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	<title>大前研一ニュースの視点blog アーカイブ | 株式会社Aoba-BBT</title>
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	<description>幼児から経営層までの生涯学習プラットフォーム株式会社Aoba-BBTは、「知のネットワークは人間の能力を無限に伸ばす」をミッションに、インターナショナルスクール、企業研修、オンライン大学・大学院（MBA）などの教育サービスを提供しています。</description>
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	<title>大前研一ニュースの視点blog アーカイブ | 株式会社Aoba-BBT</title>
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		<title>KON1134：AIバブル論争・ローマ教皇の警鐘、SpaceX史上最大IPO、原発建て替え方針</title>
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		<pubDate>Thu, 11 Jun 2026 03:06:43 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[ホロウィッツ氏「AIはバブルではない」とAnthropic評価額154兆円──過熱論争の中で見えてきたもの 米大手ベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィ &#8230; <span class="c-button is-more">続きを見る</span>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h4><b>ホロウィッツ氏「AIはバブルではない」とAnthropic評価額154兆円──過熱論争の中で見えてきたもの</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">米大手ベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツのベン・ホロウィッツ氏が日本経済新聞のインタビューに応じ、「アプリケーションや基盤モデル、半導体、電力などAI関連のすべての分野で需要が拡大しており、バブルとの指摘は当たらない」との見方を示しました。一方で米国ではAIの負の側面に対する市民の懸念が強く、新規参入を排除するため規制に頼る動きがあるとも指摘しました。並行して米Anthropicは5月28日、シリーズH資金調達ラウンドで650億ドル（約10兆円）を調達し、投資後の評価額が9650億ドル（約154兆円）に達したと発表。直近の年換算売上高（ARR）は470億ドル（約7.5兆円）規模で、2025年末から数か月で5倍規模に拡大しました。6月1日にはIPOに向けた書類を米証券取引委員会（SEC）に提出しています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ホロウィッツ氏が言っているのは、これはかつてのITバブルとは抜本が違う、新しい時代への期待値であって単なるバブルではない、という見方です。私はこの指摘自体には一定の正当性があると考えています。ただし問題は、AIがこれだけ解き放たれた時に、人間がそれを制御できるのかという点です。ホロウィッツ氏はそこには明確な答えを出していません。インタビュアーがそこを掘り下げなかったのかもしれませんが、いずれにせよ「バブルではない」というのは一つの重要な見解として記録しておくべきです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">Anthropicの売上が短期間で年率7.5兆円規模まで膨らんだのは、産業史でも珍しいスピードです。それでも開発投資が先行し、損失を計上している。AI企業に共通する構図は「需要は無限大、しかし計算インフラへの投資は無限大に近く必要」というものです。この需要と投資の競争に勝ち抜いた企業が、AIの世界を支配する。Anthropicの評価額がOpenAIに迫る規模に拡大したのは、Claude Codeなどの企業向けエージェント領域での成功が背景にあります。日本企業も「AIを誰から買うか」だけでなく「どう自社の競争力に転換するか」を真剣に考える局面に来ています。</span></p>
<h4><b>ローマ教皇レオ14世が初の回勅「マニフィカ・フマニタス」──AI時代の人間の尊厳を問う</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">ローマ教皇レオ14世は5月15日、就任後初の回勅「マニフィカ・フマニタス（偉大なる人間性）」に署名し、5月25日に公表しました。回勅は、厳密にはカトリックの司教宛ての書簡ですが、近年では教皇が世界に発したメッセージの性格もあり、、AI時代における人間の尊厳保護をテーマとしています。教皇はAIの技術そのものを敵視するべきではないとしつつ、新たな形で人間の尊厳が脅かされている今、人間性を守り抜くことが責務だと訴えました。これは135年前にレオ13世が産業革命の弊害を指摘した回勅「レールム・ノヴァールム」と精神的に対をなす重要な発信です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">回勅の指摘には、耳を傾けるべきものが多くあります。AIには多くの落とし穴があり、偏見や誤解に満ちた加工画像・動画に私たちは晒されている。AI開発者は特に倫理的・精神的責任を負うべきで、権力者にはAIがもたらす脅威を抑制する責任がある。これが大きなメッセージです。私が特に重要だと考えているのは、戦争におけるAI使用への批判です。人間が兵器を制御する範囲が狭くなり、何が正義か分からなくなる。脅威の予測をAIに任せ、犠牲者を単なるデータとして扱う傾向が強まれば、紛争はますます起こりやすくなる。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一つ重要なのは「デジタル奴隷化」への警鐘です。教会はかつて奴隷制への対応に遅れたという反省を踏まえ、今回はAIによる人間の搾取が常態化するリスクに対し、先んじて警告を発しました。レオ14世がここまで踏み込んでAI問題に発言したのは、政治的な指導者の中に十分な抑制者が見当たらないことへの強い懸念の表れでもあると、私は受け止めています。AI規制の議論は技術論を超えて、倫理と統治の領域に踏み込みつつあります。</span></p>
<h4><b>SpaceXが史上最大のIPO──時価総額283兆円、ただし議決権8割超を1人が掌握</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">米SpaceXは6月3日、新規株式公開（IPO）に伴う公募で750億ドル（約12兆円）を調達する計画を発表しました。公開価格は1株135ドル、時価総額は約1兆7700億ドル（約283兆円）。米ナスダック市場に6月12日にも上場する見通しで、調達額・時価総額ともに米国IPO史上最大となります。2019年に上場したサウジアラムコ（約290億ドル）を大きく上回ります。注意点として、中国本土・香港の投資家は対象から除外されています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">問題は中身です。SpaceXという一つの上場体に、衛星通信「スターリンク」、ロケット打ち上げ、軍事衛星「スターシールド」、そしてイーロン・マスク氏が取り込んだxAI（AIモデル「Grok」を開発）まで含まれています。これらは性質の異なる事業で、ロケット打ち上げに支障が出ればスターリンクにも波及する、AI事業の不振が宇宙事業の評価を引き下げる。こうした相互依存リスクが投資家には見えにくい。むしろバラバラに分けて、それぞれの将来性を市場に評価させる仕組みを整えてもらいたい、というのが投資家の本音ではないかと思います。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一つ重要なのは、ガバナンスの問題です。マスク氏はIPO後も議決権の82%超を保持し、1人で意思決定を握り続ける。テスラを保有していて株価が下落基調にある中、テスラとSpaceXの関係をどう整理するのかも不透明です。「言うことが頻繁に変わる」とも評される経営者が議決権の8割を持つ会社を、ナスダックが上場を認めるという判断には、企業ガバナンスの観点から疑問の声もあります。2025年12月期の最終損益は約7800億円の赤字。それでも283兆円という評価が成立するのは、衛星と宇宙とAIを束ねる「夢」が市場に織り込まれているからです。すべてうまくいけば壮大な物語ですが、現実とのギャップは小さくないと、私は見ています。</span></p>
<h4><b>マイクロン時価総額1兆ドル超──日本の半導体メーカーが見送った会社が世界を変えた</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">米マイクロン・テクノロジーの株価が5月26日、前週末比19%高の895ドル88セントで取引を終え、時価総額が1兆100億ドル（約159兆円）の大台に乗せました。AIデータセンター向けの需要急増でメモリーの逼迫が中長期で続くとの見方から、メモリー大手にマネーが殺到しています。同社の時価総額は昨年末比3倍超に拡大し、日本のキオクシア、韓国のサムスン電子・SKハイニックスもこの流れに乗って大幅高となっています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">実は、このマイクロンには日本にとって苦い記憶があります。私がマッキンゼーに在籍していた1980年代、当時のマイクロンは経営難に陥り、買収先を探していました。日本の半導体メーカー5、6社を回って打診したのですが、すべての企業から「いらない」と断られたのです。当時の日本の半導体は世界市場を席巻していて、「我々が世界を制覇する」という空気でした。マイクロンの源流は1978年にアイダホ州ボイシで4人のエンジニアが歯科医院の地下室で創業した小さな半導体設計会社で、1980年にアイダホの著名な実業家J.R.シンプロット氏（冷凍ポテトの開発で世界的に知られる）の出資を受けて事業基盤を固めたという経緯があります。日本の大手メーカーから見れば「素人の半導体会社」に映ったわけです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">それから40年余りが経ち、日本のDRAMメーカーはほぼ撤退し、マイクロンが2013年にエルピーダメモリを買収するという皮肉な構図になりました。そして今、AIメモリーの主役として時価総額159兆円。1980年代に「いらない」と断った企業が、これだけの会社に育つというのは</span><span style="font-weight: 400;">歴史の皮肉です。当時の判断を今さら問うても始まりませんが、技術の本質と市場の将来を見抜く力がいかに重要か、改めて思い知らされる事例です。米国市場で半導体関連の時価総額上位を見ると、NVIDIA、TSMC、ブロードコム、マイクロン、ASML、ARMと続き、東京エレクトロンが末席に入る程度。日本の半導体産業の現在地を直視する必要があります。</span></p>
<h4><b>ヤマダ・エディオン経営統合──「対等統合」の落とし穴と中国家電への向き合い方</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">家電量販大手のヤマダホールディングスとエディオンが経営統合する方針が明らかになりました。持株会社を設立し2社を傘下に置く案を軸に検討するとみられ、人口減少で市場の縮小が見込まれる中、両社は統合により商品開発力を強化し、経営の効率化を図る考えです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">率直に言って、私はこの統合だけでは課題は解決しないと考えています。家電量販店の本質的な問題は、日本の家電メーカーから仕入れる商品が国際競争力を失っていることです。今やテレビや白物家電の多くは、中国のTCL、ハイセンス、ハイアール、シャオミ、美的（Midea）など中国系メーカーの製品です。日本ブランドで売られているものも、実態は中国メーカーが製造しているケースが少なくない。家電量販店が生き残るには、香港や中国に強力な購買部隊を置き、中国メーカーに「日本向け仕様」の商品を直接開発させる仕組みを作る必要があります。これは規模の問題ではなく、購買戦略の問題です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">「対等統合」自体にも落とし穴があります。日本の対等統合の多くは、実態として一方が他方を吸収する形に収斂してきました。三井住友、三菱UFJといった金融再編がその典型です。一方、富士製鉄と八幡製鉄が新日本製鉄として一緒になった例は、対等統合の数少ない成功例です。なぜ成功したか。当時のトップが人事を徹底的にフェアに扱い、社長を富士製鉄出身と八幡出身で交互に出すという公平性を貫いたからです。これがなければ、対等は建前で終わります。ヤマダとエディオンが対等統合の難しさを乗り越えて真の効率化を実現できるかどうか。鍵は人事と購買戦略にあると、私は見ています。</span></p>
<h4><b>政府の14万社「買い叩き」調査──省庁・自治体に必要なのは「聞き取り」より「駆け込み」の仕組み</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">政府が中小企業14万社を対象に、国や地方自治体による公共工事や物品調達の際の「買い叩き」の実態を聞き取り調査する方針が明らかになりました。発注者の省庁・自治体がどの程度価格転嫁に応じたかを数値化し、ランク付けして省庁・自治体別に結果を公表するというものです。高市首相は「賃上げを事業者に丸投げせず、継続的に賃上げできる環境を整備する」と強調しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">率直に申し上げて、この仕組みは効果が薄いと私は思います。省庁・自治体による買い叩きは、日常的に発生しているのが現場の実態です。14万社に対して「叩かれていますか」と聞き取りをして、各企業が正直に回答すると本気で考えているのでしょうか。発注者である自治体や省庁に依存している中小企業が、契約を打ち切られるリスクを冒してまで実名で告発するのは、現実的に難しい。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">むしろ必要なのは、公正取引委員会のような独立性の高い機関の中に「駆け込み窓口」を設けて、匿名でも通報できる仕組みを作り、そこに集まった情報をもとに発注者の自治体・省庁を直接調査することです。聞き取り型ではなく、駆け込み型に切り替えなければ、買い叩きは温存され続けます。こうした構造的な問題に踏み込まずに14万社へ紙のアンケートを配っても、現場の負担を増やすだけで、根本的な改善にはつながりません。賃上げの環境整備というのなら、まず発注者側のガバナンスを正す仕組みを作るべきです。</span></p>
<h4><b>原発2〜5基建て替え目標──往復20年かかるプロセスを、AI時代の電力需要に間に合わせられるか</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">経済産業省は6月5日、原子力政策の行動指針改定案を有識者会議に提示しました。2040年代までに原発を2〜5基、設備容量で220万〜550万キロワットを建て替える目標を掲げ、さらに2050年代までに計11〜14基、1270万〜1600万キロワットを目指す内容です。福島第一原発事故以降、政府が具体的な建て替えの数値目標を示すのは初めてで、AI普及によるデータセンター増設など電力需要の増加が背景にあります。今後パブリックコメントを経て、原子力関係閣僚会議で正式決定する見通しです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日本の原子炉の現状を見ると、すでに廃止が決定したものが27基、計画中はほぼ停止、建設中の青森・東通や島根周辺も住民の反対などで止まっています。50年を超えた原発、40〜49年経過した原発を順次廃炉すると、2040年以降は深刻な供給力不足になる。だから建て替えるしかない、というのが経産省の論理です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私が懸念しているのは、時間軸です。経産省の構想では、住民合意のある既存原発の立地に新型原子炉を建てるのが現実的な選択肢です。ところが廃炉には10年、建設にもさらに10年、合計で往復20年かかります。2040年まで残り14〜15年では、計算が合わない。さらに深刻なのは人材です。福島事故以降、原子力工学を志す若者が激減し、現役のエンジニアの多くは2040年までに定年を迎えます。私はかつてMITで原子力工学を学びましたが、米国でもスリーマイル島事故の後、入学者が激減しました。建て替えを本気で進めるなら、原子力を「廃炉・除染工学」や「環境工学」として再定義し、若い世代に魅力ある分野として打ち出す。場合によっては、原発を多数建設しているインドや中国、ロシアから技術者を招くことも視野に入れざるを得ません。それくらいの危機感をもって取り組まなければ、目標達成は難しいと、私は考えています。</span></p>
<h4><b>26卒の内定率8割が示すもの──大学4年制の見直しが必要な時期に来ている</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">2027年卒の大学生の5月1日時点の内定率が8割に達し、17年卒に比べて2.6倍に拡大したことが分かりました。就活ルールの見直しは「大学院修了の学生から適用する」ことで早期化と長期化の是正を狙ったものでしたが、実際には逆に内々定の取得時期が早まる結果になっています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もしも大学3年生のうちに8割が内定をもらってしまうのなら、現実的には大学を3年制にしてしまえばよい、というのが私の見方です。内定をもらった学生が大学4年生でゼミやインターンに本腰を入れて取り組むかというと、現実はそうなっていません。同じことが高校でも起きています。推薦入試で進学先が決まった生徒は、3年生の後半に学力を伸ばす機会を失います。大学2年生で推薦をもらえば、3年生は実質的に「待ち時間」になってしまう。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一つ提案したいのは、大学1年生の教養課程の見直しです。教養課程の多くは高校で履修した内容と重複していて、現代の学生にとって新規性が乏しい。教養課程で扱うべき内容は高校段階に組み込み、大学に入ったら最初から専門課程に集中する。そうすれば3年で十分です。実際、私たちが提携しているオーストラリアのボンド大学では、学位取得期間がどんどん短縮されています。学生側も「ディグリーだけもらえばいい」という発想ではなくなり、大学側も柔軟に応えている。日本の文部科学省が「4年制」という枠組みを固守する理由は、すでに見直しの時期に来ていると私は考えます。「いい統計が出てきた」というのは、皮肉ではなく事実として、26卒の内定率がそれを示しているのです。</span></p>
<h4><b>プーチンがゼレンスキーの首脳会談提案を拒否──「公開書簡」では和平交渉は成立しない</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">ロシアのプーチン大統領は5日、ウクライナのゼレンスキー大統領が和平に向けて提案した首脳会談について「まだ意味を見出せない」として拒否する考えを示しました。提案はゼレンスキー氏が4日、ウクライナ大統領府のサイトに書簡として掲載したものです。提案の中で高齢を指摘されたことについて、プーチン氏は「重要なのは年齢ではなく能力」と反論したほか、書簡を公にしたこと自体についても「正しくない」と批判しました。並行して、ロシア財務省と中央銀行の当局者が、現行の国防支出水準では財政赤字が危険なほど拡大するとクレムリンに進言したことも明らかになっています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">和平交渉の進め方として、ゼレンスキー氏の今回のやり方には疑問があります。本当に首脳会談を実現したいなら、極秘ミッションを派遣して非公開でメッセージを伝えるのが外交の作法です。それを自分のサイトで「公開書簡」として発信してしまえば、プーチン氏はメンツを潰される形になり、応じる選択肢を実質的に奪われます。米イラン交渉でカタールが、米ロ交渉でかつてトルコが果たした役割のように、第三国の仲介を使うのが定石です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">一方で、戦況は確実に動いています。ウクライナのドローン製造能力が向上し、サンクトペテルブルクなどロシアの中枢都市まで攻撃が届くようになりました。ロシアの財政も限界に近づいていて、財務省と中央銀行が「国防支出を削減すべき」と異例の進言を行ったのは、ウクライナ侵攻以降、最も深刻な政府内対立の表面化です。これにプーチン氏は「紙幣を刷ればよい」という単純な発想で対応しようとしているとされますが、その先にあるのはルーブル危機です。戦況がロシアに不利になりつつある今こそ、和平交渉の進め方を冷静に組み立て直す必要があります。ゼレンスキー氏には、感情ではなく技術としての外交を期待したいと、私は思います。</span></p>
<p>&#8212;この記事は2026年6月7日にBBTchで放映された<a href="https://bb.bbt757.com/kolive/?_ga=2.197486639.1266471034.1715034600-1855593559.1691658667">大前研一ライブ</a>の内容を一部抜粋し編集しています。</p>
<p><a href="https://bb.bbt757.com/kolive/index.html"><img fetchpriority="high" decoding="async" src="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg" alt="" width="980" height="654" class="alignnone size-full wp-image-2968" srcset="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg 980w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-512x342.jpg 512w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-768x513.jpg 768w" sizes="(max-width: 980px) 100vw, 980px" /></a></p>
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		<title>KON1133：鈴木敏文氏死去、国家情報会議設置法成立、アクゾノーベル買収提案</title>
		<link>https://aoba-bbt.com/ohmae_blog/5851/</link>
		
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		<pubDate>Thu, 04 Jun 2026 01:30:58 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[セブン&#38;アイ名誉顧問・鈴木敏文氏死去──「コンビニの父」が遺した功績と組織の課題 セブン&#38;アイ・ホールディングス名誉顧問の鈴木敏文（すずき・とし &#8230; <span class="c-button is-more">続きを見る</span>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h4><b>セブン&amp;アイ名誉顧問・鈴木敏文氏死去──「コンビニの父」が遺した功績と組織の課題</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">セブン&amp;アイ・ホールディングス名誉顧問の鈴木敏文（すずき・としふみ）氏が5月18日、心不全のため死去しました。93歳。長野県出身、1956年に中央大学経済学部を卒業後、出版取次大手の東京出版販売（現トーハン）を経て、1963年にイトーヨーカ堂に入社しました。1973年、米サウスランド社からセブン-イレブンの運営ライセンスを取得し、ヨークセブン（現セブン-イレブン・ジャパン）を設立。1974年に東京・豊洲に国内コンビニ1号店を出店しました。1992年にイトーヨーカ堂の社長に就任、2005年にはセブン&amp;アイ・ホールディングスを発足させ会長兼CEOに。2016年5月、後継人事案の否決を受けて会長兼CEOを退任し、名誉顧問に就いていました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">鈴木氏は、ある意味で経営の天才と言える方です。日経新聞などは追悼記事で彼の功績を全面的に取り上げていますが、私の評価はそれを100とすればおおむね90にとどめておきたい。残る10は、創業家の伊藤雅俊氏との関係にあります。セブン-イレブンの仕組みをアメリカから日本に導入したのは鈴木氏ですが、それを経営者として決断し、鈴木氏を後押ししたのは伊藤雅俊氏であり、伊藤氏の判断がなければ、今日のセブン-イレブンの成功はなかったでしょう。伊藤氏の信任の下、野村総研と組んで本部のシステムを構築し、棚割り・発注・物流のすべてを数値で管理する経営手法を確立し、おにぎりやおでんといった日本独自の商品開発も含めて、日本のコンビニ文化を作ったのは間違いなく鈴木氏です。「セブンを冷蔵庫代わりに使う」という独身者のライフスタイルまで生み出した。生活インフラとしての貢献は極めて大きい。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">しかし、最後の数年で創業家との関係が決定的にこじれてしまった。鈴木氏が次男の鈴木康弘氏をオムニチャネル戦略の責任者に据えるなど要職に登用したことが「世襲」との見方を呼び、それに反発した伊藤家側との力学が、2016年の人事案否決と退任劇につながりました。私が残念に思うのは、もっと素晴らしい経営を続けられたはずの方が、創業家との折り合いの問題でその晩節を難しいものにしてしまったことです。なお、本社のあるセブン&amp;アイ本社は弊社から目と鼻の先で、伊藤さんとも鈴木さんとも何度かお会いしてきました。だからこそ、両氏の対立とその後の混乱は本当に惜しまれます。ご冥福をお祈り申し上げますとともに、鈴木氏の貢献の大きさを改めて記録しておきたいと思います。</span></p>
