地震直後の数週間は物流が滞り、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%AF%CE%E1%BB%D8%C4%EA%C5%D4%BB%D4">政令指定都市</a>であるにも関わらず、食糧やガソリンが不足するという未曾有の事態に陥りました。<br /> 幸い、親戚や友人に死者はありませんでしたが、沿岸部でカキの養殖業を営んでいた母方の実家は津波にのまれてしまいました。祖母らはいまだ<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B2%BE%C0%DF%BD%BB%C2%F0">仮設住宅</a>暮らしです。</p> <p> </p> <p>この地震の体験から私が学んだことは<strong>“人生は不平等で理不尽だ”</strong>ということです。<br /> そして<strong>“それでも我々は生きていかなければならない”</strong>ということです。</p> <p> </p> <h2>“ライフ オブ パイ”と“ヨブ記”</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/savioseb/4947868946/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(89px 550px 239px 0px); margin: -89px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm5.static.flickr.com/4081/4947868946_2d58f6d7ae_z.jpg?zz=1" alt="Bible" /></a>ible / Savio Sebastian</div> <p>先日、<a href="http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/" target="_blank">“ライフ オブ パイ”</a>という映画を観てきました。</p> <blockquote><em>インドで暮らす少年パイが、家業の事情でカナダに引っ越すことになります。家では動物園を経営していたため、貨物には動物たちも積み込んでいます。インドを出発してマニラを経由、太平洋に出たとき、大嵐に遭遇。嵐のために船は沈んでしまいます。かろうじて救命ボートに乗ることができたパイでしたが、そのボートには船に積み込んでいた獰猛な虎も一緒に乗り込んでいたのでした。</em><br /><em> 227日間にもおよぶ漂流生活を送ることになるパイと虎。獰猛な虎であるにも関わらず、パイはなぜ生き残ることができたのか?</em></blockquote> <p>こんなあらすじの映画です。</p> <p>この映画を、私は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B5%EC%CC%F3%C0%BB%BD%F1">旧約聖書</a>の“ヨブ記”のようだと感じました。<br /> “ヨブ記”とはどんな苦難にあっても信仰を捨てなかった男ヨブの物語です。</p> <blockquote><em>ヨブは信仰が厚く、子宝にも財産にも恵まれた祝福された男でした。ある日、神の前にサタンが現れ、ヨブの信仰を試すよう、そそのかします。神はその挑発にのり、ヨブから財産を奪ったり、最愛の者を奪ったりします。それでも信仰を捨てないヨブを、サタンは皮膚病にかからせます。友人たちはヨブに何か悪いことでもしたのではないかと問いかけますが、高潔なヨブには心当たりがなく、反発します。</em><br /><em> ついに神はヨブに語りかけます。最終的に神はヨブの義を認め、以前にもまして豊かな財を与え、140歳まで生き、天寿をまっとうします。</em></blockquote> <p>ヨブ記は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B5%EC%CC%F3%C0%BB%BD%F1">旧約聖書</a>の中でも難解な書であるとされています。<br /> たしかにヨブは最終的にその信仰の厚さを認められて祝福されます。しかし、そもそも神がヨブに試練を与えたのはサタンとの賭けのためでした。<br /> ここから、ヨブ記を「人生は理不尽な出来事に満ちあふれているが、それでもすべてを受け入れ、信仰を失ってはならない」というメッセージが読み取れます。<br /><br /> <span style="font-size: 90%;">※ヨブ記の詳しい解釈はこちらをご参考になさってください。<br /> <a href="http://www2.plala.or.jp/Arakawa/job01.htm" target="_blank">ヨブ物語 01 「ヨブ記とはどのような書か」</a></span></p> <p> </p> <p><a href="http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/" target="_blank">“ライフ オブ パイ”</a>の一番の見所は「パイが逃げ場のない救命ボートの上で獰猛な虎といかに共存したか?」という部分につきます。<br /> しかし、パイが227日間もの漂流生活に至ったのは因果応報でもなんでもなく、ただの偶然にすぎません。そう考えると、パイが突然そんな試練に放り出されてしまったのは、極めて理不尽なことだとも言えます。</p> <p> </p> <h2>人生は理不尽</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/usnavy/5574764988/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(163px 550px 313px 0px); margin: -163px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm6.static.flickr.com/5061/5574764988_f65f77f9a8_z.jpg?zz=1" alt="Tsunami aftermath" /></a>Tsunami aftermath / Official U.S. Navy Imagery</div> <p>私は<strong>“人生は不平等で理不尽なものだ”</strong>と考えています。<br /> 2011年3月11日の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%EC%C6%FC%CB%DC%C2%E7%BF%CC%BA%D2">東日本大震災</a>で被災して、その考えをいっそう強くしました。