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	<title>Books and the City</title>
	
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	<description>本とマンハッタン</description>
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		<title>その町の人が本をたくさん読んでいるそのわけは？—Toying with Amazon’s Most Well-Read</title>
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		<pubDate>Thu, 17 May 2012 00:36:14 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Lingual</dc:creator>
				<category><![CDATA[徒然なる本の話]]></category>

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		<description>米アマゾンがTop 20 Most Well-Read Cities、つまりよく本を読んでいる都市トップ20なるものを発表したんだけど、そこにニューヨークが入っていないのが納得いかないので、リストを眺めていたら、それぞ [...]</description>
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<p>米アマゾンがTop 20 Most Well-Read Cities、つまりよく本を読んでいる都市トップ20なるものを発表したんだけど、そこにニューヨークが入っていないのが納得いかないので、リストを眺めていたら、それぞれに事情があって「アマゾンで」本を買っている人が多いだけだろ、これは！という気づきがあったのでそれをシェアしてみようかと。<span id="more-2976"></span></p>
<p>売上げは人口比で、ってことなので、ニューヨークには本を読む人もいれば、読まないバカも大勢いるんだという理屈もあるが、トップ10に入った都市がどういう場所で、どういう理由でアマゾンを利用しているのかを、偏見を思い切り投入しながら憶測してみる。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong>１位　バージニア州アレキサンドリア</strong></p>
<p>バージニア州はぶっちゃけ、（保守派の多い）赤い州なので、赤首（＝レッドネック、田舎者の人たちの蔑称）の皆さんがそんなに本を読むわけはないのだが、他の州と比べるとロマンス小説が多いってのは何？「Virginia is for Lovers」という州のスローガンを地でいっちゃってるの？　でもまぁ、ロマンスといえばオバサンたちの実生活での鬱憤が多読に走らせるジャンルだから、夫が忙しすぎて悶々としている主婦が多いと思われ。</p>
<p>地理的には地図を見ればわかるとおり、アレキサンドリアは首都ワシントンに通うのに便利な距離で、いわゆる高級住宅街。政府関係のお偉いさんや、金が唸るロビイストとその家族が多い。ってことは仕事上、チェックしておかなくてはならないノンフィクションやビジネス系の本も多いだろうし、どうせ経費でバンバン買えるんだろうから、アマゾンで大人買いしているんじゃろ。</p>
<p>世界最古の図書館があった場所にちなんだ地名だから、なんてハイソな理由ではないことだけは確か。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><a rel="attachment wp-att-2979" href="http://oharakay.com/archives/2976/img_1017"><img src="http://oharakay.com/lingual2/wp-content/uploads/kittyonshelf-400x300.jpg" title="KITTY ON SHELF" width="280" height="210" class="alignleft size-medium wp-image-2979" /></a>２位　マサチューセッツ州ケンブリッジ</strong></p>
<p>ここはいわずと知れたトップの大学街。ハーバードにMIT、ボストン大学…など有名エリート校が集中し、住民は大学関係者に大学生。とくれば、読まなければいけない学術書や参考書も多いだろうし、理系の大学生じゃゆっくり書店に足を運ぶ時間もなかろう、ということで、学校の休み時間にアマゾンでポチ買い。</p>