<h4><b>国家情報会議設置法成立──インテリジェンス強化への第一歩、課題は「情報規律」</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">高市政権の看板政策である国家情報会議設置法が5月27日に成立し、政府は7月にも新組織を発足させる見通しとなりました。各省庁が担う情報を一元的に集約し、安全保障や外交などに関する重要情報を首相官邸へ迅速に届ける機能を担うもので、首相を議長とする「国家情報会議」と、内閣情報調査室を格上げした「国家情報局」の2つを新設します。AI時代に対応するため技術系の専門人材の確保を進めるほか、将来的には海外で情報収集を行う「対外情報庁（仮称）」の設立や、機密漏えい行為の厳罰化、外国代理人登録法の制定も検討されています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">インテリジェンスはどこの国にもある仕組みで、ようやく日本もこういう時代になったという思いがあります。私自身もアメリカ留学中の論文が米海軍関連の仕事で、原子力潜水艦ノーチラス号の事故原因の研究に携わり、その際に機密区分（クリアランス）を取得した経験があります。各国はこのような情報取扱いの規律を当たり前のように体系化している。インテリジェンスは大きく5分野に分かれます。ヒューミント（HUMINT、人的情報）、シギント（SIGINT、信号情報）、イミント（IMINT、画像情報）、マシント（MASINT、計測・痕跡情報）、そしてオシント（OSINT、公開情報）です。今回の法律ではこれらの定義や運用ルールに踏み込んでおらず、これからの課題として残ります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一つ気になるのは、日本の情報規律の弱さです。これでは「ファイブ・アイズ」（米英加豪NZの情報共有枠組み）に日本を加える話が進まないのも当然です。今回の組織も内閣府、各省庁を本当にまたいで動けるのか、運用次第です。さらに、ハニートラップ対策、内部の異常行動のモニタリングなど、合法と違法の境目をどう設計するかも欠かせません。仕組みを作っただけで満足せず、運用と文化、そして法律の隙間を埋める作業が「第2弾」「第3弾」として続いていく必要があります。</span></p>
<h4><b>日比首脳会談──「包括的・戦略的パートナーシップ」格上げと武器輸出</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">高市首相は5月28日、国賓として来日したフィリピンのマルコス大統領と会談しました。両首脳は両国関係をフィリピンにとって初となる「包括的・戦略的パートナーシップ」に格上げすることで一致したほか、外務・防衛担当閣僚協議（2プラス2）の早期開催やアメリカを交えた3カ国連携の推進でも合意しました。安全保障分野では、秘密軍事情報保護協定（GSOMIA）の正式交渉開始や、「あぶくま」型護衛艦の移転に向けた防衛当局間協議の加速でも一致しました。実現すれば、日本として殺傷能力のある武器輸出の第1号案件となる可能性があります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">現在のマルコス大統領は、フィリピンの長期独裁で知られた故マルコス元大統領のご子息で、副大統領を務めてきたサラ・ドゥテルテ氏との関係が冷え込んでいると報じられています。父・マルコス元大統領の時代には公共事業をめぐる腐敗が深刻な問題となり、私自身も当時、関係する企業がフィリピンで公共工事に入札した際、別のグループから「イメルダ夫人にプラス25%渡してほしい」と要求された経験があります。腐敗の根深さは並大抵ではない。現大統領自身に同じ問題があるわけではありませんが、フィリピン政界の構造に根を張った「ギブミーマネー」の文化は、今も残っていると私は見ています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">中国に対するフィリピンの懸念は日本と共通しています。南シナ海で激しく対立するフィリピンとの安全保障連携を、高市政権が加速させたい狙いは理解できます。日本の防衛装備品の輸出ルールが先月撤廃されたタイミングと重なり、「お宅が最初のお客様」という形になります。ただ、フィリピンの政情はマルコス、ドゥテルテ両家の対立を含めて流動的で、政権交代があれば前政権の方針を否定する政治文化もある。武器を含む長期的な安全保障パートナーシップを築くにあたっては、相手国の政治構造を冷静に理解した上で、息の長い設計が必要です。フィリピンへの直接投資が他の東南アジア諸国（タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシア）と比べて少ない理由には、こうした構造的な不透明さもあるという点を、忘れてはいけません。</span></p>
<h4><b>オーストラリアのLNG国内流通義務化──「20%確保」は当然の国策</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">オーストラリア政府は5月25日、ガス国内流通制度の詳細を公表しました。国内のガス不足対策として、LNG輸出業者に対し輸出量の20%を国内市場に供給することを義務付けるものです。同国のエネルギー業界団体は「新規ガス開発への投資を損なう」と指摘し、日本を含むガス輸入国に懸念を抱かせるシグナルになると批判しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">これは、国家の政策として当たり前のことだと私は考えています。国内向けに20%を確保し、残る80%を輸出に回す。嫌なら輸出パイプを閉めるしかない、というのが資源国の論理として通る話です。むしろ私が注目したいのは、日本のエネルギー調達先の多様化です。オーストラリアが最大の調達先で、マレーシア、米国、ロシア（サハリン2）、パプアニューギニア、ブルネイ、カタール、UAEへと分散しています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">原油についてはまだ中東依存度が高いものの、LNGに関しては日本はしっかりと分散調達に成功しました。だから今回オーストラリアが20%を国内向けに確保しても、日本にとっての影響は限定的です。20%を引いた残りでも調達は十分に成り立つ。むしろ、こうした義務化はオーストラリアの政治・社会の安定にも資する話で、長期的な供給国としての信頼性を高める効果すらあります。神経質になっている関係者もいますが、日本のLNG戦略はおおむね合格点と評価していい段階だと、私は見ています。</span></p>
<h4><b>国勢調査と「スマートシュリンク」──人口減少を前提にした行政の統合</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">総務省が5月29日発表した2025年国勢調査の速報値によると、外国人を含む日本の総人口は昨年10月1日時点で1億2304万9524人で、前回調査に比べて309万6575人、2.5%減少しました。3回連続の人口減少で、増えたのは東京都と沖縄県のみ。これまで増加が続いていた横浜市、相模原市、京都市、岡山市などの政令指定都市も今回は減少に転じました。7月に開かれる全国知事会議では「人口減少下における賢い縮小戦略」をテーマに分科会が開かれる見通しで、人口が2070年に2020年比でおよそ3割減少するとの推計を踏まえ、行政運営の転換を模索します。高知県では県内15の消防本部を一つに統合し、通信指令や総務などの機能を集約する構想に着手しているといいます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">スマートシュリンク（賢い縮小）は当たり前の方向です。問題は、その当たり前のことが日本の地方ではなされていないことです。上下水道、ごみ収集、消防──こうしたインフラは本来、市町村単位で統合し、効率化・専門化を進めるべきです。東京都は早めにこれをやり、東京都水道局は巨大な組織になりました。一方、能登半島地震の後で明らかになったように、石川県では各市町村で水道事業を運営し、事業規模が小さく、復旧する力もありません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">なぜスマートシュリンクが進まないのか。理由は利権です。ごみ収集にしても水道にしても、地元の事業者と行政が結びつき、統合に強い抵抗が生まれる。農協、漁協、林業組合、商店街組合──組合という形態は、最後の一人が反対すれば前に進めない仕組みになっており、意思決定ができません。だからこそ、これからは法律の整備を通じて統廃合を促し、株式会社化なども含めて「51%で動ける」体制を作る必要があります。先週開催されたAoba-BBTのプレジデントセミナーでも医療がテーマになりましたが、国公立病院の7割が赤字で、それでも補填されてしまうから経営努力が働かない。地方自治体の中には、こうした構造的な無駄がまだあちこちに残されています。人口減少時代こそ、長年の利権構造に手を入れる絶好の機会です。</span></p>
<h4><b>日本ペイントHDが世界2位アクゾノーベル買収提案──国際舞台で動ける経営の力</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">日本ペイントホールディングスと米塗料世界首位のシャーウィン・ウィリアムズが共同で、オランダの塗料大手アクゾノーベルに買収提案していたことが分かりました。提案価格は1株当たり現金73ユーロ、企業価値ベースで約124.9億ユーロ（約2兆3200億円）の規模です。アクゾノーベルの取締役会は5月27日、「企業価値を過小評価している」「米アクサルタとの合併計画を推奨する」として提案を拒否しました。提案では、日本ペイントがアクゾノーベルを買収し、装飾用塗料事業と工業用コーティング事業を保持する一方、自動車用・船舶用・粉体コーティング部門をシャーウィン・ウィリアムズに売却する内容でした。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日本ペイントHDは、シンガポール塗料大手ウットラム・グループ（華僑系、創業者の故ゴー・チェンリャン氏、現会長のゴー・ハップジン氏）が筆頭株主として支える体制を組んでおり、共同社長制を敷いてシンガポール出身のウィー・シューキム氏と若月雄一郎氏の2人体制で経営しています。ウィー氏は航空工学からスタンフォードMBAという経歴を持ち、M&amp;Aを積極的に重ねてきました。同社はかつて関西ペイントと並ぶ国内二大グループの一角でしたが、グローバル化の徹底度で大きな差を付け、今や塗料の世界舞台で堂々と動ける数少ない日本発企業となっています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">今回の買収提案自体は拒否されました。ただ、それでも私が注目したいのは、日本ペイントHDが米シャーウィン・ウィリアムズと組んで世界2位級のアクゾノーベルに2兆円超で挑むという、その「国際舞台で勝負する経営」が機能している事実です。アクゾノーベルはすでにアクサルタとの統合に動いているため、今回は実現しなかったが、日本企業が共同提案者として世界最大手と並んで動ける──こうしたケースは多くありません。国際舞台で活躍できる経営者がトップにいれば、企業はどこまでも動ける。日本ペイントの事例は、日本企業のグローバル化のひとつの到達点を示しています。</span></p>
<h4><b>三菱パジェロ復活と中国版「マイバッハ」マエストロS800──ドイツ高級車の牙城が揺らぐ</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">三菱自動車は5月29日、SUV「パジェロ」の新型車を年内に発売すると発表しました。2019年に国内向け生産を終了して以来およそ7年ぶりの復活で、往年のファンを中心とする復活希望に応える形です。通常のパジェロに加え、小型モデル2車種を追加してシリーズ化する方針も明らかにしました。一方、中国市場では、ファーウェイとJAC（江淮汽車）が共同開発した超高級セダン「マエストロS800（享界S800）」の販売台数が昨年末時点で4376台となり、中国の超高級車市場で首位となりました。BMW 7シリーズは1429台で2位、4月時点では5位に後退。背景には、中国の富裕層が伝統的なブランドよりも自動運転などの先進機能を重視する傾向があるとみられます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私はパジェロを長年愛用してきた一人です。オーストラリアでは、ぬかるんだ沼地のような悪路でも、4WDのロックがかかれば、車輪一つでも噛んでさえいれば前に進んでくれる。ランドローバーが廃車として打ち捨てられているような場所でも、パジェロなら抜けられる。新車は当時5万豪ドル、10万キロ走った中古でも3万5000豪ドルで取引される。中古市場でこれだけ強い車種を、なぜ国内向け生産を辞めたのか、私には不思議でなりませんでした。三菱自動車の経営判断としては、パリ・ダカール・ラリーで何度も優勝した名車を国内で復活させるのは、ある意味で「ようやく当たり前のことが起こった」と言えます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一方の中国・マエストロS800の躍進は、ドイツ高級車にとって構造的な脅威です。「中国版マイバッハ」と呼ばれるこのクルマは、メルセデス・ベンツやBMWが長年独占してきた超高級セグメントに直接食い込み、しかも自動運転やAIなどの先進機能で差別化しています。BMWはドイツ国内では伸びているが中国では激減、メルセデスも中国生産分が縮小傾向にある。中国で起こりつつあるこの「置き換え」は、いずれグローバルにも広がる可能性があります。BYDが日本で軽自動車セグメントに参入する話も含めて、自動車産業の地殻変動は加速しています。日本にとっても、対岸の火事では済みません。</span></p>
<h4><b>ウクライナ戦争の局面転換とトマホーク日本納入遅延──米国の在庫不足が同盟国を直撃</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">ロシア外務省は5月25日、ウクライナの首都キーウに攻撃を実施するとして、外交官など外国人に対し市外に退避するよう警告しました。その後ロシア軍は100機を超えるドローンなどで攻撃を実施し、キーウ周辺で被害が発生しました。一方、米ヘグセス国防長官は小泉防衛大臣に対し、日本が取得予定の米国製巡航ミサイル「トマホーク」の納入が大幅に遅れる見通しを伝えました。対イラン軍事作戦で備蓄が著しく減少したためで、日本への納入は最大2年遅れる可能性があります。さらに米海軍のフェラン長官代行は5月21日、台湾への武器売却についても「対イラン軍事作戦に必要な弾薬を確保するため一時停止している」と語りました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ウクライナ戦争は、明確に別のフェーズに入ってきたと私は見ています。ウクライナ側のドローン製造能力が急速に向上し、モスクワ近郊まで攻撃が届くようになった。これに対しロシアは、全面侵攻以来度々ミサイル攻撃も行ってきましたが、キーウ周辺にもドローン100機規模の攻撃を仕掛けている。ただし、ドローンの飛来は事前に把握できるため、住民が地下に退避することで人的被害は最小化されています。一方、ルガンスクやドネツクなどロシア実効支配地域ではウクライナ側の攻撃が深まり、ロシア軍は劣勢に立たされつつあるとの観測もあります。報道によればロシア側の累計死者は数十万人規模ともされており、戦況の重みは確実に変わってきています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日本にとって深刻なのは、米国の武器供給能力の限界が同盟国に直接影響を及ぼしてきたことです。トマホークの納入遅延、台湾への武器売却の一時停止──いずれも「米国の在庫が足りない」が理由です。これは日本の防衛装備品の国産化を加速させる重要な契機です。米国の製造能力に依存しないライセンス生産・国産化を本格化させなければ、有事において米国頼みの体制は機能しません。ここを乗り越えなければ「同盟頼みの防衛」は成立しないと、私は考えています。米国が中国の圧力に屈する形で台湾への武器供給を遅らせるという展開になれば、米国の信頼性そのものが揺らぎます。安全保障の柱としての日米同盟をどこまで頼れるのか──この問いを正面から考える時期に来ています。</span></p>
<h4><b>トランプ大統領の株式取引総額1200億円──現職大統領としては異例の利益相反懸念</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">米国政府倫理局が開示した資料によると、トランプ大統領に関連する信託口座の取引件数は過去3か月で3700件を超え、取引総額は最大およそ1200億円に上ることが分かりました。売買の中心は半導体やIT関連企業の株式ですが、大統領の政策が企業業績や株価に影響を及ぼす可能性があることから、利益相反への懸念が浮上しています。これと並行して、米司法省は5月18日、「政府による司法の武器化の被害者」を救済するためおよそ2800億円の基金を設立すると発表。バイデン前政権下などで不当な捜査・訴追を受けたと主張する人々の救済を目的としていますが、カリフォルニア州のニューサム知事は27日、同基金から給付金を受け取る場合には100%課税する方針を示しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">本来、米国の大統領就任時には、自分の資産から一切距離を置き、第三者に供託（ブラインドトラスト）するのが慣例です。歴代大統領はみなそうしてきました。ところが現政権では、こうした原則が大きく後退しているとの指摘が出ています。3か月で1200億円規模の取引、しかも対象は半導体やIT関連という、大統領の政策が直接影響する分野です。これは利益相反の典型例として、米国議会や倫理局からも懸念が示されています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">政治と経済の境界が曖昧になることのコストは、米国だけの問題ではありません。半導体産業に対する政策、関税、輸出規制──こうした重要な経済政策が大統領の個人的・家族的利害と絡む可能性が指摘されれば、市場の信頼性そのものが損なわれます。同盟国の経営者にとっても、米国の政策判断が「国益」によるものか「私益」によるものかを見分けることが、戦略策定の前提条件になりつつある。これは健全な状態ではありません。米国の制度的信頼性を保つために、米国議会と司法、そしてメディアがどこまで踏み込めるか。同盟国の立場からも注視していく必要があると、私は考えています。</span></p>
<p>&#8212;この記事は2026年5月31日にBBTchで放映された<a href="https://bb.bbt757.com/kolive/?_ga=2.197486639.1266471034.1715034600-1855593559.1691658667">大前研一ライブ</a>の内容を一部抜粋し編集しています。</p>
<p><a href="https://bb.bbt757.com/kolive/index.html"><img decoding="async" src="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg" alt="" width="980" height="654" class="alignnone size-full wp-image-2968" srcset="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg 980w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-512x342.jpg 512w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-768x513.jpg 768w" sizes="(max-width: 980px) 100vw, 980px" /></a></p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<item>
		<title>KON1132：日銀利上げ局面とFRBウォーシュ新議長、習近平の高市首相名指し批判、SpaceX史上最大IPO──金利・地政学・AIが同時に動く</title>
		<link>https://aoba-bbt.com/ohmae_blog/5834/</link>
		
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		<pubDate>Thu, 28 May 2026 11:36:22 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[日銀の追加利上げ局面とFRBウォーシュ新議長──金利急騰と円安リスクの板挟み 10年物国債の利回りが5月18日、一時2.8%とおよそ29年ぶりの高水準となりまし &#8230; <span class="c-button is-more">続きを見る</span>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h4><b>日銀の追加利上げ局面とFRBウォーシュ新議長──金利急騰と円安リスクの板挟み</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">10年物国債の利回りが5月18日、一時2.8%とおよそ29年ぶりの高水準となりました。日銀の植田総裁は「早いスピードで上昇している」との認識を示し、国債市場の動向を政府と連携しながら注視する考えを表明しました。一方、米国ではFRB元理事のケビン・ウォーシュ氏が5月22日、新議長に就任しました（上院承認は5月13日、賛成54・反対45）。前任のパウエル氏は5月15日に任期満了。ウォーシュ氏は就任式で「改革志向のFRBを率いる」と述べ、インフレ抑制への決意を強調しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">植田総裁の顔には「次回は必ず金利を上げるぞ」と書いてあります。通常は0.25%ですが、今度は0.5%くらい上げるのではないかと私は見ています。問題は米国の動向です。トランプ氏は「下げろ下げろ」とパウエル氏に迫ってきましたが、中東情勢の緊迫化でインフレ懸念が強まり、米国も金利を上げざるを得ない局面に来ています。米国が再び利上げに転じれば、円で持つよりドルで持つほうが利回りが良くなり、円からドルへ資金を移す動きが加速します。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">そうなると円安が進み、輸入物価がさらに上がる。日本経済はかなり苦しくなります。だからこそ、日銀はここで日米の金利差を埋めるために、0.5%程度の利上げを明確に打ち出す必要があると私は考えています。中途半端な対応のままでは、国債が暴落して打つ手がなくなる。新議長のウォーシュ氏は、歴代FRB議長の中でも飛び抜けて資産家で、トランプ政権に見出されて議長になった人物ですが、市場からは「必ずしもトランプの言いなりにはならない」と見られています。インフレ退治をかなりアグレッシブに進めるのではないかと、私は予想しています。</span></p>
<h4><b>私立大学250校削減と経団連の科学技術立国提言──ずれ続ける教育論議の本質</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">財政制度等審議会の分科会は4月23日、2040年までに私立大学を少なくとも250校削減する目標を示しました。18歳人口が2024年比で3割減少する見通しを踏まえ、同じ割合で大学を減らし、大学数の適正化と教育の質向上を図るという考えです。一方、経団連は5月11日、科学技術立国へ向けた提言をまとめ、技術者を増やすため高等専門学校（高専）を新設するほか、スイスのような職業人材育成モデルを構築すべきだと指摘しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">率直に言って、みんなポイントがずれています。少子高齢化で生徒が減れば、教員はかなり余ってくるはずです。本来なら、その余力を生かして個別指導を手厚くし、一人ひとりが望む技術を身につけさせるべきなのに、先生の側にそれができない。なぜなら、日本の大学教員は大学・大学院で研究をやってきただけで、指導力の訓練をほとんど受けていないからです。ここに根本的な問題があります。さらに公的支出の水準も低い。OECDの中でも日本の教育への公費支出はGDP比で低く、学費の3分の2を本人や奨学金で賄わなければならない構造です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私が最大の問題だと考えているのは、文系偏重です。高校2年で理系と文系に分けるのは世界でも日本だけで、受験が楽な文系に3分の2以上が進む。これでAI時代の人材が育つはずがありません。解決の方向性は二つあります。一つは理系を増やすこと。もう一つは外国人留学生を大量に受け入れ、彼らを指導する過程で教員自身を鍛え直すことです。米国を見れば、台湾系、ユダヤ系、イスラエルから来た人材が大学を支え、イーロン・マスク氏のように南アフリカから来た人物がイノベーションを起こしている。多様な人材なくしてイノベーションは起こりません。日本の教育は、文部科学省も含めて根本から発想を変える必要があります。</span></p>
<h4><b>マイナンバーカード義務化の提言──生体認証なき制度は「ゼロからやり直す」しかない</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">自民党の政務調査会・政調審議会は5月19日、政府のデジタル政策に関する提言を了承しました。マイナンバーカード取得の義務化や、カード保有を前提とした行政サービス・民間利用の拡大などを盛り込んだものです。4月末時点のカード保有枚数は約1億300万枚、人口に対する保有比率は83%に達していますが、プライバシー侵害や情報漏洩リスクを懸念する声は依然根強いのが現状です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">はっきり言えば、現行のマイナンバーカードは制度設計に大きな問題を抱えています。最大の弱点は、生体認証がないことです。インドは14億人の国民を「アドハー（Aadhaar）」で管理し、10本の指紋と虹彩による生体認証を使っています。これがあるから、政府は全国民に直接お金を送ることも、AさんからBさんへ送金することもできる。ところが日本のマイナンバーは住基ネットから出てきた仕組みで、各地方自治体ごとにバラバラのものを後から統合しようとした経緯があります。だからこそ「消えた年金問題」のようなことが起き、いざ給付金を配ろうとしても効率的な配り方が定まらないのです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">カードを取得しても「取られたら怖い」と家に置いたままにする人が多く、実際には機能していません。健康保険証の代わりにマイナンバーをと言いながら、今も従来の保険証の代わりとなるものを送ってきて、結局そちらで済んでしまう。私の見立てでは、この制度は一度全部ご破算にして、生体認証を組み込んだ形でゼロから作り直さない限り、不正利用の懸念は消えず、国民の信頼も得られません。「保有率83%」という数字を掲げて義務化を進めても、制度の根幹に欠陥がある以上、本質的な解決にはなりません。</span></p>