</p> <p>幸い、私自身は部屋がめちゃくちゃになった程度で済みました。<br /> 一方で、祖母は津波で家を流されてしまいました。<br /> 死者はなかったものの、怪我をしたり仕事を失った親戚がいます。<br /> 津波にのまれながらなんとか生きのびた友人もいます。</p> <p>もしあの地震が因果応報の結果であるとしたら、私の祖母や友人らにはどんな罪があったのでしょうか?<br /> 私の祖母はごくごく素朴に暮らしていた養殖業者です。頑固な祖父と結婚し、戦後のモノが少ない時代に5人の子どもを育て上げました。唯一悪いことといえば、夫の頑固さ加減にうんざりして一度家を飛び出したことくらいですが、それで家まで奪われるいわれはありません。</p> <p>だから、私自身はあの地震を<strong>「極めて理不尽なできごと」</strong>と受け止めています。<br /> その後の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B8%B6%C8%AF">原発</a>事故などまで含めて「奢った人類への警鐘」ととらえる方もいらっしゃいます。<br /> が、私は「意味などなく、ただとても理不尽な出来事がおこった」と考えています。<br /> もちろん、地震によって防災意識の高まりや市民の政治意識の高まりがあったことはたしかです。けれども、それらは結果にすぎず、地震そのものの意味ではない、と私は考えます。それはまるで、神がサタンとの賭けでヨブを不幸に陥れたかのようです。</p> <p> </p> <h2>それでも生きていく</h2> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/gagilas/1506052316/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(135px 550px 285px 0px); margin: -135px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm3.static.flickr.com/2159/1506052316_5a98babb8a_z.jpg?zz=1" alt="oh no" /></a>oh no / gagilas</div> <p>幸いなことに、私はまだ生きています。<br /> それは「地震があった」ということと同じくらい、たしかな事実です。<br /> <span style="font-size: 90%;">※「生きている」ということそのものに対する疑義もあるでしょうけれど、それは今回は考えないことにします。</span></p> <p><strong>「人は皆、しあわせになるために生まれてくるんだよ」</strong><br /> そんなことばをあちこちで目にします。<br /> そのように考えることで救われる方がたくさんいらっしゃることは、私も知っています。<br /> けれど、その言葉そのものをこころから支持することは、私にはできません。<br /> 人が皆しあわせになるために生まれてきたのなら、なぜあの地震でなんの罪もない2万人近くの人たちが犠牲になったのですか?</p> <p> </p> <p>私たちの目の前にあるのは、<strong>生と死というきわめてシビアな現実</strong>です。<br /> その現実を直視せずにキラキラと上辺を飾ったことばにすがっても意味はないと、私は考えます。その上で、自分にとってのしあわせとはなんだろうかと、考えていかなければいけません。</p> <p>そのシビアな現実のなかで生きていく、と私はあの地震のあとにこころに決めました。</p> wand-i 絵描きにもビジネス感覚が必要な理由 hatenablog://entry/6435922169449470391 2013-03-01T08:04:35+09:00 2013-03-01T08:04:36+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 私は「絵を描くこと」をきちんとビジネスとして成立させたいと考えています。絵描きとビジネスとは一般的にあまり結びつかないと考えられているのではないでしょうか。こんなふうに考える方もいらっしゃるかもしれません。 「絵描きがお金儲けなんか考えてはいけない、金儲け主義に走ってはいけない」 ここで言うビジネスとは「事業で収益を上げ、その収益で事業を継続させること」です。この「事業」と「絵を描く」こと。絵を描き続けられるようにすることです。 事業を続けていくにはお金が必要です。そのお金をいかに獲得するか、が事業を行う上で最大の問題になります。 「絵… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p>私は「絵を描くこと」をきちんとビジネスとして成立させたいと考えています。<br />絵描きとビジネスとは一般的にあまり結びつかないと考えられているのではないでしょうか。こんなふうに考える方もいらっしゃるかもしれません。</p> <p> </p> <p><span style="color: #cc0000;"><strong>「絵描きがお金儲けなんか考えてはいけない、金儲け主義に走ってはいけない」</strong></span></p> <p> </p> <p>ここで言うビジネスとは<strong>「事業で収益を上げ、その収益で事業を継続させること」</strong>です。この「事業」と「絵を描く」こと。絵を描き続けられるようにすることです。<br /> 事業を続けていくにはお金が必要です。そのお金をいかに獲得するか、が事業を行う上で最大の問題になります。</p> <p> </p> <p><strong>「絵だけでは食っていけない」</strong>という友人が多数います。<br /> 彼ら彼女らは会社に就職したり、アルバイトをしたりして「絵を描く」という事業をなんとか継続させています。やがて会社やアルバイトの方が忙しくなり、お金は獲得できても絵が続けられない、という状況に陥ることもしばしばです。そうやって絵をあきらめた友人知人を多数知っています。</p> <p>もし「絵を描き続けたい」と考えるのなら、それを継続させるのに必要な資金を得ていく必要があります。それにはビジネス感覚が必要なのです。</p> <p> </p> <p>「絵では食っていけない」のには二つの理由があるように思います。<br />日本の文化的な問題と、絵描き自身の問題です。