<p>ジャンルとしてはビジネス書が多いってことは、あちこちにあるMBAプログラムの先生がお書きになった著書をヨイショ目的で同僚の教授同士「買わせていただきましたよー、さすがですなぁ」なんてやっているのかも知れないし、MBAの学生がノルマのように読まされているのかも。</p>
<p>あるいは大学生諸君が卒業したら、起業してIPOでガッポガッポと儲けてウハハ、という夢をみて、でも会社作るのってどーすればえんじゃろ？と読んでいるのでしょう。まずは学生ローンをなんとか返さないといけないし。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong>３位　カリフォルニア州バークレー</strong></p>
<p>ここは西海岸版ケンブリッジ、ということもできる大学街だし、しかもIT系企業がひしめく場所なので、本を買うのにガジェットを使わないなんて考えられないニュータイプなギーク君たちが、Ｅブックの方がよかったかもー、なんて言いながら本を買ってそうです。けっこう面白い本屋さんもあるんだけど、わざわざ行かないのかも。</p>
<p>他と比べて旅行関係の本が多いということだが、出資者を求めてIT系のギーク君たちが世界のあちこちに行くときにガイドブックやビジネスマナーの本を買っているイメージね。ええと、日本で名刺を渡すときは両手でお辞儀しながら、そして、中国ではビジネスランチの後は、破れるまでチェックを奪い合わなければいけないのか…なーんてね。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong>４位　ミシガン州アナーバー</strong></p>
<p>ここも大学街という点は同じなんだけど、この間つぶれたボーダーズの本社があったところなんだよなー。それまでボーダーズの社員割引きで本を買っていた人たちがこぞってしかたなくアマゾンに移行したって理由がいちばんしっくりくるんですが。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong>５位　コロラド州ボールダー</strong></p>
<p>ここはスポーツ選手やアウトドア系の人たちのメッカ。売れているジャンルもHealth, Fitness &amp; Dietingってことは、エクササイズ狂いで、エコで、長生きを目指す健康志向な人たちばっかり、そしてさらに長生きするために色々とそっち系の本を読んでいるのね。関わらないでおこうっと。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong>６位　フロリダ州マイアミ</strong></p>
<p>バケーションでこの地にやってきて、ビーチでごろごろしている人たちが、ごろごろしたまま次に読むものを探して、そのままごろごろしながら本を買っているイメージですな。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong>７位バージニア州アーリントン</strong></p>
<p>これもアレキサンドリアと基本的に同じ、首都ワシントンへの通勤族の町。ってことはここでもロマンスが売れていると見た。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong>８位　フロリダ州ゲインズビル</strong></p>
<p>フロリダだけどビーチに近いわけでもなく、オーランドのように商業施設があるわけでなく、個人的には全く良いイメージのないところ。ゲインズビルの有名人っていうと連続殺人犯だし、地元のフロリダ大学といえば有名なパーティー学校。誰も教科書すら読んでなさそうなのに、なぜ？　この土地は、昔からKKKの活動が盛んだし、ホームレスの人たちが多いことでも知られている。ってことは単に本屋がないだけじゃないの？とdisってみたくなる。あるいは、死体の処理の仕方とか、ポルノ映画風ホームムービーの作り方とか、ヒットラー賞賛本とか、普通の本屋ではお求めにくいタイトルが売れているとみた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong><a rel="attachment wp-att-2981" href="http://oharakay.com/archives/2976/washdc"><img src="http://oharakay.com/lingual2/wp-content/uploads/washdc-400x391.jpg" title="Washington, DC" width="400" height="391" class="alignleft size-medium wp-image-2981" /></a>９位　首都ワ</strong><strong>シントン</strong></p>