<h4><b>いすゞがUDトラックスを吸収合併──国内トラック「4社体制」の終焉</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">いすゞ自動車は5月13日、完全子会社のUDトラックスを2027年度内に吸収合併すると発表しました。UDの法人格は消滅し、ブランドとしては存続します。両社の販売拠点を統合し、国内のトラック整備網を手厚くする狙いです。これにより、長年続いた国内トラック4社体制（いすゞ・日野・三菱ふそう・UD）は、「いすゞ・UD連合」と、2026年4月に経営統合して持株会社ARCHION（アーチオン）となった「日野・三菱ふそう連合」の2強体制へと再編されます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日本のトラックメーカーはかつて、いすゞ、日野、三菱ふそう、UD（旧・日産ディーゼル）の4社体制でした。三菱ふそうは三菱自動車のリコール隠し問題で分社化され、ダイムラー傘下に入った経緯があります。今回、いすゞがUDを吸収し、日野（トヨタ系）と三菱ふそう（ダイムラー系）が一緒になることで、構図が一気に塗り替わりました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">この再編で私が注目しているのは2トン車の行方です。世間の注目は4トン車や10トン車、バスに集まりがちですが、実は2トン車が極めて重要なのです。台数が多く、配送やゴミ収集に使われる。東京のゴミ収集車はほとんどがいすゞです。一方、三菱ふそうは「キャンター」という2トン車の領域で強い。自治体によっては2トン車が地域インフラを支える基幹車種で、数も多く売りやすい。新しい2強体制の中で、いすゞの2トン車と三菱ふそうのキャンターがどう競い合うかは、地味に見えて自治体向けビジネスを大きく左右します。脱炭素や自動運転への巨額投資が必要な時代に、4社が個別に生き残るのは現実的ではなく、この再編は必然だったと私は見ています。</span></p>
<h4><b>森ビル15年ぶり社長交代、向後新社長へ──六本木五丁目西プロジェクトが次の大仕事</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">森ビルは5月20日、向後康弘取締役常務執行役員が6月の定時株主総会を経て社長に就任する人事を発表しました。向後氏はこれまで虎ノ門ヒルズや麻布台ヒルズの再開発事業などに携わってきました。同社は虎ノ門ヒルズや麻布台ヒルズなどの大規模再開発が軌道に乗り、営業利益も過去最高を更新しており、新体制で成長戦略を加速させる考えです。15年ぶりのトップ交代で、辻慎吾社長は代表権のない会長に就きます。さらに森ビルは住友不動産と共同で、東京都港区の大規模再開発（約10万平方メートル、2棟のタワーと人工の森を整備）に香港の高級ホテル「ローズウッド」を誘致すると発表しました。東京都内では初進出です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">森ビルは、創業家の兄弟が分かれた歴史を持つ会社です。森章氏は森トラストとしてホテル事業に力を入れ、森稔氏が率いた森ビルが六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズといった大規模開発を担ってきました。森稔氏の没後、辻慎吾氏が15年にわたって社長として経営を担い、今回その辻氏とともにプロジェクトを進めてきた向後氏が後を継ぐことになります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">向後新社長の大きな仕事は、六本木五丁目西プロジェクトです。森稔氏は、三井のミッドタウンがある外苑東通りに進出することを長年の悲願としていました。六本木ヒルズのある場所から外苑東通りまでの土地を取得し、ロアビルや手前の駐車場まで押さえて準備を進めていた。新しい図面を見ると、高さの異なる2棟の巨大ビルが計画されており、六本木ヒルズ（私たちは六本木6丁目6番地にちなんで「66ビル」と呼んでいました）よりも大きなビルになりそうです。私は森稔氏とヴィーナスフォートの経営を一緒にやっていた縁があり、彼がいつもアイデアやモデルを見せてくれたのをよく覚えています。森稔氏は数十年先まで構想を描いていた人で、この外苑東通りへの展開は、彼が考えていた最後の仕上げと言えます。それを向後新社長が実現する役回りになります。</span></p>
<h4><b>米中首脳会談で習近平が高市首相・頼清徳総統を名指し批判──日米同盟に楔</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">5月14日に行われた米中首脳会談で、中国の習近平国家主席が高市早苗首相と台湾の頼清徳総統の2人を名指しし、「両氏が地域の平和を脅かしている」と主張していたことが分かりました。習氏は両氏を支援しないようトランプ大統領に迫ったとされますが、トランプ氏はこれに同調せず、「高市氏は批判されるような指導者ではない」と擁護したと、日米外交筋が明らかにしています。会談後、トランプ氏は高市氏に電話で内容を共有しました。英紙フィナンシャル・タイムズによれば、習氏は日本の「再軍備化」を批判し、防衛費増額を協議した際に口調が激しくなり、米当局者を驚かせたといいます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">地域の平和を一番脅かしているのは、むしろ中国自身ではないでしょうか。報じられているところでは、習近平は高市首相を「新型軍国主義」になぞらえるような形で批判したとされます。昨年11月の高市首相の台湾有事に関する国会答弁に中国が反発して以降、米中首脳が対面で会談したのはこれが初めてでした。習近平の狙いは、「独立勢力」と敵視する頼清徳氏とあわせて高市首相を非難することで、日米同盟にくさびを打ち込むことにあったとみられます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ただ、トランプ氏が習近平の主張に同調しなかったというのは、私はおそらく事実だと見ています。理由はその後の動きです。トランプ氏は台湾の頼清徳総統について「彼と話す、私は誰とでも話す」と語り、武器売却を中国との交渉材料にする考えを示しました。これに中国外務省は「断固反対する」と猛反発しています。トランプ氏は中国が考える「台湾は中国の一部」という立場をそもそも理解していない。だから米国の国家元首が台湾の総統と直接話すことが中国にとってどれほど許しがたいことか、わかっていないのです。歴史と地政学への理解の浅さが、外交の足元を不安定にしています。</span></p>
<h4><b>プーチン訪中と中露共同声明──日本の「再軍備」を批判する筋違い</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">ロシアのプーチン大統領が中国を訪問し、5月20日に北京で習近平国家主席と会談しました。両首脳はエネルギーや貿易、教育分野など40件の協力で合意。共同声明では「世界が分裂と弱肉強食のジャングルの法則に回帰する危険性がある」とし、米国を念頭に覇権主義や強圧的な政策を批判しました。あわせて、日本の再軍備路線を「脅威」だと名指ししました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">これは筋違いも甚だしい話です。自分たちこそ軍備をどんどん拡張しているではないか、という話です。日本は憲法を守って再軍備をしていない。むしろ「日本は憲法を破って再軍備している」と中国は主張するわけですが、日本の憲法について中国がとやかく言う問題ではありません。「余計なお世話だ」と一発かましてくれるといいのですが、日本政府はその辺が弱い。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">この中露接近を放置しておくと、ろくなことにならないと私は考えています。エネルギーで結びついた中露が、米国を共通の敵として共同声明を出し、ついでに日本を「脅威」と名指しする。これは単なる外交辞令ではなく、東アジアの安全保障環境を中露が主導して規定しようとする動きの一環です。日本は、中国の不当な批判には毅然と反論しつつ、米国との同盟を軸に、冷静かつしたたかに対応する必要があります。黙って受け流すだけでは、相手の土俵で押し込まれてしまいます。</span></p>
<h4><b>SpaceX史上最大IPO──時価総額318兆円、日本の全証券取引所に匹敵する規模</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">米SpaceXは5月20日、6月12日に予定するナスダック上場の目論見書（S-1）を公表しました。ゴールドマン・サックスなど5社が共同主幹事を務め、日本を含む米国内外で公募を実施します。初めて公開された財務状況では、2025年12月期の最終損益が約7800億円の赤字であることが判明しました。一方、IPOの調達額は約12兆円、評価額（時価総額）は約2兆ドル（約318兆円）とみられ、サウジアラムコを上回る史上最大のIPOとなる見通しです。創業者のイーロン・マスク氏は議決権の85%超を確保し、自身の経営権を盤石にする体制を整えています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">時価総額318兆円というのは、すさまじい数字です。NVIDIA、アルファベット、そしてこのSpaceX、さらに上場が見込まれるOpenAI。こうした巨大企業を見ていくと、考えさせられることがあります。日本の証券取引所に上場している会社の時価総額の総計が約8.18兆ドル。NVIDIAとSpaceXのたった2社を足すだけで、日本の全上場企業の合計を上回ってしまうのです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ここで私が強調したいのは、「アメリカは世界にいじめられて弱くなっている」というトランプ氏の物語が、いかに事実と異なるかということです。トランプ氏は「だから関税だ」と言いますが、冗談ではない。世界最大級の時価総額を持つ企業はほとんどが米国企業であり、AIと宇宙と通信を束ねるSpaceXのような会社が史上最大のIPOを実現しようとしている。最終損益が7800億円の赤字であっても、これだけの資金を調達してロケットを次々と打ち上げ、宇宙空間にAIサーバーを並べる構想まで描いている。アメリカが弱いどころか、圧倒的に強い。この現実を直視せずに「保護主義で米国を守る」という発想がいかに的外れか、SpaceXのIPOがはっきりと示しています。</span></p>
<h4><b>Anthropic「Claude Mythos」が脆弱性1万件発見、カルパシー氏が移籍──AIの攻防が新段階へ</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">米Anthropicは5月22日、AIモデル「Claude Mythos（クロード・ミトス）」を利用した企業で、危険度の高いソフトウェアの脆弱性が1万件以上見つかったと発表しました。Mythosは現在一般非公開で、米国のIT企業など約50社に限定提供されています。同社は企業に対し修正対応を急ぐよう求めました。同じ時期に、米OpenAIの共同創業者であるアンドレイ・カルパシー氏がAnthropicに入社したことも判明。同氏はXに「今後数年間は大規模言語モデルの最前線において特に重要な時期になる」と投稿しています。一方、トランプ大統領は5月21日、最先端AIの安全対策に関する大統領令への署名を延期したと発表しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">Mythosがあっという間にソフトウェアの弱点を1万件以上も見つけたというのは、すさまじいことです。わずか50社にしか開放していない段階でこれです。逆に言えば、これがハッカーの手に渡ったときに何が起こるか。それを考えると恐ろしい。だからこそ、Mythosはコントロールされた環境の中で使ってもらわなければ危ない。AIによるサイバー攻撃は、ランサムウェア（身代金要求型ウイルス）の脅威とも直結します。国内でもランサムウェア被害で身代金を支払った企業の約6割が、支払ってもデータを復元できなかったという調査結果が出ています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">そうした中で、トランプ氏がAI安全対策の大統領令署名を延期したのは問題です。「中国や各国をリードする妨げになることはしたくない」という理由ですが、何とかしてくれないと困ります。AIの安全性を開発企業が自主的にチェックして良ければOKというやり方では、第三者の検証が働きません。政治の側にその技術的判断を下す能力があるとも思えない。だからこそ、独立したしっかりした検証組織を作る必要があります。産業振興と規制緩和に前のめりになる前に、国民や企業をサイバーリスクからどう守るのか、そちらにこそ力を入れてほしいと私は考えます。カルパシー氏のようなトップ人材がAnthropicに集まり、AIの能力が急速に高まっているからこそ、その制御と安全保障の枠組みづくりが急務なのです。</span></p>
<p>&#8212;この記事は2026年5月24日にBBTchで放映された<a href="https://bb.bbt757.com/kolive/?_ga=2.197486639.1266471034.1715034600-1855593559.1691658667">大前研一ライブ</a>の内容を一部抜粋し編集しています。</p>
<p><a href="https://bb.bbt757.com/kolive/index.html"><img decoding="async" src="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg" alt="" width="980" height="654" class="alignnone size-full wp-image-2968" srcset="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg 980w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-512x342.jpg 512w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-768x513.jpg 768w" sizes="(max-width: 980px) 100vw, 980px" /></a></p>
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			</item>
		<item>
		<title>KON1131：米中首脳会談に露呈したトランプの歴史的無知、サムスン中国撤退、ヤービン氏「CEO型君主」思想</title>
		<link>https://aoba-bbt.com/ohmae_blog/5819/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[master]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 21 May 2026 03:45:44 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[米中首脳会談──トランプの「ランニングマン」発言と歴史的無知の露呈 トランプ大統領は5月14日から15日にかけて北京を訪問し、中国の習近平国家主席と首脳会談を行 &#8230; <span class="c-button is-more">続きを見る</span>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h4><b>米中首脳会談──トランプの「ランニングマン」発言と歴史的無知の露呈</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">トランプ大統領は5月14日から15日にかけて北京を訪問し、中国の習近平国家主席と首脳会談を行いました。両首脳は米中の建設的・戦略的な安定関係の構築で一致し、中東情勢や台湾問題、貿易問題などを議論しました。中国側はボーイング製航空機200機の購入で合意（トランプ氏はエアフォースワン機内で「750機の確約が含まれる」とも発言）、米国産大豆・原油・LNGの購入でも一致しました。会談は中南海でも行われ、「歓迎」の演出が大々的に展開されました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">率直に申し上げれば、頭がぼけているということが非常にはっきりした米中会談でした。トランプ氏の中国問題、台湾問題に対する理解があまりにも浅く、もう一歩で外交関係が崩壊するところでした。特に問題だったのは、FOXニュースのインタビューで台湾の指導者を「ランニングマン（the running man）」と表現したことです。「We」（私たち）と言わず「I」（私）と言い、「私は台湾を統括している者と話す」と語った。もしこれが本当に実行されれば、つまり米国大統領が台湾の頼清徳氏と直接交渉したとなれば、中国はひっくり返ります。習近平からすれば、台湾は「自分の国の一部の省」であって独立した交渉相手ではない。プライドを逆撫でする最大級の言葉です。しかも「台湾を統括している者」という表現自体が、「台湾を国と呼んだ」と中国側に解釈されかねない、両刃の剣でした。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">習近平の側にも、見栄っ張りな部分が露呈しました。中南海で会談したのに「他に来た外国の指導者はいるか」と問われると、プーチンが訪れていることを伏せて「あなたが初めてだ」と答える。マクロン仏大統領が訪中した際は田舎まで飛行機で案内したのに、その記憶も伏せる。劣等感の裏返しのような演出です。中南海は普通の家で、フロリダ州のマール・ア・ラーゴに招待してくれたお礼として、自分の住んでいる場所に案内した。ただそれだけの話を「歴史的な訪問」と仕立てた。9月24日には習近平夫妻が訪米予定とされていますが、これではテレビ番組の演出のようで、内容的にはほとんど煮詰まっていません。世界中の誰もこの会談を「大成功」とは思っていないのに、当事者だけが「大成功だった」と言っている。これが現実です。</span></p>
<h4><b>イラン核交渉「20年で十分」──トランプの関心は中国に移ってしまった</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">トランプ大統領は5月10日、イランからの回答について「気に入らない、全く受け入れられない」と投稿しました。さらに15日には、イランが核開発を停止する期間について「遵守を確約するなら20年で十分」と述べ、これまでの「無期限」から大幅な後退を示しました。イラン側は「10年」を主張しており、米国の譲歩がさらに進む可能性があります。イランはすでに60%濃縮ウランを保有し、原爆数十発分に相当する量とみられています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">トランプ氏はもうイラン問題に関心を失っています。「2、3日でフィニッシュする」と踏んでいたものが思うように進まず、ネタニヤフ首相にごまかされて一緒にやってしまった。何とか足を洗いたいというのが本音でしょう。イスラエル側は「核の開発力を根こそぎなくしてもらいたい」ので開発停止を永遠（無期限）にしたかったわけですが、トランプ氏は中国訪問の間に20年で十分と言い始めた。10年であれ20年であれ、その頃にはトランプ氏は当然この世にいません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">問題は、ウラン濃縮の技術と人材が現に存在しているという事実です。イランで核開発に携わっている人間が生きている限り、政権が変わればまた始まる。国家間の約束など、この問題には通用しません。なぜなら、目の上のたんこぶであるイスラエルがすでに核を保有しているからです。私の見立てでは、トランプ氏はこの問題を忘れたままにする可能性が高い。ホルムズ海峡の開放だけは交渉するでしょうが、それではネタニヤフ首相は収まらない。最終的にはイスラエルが単独でイランを叩く局面が来るのではないかと、私は見ています。</span></p>
<h4><b>三大メガバンクのAI連合系列化──三菱UFJ-Google、住友-エクサウィザーズ、みずほ-ソフトバンク</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">三菱UFJフィナンシャル・グループは5月7日、米Googleと個人向け金融分野で提携すると発表しました。商品をスマホで撮影すると、最も安い購入先やポイント還元も含めた最適な支払い方法をAIが提案するサービスで、住宅ローンの組み方など現役世代の人生設計もAIで支援します。三菱UFJはGoogleとOpenAI、それに国内のウオロAIと組み、三井住友はエクサウィザーズ、みずほはソフトバンクと提携するという構図で、邦銀のAI連合の系列化が進んでいます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">率直に言えば、AIが「最適な支払い方法を提案する」というサービスが本当に機能したら、まず三菱UFJのサービスをやめなさいという提案が真っ先に出てくるはずです。三菱UFJは自分が儲けることしか考えていない銀行ですから。最近はウェルスナビが三菱UFJの傘下に入って、若干そこの空気が変わってきていますが、根本的に三菱UFJは「何もやらない銀行」です。三菱商事や三菱地所、三菱自動車といった仲間内を一生懸命応援し、それ以外の顧客が来たら「抵当を出せ」「金貸してやるから抵当を出せ」と求める。この伝統で育った人間がほとんどです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">だからGoogleと組んで真面目にAIで最適化サービスを提供したら、顧客はみんな三菱UFJから他の銀行に移っていきます。これは皮肉でも何でもなく、本気でやればやるほどそうなる仕組みです。フィンテックや個人向けAIサービスは、銀行の自己利益と顧客の利益が真正面から衝突する領域なのです。三大メガバンクのAI連合系列化は確かに進んでいますが、それが顧客本位の金融サービスにつながるかどうかは別問題です。</span></p>
<h4><b>ソニー・TSMC熊本合弁──画像センサー世界一を守る「ファブライト」戦略</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">ソニーグループは5月8日、半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造（TSMC）と次世代画像センサーの開発・生産で提携すると発表しました。ソニーセミコンダクタソリューションズが過半数株式を保有する合弁会社を設立し、熊本県合志市にあるソニーの新工場内に開発設備と生産ラインを設置する方針です。経済産業省は4月17日、最大600億円の助成金を発表しており、総投資額は約1800億円、2029年5月の供給開始を目指しています。ソニーセミコンのCMOS画像センサー世界シェアは2024年で50%超、最大の顧客はアップルです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">このソニー・TSMC連合は、ソニー側が「過半数を持つ」という形を保ったまま、製造の負担をTSMCと分担する設計になっています。十時裕樹社長CEOは決算会見で、これを「ファブライトへの第一歩」と表現しました。私はこの戦略を高く評価しています。画像センサーは、スマートフォンだけでなくセキュリティカメラ、車載カメラ、産業用ロボット、フィジカルAI領域へと応用範囲が広がる一方で、最先端ロジック層の製造には3ナノ世代の微細化技術が必要で、単独投資では負担しきれなくなってきました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もともとソニーの工場の隣（菊陽町）にTSMCの熊本工場を作って、スマホ向け画像センサーの背面照射型チップでTSMCが供給するという協業は始まっていました。ここから一歩踏み込んで、合弁会社を設立し、ソニーが画像センサーで世界一のポジションを守る。応用先はスマホ以外にも広く、セキュリティ、車載、ロボティクス、エッジAIまで広がる。世界中がこのセンサーを使ってくれるという読みです。熊本連合は、日本の半導体産業にとって極めて重要な戦略拠点になると私は見ています。</span></p>
<h4>住友商事マダガスカル4000億円減損<i>─</i>─ 参画から20年、ライバルを追う焦りが招いた巨額損失</h4>
<p><span style="font-weight: 400;">住友商事は5月1日、マダガスカルのニッケル鉱山事業「アンバトビー」からの撤退を発表しました。2005年の参画から20年、累計損失は約4000億円に達しました。譲渡先は英投資会社Ambatovy Mineral Resources Investment Holding Companyで、住友商事の保有株式54.17%を全て売却します。2026年4-6月期に約700億円の損失を計上する見込みです。アンバトビーは年産6万トンのニッケル地金を構想した世界最大級プロジェクトでしたが、HPAL（高圧硫酸浸出）法の操業安定化に苦しみ、想定通りには稼働しませんでした。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">資源ビジネスは大きな収益を生むこともある半面、市況等の影響で大きな損失を計上することもあります。住友商事はマダガスカルのニッケル以外に、ニューヨークの銅不正取引事件で2850億円の損失を出したこともあります。本社が知らないうちに現場が暴走したケースで、コーポレートガバナンスの典型的な失敗例でした。三菱商事もチリの銅やオーストラリアのLNG、鉱石事業で4300億円の損失を出していますし、三井物産もチリの銅、オーストラリアのLNGで3500億円を吸い込みました。丸紅もチリの銅とオーストラリアの鉄鉱石で700億円の損失です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">住友商事に至っては、三菱商事や三井物産がBHPやリオ・ティントといった資源メジャーと組むのに対し、アンバトビーではパートナーのカナダ・シェリットが経営不振で2020年に完全撤退してしまい、住友商事だけが残ってしまった。ライバルを追いかける焦りが、知見のない領域での無謀な大型投資につながった構図です。鉱山ビジネスは「メジャーと組まなければ手を出すな」というのが、この20年が教える教訓ではないでしょうか。</span></p>