</p> <p> </p> <h2>日本の文化的な問題点</h2> <p>日本の文化的な側面がひとつ、絵描きが食べていけない理由として挙げられます。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/14646075@N03/3551801597/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(193px 550px 343px 0px); margin: -193px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm4.static.flickr.com/3310/3551801597_3f45db77c1_z.jpg?zz=1" alt="Museum Brandhorst" /></a>Museum Brandhorst / digital cat </div> <p> </p> <p><strong>「日本ではアートにお金を払う文化がない」</strong>とよく言われます。<br /> 欧米に比べればその傾向は確かに強いでしょう。そのために、日本では生活を成り立たせるだけのお金を得ることが難しい。その結果、文化として根付く前に文化を担う人間が育っていきません。負の連鎖が続いていくのです。</p> <p>しかし、そうした環境的な問題だけではないように、私は思います。</p> <p> </p> <h2>絵描き自身の問題点</h2> <p>絵を描く側にも問題があると、私は考えています。</p> <p>それは<strong>「売り方を知らない」</strong>ということです。</p> <p> </p> <div style="position: relative; height: 150px; width: 550px; padding: 1px; background: #333;"><a href="http://www.flickr.com/photos/betsyweber/5056456076/" target="_blank"><img style="position: absolute; clip: rect(117px 550px 267px 0px); margin: -117px 0 0 0px; padding-bottom: 5px;" src="http://farm5.static.flickr.com/4153/5056456076_a40ecd7022_z.jpg?zz=1" alt="Business of Software - questions from audience" /></a>Business of Software - questions from audience / betsyweber</div> <p> </p> <p>「売り方を知らない」のには二つの理由が考えられます。</p> <ul> <li><strong>「良い絵を描いてさえいればいつか売れる」という思い込み</strong></li> <li><strong>お金は汚い、お金儲けは悪いことだ、という思い込み</strong></li> </ul> <p>これらが売り方を考えることから目をそらせる一因になっているようです。<br /> この問題点については別の記事にしてありますので、ご覧になってください。</p> <ol> <li><a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/01/31/080927">あなたはゴミを売れますか?</a></li> <li><a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/11/105609">「良いものはかならず売れる」のウソ</a></li> <li><a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/02/13/111814">営業嫌いの背後にあるもの</a></li> </ol> <p>私は「絵を描き続けたい」と願っています。<br /> そのためにはお金が必要です。<br /> ただ待っていてもお金は入ってきません。売り方を考える必要があるのです。<br /> <strong>「売り方」とはつまりビジネス戦略のこと。</strong><br /> 「何を」「誰に」「どこで」「どんなふうに」売るのか、を徹底的に考えることです。</p> <p> </p> <p>ビジネスの観点をもって考えられる絵描きがひとりでも増えてほしい、と私は考えています。<br /> 少しでも自分の面倒を自分でみられるようになれれば、生活が苦しいために絵をやめてしまう、ということが少なくなるでしょう。その結果、絵描きがすこしずつ育っていきます。それは文化を育てることに等しい。</p> <p> </p> <p>これが私の願いです。</p> wand-i 名刺は紙までこだわりたい hatenablog://entry/6435922169449447775 2013-02-28T08:36:13+09:00 2013-02-28T08:36:13+09:00 w'AND illustration代表の佐藤祐輔です。 遅ればせながら、2月に入ってからw'AND illustrationの名刺が正式に完成しました。 まずホームページを完成させてから、と考えていたからです。名刺にURLを載せているのにいってみたら「Under Construction」では格好がつきませんよね。 ※これは表面です。裏面に連絡先等を記載しています。 名刺ができたら今度はそれを配る段階です。 異業種交流会など、名刺交換をする機会のある場になるべく参加するようにしています。 そこでいただいた名刺はストックし、連絡先の他、「どんなデザインをしているのか?」の参考にもします。これも… <p><a href="http://wand-i.com/" target="_blank">w'AND illustration</a>代表の佐藤祐輔です。</p> <p>遅ればせながら、2月に入ってからw'AND illustrationの名刺が正式に完成しました。<br /> まずホームページを完成させてから、と考えていたからです。名刺にURLを載せているのにいってみたら「Under Construction」では格好がつきませんよね。</p> <center> <p><span><img class="hatena-fotolife" title="f:id:wand-i:20130228082139j:plain" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130228/20130228082139.jpg" alt="f:id:wand-i:20130228082139j:plain" /></span></p> <p><span style="font-size: 90%;">※これは表面です。