<p>ってことでやっとバージニアの皆さんが通勤するオフィス街、ワシントンが登場。そういえば、大都市なのにニューヨークやボストンやフィラデルフィアと比べるとちょっと本屋が足りないイメージですな。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong>10位　ネバダ州ソルトレークシティー</strong></p>
<p>ここは、あれ、モルモン教徒のメッカ。彼らが自分たちの読む本を他の人も入れるような本屋で売るとは思えないので、一方で自分たちが公共の場で禁書に指定したような本をオンラインでこっそり買っているのでしょう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>ということで、意地悪なニューヨーカーの見立てです。炎上覚悟。</p>

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		<title>大手出版５社はEブック談合してたのか？—What really matters in DoJ’s suit against E-book pricing</title>
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		<pubDate>Sun, 22 Apr 2012 14:42:59 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Lingual</dc:creator>
				<category><![CDATA[featured]]></category>
		<category><![CDATA[徒然なる本の話]]></category>

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		<description>日本にいる誰よりもこのニュースの本質が見える位置にいるのだから、自分が書かないといけないのだろうなぁと思いつつ、「メンドくさ」で延ばし延ばしにしていたことに対して、まずはゴメンなさい。そして思いっきり外れた記事で「ワケ [...]</description>
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<p>日本にいる誰よりもこのニュースの本質が見える位置にいるのだから、自分が書かないといけないのだろうなぁと思いつつ、「メンドくさ」で延ばし延ばしにしていたことに対して、まずはゴメンなさい。そして思いっきり外れた記事で「ワケわかんねーよ、アメリカのEブック、これからどうなっちゃうんだよ」と思った人に少しでも的確な判断材料になることを祈りつつ。（ツイッターでも弱音吐いてしゅんましぇんｗ。応援ありがとうございました。）<span id="more-2964"></span></p>
<p>先々週、米司法省（DoJ）は、アメリカの大手出版社５社とアップルに対し、電子書籍の値段について談合し、Eブックの値段を吊り上げたことが独禁法に違反するとして提訴され、うち３社が和解に応じた、というニュース。翻訳記事も含めてあちこちで伝えられている。</p>
<p><a href=" http://wired.jp/2012/04/14/apple-publishers-wirelesswirenews/  ">Wired</a></p>
<p><a href="http://jp.techcrunch.com/archives/20120411u-s-files-antitrust-charges-against-apple-book-publishers/">TechCrunch</a></p>
<p><a href="http://www.computerworld.jp/topics/597/%E8%A8%B4%E8%A8%9F%EF%BC%8F%E7%9F%A5%E8%B2%A1%E5%95%8F%E9%A1%8C/202146/%E7%B1%B3%E5%8F%B8%E6%B3%95%E7%9C%81%E3%80%81%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AB%E3%81%A8%E5%A4%A7%E6%89%8B%E5%87%BA%E7%89%885%E7%A4%BE%E3%82%92%E6%8F%90%E8%A8%B4%E2%80%95%E2%80%95%E9%9B%BB%E5%AD%90%E6%9B%B8%E7%B1%8D%E3%81%AE%E4%BE%A1%E6%A0%BC%E8%A8%AD%E5%AE%9A%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%90%E3%82%8A  ">Computer World </a></p>
<p><a href="http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/it/2870727/8773464">AFP BB ニュース</a></p>