<h4><b>サムスン中国家電・テレビ撤退──日本を韓国が、韓国を中国が置き換える連鎖</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">韓国サムスン電子は5月6日、中国本土市場でテレビ、モニター、冷蔵庫、洗濯機などの家電販売を停止すると発表しました。当面は中国国内の在庫を販売し、既存購入者にはアフターサービスを継続するものの、年内にも家電・テレビ事業からは完全撤退する見通しです。スマートフォン、半導体、医療機器事業は継続。世界経済の先行き不透明感、原材料・部品価格の高騰、そして何より中国メーカー（TCL、ハイセンス、ハイアール、シャオミ、美的）の台頭による収益悪化が背景です。サムスンの映像ディスプレイ事業部と生活家電事業部は2025年に合計2000億ウォン（約216億円）の赤字を計上していました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">これは少し驚きのニュースです。ちょっと前まで、世界最大の家電メーカーといえばサムスンだと言われていました。それが中国市場では、もうかなわないということで、家電とテレビから撤退する。ソニーもTCLと組まざるを得なくなったわけで、同じような浮き目にあっています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私が注目するのは、この動きが世界の家電産業における大きな置き換えの連鎖を示していることです。かつて日本のソニー、パナソニック、シャープ、東芝、日立、三菱電機が席巻していた市場を、韓国のサムスンとLGが置き換えました。今度はその韓国を、中国のTCL、ハイセンス、ハイアール、シャオミ、美的が置き換えつつある。あらゆる業界でこの置き換えの動きが進んでおり、サムスンの中国家電撤退はその象徴的な一例として見ておくべきです。日本企業も、家電だけでなく半導体やEVなど、同じ構造の中で「次に置き換えられる側」になっていないかを冷静に点検する必要があります。</span></p>
<h4><b>インド国勢調査100年ぶりのカースト調査──モディ政権の波乱要因</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">インド政府は16年ぶりの国勢調査を開始しました。個別訪問とデジタル技術を組み合わせ、政府職員300万人以上が1年かけて人口や生活実態を把握します。最大の注目点は、約100年ぶりに身分制度「カースト」を調査対象としていることです。優遇措置の見直しにつながる一方、政治的な対立や社会の分断を深めるとの懸念が指摘されています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">これは良くないと私は思います。国勢調査の時にカーストまで調べるという発想は最近聞いたことがなかったのに、100年ぶりだそうです。みんな言わなくても分かっているのです。「あの人はどういう人だ」というのは、地域社会では暗黙の了解として伝わっている。それをわざわざ書く人がいるのか？私は大いに疑問です。ヒンドゥー教徒の中の伝統的な4つのカーストの外側にいる「アウトカースト（不可触民、ダリト）」と呼ばれる人々が結構いて、彼らが差別を受けている。イスラム教徒、キリスト教徒、シーク教徒、仏教徒、ジャイナ教徒──それぞれにカーストの内外がある複雑な構造です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">正直に答える人がいるのかどうかも疑問ですし、調査員が動員されて「あなたはこのカーストではないのか」と詰め寄ればトラブルになります。インドはカーストから卒業しなければならない時期に来ているのに、なぜいまこんなことをやるのか。すでに「アドハー」という国民の生体IDシステムがありますから、それで十分なはずです。モディ首相はヒンドゥー至上主義的な政党から出てきた人物ですから、その文脈で読み解く必要がありますが、長期政権でややマンネリ化している中、これは波乱を起こす可能性があると私は見ています。14億人の国勢調査を1年かけて行うのは、それ自体が大変な事業です。</span></p>
<h4><b>カーティス・ヤービン氏「CEO型君主制」──トランプ・バンス政権の理論的支柱</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">日本経済新聞は5月10日、「直言・民主国家、CEO型君主を」と題するインタビュー記事を掲載しました。米国の思想家カーティス・ヤービン氏（1973年生まれ、Curtis Yarvin）への取材で、同氏は「米国の民主主義は官僚機構が支配する政治に陥っており、国家には企業のCEOのように権限と責任を持つ強力な指導者が必要」と主張。さらに「AI時代には従来の政治体制では変化に対応できない」とし、「日本も明治時代の中央集権的な統治精神を取り戻すべき」と論じました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ヤービン氏は、シリコンバレー発の「暗黒啓蒙（Dark Enlightenment）」あるいは「新反動主義」と呼ばれる思想運動の中心人物です。2007年からブログ「Unqualified Reservations」を「メンシウス・モールドバグ」というペンネームで執筆し、米国の民主主義は失敗した実験だ、統治構造は企業に似ており責任ある君主制に置き換えるべきだ、と主張してきました。彼が「大聖堂（The Cathedral）」と呼ぶのは、大学・マスメディア・行政官僚を一体とした思想的支配構造です。日本で言うところの「ディープステート」批判を理論化したものと考えていいでしょう。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私は、ヤービン氏個人を危険極まりない人物だと考えています。しかし、彼のおかげで「ディープステートを叩きのめせ」「官僚機構をばかにせよ」というトランプ政権の動きが理論的に支えられている。トランプ氏のような人物が独裁的に動き、縦のものを横にばっさり切って、裁判所に引きずり込まれてはやり直すというとんでもないことが起きている。その張本人がこのヤービン氏です。ピーター・ティール氏とも深い関係があり、特にJ.D.バンス副大統領にとってヤービン氏は思想的師匠と言ってよい関係です。もし次の大統領選でバンス氏が大統領に昇格すれば、ヤービン思想がそのまま米国の統治原理になる可能性があります。日本としても、彼が何を言っているのかを理解しておく必要があります。</span></p>
<h4><b>Anthropic「Claude Mythos」と三大バンクのアクセス権──金融危機リスクと中国の追走</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">米Anthropicでグローバルアフェアーズ責任者を務めるマイケル・セリット氏は5月15日、新型LLM「Claude Mythos（クロード・ミトス）」の悪用を防ぐ対策組織「Project Glasswing（プロジェクト・グラスウイング）」の対象を、日本を含めた米国外に広げる検討に入ったことを明らかにしました。Mythosはソフトウェアの脆弱性を自律的に発見・悪用する能力が、最も熟練した専門家を除く全ての人を上回るレベルに達しており、米Anthropicが2026年4月7日に発表した際にも一般公開を見送る決定をしました。現在は米国の50社（Google、Microsoft、JPモルガン・チェース、CrowdStrikeなど）に防御目的限定で提供されています。日本では三菱UFJ、三井住友、みずほの三大バンクがMythosへのアクセス権を確保できる見通しです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">IMF（国際通貨基金）はMythosを「金融危機を引き起こす可能性がある」と警告しています。「原子力（原爆）よりも恐ろしい」というのが今、世界のAI安全保障コミュニティの共通認識です。日本の三大バンクが米Anthropicの内部対策組織に組み込まれること自体は、表からハッキングに揺さぶられる前にインサイダーとして対策を整える上で意味があります。金融庁もMythos悪用への対応チームを立ち上げており、今後とも注視する必要があります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">しかし、私が最も懸念するのはもう一つの論点です。Mythosを開発しているAnthropic自身が「半年すれば中国は同じ水準に追いつく」と言っているのです。つまり、米国主導で「使用ルール」を作っても、中国側に同じルールに従わせる枠組みがなければ、半年でこちら側だけが手足を縛られた状態になってしまう。これは日米の問題ではなく、米中の問題として扱わなければならない。AI安全保障の議論を「西側だけで完結する話」と思っているうちは、本当のリスクには対処できません。原子力と同じく、AIも国際的な検証・規制の枠組みを作る段階に入っていると、私は考えます。</span></p>
<p>&#8212;この記事は2026年5月17日にBBTchで放映された<a href="https://bb.bbt757.com/kolive/?_ga=2.197486639.1266471034.1715034600-1855593559.1691658667">大前研一ライブ</a>の内容を一部抜粋し編集しています。</p>
<p><a href="https://bb.bbt757.com/kolive/index.html"><img loading="lazy" decoding="async" src="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg" alt="" width="980" height="654" class="alignnone size-full wp-image-2968" srcset="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg 980w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-512x342.jpg 512w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-768x513.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 980px) 100vw, 980px" /></a></p>
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		<item>
		<title>KON1130：ターナー氏の死、UAE脱退、Anthropic80倍成長──メディア・エネルギー・AIで動き出す新秩序</title>
		<link>https://aoba-bbt.com/ohmae_blog/5753/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[master]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 14 May 2026 05:39:37 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[CNN創業者テッド・ターナー氏の死去、そしてパラマウントによるワーナー買収──「アトランタの自由」が遠ざかる 米CNN創業者のテッド・ターナー氏が5月6日、フロ &#8230; <span class="c-button is-more">続きを見る</span>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h4><b>CNN創業者テッド・ターナー氏の死去、そしてパラマウントによるワーナー買収──「アトランタの自由」が遠ざかる</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">米CNN創業者のテッド・ターナー氏が5月6日、フロリダ州の自宅で死去しました。87歳。1938年にオハイオ州シンシナティで生まれ、父親から引き継いだ広告事業を足がかりに1970年にアトランタの放送局を買収、1980年6月1日には世界初の24時間ニュース専門局「ケーブル・ニュース・ネットワーク（CNN）」を立ち上げました。湾岸戦争のバグダッドからの生中継、ベルリンの壁崩壊の生中継など、メディアの歴史を塗り替えた人物です。同じ週、米ワーナー・ブラザース・ディスカバリー（WBD）は4月23日の臨時株主総会でパラマウント・スカイダンスによる買収提案を承認しました。買収額は1100億ドル、約17兆円規模。9月末までの完了を目指す巨大再編です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ターナー氏のCNNが残した影響力は、計り知れないものがあります。アメリカ三大ネットワーク（ABC・CBS・NBC）から離れたアトランタを拠点に、24時間ニュースを流し続ける。このスタンスがあったからこそ、CNNは戦地から大砲の音まで届けることができた。クリスティアン・アマンプール記者やラリー・キング氏といった伝説的な顔ぶれが視聴者を引き寄せ、各国の現地語で放送するというグローバル運営も、ターナー氏の自由奔放さの上に成り立っていました。私もラリー・キング氏の番組に出演したことがありますが、あの独立性の手触りは今も忘れません。環境保護や核兵器廃絶への寄付、ジェーン・フォンダ氏との結婚と離婚、国連への巨額寄付。「メディア界の異端児」と呼ばれた彼の自由奔放な行動様式そのものが、CNNの編集スタンスを規定していたと言ってよい。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">問題は、その「独立資本」がもはや残っていないという事実です。WBDはパラマウント・スカイダンスに買収される。同社CEOは米オラクル創業者ラリー・エリソン氏の息子であるデビッド・エリソン氏。トランプ大統領の影響力がメディアに直接及びかねない構図が、一気に強まりました。アトランタで言いたいことを言うというCNNの気風が守られるかどうか。私は強い懸念を持っています。ターナー氏の遺産が、制度として、編集権として残るかどうかは、これからの数年で問われることになります。</span></p>
<h4><b>UAEがOPEC・OPECプラスを脱退──エネルギー秩序の地殻変動と日本への含意</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">アラブ首長国連邦（UAE）は2026年4月28日に国営メディアを通じ、5月1日付で石油輸出国機構（OPEC）およびOPECプラスから脱退すると発表しました。UAEはOPEC加盟12カ国のうち第4位の生産量を持ち、サウジアラビア主導の協調減産と長く距離をとってきた経緯があります。アブダビ国営石油会社（ADNOC）は2027年までに日量500万バレルの生産能力拡張を目指しており、自国の戦略を優先する姿勢を鮮明にしました。直接の引き金は、ホルムズ海峡情勢で原油供給が混乱する局面において、サウジが事前通告なくアメリカ軍に対し空軍基地の使用や領空通過を許可しないと通知した、湾岸内部の亀裂です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">このニュースの本質は、原油の需給バランス論ではなく「カルテル統治の終わり」です。実際の生産量で見れば、世界1位は米国、2位はサウジ、3位はロシア。OPEC加盟国の中ではイラン、イラク、UAEなどが主要産油国に位置し、UAEがここから抜けた以上、「OPECで一枚岩」という前提自体が崩れます。カタール（2019年）、エクアドル（2020年）、アンゴラ（2024年）と続いた離脱の系譜の総決算と言ってよい局面です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日本にとっては、必ずしも悪い話ではないと私は見ています。これまではサウジを通じてOPECと対峙する必要がありましたが、これからはUAE、カタール、アブダビと個別に交渉できる。LNGはカタール、原油はアブダビと、相手と用件を選んで条件を詰める余地が広がります。日本の中東におけるエネルギー外交は、「OPEC全体との対峙」から「個別案件型」へと舵を切るべきです。これは日本企業にとってはむしろチャンスでもあります。</span></p>
<h4><b>セブン&amp;アイが北米コンビニ645店閉鎖・設備投資3200億円──上場前の磨き上げに入る</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">セブン&amp;アイ・ホールディングスは4月23日、北米コンビニ事業の構造改革を加速する方針を打ち出しました。2027年2月期に全体の5%にあたる645の不採算店舗を閉鎖する一方、設備投資を前期比5割増の3200億円に増やし、1300店舗の新規出店と7000店舗の改装を進めるという計画です。米子会社セブン-イレブン・インクの上場時期は「最短で27年度」へ延期されたばかり（4月9日発表）。それまでに収益力を引き上げる、まさに上場前の磨き上げ局面に入ったといえます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">セブン&amp;アイの戦略は、こう読み解くべきです。同社はカナダのアリマンタシォン・クシュタール（ACT）から買収提案を受け、それを退けた経緯があります。その時に株主から突き付けられた論点は「アメリカを切り離せ」「企業価値を引き上げろ」というものでした。海外コンビニ事業の2025年2月期営業利益は2162億円（前期比28.3%減）。北米事業は売上規模では国内コンビニを圧倒的に上回るにもかかわらず、利益では国内コンビニ（営業利益2000億円弱）と肩を並べる程度です。要するに、「規模はでかいが収益性が低い」というのが米国事業の正体です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">構造改革で企業価値を引き上げてから米国子会社を上場し、株主への説明責任を果たす。戦略自体は理にかなっています。ただし、米国コンビニ市場ではクシュタールやサークルKがしぶとく、ガソリン売上に依存する旧来モデルからの脱却も道半ばです。「7000店の改装」を本当に消費者体験の差別化につなげられるかどうか。上場前の3年が、セブン&amp;アイにとっての正念場になると私は見ています。</span></p>
<h4><b>ホンダ、カナダEV工場「無期限凍結」と韓国4輪撤退──戦略の迷走と長期政権の弊害</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">ホンダは2024年4月、カナダ・オンタリオ州アリストンに150億カナダドル（約1兆7000億円）を投じてEV専用工場と車載電池工場を建設すると発表しました。年間生産能力は最大24万台、2028年稼働を目指していました。ところが2025年5月に稼働を2年延期、そして2026年5月、関係者によれば計画を「無期限で凍結」する方針を固めたと報じられています。米国のEV需要が伸び悩み、米オハイオ州の旗艦EV「0シリーズ」やソニー・ホンダモビリティの「アフィーラ」の開発も中止。EV戦略全体で最大2.5兆円の損失計上見通しで、2026年3月期決算は最大6900億円の最終赤字となる見込みです。一方、4月23日には韓国市場での4輪事業から2026年末で撤退し、2輪事業のみを残すことを発表しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ホンダの戦略には、いくつもの疑問があります。第一に、カナダはホンダがしっかり実績を積んできた市場です。そこへ1.7兆円を投じてEV工場を作ると宣言した直後に、まずは2年延期、そして無期限凍結というのでは、現地政府やサプライヤー、そして社員にも顔向けできません。「計画の撤回ではなく凍結」という言い回しは経営の責任を回避する典型的なレトリックです。第二に、韓国市場の4輪撤退は、現地販売規模が年間2000台を下回るという現実から見ればやむを得ない判断ですが、韓国の2輪市場では24年連続1位を取り続けてきた事業基盤を考えると、4輪戦略の失敗は明らかです。ヒョンデやキアが世界市場で攻勢をかけている時に「お互い様」では済まされません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一つ私が問題だと考えているのは、これだけ戦略が揺れているにもかかわらず、経営陣の責任が問われない社内風土です。長期政権が続き、社内で異を唱える人がいない。これでは迷走を止めようがありません。本田技研工業はもともとエンジニアリングのDNAで世界に挑戦してきた企業です。今のホンダに必要なのは、ガバナンスの透明化と、創業の原点に立ち戻る経営の覚悟ではないかと、私は思います。</span></p>
<h4><b>アップル15年ぶりCEO交代──ハードウェアエンジニア出身のターナス氏に託すAI戦略</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">米アップルは4月20日、ティム・クックCEOが9月1日付で退任し、ハードウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのジョン・ターナス氏が次期CEOに昇格する人事を発表しました。クック氏は2011年のスティーブ・ジョブズ氏の後任就任以来、ウォッチや動画配信、金融サービスへと事業を拡大し、時価総額を約3500億ドルから4兆ドル超へと10倍以上に押し上げてきた経営者です。年間売上高も2011年度の1080億ドルから2025年度には4160億ドル超へとほぼ4倍に拡大しました。退任後はエグゼクティブ・チェアマン（執行会長）として残り、各国の政策当局者との対話などに引き続き関わります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">この交代を、私は単なる世代交代ではなく「アップルが何を強みと見定めたか」のメッセージとして読み解いています。クック氏はサプライチェーンと財務管理の達人で、巨大企業を盤石にする運営手腕を見せました。しかし生成AIの時代に入って、アップルのAI戦略は明らかに周回遅れ。一方、ターナス氏は25年以上アップルに在籍し、iPad全世代やAirPods、Apple Vision Proなど主要製品の開発を率いてきたエンジニア出身です。スティーブ・ジョブズ時代の「プロダクトデザインのアップル」への回帰を狙った人事と読むのが自然です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ただし、ターナス氏に問われる課題は明確です。サービス部門は確かに伸びているが、ウェアラブル（Apple Vision Proを含む）は伸び悩み、AI生成領域では存在感が乏しい。私が見たいのは、iPhoneという稼ぎ頭の「次」をターナス氏が提示できるかどうかです。iPhoneを軸にした巨大経済圏を守りつつ、新しいハードウェアのカテゴリーをどう立ち上げるか。今夏のクック・ターナス引き継ぎ期間に示される準備が、ターナス時代に実を結ぶかどうかが見どころです。</span></p>
<h4><b>Anthropic-SpaceX提携と「年率80倍成長」──AIインフラ競争が宇宙へ広がる兆し</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">米Anthropicは5月6日、米SpaceXとの大型計算インフラ提携を発表しました。SpaceXが米テネシー州メンフィスで運営するAIデータセンター「Colossus 1」の全計算容量を、Anthropicが1か月以内に利用可能にするという内容です。容量は300メガワット超、NVIDIA GPU 22万基以上。Anthropicのダリオ・アモデイCEOは、当初想定していた10倍規模の成長をはるかに上回り、2026年第1四半期の売上高と利用量が年率換算で80倍のペースに膨らんだという見通しを示しました。年間経常収益（ARR）は2025年末の90億ドルから2026年4月時点で300億ドル（約4兆5000億円）に拡大しています。Anthropicは並行して、Amazon（最大5GW）、Google・Broadcom（5GW）、Microsoft・NVIDIA、Fluidstackなどとも巨額契約を重ねており、複数年にわたる計算インフラの分散調達戦略を進めています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私はこの提携を、二つの観点で重要だと見ています。一つは「年率換算80倍」という数字の異常さです。様々な業界の急成長企業を見てきましたが、年率80倍は産業史上ほとんど聞いたことがありません。AIエージェントが企業内に一気に入り込み、コーディング支援「Claude Code」を筆頭に推論需要が爆発的に増えたことが背景にあります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一つは、SpaceXとの提携に潜む「宇宙空間データセンター構想」です。地上のデータセンターは、電力・用地・冷却水のすべてが限界に近づきつつあります。イーロン・マスク氏は以前から、衛星軌道上にデータセンターを置き、太陽光で電力を賄い、宇宙空間で自然冷却するという構想を温めてきました。Anthropicとの今回の提携にはこの軌道上計算容量の共同開発も視野に入っているとされており、AIインフラの舞台が宇宙へと広がる予兆を感じます。同時にIMFは、こうしたAIインフラの集中が、金融機関への同時サイバー攻撃時にシステミックリスクとなる可能性があると警鐘を鳴らしました。問題提起だけで解決策を示さないのは官僚の発想そのもので物足りませんが、警告自体は受け止めるべきです。原子力に代わってAIが抑止力になるという論調も含めて、AIをめぐる議論はすでに「経済」から「安全保障」の領域に踏み込んでいます。</span></p>
<h4><b>経産省「2040年に文系80万人余剰」──文部科学省と教育構造への根本的な問い</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">経済産業省は3月、2040年の就業構造推計（改訂版）を公表しました。AI・ロボットの普及により事務職が約440万人余剰になる一方、AI・ロボット利活用人材が約340万人、現場人材が約260万人、大卒・院卒の理系人材が約120万人不足するという内容で、最も衝撃的だったのが「大卒・院卒の文系人材が約80万人余剰」（大卒61万人＋院卒15万人）という推計です。並行して日経新聞がまとめた2026年度の企業の採用計画調査では、中途採用比率が初めて50.3%と過半数を超えました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">この問題の根本は、経済産業省ではなく、文部科学省にあります。高校2年生で文系・理系を分けるという仕組みを残している国は、いまや世界で日本だけです。しかも7割が文系を選ぶ。理由は「受験が楽だから」。これでAI時代の人材が育つはずがありません。経産省が「80万人余ります」と先に発表するのではなく、文部科学省と人材育成のグランドデザインを擦り合わせるのが筋ですが、それが行われていない。経産省と文科省の縦割りの責任が、若い世代の進路選択にしわ寄せされているのです。文科省を解体するくらいの覚悟がなければ、日本の教育構造は変わりません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">また、中途採用比率の50%超えという数字は、企業が新卒一括採用の限界に気づき始めたサインと受け止めるべきです。私が経営者だった頃にも中途採用を中心に行いましたが、最も伸びるのは28歳から32歳のあいだに一度サラリーマンの悲哀を経験した人材です。一度別の組織で揉まれた人を採るほうが、組織は確実に強くなる。新卒一括採用は日本特有の制度であり、世界標準ではない。このことを企業も大学も認識すべき時期に来ています。</span></p>