裏面に連絡先等を記載しています。</span></p> </center> <p>名刺ができたら今度はそれを配る段階です。<br /> 異業種交流会など、名刺交換をする機会のある場になるべく参加するようにしています。<br /> そこでいただいた名刺はストックし、連絡先の他、「どんなデザインをしているのか?」の参考にもします。これも勉強のひとつです。</p> <p> </p> <h2>紙にこだわりました</h2> <p>w'ANDの名刺は名刺交換の場などではなかなか評判が良いようです。<br /> デザインもしっかりしましたが、なにより使っている用紙の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A4%A5%F3%A5%D1%A5%AF">インパク</a>トが大きいのでしょうか。</p> <p>使っている用紙はエキストラヌーボという厚手の用紙。<br /> <a href="http://wand-i.hatenablog.com/entry/2013/01/26/112433" target="_blank">“不死鳥をモチーフにした名刺”</a>でもご紹介した高級紙です。<br /> 厚手でしっかりしており、表面はマットでかすかに凹凸のある上品な手触りになっています。<span style="line-height: 1.5;">厚みがあることで重厚感が出、表面をマットにすることで落ち着きを演出します。こうした紙の特徴は自分を安っぽく見せないと同時に、安心感・信頼感をもたらすと考えられます。</span></p> <p> </p> <center> <p><span><img class="hatena-fotolife" title="f:id:wand-i:20130228082149j:plain" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130228/20130228082149.jpg" alt="f:id:wand-i:20130228082149j:plain" /></span></p> <p><span style="font-size: 90%;">※用紙は厚手のものを使用。簡単には折り目がつきません。</span></p> </center> <p> </p> <center> <p><span><img class="hatena-fotolife" title="f:id:wand-i:20130228082155j:plain" src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/w/wand-i/20130228/20130228082155.jpg" alt="f:id:wand-i:20130228082155j:plain" /></span></p> <p><span style="font-size: 90%;">※表面にはかすかな凹凸があり、触り心地も良いです。</span></p> </center> <p> </p> <h2>名刺は相手の手元に残るものです</h2> <p>デザインにはこだわっても用紙にまでこだわっている名刺は少ないように思います。<br /> 前職の仕事上、たくさんの方と名刺交換をしました。大手企業の社長や役員の方の名刺もいただきました。<br /> 残念なことに、重役級の方々の名刺でも薄いぺらぺらの用紙が使われていることが少なくありません。気さくな印象は受けますが、信用に結びつくかどうかは疑問です。</p> <p><strong>名刺は相手の手元に残るものです。</strong><br /> スーツや時計、財布といった持ち物にこだわる方は多くいらっしゃいますが、それらは相手の手元には残りません。もちろん印象には残るでしょう。けれど、後から名刺を見返してどんな人だったかを思い出すことが多いはずです。そのときに安っぽい名刺だったらどうでしょうか?<br /> ※過去何度か、<span style="text-decoration: underline;">四辺にミシン目から切り取った跡のある名刺</span>をいただいたことがあります。市販の名刺印刷用紙に自分でプリントしたものでしょう。そこでまっさきに思うのは<strong>「あ、予算がないんだな」</strong>ということです。</p> <p><strong>「人の印象は見た目で決まる」</strong>とよくいわれます。<br /> 加えて、名刺は相手が触るものです。<strong>視覚情報と触覚情報で相手に自分を印象づけられる機会</strong>であるとも言えます。<span style="line-height: 1.5;">用紙にこだわって触覚情報による印象を上手にコントロールすることも十分ありだと、私は考えます。</span></p> <p> </p> <h3>参考:様々なデザイナー名刺</h3> <p>こちらでたくさんの素敵な名刺が紹介されています。</p> <ul> <li><a style="line-height: 1.5;" href="http://blogof.francescomugnai.com/2013/02/25-new-business-cards-best-of-february-2013/" target="_blank">25+ new business cards – Best of February 2013</a></li> <li><a style="line-height: 1.5;" href="http://www.myinkblog.com/100-awesome-and-original-business-cards-from-designers/" target="_blank">100 Awesome and Original Business Cards from Designers</a></li> <li><a style="line-height: 1.5;" href="http://matome.naver.jp/odai/2132581576426396501" target="_blank">『さすがデザイナー…!』と思わされるクリエイティブな名刺デザイン集</a></li> </ul> <p>こういった名刺をもらえたときのプレミア感はきっとすごいでしょう。なかには保管に困るような名刺もありそうですけれども・・・</p> wand-i