<p><a href="http://sankei.jp.msn.com/world/news/120412/amr12041200380000-n1.htm">MSN産経ニュース</a></p>
<p><a href="http://markethack.net/archives/51814047.html">マーケットハックの広瀬さん</a></p>
<p><a href="http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1204/16/news034.html">eBook User </a></p>
<p>&nbsp;</p>
<p>この訴訟について言っておきたいのは次の３点。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong>１）エージェンシー・モデルそのものが違法とされたのではない。</strong></p>
<p><strong>２）和解に応じるのは非を認めたことには一切ならない。</strong></p>
<p><strong>３）この訴訟で唯一得をしている企業はどこなのかを考えると、今後の影響やこの訴訟の真の意味が見えてくる。</strong></p>
<p>日本でも知名度の高いアップル社が被告に名を連ねているし、それでなくともアップルは、他のIT企業とよく新技術の特許に絡んだ訴訟を起こしたり起こされたりしているので、またしてもアップルがラスボスのように受け止められがちなのは理解できる。が、この訴訟に限ってはアップルが一番の脇役だし、その「談合」の部分には直接関わっていないことを理由にアップルが司法省の判断を不服とし、裁判を厭わないのはあたりまえだと思うので、まずは横に置いておくとする。</p>
<p>問題は、サイモン＆シュスター、ペンギン、ハーパーコリンズ、アシェット、マクミランという、最大手ランダムハウスを除く５つの大手出版社のトップが、アップルから「エージェンシー・モデル」という新しいEブックの卸し値システムを持ちかけられて「どうする？」と仲間内で相談したのが「談合」に当たる、そしてその談合によって、自由競争で決められるべきEブックのお値段が不当につり上げられるのはけしからーん！と政府が怒ったというのが表向きの筋書き。</p>
<p>知っている人には今さら説明する必要もないが、このエージェンシー・システムというのは、Eブックの小売り価格を出版社が決めて、そのEブックを売るリテーラー、つまり、例えばアップルのiBookstoreがその通りの値段で読者に売って、売上げの一定歩合（アップルのシステムでは30％）を受け取る方式。</p>
<p>これに対する「ホールセラー・システム」というのがそれまで一般的なEブックの売り方で、これは、紙の本と同じ考え方、つまり、本に対する版元の「希望」小売り価格という上限が決まっていて、本を売る側は、仕入れる冊数とか、返品可能か、などの条件に従って一定の「掛け値」で本を仕入れるが、実際に売るときの値段はリテーラーに任される、というシステム。まぁ、こっちの方が本に限らず何でもモノを売るときは一般的なやり方かも知れませぬ。</p>
<p>日本の場合は再販制があるので、出版社は「この本は○○円です」っていうのがまかり通り、だからこそ、本自体にそのお値段が刷れる、というのがあるよね。この辺が当たり前すぎて誰も疑問を持たないわけだけど、本の適正価格って、なんだろう？誰が決められるんだろう？という疑問もあったりする。もちろん、物理的な商品としての本と見てしまえば、その本にかかったコストを計算して、一定部数売れたら黒字になるように設定するのが理想的なんだけど、本の価値、って読む人によって千差万別でしょ？</p>
<p>もしかしたら、その本を読んだことで、価値観が根底からひっくり返され、人生の転機になるかもしれない文字通りプライスレスな感動を受けることだってあるのだし、その同じ本を読んでも「なーんだ、つまんねー」って即座にゴミ箱行き、ってな本もあるわけで。</p>
<p>本当にその本を作った出版社がその価値を誰よりも良くわかっているのだろうか？　もしかしててその本を売っている書店員さんの方が「この本はすごい、これだけの価値がある」ってことをわかっているのかもしれないよね？</p>
<p>出版社にしてみれば、例えば翻訳コストがけっこうかかったからちょっと高くしたいってのもあるかもしれないし、装丁に凝ったからその分コスト高、ってのもあるだろうけど、もしかしたら本の内容で適正価格をつけられるのだったら、一番お客様に近いところで働いている書店員こそが本の価値を知っているのかもしれないけど、一方的に指示された小売価格でしか本を売れないってのは、書店にとっても歯がゆい部分ではあるのだろうなー、と以前から思っていたわけだ。スーパーみたいに原価割れである品物をバーゲンで売り出して、ついでに他の商品も買ってもらって儲けを出す、ということができなくなるのだから。（以前、「本の値段」というテーマで「マガジン航」にコラム書こうと思って挫折した過去があるｗ）</p>