<h4><b>加賀屋解体・ニセコ世界28位・茅野「8Peaks living」──観光地に必要なのは「街」</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">観光・地方創生に関する3つのニュースが重なりました。能登半島地震で被災した和倉温泉の加賀屋（石川県七尾市）は2026年4月から公費解体に着手、工期は5年の見込みです。営業再開時期は2026年度下期予定の一部から段階的に進める計画。英国サヴィルズの「The Ski Report-Winter 2025-26」では、北海道ニセコの不動産価格が一坪702万円で世界の高級スキーリゾートランキング28位、1位は米アスペンの2089万円/坪、2位はフランスのヴァル・ディゼール（1934万円/坪）、3位はスイスのグシュタード（1827万円/坪）と発表されました。さらに長野県茅野市では、JR茅野駅直結のベルビア1階に複合交流拠点「8Peaks living（エイトピークス・リビング）」が4月25日にオープンしました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私はこの3つのニュースを、「日本の観光地は街を作らない限り、本物のリゾートにはならない」という一つのテーマで括っています。和倉温泉の加賀屋は36年連続日本一を誇り、「おもてなし」という言葉を広めた存在ですが、私は以前から疑問を持っていました。建物が縦横につながりすぎて、宿泊客が「表」に出なくなってしまった。温泉街は本来、浴衣で町をそぞろ歩く外の風景があってこそのものです。加賀屋の中だけで完結する旅は便利でも、「街がなくなる」というトレードオフを抱えていました。再開にあたっては、施設の復元よりも先に、和倉温泉の街並み全体をどう設計するかを考えるべきです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ニセコにも同じ構造があります。世界ランキング28位という数字は世界水準では「割安」とも読めますが、私はむしろ「街がない田舎」だと評価しています。サンモリッツ、サンクトアントン、レヒ、ウィスラーといった世界の超一流スキーリゾートには、夜になると客が下に降りてきて朝方まで賑わう街があります。ニセコにあるのはマンションと外資ホテルだけで、街そのものの厚みが乏しい。「割安だから買い」ではなく、「街を作らない限り、本物のリゾートにはならない」というのが私の見立てです。茅野駅前の「8Peaks living」は名称こそ目を引きますが、観光地の街づくりは駅前の小さな交流拠点で完結する話ではありません。地方創生は、施設単位ではなく街全体をどう設計するかという視点なしには成功しません。日本の観光業の課題は、戦後の高度成長期に作られた「箱モノ型観光地」の発想から抜け出せていないことにあると私は考えます。</span></p>
<h4><b>原発人材育成の壁──事故が起きるたびに「ゼロ」になる入学者</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">政府が新エネルギー基本計画で原発比率の引き上げを打ち出したことを受け、原発設備大手が動画教材やVR（仮想現実）を活用した人材育成に注力しているという報道がありました。東日本大震災以降、事業縮小で原子力技術者が著しく不足しているという背景があります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">この問題は、簡単な施策で解決できる話ではありません。私が米マサチューセッツ工科大学（MIT）の原子力工学科に在籍した1968年から1970年にかけては、入学した年の同期は130人いました。それが、1979年3月の3マイル島原発事故が起きた後、新入生はゼロになります。私の恩師であるノーマン・C・ラスムッセン教授がMIT原子力工学科の学部長（Head）を務めていたのは1975年から1981年。その時期、私は卒業後に母校から呼ばれて訪問しましたが、学生は13人しかいませんでした。しかも全員がアフリカからの国費留学生で、アメリカ人はゼロでした。事故が起きると入学者はゼロになる、これは原子力工学の宿命です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">福島第一原発事故は、3マイル島よりもはるかに深刻な事象でした。「原子力をやっています」と言うと「放射線の匂いがする」と若い人に避けられる。デートもままならない。「夢」を語れない学問に学生は集まりません。日本の原発業界は今、数千人規模の技術者を必要としているのに、過去のピーク時でも国内には5〜600人しかいなかった。私の処方箋はシンプルです。「原子力工学」という看板を捨て、「環境工学」あるいは「廃炉・除染工学」といった新領域として再構築する。その中で核燃料管理や放射線管理を扱い、地球規模の課題に取り組む文脈に位置づけ直す必要があります。「原発をやろう」と直接呼びかけるだけでは、若い世代は集まりません。教育の枠組みそのものを変える発想が要ります。</span></p>
<p>&#8212;この記事は2026年5月10日にBBTchで放映された<a href="https://bb.bbt757.com/kolive/?_ga=2.197486639.1266471034.1715034600-1855593559.1691658667">大前研一ライブ</a>の内容を一部抜粋し編集しています。</p>
<p><a href="https://bb.bbt757.com/kolive/index.html"><img loading="lazy" decoding="async" src="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg" alt="" width="980" height="654" class="alignnone size-full wp-image-2968" srcset="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg 980w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-512x342.jpg 512w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-768x513.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 980px) 100vw, 980px" /></a></p>
]]></content:encoded>
					
		
		
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		<title>KON1129：日産6500億円赤字・東電「金融出身者」会長・牧野フライス中止勧告──「持ち腐れ」が並ぶ日本企業の現在地</title>
		<link>https://aoba-bbt.com/ohmae_blog/5561/</link>
		
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		<pubDate>Thu, 30 Apr 2026 07:56:53 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[日産自動車・6500億円赤字の本質──ゴーン後の「商品力枯渇」と日本市場軽視のツケ ── コストダウンに偏重した結果、車を作る会社の魂が抜けた 日産自動車が20 &#8230; <span class="c-button is-more">続きを見る</span>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h4><b>日産自動車・6500億円赤字の本質──ゴーン後の「商品力枯渇」と日本市場軽視のツケ</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">── コストダウンに偏重した結果、車を作る会社の魂が抜けた</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日産自動車が2026年3月期の連結最終損益として6500億円の赤字見通しを発表しました（その後4月27日には為替や固定費削減の効果で5500億円の赤字に上方修正）。最終赤字は2期連続で、過去最大級の規模です。世界で2万人の人員削減と7工場の削減という構造改革を打ち出していますが、私はこの数字の背後にある本質的な問題を語らなければならないと考えます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日産再建の歴史を振り返ると、ルノーから派遣されたカルロス・ゴーンが断行した「日産リバイバルプラン」は確かに最初は成功しました。しかしその後、ゴーンは二つの致命的な誤りを犯しています。一つはコストダウン一辺倒で、車を生み出す力という日産の生命線をないがしろにしたこと。もう一つは、自分が得意なアメリカ市場に偏重し、日本市場をないがしろにしたことです。ゴーン氏は月に1〜2日しか日本に来ず、来てもマスコミを連れてディーラーで写真を撮って帰るだけでした。その結果、国内シェアは2位から4位に転落しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日産はもともと、神奈川・厚木の研究所が生み出す車の魅力で勝負してきた会社です。フェアレディZ、スカイライン、GT-R──ドライバーの心をつかむ走りの良さ、形やデザインの美しさ。これが日産のDNAです。私自身、日産の車を何十台も買ってきましたが、その魅力が基本的に失われてしまいました。今、国内で売れているのはノートとセレナくらい。スカイラインやシルビアといった旧プリンス系の名車を生んだ系譜は、もう細々としか残っていません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">自動車産業全体の構造も大きく変わりました。販売台数で見るランキングと、時価総額で見るランキングが逆転しつつあるのです。フェラーリは販売台数では入ってこないが時価総額では世界6位前後。BMWやメルセデスも時価総額が高い。一方で台数だけ多いフォルクスワーゲンや日産系は時価総額で評価されない。「規模から質へ」という地殻変動が起きており、日産はその逆方向にいるのが現状です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私が日産再建の方向性として提案したいのは三つ。第一にアライアンスの見直し──ルノーから全株を買い戻し、提携を実質的に解消する。第二に拡大路線の見直し──日本・北中米・中国・欧州・アジア太平洋の5極体制に縮める。第三に段階的なEVシフト──当面はHV人気を取り込みつつ、電池はホンハイなどと組む。そして何より、厚木研究所の人をもう一度取締役に戻し、世界的なカーデザイナーを入れて、スカイライン・Z・GT-Rの新型を本気で開発することです。日産にとって売れる車とは「形がいい」「デザインが好き」と言われる車。原点に戻る以外に、再生の道はありません。</span></p>
<h4><b>牧野フライス買収中止勧告──MBKを知らない日本政府の「恥」</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">── 外為法初の中止勧告、しかし相手は日本企業の最大級買い手</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">政府が、アジア系投資ファンドのMBKパートナーズによる工作機械大手・牧野フライス製作所の買収計画に対し、外為法第27条第5項に基づく中止勧告を出したことが報じられました。2026年4月22日付。財務相と経産相の連名で発出されたもので、2017年の外為法改正以降では初めて、Jパワー事案以来となる歴史的な事例です。牧野フライスの工作機械が日本の防衛装備品メーカーで広く使われていることから、安全保障上の懸念があると判断されたとされます。23日には日系ファンドのNSSK（日本産業推進機構）が買収提案を検討していることも明らかになりました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私はこのニュースを見て、「これほど恥ずかしい話はない」というのが率直な感想です。財務省や経産省はMBKがどういうファンドかを本当に知らないのではないか。MBKは既に日本で大規模な買収実績を積んでいます。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの再建（ゴールドマン・サックスとの共同事業として5倍の値段で売却）、米ブラックストーンからのアリナミン製薬買収（約3500億円。同社のルーツは武田薬品工業の大衆薬事業）、TASAKI（旧田崎真珠）、コメダ珈琲店、アコーディア・ゴルフ、ゴディバ・ジャパン。皆さんが日常的に手にしている商品やサービスの背後に、MBKが関わっています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">しかも創業者のマイケル・キム氏（Michael ByungJu Kim）は、私自身、彼がハーバード・ビジネス・スクール時代から知っている超一流の人物です。ゴールドマン・サックスを経てカーライル・グループのアジア責任者を務め、2005年にMBKを立ち上げました。共同創業メンバーもカーライル出身の精鋭ばかりで、出資者の顔ぶれもピカピカ。世界で最も審査が厳しいといわれるカナダ・オンタリオ州の年金基金まで資金を入れています。これを「外国のファンドだから」という雑な理由で中止勧告するのは、日本の対外シグナルとして極めて恥ずかしい。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一点重要なのは、買収には日本政府だけでなく米国政府、中国政府の独占禁止法上の承認も必要だということです。MBKは既に米国・中国の承認を取得済みでした。これからNSSKが代わりに乗り出しても、米中のクリアランスを取り直すのは並大抵ではありません。本当に防衛産業上の懸念があるなら、その問題が顕在化したときに個別に対応すればいい。日本にもMBKのスタッフはいるのですから。「雰囲気で外資を排除する」のは、対日投資全体を萎縮させる愚策です。</span></p>
<h4><b>東電会長に横尾敬介氏──「金融出身」でも解けない原発処理の構造問題</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">── 会社を二つに分けない限り、誰が来てもうまくいかない</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">東京電力ホールディングスが、小林喜光会長の後任に産業革新投資機構（JIC）の横尾敬介社長を招く方向で最終調整に入ったことが分かりました。日本興業銀行（現みずほ銀行）出身でみずほ証券社長を経てJIC社長を務めた横尾氏が就任すれば、東電会長として5代続けて外部招聘、初の金融出身者となります。M&amp;Aや企業再編の経験を生かし、外部資本の受け入れを含む提携戦略を主導する見通しです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">東電は実態として何度も破綻しています。それでも生き残っているのは、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が無限にお金を注ぎ込んでいるからです。M&amp;Aの分かる横尾さんを連れてくるという方向は、外部資本を入れて立て直しを図るという文脈では理解できます。しかし私は、それでは根本問題は解けないと考えています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私の主張は明確です。東電は二つに分けるべきです。一つは福島第一原発の廃炉・デブリ除去を担う会社で、これは国の参加で運営する。なぜなら、デブリ除去は40年以上かかる事業で、お金がいくらかかるか誰にも分からない。これに資本参加したい民間企業は出てこないし、出てくるとすれば期待を裏切る形になります。もう一つは、柏崎刈羽原発6号機の営業運転再開（4月16日）も含めて、他の電力会社と力を合わせて発電・売電を担う会社。こちらは株式会社として通常の経営マネジメントが効きます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ところが現状はこの二つを一つの会社のままにし、足りない分を国からの補助で穴埋めする構造になっています。これがあるために世界最大の電力会社が「資本参加したい」という声を集めながらも、福島第一の費用が読めないという理由でディールが進まない。横尾さんは74歳で、40年規模のデブリ除去事業をマネジメントできるとは思えません。電力会社のマネジメントなら経営手腕で対応できるが、原子炉のデブリ除去は別物です。だからまず構造を組み直すこと──分離なくして再建なし。これを横尾さんが提案できるかどうかが、本人の真価を問う最大の論点になります。</span></p>
<h4><b>長期金利2.49%急上昇──「責任ある積極財政」という言葉の矛盾</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">── 市場は高市政権の足元を見始めている</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">10年もの国債の利回りが2.49%まで急上昇しました。先週、市場が高市政権の財政運営に対する不安を一気に織り込んだ形です。同時に円安基調も継続しており、株式市場は成長投資への期待から上昇しているものの、金利上昇が株価の下押し要因となる可能性も指摘されています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私はこの動きの根底にあるのは、「責任ある積極財政」という言葉そのものの矛盾だと考えています。高市首相は「責任ある」と「積極財政」を組み合わせて使っていますが、少子高齢化が進み、政府債務がGDPの2倍を超える日本で、積極財政をやって責任を取れるはずがない。一方で「責任ある緊縮財政」と「無責任な積極財政」という言葉の組み合わせなら筋が通ります。「責任」と「積極」は両立しない。にもかかわらず両方を看板にしているから、市場は「どちらが本気なのか」と足元を見始めたのです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">参考になるのはイタリアのメローニ首相の事例です。財政が厳しい中で緊縮財政を断行し、結果を出している。メローニ氏と高市首相は仲が良いと聞きますが、政策の方向は両極端です。さらに今後、ホルムズ海峡情勢で原油が高騰すればインフレが加速し、日銀は金利を上げざるを得なくなります。金利を上げなければ円安が進み、輸入物価がさらに跳ね上がる。どちらに転んでも舵取りは極めて難しい局面に入りました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私はこの市場の警告を、政策の整合性を求めるシグナルだと受け取っています。「成長投資」と「財政健全化」のどちらを優先するのか、その順序を明確に示さない限り、長期金利の上昇は止まらないでしょう。</span></p>
<h4><b>パナソニックが拓く「マイiPS細胞」革命──5000万円から100万円以下へ</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">── 再生医療の経済的ハードルを一気に下げる装置開発</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">パナソニックホールディングスが、患者自身の血液から作るiPS細胞を全自動で培養する装置を開発したと発表しました。京都大学iPS細胞研究財団と組んで2026年4月から実証実験を本格化させ、2028年度の製品化を目指すといいます。これまで手作業による培養では1人あたり約5000万円かかっていた費用を、新装置で50分の1の100万円以下に抑えられる可能性があるとしています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私はこの開発を素直に評価したい。患者本人の細胞から作る「マイiPS」は、他人由来のiPS細胞に比べて拒絶反応が起きにくいという根本的な優位性があります。一方で、培養を熟練者の手作業に依存していたことが、コストとスケールの両面でボトルネックになっていました。装置内で衛生管理を完結できるようにし、人件費を大幅に削減できれば、再生医療の経済的ハードルが一気に下がります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">再生医療は、これまで「期待は大きいが現実には届かない」分野でした。50分の1のコストダウンが本当に実現すれば、移植医療や難病治療の選択肢が大きく広がります。私は2028年度の実用化に向けて、パナソニックの技術が単発で終わらず、産業として根付くかどうかをしっかり見ていきたい。日本発の医療イノベーションとして、注目に値する動きだと思います。</span></p>
<h4><b>ノジマが日立家電事業を1100億円で買収──白物家電が量販店の手に渡る意味</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">── 「中立的なブランド」を量販店経営者が守れるか</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">家電量販店のノジマが、日立製作所の白物家電事業を1100億円で買収すると発表しました。日立グローバルライフソリューションズ（日立GLS）が新会社を設立し、その株式の80.1%をノジマが取得、残り19.9%を日立GLSが保有する形です。さらにトルコの家電大手アルチェリクと共同設立していた海外事業会社AHHAも傘下に取り込み、国内外の日立ブランド家電を一体運営する体制を構築します。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ノジマは過去に携帯代理店のITX、コネクシオを各約850億円で買収し、2025年1月にはVAIOも買収しています。今回は過去最大の案件です。野島廣司社長は「店舗で得られるお客様の声を製品開発からアフターサービスまで循環させる体制を構築する」と語っています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ただ、私はこのディールには二つ気になる点があります。一つはノジマが家電量販店として他社にどう中立的な顔を見せられるかです。日立の白物家電はヨドバシ、ヤマダ、ビックカメラといった他の量販店でも売られています。ノジマが事実上の「メーカー」になった時点で、競合量販店が「ノジマ系の商品は扱いたくない」となれば、せっかく買った事業の販路が縮みます。「日立」ブランドを残し、他量販店でも売り続けるという方針はそのリスクを意識したものでしょうが、運営の中立性を実際に保てるかは別問題です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一つは、白物家電というセグメントの将来性です。アメリカではGEもシアーズも白物事業から手を引き、別の所に売却しています。茶物（ブラウン）家電は中国勢にやられ、白物も中国・韓国勢に押されている。ソニーすらテレビ事業をTCLとの合弁にしました。日本の家電は「お客様の声」だけで再生できるほど甘くない構造変化の中にあります。それでもノジマが利益を出している会社であり、1100億円を出せる体力があるのは事実です。挑戦そのものは応援したいが、楽観論は禁物です。</span></p>
<h4><b>ブルガリア親ロ派政権の誕生──しかし「ロシア寄り」は長続きしない</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">── EU補助金とのトレードオフが現実を縛る</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">東欧ブルガリアで議会選（一院制、定数240）が4月19日に投開票され、親ロシア派のラデフ前大統領が率いる中道左派連合「前進するブルガリア（PB）」が約130議席を獲得し、単独過半数を取る勢いとなりました。得票率は約44.6%。ボリソフ元首相が率いる親EU・中道右派の「欧州発展のためのブルガリア市民（GERB）」を大きく引き離しました。EU加盟国でNATOにも加盟するブルガリアにウクライナ支援に消極的な政権が誕生する可能性が出てきたわけです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私はこのニュースを見て、ハンガリーのオルバン政権との比較で考えています。一見、欧州内の「親ロシア派ベルト」が拡大したように見えるが、ブルガリアの場合は事情が違うと見ています。私自身、トルコから車でブルガリアを通り、ポーランドを経てウクライナまで運転したことがありますが、ブルガリアは穏やかな農業国で、貿易構造もEU依存です。輸出はドイツ、ルーマニア、イタリア、トルコが中心。ロシアとの貿易はそれほど大きくありません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一つ重要なのが、EUからの結束基金や復興基金です。ブルガリアは1人あたりGDPがEU平均より低く、EUからの補助金がインフラ整備や農業に欠かせません。EUから受け取る補助金とEUへの拠出金の差し引き額は受け取り超過の年間19億ユーロ規模で、この資金が来なくなれば、即座に生活水準に跳ね返ります。ロシアに寄り添うことで得られるメリットは、これら経済的便益と比べて極めて小さい。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">したがって私の見立ては、ラデフ政権は当初こそ反EU・親ロのレトリックを掲げるが、最終的には実利の前で軌道修正を余儀なくされる、というものです。「ウクライナ支援は反対」と言ってみても、もともとブルガリアはあまり拠出していなかったのですから、実害は少ない。ロシアに振れたところで「経済的に何ももらえない」現実が、政策をEU側に引き戻す力学になります。ブルガリアはオルバン氏ほどには「親ロ路線」を貫けないでしょう。</span></p>
<h4><b>フランス中銀、米国保管の金129トンを本国移送で2.3兆円利益</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">── 純度規格更新に名を借りた、地政学的な意思表示でもある</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">フランス中央銀行が米国に保管していた金129トンを本国へ移動させる過程で、約128億ユーロ（約2.3兆円）の利益を得たことが分かりました。ロンドン地金市場協会（LBMA）の最新の品質基準に合わない古い金を基準に合致する金に置き換えるため、米国でいったん売却し、欧州で同量を再取得した際の価格変動が利益につながった、というのが公式の説明です。仏中銀のビルロワドガロー総裁は「政治的な意図はない」と強調しています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">実利だけ見れば、これはフランス国民にとって朗報だと私は思います。約2.3兆円という金額は、フランスの国家予算の1.5%程度に過ぎないとはいえ、棚ぼたとしては相当な規模です。中央銀行の金保有量はアメリカ、ドイツ、IMF、イタリアが多い。今回の動きを見て、イタリアなどが「うちもやろう」と続く可能性は十分にあるでしょう。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ただし「政治的意図はない」というのは、私はやや額面通りには受け取れません。米国保管の金を本国に戻すという行為自体が、米欧間の信認に対する一つのシグナルです。トランプ政権下で関税や同盟関係が揺れる中、各国中銀がドル資産・米国保管資産の比率を見直す動きの一環として位置づけられます。日本は金保有量がまだ少なく、こうした駆け引きの主役にはなれませんが、外貨準備や金保有のあり方を改めて考える時期に来ているのは確かです。</span></p>
<p>&#8212;この記事は2026年4月26日にBBTchで放映された<a href="https://bb.bbt757.com/kolive/?_ga=2.197486639.1266471034.1715034600-1855593559.1691658667">大前研一ライブ</a>の内容を一部抜粋し編集しています。</p>
<p><a href="https://bb.bbt757.com/kolive/index.html"><img loading="lazy" decoding="async" src="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg" alt="" width="980" height="654" class="alignnone size-full wp-image-2968" srcset="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg 980w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-512x342.jpg 512w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-768x513.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 980px) 100vw, 980px" /></a></p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>KON1128：国債2.49%・ユーロ187円・人民元23円──”円と日本国債なら安全”の時代は終わった</title>
		<link>https://aoba-bbt.com/ohmae_blog/5547/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[master]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 22 Apr 2026 05:19:41 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[教皇レオ14世を呼び捨てたトランプ大統領 ──「核とベネズエラ攻撃に弱腰な教皇は不要」発言が招くカトリック離反の可能性 トランプ大統領は12日、自身のSNSでロ &#8230; <span class="c-button is-more">続きを見る</span>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h4><b>教皇レオ14世を呼び捨てたトランプ大統領</b></h4>
<p><i><span style="font-weight: 400;">──「核とベネズエラ攻撃に弱腰な教皇は不要」発言が招くカトリック離反の可能性</span></i></p>
<p><span style="font-weight: 400;">トランプ大統領は12日、自身のSNSでローマ教皇レオ14世を呼び捨てで批判しました。教皇が対イラン軍事作戦や米国のベネズエラへの姿勢を問題視したことに反発したもので、「レオは犯罪対策に弱腰で、外交政策も最悪だ」「イランが核兵器を持つことを容認する教皇などいらない」と投稿し、さらに「私がホワイトハウスにいなかったら、レオはバチカンにいなかっただろう」とまで述べています。CNNは16日、両者の対立が長期化する可能性があり、カトリック層のトランプ支持に変化をもたらす可能性があると報じました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私は、トランプ大統領が極めて危うい領域に踏み込んだと見ています。第一期政権のアドバイザーだったスティーブ・バノンは、当時のフランシス教皇を引きずり下ろすような運動を展開していましたから、ユダヤ系に近いそうした発想がトランプ周辺に根強くあります。問題は、「自分が大統領になったからアメリカ出身のレオが教皇になれた」という論理まで持ち出している点です。現実認識としてかなり無理のある主張です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ローマ教皇の本来の役割は平和を説くことにあります。今回も教皇は「一握りの暴君が世界を荒廃させる」と語っていて、これは宗教指導者として至極まっとうな発言です。イタリアはまさにカトリックの国ですから、これまでトランプと良好な関係にあったメローニ首相ですら、今回は距離を置いています。昨年の米大統領選でトランプを支えた福音派プロテスタント、ヒスパニックのプロテスタント、白人のカトリック層が、今後どれだけ離反していくか。私は中間選挙で共和党が大敗する展開は、もはや避けがたいと見ています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">さらに深刻なのは、トランプが自らをイエス・キリストになぞらえた生成AI画像を投稿したり、病人に手をかざす姿、水の上を歩くパロディまで拡散していることです。キリスト教の伝統的な信者にとって、これは明白な冒涜行為です。支持層の信仰心を逆なでする行動を繰り返せば、得るものは何もありません。</span></p>
<h4><b>対イラン戦争と「自己顕示欲の傲慢」</b></h4>
<p><i><span style="font-weight: 400;">──クシュナー氏・ウィトコフ特使の助言に依拠した「1日で決着」の誤算</span></i></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ニューヨーク・タイムズは14日、トランプ氏の予測不能な言動と過激な発言がメンタルヘルスに関する議論を再燃させると題する記事を掲載しました。イランへの強硬発言や要人批判を繰り返す中、その精神状態をめぐる議論が世論や専門家のみならず、支持層にまで広がっていると伝えています。日経新聞も16日、「トランプ氏 虚栄心の傲慢」と題する記事で、当初「終わりなき戦争」として中東介入に否定的だった大統領が、側近ら強硬派の働きかけと自身のレガシー志向に動かされ対イラン攻撃に踏み切ったと指摘しました。ギリシャ悲劇の教訓的パターンになぞらえた分析です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">自己顕示欲と傲慢という指摘は的を射ています。トランプ大統領は、イランとの戦争がどう展開するか十分に見通せないまま、「1日で決着できる」という前提で踏み切ってしまった。この判断を後押ししたのが娘婿のジャレッド・クシュナー氏と、スティーブ・ウィトコフ中東担当特使です。実際にはイラン側の抵抗は想定以上にしぶとく、現在は戦況の実像すら把握しづらい状況にあります。仲介役として当初は想定すらしていなかったパキスタンに頼らざるを得なくなっている事実が、戦略の破綻を雄弁に物語っています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">イラン側の被害は停戦交渉が始まるまでで物理的に40兆円以上、回復には10年を要すると私は見ています。これほどの戦争を、戦線布告もせず、議会の承認も得ずに始めてしまった。連邦議会の機能はどこへ行ったのかと問いたいところです。世界から見れば、アメリカは不安定で暴力的な振る舞いを繰り返す、予測不能な国家に変質しつつあります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ラスベガスでの演説では、「イランというラブリーな場所へのちょっとした気晴らしにも関わらず、経済は成長した」という発言まで飛び出しました。数千人の死者を出した戦争を「気晴らし」と呼ぶ感覚は、一国の指導者として受け入れがたいものです。停戦交渉の論点とされているウラン濃縮停止の期間についても、そもそも2015年の核合意から離脱したのはトランプ自身です。「20年か10年か」で議論している間に、当のトランプが政権を去っている可能性すらあります。この問題の本質は、合意文書の条文ではなく、濃縮能力を持つ技術者の存在にあり、人がいる限りいつでも再開できてしまうのです。</span></p>
<h4><b>ハンガリー16年ぶり政権交代</b></h4>
<p><i><span style="font-weight: 400;">──ティサ党マジャール・ペーテル氏圧勝と「J.D.ヴァンス応援のブーメラン」</span></i></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ハンガリーで12日、総選挙の投開票が行われました。中道右派の新興政党「ティサ（尊重と自由）」が議会で圧倒的多数を確保し、16年ぶりの政権交代となります。オルバン首相率いる与党フィデスは2022年の選挙から大幅に議席を減らして敗北を認め、野党としての役割を果たすと表明しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">マジャール・ペーテル氏の勝利は圧倒的でした。ロシア寄りの路線を続けてきたオルバン首相に対し、国民は「我々はEUのメンバーであり、EUと協調するのが本来の道だ」「ロシアは信頼できる相手ではない」という判断を下したわけです。かつてハンガリーがロシアから受けてきた歴史的な苦難を踏まえれば、当然の帰結と言えます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">「マジャール」というのはハンガリー語で「ハンガリー」を意味します。ハンガリーで早くから自動車生産を手掛けてきたスズキがインドでも強いことで知られていますが、現地では「マジャール・スズキ」と呼ばれ、ハンガリー国民から深く愛されている存在です。中央アジアにいたフン族が西へ流れてハンガリー（フンガリー）となり、さらにフィンランド（フンランド）に至った。その歴史の流れの中で、「マジャール」という党首が圧勝したという構図です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">オルバン敗北の一因は、J.D.ヴァンス副大統領がハンガリー入りして応援したことだと私は見ています。現在の米国政権は、ハンガリー国民から見れば歓迎されざる存在に映っていました。「トランプと親密である」というオルバンの売りが、今のヨーロッパにおいては逆に重大なマイナス要因として作用したのです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一つ看過できないのがEU補助金の構造です。ハンガリー、ギリシャ、ルーマニア、ポーランドなどは、一人当たりGDPがEU平均を下回る地域が補助金の受給側で、残る諸国は拠出側に回ります。ドイツは徹底した拠出国です。ハンガリーの最大の貿易相手はロシアではなくEUですから、EUと良好な関係を保つことで初めて経済的恩恵を享受できる。ウクライナ支援に消極的だったオルバン政権と異なり、マジャール新政権は今後、欧州と歩調を合わせた前向きな政策を展開するものと見られます。</span></p>
<h4><b>長期金利2.49% 日本国債暴落のカウントダウン</b></h4>
<p><i><span style="font-weight: 400;">──1998年運用部ショック超え、IMFも海外への波及リスクを警告</span></i></p>
<p><span style="font-weight: 400;">13日の国内債券市場で、新発10年もの国債の利回りが一時2.49%となり、1998年の運用部ショックの水準を上回りました。運用部ショックは当時の大蔵省が財政投融資改革の一環として国債の買い入れを停止したのを受け、金利が3カ月で1%未満から2.44%まで急上昇したものです。今回の上昇の背景には日銀の利上げ観測、高市政権の積極財政路線、そして中東情勢の混迷による原油高があります。IMFも14日、日本の金利上昇が海外に波及するリスクを指摘する報告書を公表しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">この動きは、日銀が利上げできないと市場が見切ったことの表れです。10年もの国債利回りが2.49%という水準に急激に達している。日銀は現在、長期国債を約555兆円（2025年9月末時点）保有していますから、金利上昇に伴う利払い負担の増加は無視できない規模に達します。日本国債暴落の危険性が迫っているというのが、今週の懇親会で私が取り上げたテーマでした。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">IMFの指摘には、もう一つ別の側面があります。「日本国債の利回りが上がったなら、そこに資金を振り向けよう」と海外投資家が動き始めているという事実です。一見するとありがたい話に見えますが、実は極めて危険な兆候です。これまで日本国債が安定していた最大の理由は、「日本人が保有している」という認識でした。実際には日銀と国内金融機関が大半を持っているのであって、国民が直接保有している額は大きくありませんが、少なくとも海外勢の比率は極めて低く保たれてきました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ここに海外投資家が「利回りが高いから組み込もう」と入ってくると、暴落リスクが顕在化した瞬間に容赦なく空売りを浴びせてきます。一度売り浴びせられれば、元の水準には戻りません。「責任ある積極財政」という掛け声の下で歳出を膨らませる政策を続ける限り、こうしたツケはさらに積み上がっていくのです。</span></p>
<h4><b>ユーロ対円187円・人民元23円台の衝撃</b></h4>
<p><i><span style="font-weight: 400;">──利上げできない日本の通貨価値が音を立てて崩れていく</span></i></p>
<p><span style="font-weight: 400;">14日の東京市場で、円が対ユーロで一時187円52銭となり、1999年のユーロ誕生以来の最安値を更新しました。対オーストラリアドルでも一時113円台と、1990年以来の安値水準に迫っています。中東情勢を受けた資源高騰で日本の貿易赤字が拡大するとの見方から、円売りが進みました。同じく13日には中国人民元が一時1元23円台となり、管理変動相場制に移行した2005年以降の最高値を更新しています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ユーロ187円という水準は相当に衝撃的です。かつてはドルとユーロが等価で取引されていた時代もあったのに、現在はドルが159〜160円、ユーロが187円。これは日本が金利を引き上げられないという制約、今後の経済運営への不信、そして原油輸入による貿易赤字拡大への懸念が一体となって円に圧力をかけている結果です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">人民元についても、これまでは15円、せいぜい20円という水準で推移してきました。それが現在は23円。日中間の国力差が、為替レートという最も残酷な形で可視化され始めたとも言えます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">長期金利の急上昇と通貨価値の崩落は、それぞれ独立した現象ではなく、共通の根から同時に発生しています。利上げができない、積極財政で財政規律が緩む、貿易赤字が拡大する、海外投資家が日本国債への参入機会を窺う──この連鎖が円安を加速させ、同時に金利を押し上げているのです。資産と会社をどう守るかという点については、今週の向研会で詳しく論じましたので、ぜひご覧いただきたいと思います。少なくとも、「円と日本国債だけを保有していれば安全」という時代認識は、もはや通用しなくなったという前提に立つ必要があります。</span></p>
<h4><b>食料品消費税ゼロ公約の迷走</b></h4>
<p><i><span style="font-weight: 400;">──国民会議に付託した時点で「やる気なし」、ポスレジ改修を口実にした先送り</span></i></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日経新聞が小売業を対象に行った調査では、食料品の消費税ゼロを店舗価格に反映するまでの準備期間が「6カ月以上」との回答が約7割に上りました。1989年の消費税導入以降、ポスレジが消費税を前提に設計されてきたため、税率をゼロにするにはシステム改修が必要で、エンジニア不足も懸念材料とされています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">これは政策論としてやや苦い笑いを誘う展開です。自民党は衆院選で「食料品の消費税8%を2年間だけゼロにする」と公約しました。ところがその実現を、超党派の国民会議に委ねて議論するという方針を打ち出したのです。自民党は単独で316議席を確保しており、法案を通そうと思えば通せる状況にあります。あえて他党と議論する場を設けたという事実は、高市内閣に当初から実施する意思がなかったことを示唆しています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ここに小売業界から「ゼロにするには1年かかる」「全国のポスレジを改修しなければならない」「あらゆる調査を踏まえても半年は要する」という声が上がってくる。2年間だけゼロにして、その後また8%に戻すというオペレーションは、現場に大きな負担を強いる。結果として「実施は困難だ、他の方法を検討しよう」という結論に流れていく、という布石が見事に打たれているわけです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">本気で実施する意思があるのなら、この国会で即座に法案を通すことができたはずです。国民会議への付託という手順を踏んだ時点で、政治的な答えは「実施しない」方向に傾いていたと読むべきでしょう。最終的には別の形で財政を膨らませる措置が取られる可能性が高いと私は見ています。有権者がこの政策と発言の乖離をどう評価するかが、次の政局を左右するはずです。</span></p>
<h4><b>南鳥島での核のごみ文献調査、小笠原村長が容認</b></h4>
<p><i><span style="font-weight: 400;">──全国4例目、地元要請によらず国主導で進む初のケース</span></i></p>
<p><span style="font-weight: 400;">高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に向け、国が南鳥島での文献調査を申し入れたことについて、東京都小笠原村の渋谷正昭村長は13日、「国が主体的に責任を持って判断すべきだ」と述べ、事実上容認する意向を表明しました。実施されれば北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町に次ぐ全国4例目。地元の要請によらず国主導で進む初のケースとなります。南鳥島は島全体が国有地で、滞在するのは気象庁職員と自衛隊員ら約30人のみで、住民はいません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">現実的な選定先として、南鳥島以外の選択肢は極めて限られていると私は見ています。住民不在の地ですから、反対運動が発生する余地がありません。これまで文献調査を受け入れた自治体には、交付金獲得という動機も少なからず働いていました。最終的に試掘段階に進むには、市町村ではなく都道府県知事の同意が必要となります。佐賀県も北海道も知事が反対姿勢を示しており、そこから先に進めないのが実情です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">南鳥島の場合、該当する知事は東京都知事となります。住民が不在である以上、都知事が「国のために受け入れる」と表明すれば、地元合意のハードルは格段に低くなる。小池都知事であれば、国に対して恩を売って自身の政治的立場を強化する機会として活用する可能性もあります。もっとも、試掘開始までに30年以上を要する長期プロジェクトであることは、改めて留意すべき点です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">地質的にも南鳥島は優位性を持っています。日本列島は大陸プレートの下に海洋プレートが沈み込む側に位置するため、国内のどこを掘っても地震リスクを免れません。これに対し南鳥島は沈み込む側のプレート上にあり、火山活動からも隔たっている。地質的安定性という観点では、国内で最も条件の良い立地です。小笠原村は人口約2800人ですから、文献調査で最大20億円、概要調査に進めば最大70億円の交付金を2800人で分け合う計算になり、財政的なインパクトも大きい。国が地質的適性と無住環境を理由に、責任を持って踏み込んだことの意義は評価されて良いと思います。</span></p>
<h4><b>サントリー×第一三共ヘルスケア2465億円買収</b></h4>
<p><i><span style="font-weight: 400;">──酒類離れ時代、ニュートラシューティカル戦略でOTC市場へ本格参入</span></i></p>
<p><span style="font-weight: 400;">サントリーホールディングスは15日、第一三共ヘルスケアを2465億円で買収すると発表しました。第一三共ヘルスケアは風邪薬「ルル」や解熱鎮痛剤「ロキソニン」などを展開し、2025年3月期の売上高は約760億円。国内酒類市場の成長鈍化を受け、サントリーは健康関連事業を中核事業に育てる考えです。2029年6月までに段階的に完全子会社化する計画となっています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">第一三共にとって、OTC（一般用医薬品）領域は事業全体の中ではそれほど大きくありません。同社の主力はがん治療薬「エンハーツ」や抗凝固薬「リクシアナ」であり、特にがん治療薬の売上高が最大です。760億円のOTC事業を2465億円で売却するというのは、第一三共にとって妥当な判断と言えます。（売上高は25年度第３四半期累計額）</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">サントリー側の狙いは、大塚ホールディングスが先行して築いてきた「ニュートラシューティカル」戦略──医薬品（ファーマシューティカル）と栄養食品（ニュートリション）の融合ビジネス──に本格参入することです。大塚は「ポカリスエット」「カロリーメイト」「ソイジョイ」「オロナミンC」「オロナイン軟膏」「OS-1」など多彩なブランド群を擁し、5500億円規模の事業を築き上げています。市場には他にも、大正製薬（1970億円）、小林製薬のコアシリーズ、ロート製薬、パンシロン、武田から分離してファンド傘下に入ったアリナミンなどが並びます。今回サントリー傘下に入る第一三共ヘルスケア（867億円）は、この競争地図に新たな強者として加わることになります。（24年度実績）</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">医薬品メーカーは、一般消費者に対する認知度を得にくいという構造的な弱点を抱えています。「アステラス製薬は何を作っているか」と問われて即答できる生活者は多くありません。大塚が塩事業から始まり、点滴・天敵事業を経て薬品事業に入り、日本の主要薬品メーカーへと登り詰めた道のりは、サントリーにとって極めて示唆に富みます。酒類と清涼飲料で培った圧倒的なブランド力をOTC市場で活用できれば、サントリーは「第二の大塚」を目指せる立場にあります。</span></p>
<h4><b>フジクラ時価総額10兆円の虚と実</b></h4>
<p><i><span style="font-weight: 400;">──AIデータセンター向け光ファイバー特需の裏で、営業利益との乖離</span></i></p>
<p><span style="font-weight: 400;">電線メーカー大手フジクラの株価が13日、上場来高値となる5698円で取引を終え、終値ベースの時価総額は10兆1149億円と初めて10兆円を超えました。昨年末比で約2倍、東証プライム市場ではHOYA、ゆうちょ銀行、丸紅を上回る27位にランクインしています。米国でデータセンター向けの光ファイバー関連製品の需要が急速に高まっていることが背景です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日本には光ファイバーを手掛けるメーカーが多数存在するにもかかわらず、フジクラだけが突出して評価された理由は明確です。AIデータセンター内部で銅線（カッパー）が担ってきた領域を光ファイバーに置き換えることで、発熱を抑制できるという技術的優位性があるのです。発熱が減れば冷却コストも削減できる。この実需が、フジクラを一気にAI関連銘柄の主役に押し上げました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">これまで長距離通信用の光ファイバーは日本の各メーカーが共通して手掛けてきましたが、データセンター内部の短距離・大容量伝送という領域で、フジクラは一歩先に踏み出した格好です。情報通信部門の利益率が急拡大し、全社の収益構造が書き換わりました。2026年3月期の通期予想は売上高1兆1430億円、営業利益1950億円と上方修正されています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ただし、時価総額10兆円という評価には慎重な視点も必要です。営業利益1950億円の規模に対して時価総額10兆円は、PER（株価収益率）で相応に高い水準となります。米国のAI関連銘柄急騰の波に引き上げられた側面が大きく、実需の成長は本物であっても、10兆円の評価が今後も持続するかは別問題です。AIデータセンター投資の拡大ペース、競合他社の追い上げ、そしていつか来る調整局面──これらを冷静に織り込んだ上で、経営層と投資家は距離感を測る必要があります。</span></p>
<p>&#8212;この記事は2025年4月19日にBBTchで放映された<a href="https://bb.bbt757.com/kolive/?_ga=2.197486639.1266471034.1715034600-1855593559.1691658667">大前研一ライブ</a>の内容を一部抜粋し編集しています。</p>
<p><a href="https://bb.bbt757.com/kolive/index.html"><img loading="lazy" decoding="async" src="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg" alt="" width="980" height="654" class="alignnone size-full wp-image-2968" srcset="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg 980w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-512x342.jpg 512w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-768x513.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 980px) 100vw, 980px" /></a></p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>KON1127：イラン停戦決裂とトランプ「ナルシシズム」──ハンガリー政変・台湾揺さぶり・AI業界激震が同時進行する世界</title>
		<link>https://aoba-bbt.com/ohmae_blog/5543/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[master]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 16 Apr 2026 02:54:20 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[イラン停戦決裂とトランプの「悪性ナルシシズム」── 21時間の交渉も実らず、心理学者まで警鐘を鳴らす大統領の精神状態 4月8日にパキスタンの仲介でようやく成立し &#8230; <span class="c-button is-more">続きを見る</span>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h4><b>イラン停戦決裂とトランプの「悪性ナルシシズム」</b><b>── 21時間の交渉も実らず、心理学者まで警鐘を鳴らす大統領の精神状態</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">4月8日にパキスタンの仲介でようやく成立した米イラン2週間停戦は、わずか数日で崩壊の危機に瀕しています。イスラマバードで行われた21時間に及ぶ直接交渉も合意に至らず、JDバンス副大統領は「合意できなかったのはイランにとってアメリカ以上に悪いニュースだ」と捨て台詞を残して帰国しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私が一番気になるのは、トランプ大統領の言動が日に日に常軌を逸してきていることです。3日か4日のあいだに「文明全体を滅ぼしてやる」と口走ったかと思えば、レバノン攻撃を止めると約束しながらネタニヤフ首相との電話一本で立場を翻す。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学元教授で著名な心理学者のジョン・ガートナー博士までもが、トランプ氏の精神状態の急速な悪化を指摘し、「悪性のナルシシズム」と分析しているほどです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">問題の根は、政権中枢に巣食うユダヤロビーの存在です。娘婿のクシュナー、そして中東特使のウィットコフ、この二人がネタニヤフの言い分をそのままトランプに吹き込んでいる。仲介役として送り込まれたバンス副大統領も、私から見れば1×1や3引く2しか分からないような人物で、こうした微妙なニュアンスを読み取れる器ではありません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ただ、私はあまり悲観していません。この戦争が長引けば長引くほど、原油価格は高騰し、アメリカのガソリンも1ガロン4ドルを超えてくる。中間選挙で共和党は惨敗するでしょう。トランプの命脈もあと半年です。あと半年さえ持ちこたえれば、レイムダック化したトランプは何もできなくなる。日本もイランも、半年の我慢と腹をくくることが大事だと私は考えています。</span></p>
<h4><b>パキスタンが見せた「仲介力」の限界</b><b>── シャリフ首相とムニール陸軍元帥が果たした役割と、その先にある壁</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">今回の米イラン停戦交渉で世界の注目を集めたのが、パキスタンのシャバズ・シャリフ首相と、ムニール陸軍元帥という二人です。シャリフ首相は、かつて首相を務めたナワズ・シャリフ氏の弟であり、政治家一家の出身。ムニール元帥はトランプ大統領のお気に入りで、ホワイトハウスにも単独で招かれたことがある人物です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">パキスタンが仲介役として浮上したのには理由があります。米軍基地を国内に持たず、イスラム圏で唯一の核保有国であり、イランとも長い国境を接している。湾岸諸国とも中国とも良好な関係を維持している。これだけの条件が揃う国は他にありません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">実際、私もこの両首脳の動きを評価していました。トランプ大統領が「全面破壊」を宣言する直前のギリギリのタイミングで2週間停戦を引き出した手腕は見事でした。しかし、結果としては会談を成立させるところまでで、合意までは漕ぎ着けられなかった。これまでもオマーンやエジプトなどさまざまな仲介国が出てきましたが、いずれも「両者の言い分を行ったり来たり伝える」だけで、本当の意味でのシャトル外交、丁々発止のやり取りを設計する技術までは持ち合わせていなかったように見えます。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">イスラマバードの会談を21時間続けたといっても、両者を同じテーブルに座らせて折衝した時間がどこまであったのか、私には疑問です。仲介国の「善意」だけでは、構造的な不信感を埋めることはできません。仲介者として真に信頼を築くには、相手の本音を引き出す対話設計の力量こそが問われるのです。</span></p>
<h4><b>ローマ教皇レオ14世がトランプを公然と拒絶</b><b>── 250周年記念の招待を断り、ランペドゥーザ島で移民とともに過ごす意味</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">ローマ教皇レオ14世が、アメリカ建国250周年記念式典へのトランプ大統領からの招待を正式に断りました。教皇はトランプ氏が「イランの文明を滅ぼす」と投稿したことに対し、「真に受け入れがたい」との声明を出しています。バチカン関係者は、レオ14世がトランプ政権の在任中はアメリカを訪問しない可能性が高いとまで語っています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私はこれを当然のことだと受け止めています。レオ14世は史上初のアメリカ人教皇で、シカゴ出身、ペルーで30年近く宣教師として過ごした方です。移民問題、戦争に対する立場が、トランプ政権とは根本的に相容れません。教皇は7月4日のアメリカ独立250周年の日に、ヨーロッパ最大級の移民流入地点であるイタリア領ランペドゥーザ島で過ごすと発表しました。これは強烈なメッセージです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">問題はトランプ陣営の本質にあります。スティーブ・バノンに代表されるトランプ周辺のイデオローグは、もともとローマ教皇庁を権威主義の象徴として敵視してきた。前教皇フランシスコの「引きずり下ろし」を画策した人物さえいます。エプスタイン文書の問題もそうですが、伝統的な権威――イギリス王室、ローマ教皇庁、こうした「歴史を持つもの」を根こそぎ打ち倒したいという衝動が、政権の取り巻きを動かしているのです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">アメリカ建国わずか250年の国の大統領が、2000年の歴史を持つカトリック教会のトップに頭ごなしの態度を取れば、こういう結末になります。世界の道徳的指導者がトランプ政権と距離を置くという事実そのものが、アメリカの国際的孤立を象徴していると私は見ています。</span></p>
<h4><b>ハンガリー政変：オルバン16年支配の終焉</b><b>── ペーテル・マジャル率いるティサ党が地滑り的勝利、JDバンスのテコ入れも空振り</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">4月12日に行われたハンガリー総選挙で、ペーテル・マジャル氏率いる中道右派・ティサ党が199議席中138議席を獲得し、3分の2の絶対多数を確保しました。長年首相を務めてきたヴィクトル・オルバン氏のフィデス党は55議席に転落し、オルバン氏自身が敗北を認めました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私はこの結果は当然だと思います。10数年続いたオルバン政権は、近年すっかり人気を失っていました。経済の停滞、生活費の高騰、政権周辺のオリガルヒ化――どれをとっても国民の不満は限界に達していたのです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">投票直前にはJDバンス副大統領がブダペストに乗り込んでオルバンの応援に入り、「ブリュッセルの官僚」を批判してみせ、トランプ大統領も「経済力でハンガリーを支援する」と援護射撃しました。しかし、これは完全に裏目に出ました。今ヨーロッパでトランプ政権ほど嫌われている存在はないのです。バンス氏はそのことを理解せずに乗り込み、結果としてオルバン陣営にとってマイナスにしか働かなかった。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">オルバン政権の退場は、EUにとって極めて重要な意味を持ちます。これまでオルバンの拒否権によってブロックされていたウクライナへの900億ユーロ規模の支援が動き出す可能性が出てきたからです。プーチン氏にとってEU内最大の盟友を失うことになり、欧州の右派ポピュリズムの旗手も一人退場する。マジャル新政権が反汚職改革と司法独立の回復をどこまで実行できるか、今後の焦点になっていくでしょう。</span></p>
<h4><b>ベトナム、トーラム氏が国家主席を兼任、権力集中の懸念</b><b>── 集団指導体制から「一人体制」へ、油の乗った経済を失速させないために</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">ベトナム国会は4月7日、共産党書記長のトーラム氏を国家主席に選出しました。68歳のトーラム氏は党のトップと国家元首を兼任することになり、これは建国の父ホー・チ・ミン以来という極めて異例の人事です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ベトナムは今、まさに油の乗った時期に差しかかっています。あらゆる産業が前向きに動き出し、中部のダナンやホイアンを中心に観光業も賑わいを取り戻している。新政権は今後5年間、年率10%以上の経済成長を目標に掲げ、低コスト製造業中心のモデルから高付加価値産業への転換を急ぐとしています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ただ私が心配しているのは、集団指導体制から一人への権力集中という点です。トーラム氏個人について悪い噂は今のところ聞きませんが、権力の集中はいずれ問題を引き起こすものです。中国の習近平国家主席の3期目、トルコのエルドアン大統領、いずれも当初は「やり手」と評価されていた人物が、長期化するにつれて統治が暴走していった例です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ベトナムは今後3年、4年、5年と経つうちに、トーラム体制の弊害が出てくる可能性があります。特にタイのように観光業に大きく依存する国は、ちょっとした政情不安ですぐ観光客が逃げ出します。せっかく勢いに乗ってきたベトナム経済を、トーラム書記長の独走で失速させないでほしい。これが今の私の率直な願いです。</span></p>
<h4><b>Anthropic「Cowork」がSaaS業界を直撃</b><b>── クロードの新ツールで米IT大手の株価が軒並み下落、AI時代の業務再定義</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">アメリカのAnthropic社は4月9日、事務作業を自動化する新ツール「Claude Cowork」を有料プラン全般で一般提供開始しました。これは資料作成やデータ分析を対話形式でAIに指示できるサービスで、エンジニア以外の知識労働者、つまりマーケティング、財務、法務、オペレーションなどの「コアではないが時間を奪う仕事」を肩代わりするのが狙いです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">発表を受けて、ニューヨーク市場ではセールスフォースやインテュイット、米国にとどまらずインフォシスやTCSといったインドのITサービス大手まで、いわゆるSaaS銘柄の株価が軒並み下落しました。中には昨年末比で半値近くまで売り込まれた銘柄もあります。日本のNECなど主要IT企業の株価も2割から3割下落しました。中東情勢を受けたエネルギー価格高騰でIT投資自体が縮んでいることも背景にあります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私が注目しているのは、ホワイトカラーの「ブレイン業務」がついに直接的にAIに代替されつつあるという事実です。これまで「人にしかできない」とされてきた専門業務が、対話一つで相当のレベルまでこなされてしまう。SaaSというビジネスモデル、つまりサブスクリプションでソフトウェアを売り続けるという発想そのものが、根本から問われ始めています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">Anthropicはもともと、OpenAIから主義主張の違いで分かれた会社です。両社の企業価値はOpenAIが倍ほど大きいのですが、Anthropicも急速に伸びています。日本のIT業界、特にSIerと呼ばれる業務委託型のソフト開発会社にとって、これは他人事ではありません。AIを使う側に回れる人材を急いで育てなければ、日本のIT産業はあっという間に存在意義を失う恐れがあります。</span></p>
<h4><b>鄭麗文KMT主席の「やりすぎ訪中」</b><b>── 習近平との10年ぶり会談、孫文陵参拝と日本批判が招いた台湾世論の警戒</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">台湾の最大野党・国民党(KMT)の鄭麗文主席が中国を訪問し、4月10日に北京の人民大会堂で習近平国家主席と会談しました。中国共産党と国民党のトップ同士の会談は実に10年ぶりです。鄭氏は会談に先立って南京の孫文陵を参拝し、その後の演説で日本の植民地支配を強く非難しました。習氏は「両岸は一つの中国に属する」と強調し、両党は「祖国統一と民族復興」を目指すべきだと述べました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私から見ると、習近平にとって台湾を香港のように「戦争ではなく取り込む」唯一の希望が国民党です。これまでも連戦氏や馬英九氏が訪中するたびに大歓迎してきました。今回も同じパターンで、現在の民進党政権を揺さぶるカードとして鄭主席を活用したわけです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ただ、鄭主席は今回少しやりすぎました。習近平が好む言葉である「中華民族の偉大な復興」「両岸一家」をそのまま並べて見せたうえ、日本を80年前の戦争を引き合いに執拗に批判した。これは台湾世論にとって逆効果です。台湾の世論調査では、自分を「台湾人」と認識する層が年々増え続けており、「中国人でもあり台湾人でもある」と答える層は減り続けています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">つまり今の台湾の有権者の多くは、鄭主席の中国寄り発言に対して「やりすぎだ」と感じるはずです。今回の訪中は、習近平との蜜月を演出することには成功しましたが、政治的には国民党にとってマイナスだったと私は判断しています。むしろ次の選挙で警戒されることになるでしょう。</span></p>
<h4><b>ビル・アックマンによるユニバーサルミュージック10兆円買収提案</b><b>── 寝ていたと思われた著名投資家が動き出した音楽業界の地殻変動</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">アメリカのヘッジファンド、パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントは4月7日、ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)に対して総額約644億ドル(およそ9兆〜10兆円)規模の買収を提案したと発表しました。著名投資家ビル・アックマン氏率いるパーシング・スクエアは2021年からUMG株を保有しており、今回の提案では既存株主に1株あたり30.40ユーロ、これは直近終値に対して78%のプレミアムが乗った金額です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">アックマン氏といえば、しばらく目立った動きがなく、私も「ああ、寝てるのかな」と思っていたところでした。それがいきなり10兆円規模の買収提案に出てきた。「やっぱり起きていたのか」というのが正直な感想です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">UMGの株価は本業の音楽事業の業績とは無関係な要因で低迷していました。フランスのボロレ・グループが18%の株を保有していること、米国上場が延期されていることなど、株価を抑え込んでいた要因があり、アックマン氏は「これらはすべて今回の取引で解決できる」と語っています。買収後はオランダのアムステルダム上場をニューヨーク証券取引所に移す計画です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">メディア・音楽業界全体を見ると、ネットフリックスの強さが突出しており、ウォルト・ディズニー、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー、パラマウント・スカイダンス(ラリー・エリソンの息子デイビッド・エリスンが買収)など、業界再編が一気に進んでいます。その中でUMGという巨大な音楽資産を10兆円で取りに行くというのは、なかなかの賭けです。アックマン氏自身もこの一手で改めて存在感を示せるでしょう。</span></p>
<p>&#8212;この記事は2025年4月12日にBBTchで放映された<a href="https://bb.bbt757.com/kolive/?_ga=2.197486639.1266471034.1715034600-1855593559.1691658667">大前研一ライブ</a>の内容を一部抜粋し編集しています。</p>
<p><a href="https://bb.bbt757.com/kolive/index.html"><img loading="lazy" decoding="async" src="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg" alt="" width="980" height="654" class="alignnone size-full wp-image-2968" srcset="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg 980w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-512x342.jpg 512w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-768x513.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 980px) 100vw, 980px" /></a></p>
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		<title>KON1126：トランプ「勝利宣言」の虚構・タングステン危機・ペロブスカイトの敗北</title>
		<link>https://aoba-bbt.com/ohmae_blog/5535/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[master]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 09 Apr 2026 01:54:55 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[トランプの「勝利宣言」──勝っているなら、なぜまだ戦争を続けるのか 4月2日、トランプ大統領は国民向け演説で、対イラン軍事作戦について「圧倒的な勝利」を強調しま &#8230; <span class="c-button is-more">続きを見る</span>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h4><b>トランプの「勝利宣言」──勝っているなら、なぜまだ戦争を続けるのか</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">4月2日、トランプ大統領は国民向け演説で、対イラン軍事作戦について「圧倒的な勝利」を強調しました。イランの海軍・空軍は壊滅し、ミサイル能力は破壊され、核兵器開発の道は断たれたと主張しています。そして「2〜3週間以内に作戦を完了させる」意向を示しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">しかし、勝っているのであれば、なぜまだ戦争の継続を語らなければならないのでしょうか。イランのアラグチ外相は「少なくとも6ヶ月の戦闘に備えている」と明言しています。トランプ氏の発言はこの1週間で完全に迷走しており、「イランを石器時代に戻す」と言ったかと思えば、「責任者を呼べ」と叫び、その責任者が誰なのかさえわからない状態です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">米国内の専門家からも懸念の声が出始めています。F-15やA-10といった米軍機が撃墜され、パイロットの救出に手間取るなど、「圧倒的勝利」とはほど遠い現実が明らかになっています。アマゾンやオラクルなど米IT大手の中東拠点がイランの攻撃対象になっているという報告もあり、経済面での打撃も深刻化しています。</span></p>
<h4><b>カーグ島占領論の危うさ──イラン原油の90%が集中する島を狙う狂気</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">トランプ大統領は3月29日、イランの原油輸出拠点であるカーグ島を制圧する可能性に言及しました。イラン産原油の90%がこの島から輸出されており、ここを抑えればイランの経済を窒息させられるという算段です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">しかし私は、仮にカーグ島を占領したとしても、その先に待つのは地獄だと考えます。イランは自国の施設を破壊してでも抵抗するでしょうし、駐留する米軍を殲滅するために全力を尽くすはずです。これは陸上戦を意味し、トランプ氏が通常ならやらないようなことですが、今は追い詰められているだけに、やりかねません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">イランは世界第4位の原油埋蔵量を持ち、人口も約9000万人を擁する大国です。カーグ島を潰しても他の油田は残りますし、陸上輸送で対象国に供給することも可能です。壊滅的ではあっても致命的ではない。トランプ氏が「簡単に占領できる」と言うのは、イラクやアフガニスタンと同じ過ちを繰り返す前兆にしか見えません。</span></p>
<h4><b>ホルムズ海峡と日本のエネルギー政策──「170円に抑える」は合理的でない</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">高市首相は国民への節電要請について「あらゆる可能性を排除しない」と述べ、需要抑制策の可能性を示唆しました。一方、EU加盟国のうち10ヶ国以上がすでに燃料税の一時引き下げに踏み切っています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">しかし、私に言わせれば高市首相のリスク認識は完全に甘い。ホルムズ海峡が通れず、石油の90%がそこを経由する日本にとって、これは選挙前の「市民サービス」で済む問題ではありません。ガソリン価格を170円に設定するなど、非合理としか言いようがない。日本は石油を一滴も産出しないのに、世界最大の産油国であるアメリカよりも安い価格で売ろうとしている。ドイツは日本の2倍以上、フランスやイタリアも軒並み高い。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">しかも、たとえホルムズ海峡を通過できるようになっても、湾岸の輸出施設はすでに破壊されています。カタールのLNG施設の復旧には1〜2ヶ月、長ければそれ以上かかります。これは短期的な問題ではありません。国民に対して本当のことを伝え、エネルギーを大幅に節約する覚悟を求めるべきです。値上げこそが最も合理的な消費抑制策なのです。</span></p>
<h4><b>タングステン危機──中国依存の「見えない急所」が露呈した</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">今回のニュースで多くの方がご存じなかったであろうトピックが、タングステンの供給危機です。タングステンは融点が最も高い金属で、その炭化物にコバルトなどを混ぜると超硬合金になります。工作機械の切削工具や砲弾の芯材など、産業と軍事の両面で不可欠な素材です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">このタングステンの価格がわずか4ヶ月で3倍に高騰しました。供給の大部分を中国が握っており、モリブデンやロジウムなど関連レアメタルも同様に不足しています。中国以外ではベトナムやロシアに若干の埋蔵量がありますが、代替調達は容易ではありません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">タンガロイのような超硬合金メーカー、そして工作機械全般がこの影響を受けます。機械加工、研磨、切削──日本のものづくりの根幹を支える素材が、中国の手の中にあるという事実に、私たちはもっと危機感を持つべきです。少なくとも3年分の備蓄を国内に持っておかなければ、中国に首根っこを掴まれたままになります。レアアースだけでなく、タングステンの備蓄戦略を今すぐ議論すべきです。</span></p>
<h4><b>米国防予算240兆円の非現実性──日本の国家予算2年分が「軍事費」に消える</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">米国の2027年度国防予算が過去最高の約240兆円に達する方針が明らかになりました。前年比42%増という数字は、冷戦時代のレーガン政権の増加幅すら上回ります。トランプ政権のミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」などの新規プログラムも含まれています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">これは日本の国家予算のまるまる2年分に相当します。日本の防衛予算が5兆円から10兆円へ、GDP比5%にしたとしても25兆円ですから、少なくとも10倍の規模です。「世界最強」を何度も連呼しながら、他のあらゆる予算を削ってまで軍事費だけを積み上げていく。正気の沙汰とは思えません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">NATO諸国にもGDP比5%の防衛費を求めており、これが実現すれば世界全体の軍拡が加速します。議会が否決する可能性はありますが、上下両院とも共和党多数の「トリプルレッド」状態では、通ってしまう危険性も否定できません。</span></p>
<h4><b>台湾の原発再稼働と国民党訪中──「台湾人意識」の高まりと習近平の焦り</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">台湾当局が原子力発電所の2028年再稼働を検討していることが明らかになりました。AI半導体産業の電力需要急増とエネルギー供給への懸念が背景にあります。台湾は脱原発政策で2025年に原子力をゼロにしましたが、石炭依存度が高く、CO2問題もあり、原発再稼働に舵を切らざるを得ない状況です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">一方、中国共産党は3月30日、台湾最大野党の国民党・鄭麗文（テイ・レイブン）主席と習近平主席が会談したと発表しました。2016年以来の党首級会談で、経済交流の拡大と大統領選を見据えた動きです。習近平は日々台湾を取り込もうとしていますが、なかなか思い通りにはいきません。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私が注目しているのは台湾のアイデンティティの変化です。「自分は台湾人だ」と考える人が圧倒的に増えています。李登輝の時代に私が提案した「本省人・外省人の区別をやめ、全員を台湾人とする」戸籍改革はまだ実現していませんが、実態としてはその方向に進んでいます。「本土籍」という区分が残っている限り、「いつか大陸に戻って全部取り戻す」という建前が消えません。ここが大きな問題です。</span></p>
<h4><b>ペロブスカイト太陽電池──桐蔭横浜大学発の技術が中国100社に奪われる構図</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">ペロブスカイト型太陽電池の開発競争で、中国企業100社以上が参入していることが明らかになりました。中国のスタートアップがすでに世界初のギガワット級生産拠点を稼働させ、昨年11月には世界最高の変換効率を持つ市販品を開発しています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">この技術は桐蔭横浜大学の研究者が開発しました。ところが、費用や手間の問題で特許を出願せず、中国が自由に技術を活用できる状況になり、今や開発競争で日本を圧倒しています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">曲げられる、変換効率が高い、製造コストが安い──次世代太陽電池の本命と目されるペロブスカイトですが、開発のスピードと規模で中国に太刀打ちできていません。日本発の技術がまたしても中国に持っていかれるという、何度目かの悲劇が繰り返されています。</span></p>
<h4><b>韓国コスメの躍進と資生堂の苦境──SNS時代のブランド戦略の明暗</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">韓国の化粧品輸出が過去最大を記録し、初めて中国を抜いて米国が最大の輸出先となりました。TikTokやInstagramでのインフルエンサーが「保湿力が高い」「肌に優しい」と拡散したことが爆発的な成長の原動力です。アモーレパシフィックをはじめとする韓国企業がSNSマーケティングで世界市場を席巻しています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">一方、資生堂はこの波に完全に乗り遅れました。従来のフランス型・アメリカ型のブランド投資──高額な広告費をかけてブランドイメージを構築する手法──に頼り続けた結果、SNS時代の「インフルエンサーが一言いえば売れる」というスピード感についていけなくなりました。中国市場でもシェアを落としています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">問題は、インフルエンサー頼みのマーケティングは、ブランドへの持続的な投資がないまま一瞬で消えるリスクもあるということです。</span></p>
<h4><b>オムロン電子部品事業のカーライル売却──「ノウハウなき買い手」への懸念</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">大手電機メーカーのオムロンが、電子部品事業を米カーライル・グループに810億円で売却すると発表しました。対象事業の従業員は約6500人。中国企業との競争激化で業績が低迷する中、カーライルの支援で成長を目指すとしています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私はオムロンの創業者・立石一真さんと50年前からの付き合いがあり、スイッチ・タイマー・リレーという電子部品の世界をよく知っています。かつては世界トップの圧倒的な強さを誇っていましたが、中国に一つずつ奪われ、今や利益がほとんど出なくなりました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">問題はカーライルにこの事業のノウハウがあるかどうかです。私にはないと思います。カーライルは買収資金は持っていますが、電子部品事業の知見はない。4〜5年以内に「出口」を求めるのが投資ファンドの常であり、その時に中国企業に投げ売りされる可能性は十分にあります。オムロンにとっては810億円が手元に入りますが、日本のスイッチ・タイマー・リレー産業がそのまま中国に移転するリスクを考えると、手放しでは喜べません。</span></p>
<p>&#8212;この記事は2025年4月5日にBBTchで放映された<a href="https://bb.bbt757.com/kolive/?_ga=2.197486639.1266471034.1715034600-1855593559.1691658667">大前研一ライブ</a>の内容を一部抜粋し編集しています。</p>
<p><a href="https://bb.bbt757.com/kolive/index.html"><img loading="lazy" decoding="async" src="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg" alt="" width="980" height="654" class="alignnone size-full wp-image-2968" srcset="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg 980w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-512x342.jpg 512w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-768x513.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 980px) 100vw, 980px" /></a></p>
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		<title>KON1125：4000キロ弾道ミサイル・エネルギー備蓄の限界・NEC世界首位の皮肉──日本の”持ち腐れ”体質を撃つ</title>
		<link>https://aoba-bbt.com/ohmae_blog/5518/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[master]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 02 Apr 2026 01:07:37 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[ イランの長距離ミサイル発射──4000キロの射程が欧州を震撼。ディエゴガルシア基地への攻撃が示す「想定外の脅威」 イランが3月20日、インド洋のディエゴガルシ &#8230; <span class="c-button is-more">続きを見る</span>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h4><b> イランの長距離ミサイル発射──4000キロの射程が欧州を震撼。</b><b>ディエゴガルシア基地への攻撃が示す「想定外の脅威」</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">イランが3月20日、インド洋のディエゴガルシアにある米英共同基地に向け、射程約4000キロの中距離弾道ミサイル2発を発射しました。1発は迎撃され、もう1発は途中で墜落し攻撃は失敗に終わりましたが、問題はその「射程」にあります。イランはこれまで弾道ミサイルの射程を2000キロに自主規制してきたとされており、4000キロという数字はイギリスやフランスなど欧州の主要都市が射程圏内に入ることを意味します。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">欧州各国にとってこの衝撃は計り知れません。これまでイランのミサイルは「中東地域の問題」という認識でしたが、それが一夜にして自国の安全保障に直結する脅威へと変貌したのです。攻撃そのものは不成功に終わりましたが、イランが4000キロ級の兵器を開発しているという事実こそが、安全保障上の前提を根本から揺さぶる出来事です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ディエゴガルシアはB-2ステルス爆撃機やB-52戦略爆撃機を運用できる米軍の戦略的要衝であり、ここを狙うことはイランにとって「米軍の安全圏はもはや存在しない」というメッセージの発信でもあります。技術的な精度はまだ未成熟であっても、この「到達能力の誇示」が持つ地政学的インパクトは極めて大きいと言わざるを得ません。</span></p>
<h4><b>トランプの「夢遊病」──停戦交渉の一人芝居と責任転嫁</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">トランプ大統領はイランとの戦闘停止に向けた協議が「生産的だった」として、イランの発電所への攻撃を5日間延期すると発表しました。しかし、私にはこの停戦協議そのものが行われていないように見えます。パキスタンのシャリフ首相が仲介に動いてはいますが、正式な交渉とは言い難い状況です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">当初「48時間以内にホルムズ海峡を開放しなければ発電施設を攻撃する」と最後通牒を突きつけたはずが、それが5日間に伸び、さらに延びていく。これは彼の「一人芝居」に過ぎません。陸上作戦の準備に時間を稼いでいる可能性もありますが、停戦に向けた実質的な進展があるとは考えにくいでしょう。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">さらに問題なのは責任転嫁です。トランプ氏は対イラン軍事作戦を最初に支持したのはヘグセス国防長官だったと示唆し始めました。しかし実態は、娘婿のジャレッド・クシュナーが「今やればすぐ終わる」と助言したことがきっかけだったとされています。泥沼にはまった結果、秋の中間選挙に不利だと気づき、誰かに責任をなすりつけようとしている。「戦争をしない大統領」を公約したはずの人物が始めた戦争の代償は、想像以上に重いものになりつつあります。</span></p>
<h4><b>ホルムズ海峡封鎖とエネルギー危機──日本は「我慢」と「節約」で乗り切るしかない</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">ホルムズ海峡の通航リスクが高まる中、日本のエネルギー自給の限界が改めて突きつけられています。しかし、ここで原発再稼働に舵を切ったところで、実際に動くまでには5年、6年とかかります。福島第2原発は物理的には稼働可能でも、福島県民がOKする可能性はほぼゼロです。青森県の東通原発も建設途中で止まったまま。再生可能エネルギーも建設に同程度の時間がかかります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">したがって、今回は「油が来なければ来ないなりに我慢する」しかありません。夏の甲子園を中止する、東京タワーのライトアップをやめる、冷房を27度で我慢する──コロナ禍で夜8時閉店をやったのと同じことです。今あるエネルギーを倍持たせるよう節約を徹底すれば、十分に耐えられるはずです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">政府がガソリン価格を170円に抑える補助金を再開するという話がありますが、これはIEA（国際エネルギー機関）が呼びかけている消費抑制策とは完全に矛盾します。供給不安の局面で消費を喚起する政策は間違いです。自然な価格に委ね、高ければ高いなりに節約する。それが合理的な対応です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">もう一つ重要なのは、フィリピンやベトナムへの支援です。これらの国は石油備蓄がほとんどなく、すでにパニック状態に陥っています。日本の254日分の備蓄のごく一部を回すだけで大きな助けになります。アジアにおける日本の役割として、ぜひ検討すべきだと考えます。</span></p>
<h4><b>湾岸の生産基地が破壊されている──ホルムズ解放後も供給は戻らない</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">シェルのサワンCEOが、カタールのエネルギー施設の修復におよそ1年かかるとの見通しを示しました。エクソンモービルも、カタールに権益を持つLNG輸出基地の復旧に最大5年かかると言っています。これは、仮にホルムズ海峡が通れるようになったとしても、湾岸の生産基地そのものがイランの攻撃で破壊されており、供給力自体が落ちているということを意味します。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私たちは「海峡が通れるかどうか」ばかりに注目しがちですが、向こう側で生産設備がやられているという事実こそがより深刻な問題です。LNGについては、日本はかつてカタール一辺倒だったものが今は調達先をかなり多様化しているため、まだ対応の余地はあります。しかし石油については依然として湾岸からの調達に頼らざるを得ず、急遽、南米あたりからの調達を考える必要があります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">この状況は、エネルギー安全保障における「調達先の多様化」がいかに重要かを改めて突きつけています。海峡の開放だけでは問題は解決しない──この認識を持つことが、今後の政策判断の出発点になるべきです。</span></p>
<h4><b>福島原発3号機のドローン調査──「チャイナシンドローム」が現実に</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">東京電力が福島第1原発3号機の格納容器内を小型ドローンで撮影した映像が公開されました。事故後初めて確認されたのは、鋼鉄製の圧力容器底部に開いた大きな穴です。溶融した核燃料がテーブルを突き破り、さらにその下のコンクリートまで溶かしていたことがわかりました。これはまさに、かつて映画にもなった「チャイナシンドローム」の現実版です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">東電は今後、デブリ取り出しの方法を検討するとしていますが、880トンものデブリを数グラムずつ削って取り出すなど、現実的に不可能です。あれはあのまま固めるしかないと考えます。東電が約束している「2051年までに全て取り出して更地にして大熊町と双葉町にお返しする」という計画は、今回のドローン調査で「思ったよりもひどい状況」であることが判明した以上、撤回すべきです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">私は基本的に原子力の人間ですが、この業界には嘘つきが多いと言わざるを得ません。「絶対安全」と言わなければ建てさせてもらえないから「絶対安全」と言う。確率の議論ができない日本の原子力行政の構造的問題は、事故から15年経った今もまったく解消されていないのです。</span></p>
<h4><b>イタリアに輸出で抜かれた日本──「地方創生」の本質はブランド力にある</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">OECDの統計によると、2025年第3四半期にイタリアの輸出額が日本を上回り、イタリアは世界第4位の輸出国となりました。仏『Les Echos』紙をはじめ各紙がこの逆転を大きく報じています。10年前は世界7位だったイタリアが、人口3倍の日本を追い抜いたのです。その強さの源泉としてよく挙げられるのは、高級ブランドやワイン、チーズなど価格競争に巻き込まれにくい高付加価値製品です。しかし、私の見解は少し異なります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">イタリアの本質的な強みは、国内に約140の「産業集積地区（ディストレット）」が存在し、それぞれが世界市場と直接取引していることにあります。トスカーナのワイン、ビエッラのウール・繊維、カルピのニットウェア、パルマ近郊のプロシュートとパルミジャーノ・レッジャーノ、コモ湖畔のシルク産業──地域ごとの専門特化した中小企業群が、強力な輸出競争力を支えています。これは都市国家の伝統に根ざした「1つの地域＝1つの産業＝世界市場」という構図であり、『Les Echos』も指摘するように、地理的近接性がサプライチェーンの強靱性を高め、不安定な国際環境下でもイタリア企業の競争力を維持しています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">翻って日本の地方創生はどうか。成功例として知られる徳島県上勝町の葉っぱビジネス（つまもの事業）は年商約2.6億円。大分県の一村一品運動は県全体で総生産額1,400億円に達したが、336品目に分散しており、個々のブランドが世界市場で独立して戦える規模にはなっていません。新潟の燕三条は金属加工で世界に通じるポテンシャルがありますが、品目やブランドが拡散して「一点突破」に至らない。福井の鯖江も眼鏡フレームで世界シェアの一角を占めながら、それ一筋で突き抜けられていない。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日本に欠けているのは、中央集権を脱して「自分の地域から世界へ」という発想の転換です。ローマ（中央政府）を嫌い、自分たちの街で世界と勝負する──イタリアの産業集積地区に流れるその精神にこそ、日本の地方創生が学ぶべき本質があります。</span></p>
<h4><b>NEC顔認証「世界首位」の皮肉──インドで使われ日本で使われない技術</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">NECの顔認証技術が、アメリカ国立標準技術研究所の性能試験で再び世界首位になりました。1200万人分の静止画テストで認証エラー率0.06%という驚異的な精度です。顔、虹彩、指紋、声、耳の音響──いずれの分野でもNECはトップクラスの技術を持っています。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">ところが、この世界最高の技術が日本のマイナンバーカードには使われていません。一方、インドでは14億人の国民ID「アドハー」に、10本の指と虹彩をNECの技術で認証するシステムが導入されています。しかもインドはそれを基盤に決済プラットフォームまで構築し、「21世紀型国家」へと進化しました。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日本のマイナンバーカードは暗証番号が2つあって5年に1回変更が必要という、時代遅れのシステムです。問題の根っこは、住基ネットの時代に自治体ごとにベンダーが異なるシステムを作ってしまったことにあります。統一するとNECに全部持っていかれるのが嫌だと、他のベンダーが抵抗した結果が今の惨状です。アメリカ軍でさえNECの虹彩認証を採用しているのに、日本政府だけが使っていない。この恥ずかしい現実を、もっと深刻に受け止めるべきです。</span></p>
<h4><b>ソニー・ホンダのEV事業中止──「正しい質問」ができなかった悲劇</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">ソニーグループとホンダの合弁会社ソニー・ホンダモビリティが、EVの開発販売を中止すると発表しました。2022年の設立時には大きな期待を集めましたが、私はプレゼンを聞いた瞬間に「ダメだ」と思いました。彼らの発想が完全にフリーズしていたからです。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">彼らのコンセプトは「レベル5の自動運転になれば運転しなくていい。だからリビングルームのようにスパイダーマンを見てプレイステーションで遊ぶ」というものでした。しかしそれなら自宅でやればいい話です。車は「動いている」のです。「動いている」ことの価値に対する問いかけがまったくなかった。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">例えば、動いているときにGoogleマップと連動させ、ルートセールスの営業マンが訪問先企業の最新情報をAIで準備する。ストリートビューから駐車中の車の車検期限を読み取り、切れる2ヶ月前に売り込む──セールスフォースオートメーション（SFA）と組み合わせれば爆発的な可能性があります。これが「正しい質問」の力です。「動いていることで何ができるか」と問えば、無限のアイデアが出てくる。「スパイダーマンとプレステ」で止まったのは、サラリーマン経営者の発想の貧困さを象徴しています。ソニーとホンダの組み合わせは、創業者がいた頃であれば面白かったかもしれません。</span></p>
<h4><b>三菱電機が中国ヒューマノイド企業に出資──「見てないで飛び込め」の実践</b></h4>
<p><span style="font-weight: 400;">三菱電機が、中国のルーモス・ロボティクス・テクノロジーに出資する見通しが明らかになりました。ルーモスは2024年設立の新興企業で、製造業向け人型ロボットや作業データ収集技術に強みを持っています。三菱電機は自社のFA（ファクトリーオートメーション）機器と組み合わせ、工場の省人化・無人化を目指す方針です。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">先月の講演会でも、ヒューマノイドの重要性を強調したところ「飛び込むしかない」とは言ったものの、実際にどう飛び込むのか難しいという反応が多くありました。その意味で、FA機器で十分な体力を持つ三菱電機が中国の新興企業に入っていったのは正解です。中国にはヒューマノイド関連企業が150社もあり、競争の真っ只中に入ることになります。</span></p>
<p><span style="font-weight: 400;">日本企業の多くは「中国</span><span style="font-weight: 400;">企業との提携はリスクが高い</span><span style="font-weight: 400;">」と遠くから見ているだけです。しかし、200億円以下の時価総額の企業もまだ多く、投資の機会は十分にあります。三菱電機のこの動きが他の日本企業にとっても良い事例となることを期待しています。遠くから見ていないで、突っ込んでいくしかないのです。</span></p>
<p>&#8212;この記事は2025年3月29日にBBTchで放映された<a href="https://bb.bbt757.com/kolive/?_ga=2.197486639.1266471034.1715034600-1855593559.1691658667">大前研一ライブ</a>の内容を一部抜粋し編集しています。</p>
<p><a href="https://bb.bbt757.com/kolive/index.html"><img loading="lazy" decoding="async" src="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg" alt="" width="980" height="654" class="alignnone size-full wp-image-2968" srcset="https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1.jpg 980w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-512x342.jpg 512w, https://aoba-bbt.com/wp-content/uploads/2024/05/img-founder-program-01-1-768x513.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 980px) 100vw, 980px" /></a></p>
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