<p>まぁ、そういう哲学的な話はさておき、同じ本に「紙の本」と「Eブック」というフォーマットの違いがあるときに、何が適正価格なのかを決める権利というのは、一体誰にあるのか？というのが、今回の訴訟の「テーマ」だと思っているわけだ。</p>
<p>もちろん、紙の本と違って、Eブックには印刷代も要らないし、大きな倉庫で在庫を確保しておく費用もかからないので、紙の本よりは安くなって当然、という理解はある。でも、いくらでもコストゼロでコピーが作れるからといって、限りなく安くもできない。</p>
<p>アップルがiPadを売り出す2010年初頭、ホールセラー・モデルで出版社が苦労していたのは、赤字覚悟で卸値価格を無視してEブックが安売りするリテーラーがあることだった。紙の本の場合、どんなに大量に本を仕入れても、ディスカウント50％くらい、つまり、掛け値の「５掛け」＝半額は出版社の手元に入ってくるように値段を設定していたので、 希望小売価格20ドルの本が10ドル以下で売られるようなことは（ほとんど）なかった。それをEブックの場合「市場シェア拡大」を理由に安売りするところが現れたせいで、出版社もかなり焦っていた。リテーラーがどんな値段で売ろうと、自分たちのふところには卸値の分が入ってくるので、直接的には影響ないのだが、問題は、Eブック（だけ）を安売りされると、相対的に紙の本がやたら高く感じられることだ。</p>
<p>では、実際に談合はあったのか？　と言われれば、まぁ、あったよね、というしかない。iPad発売に先駆けて、私個人も知り合いの編集者から「今、会議室にアップルの代表者が来てる！ジョブズもNYにいるらしい」とか、「うちのボスが、『スティーブとランチするんだぜい』とはしゃいでるｗ」みたいなメールをもらった。司法省の訴状にも「各社の上層部がPicholineの個室で密談を重ね…」という文章があったりして「え？あのレストランにそんな個室があったんだ〜」「マイケルズ（大手出版社御用達のレストラン）じゃなかったんだー」みたいな会話もしてるんでｗ。</p>
<p>でも、それは出版社同士が示し合わせて価格を吊り上げたというよりは、卸し値より安い価格で売られちゃったら、どこまでも価格破壊が進むかも知れないし、黙ってダンピングされるのを見ているわけにはいかないよね、という当然至極の話し合いの域を出ないもののような気がするのだ。</p>
<p>この訴訟では、談合の事実はあっても、エージェンシー・モデルそのものを違法としているわけではないので、この５社以外でエージェンシー・モデルでEブックを売っているところ、つまり、しばらく後からiBookstoreに参加した最大手ランダムハウスとか、ビッグ５社以外の中小出版社でアップルやアマゾンとエージェンシー・モデルで契約できた版元などは、これからもエージェンシー・モデルでEブックを販売していく。</p>
<p>そしてさっそく和解に応じた３社についても、説明しておきたいのは、アメリカの裁判システムにおいて「settlement」に応じるというのは、自らの非を認めることとは何ら関係ないと言うことだ。和解に応じる理由は、訴訟を続行していたのでは費用がかかりすぎる、というのが大半で、どちらかと言えば政府を相手にまともに法廷で戦って勝ち目がないわけではないが、弁護士費用がバカにならないので、Eブック購入者に某かの弁償金を支払った方が手間もカネもかからない、というのが本音だからだ。実際、この和解に応じた出版社は向こう２年、アップルとエージェンシー・モデルでの契約の代わりに、他の課金体制で契約すれば問題ないし、２年が経過すれば、それぞれエージェンシー・モデルで再契約してもいいことになっている。俗に言われるslap on the wrist、ちょっとおとがめを受けるぐらいで、和解に応じた方がラクだからそうしているだけである。</p>
<p>５社のうち、和解に応じなかったのはペンギン社とマクミラン社になるが、マクミランはCEOのジョン・サージェントさんは親譲りの旧体制派というか、「出版業界の良心」などと持ち上げられていて、以前からアマゾンとケンカしてるし、あぁ、そうだよねー、ジョンはここで大人しく引き下がらないよねぇ、という感じ。ペンギンについては、あそこは英ピアソンを親会社とするグローバルなトップダウンの会社なので、ここで米政府なんぞに頭を下げていてはヨーロッパで同じような訴訟が起こったときに、あちこちでペコペコしなければならなくなる、っていう危機感があるのかなぁ、と思ったり。</p>
<p>和解に応じたS&amp;S、アシェット、ハーパーコリンズの方が、うまく立ち回っている気がするんだよね。一方で、この談合に当然のように声を掛けられていたはずの最大手ランダムハウスのCEOは、よっぽどの強者というか、我が道を行くからにはそれだけのconviction、心づもりがあったんだろうなぁ、と改めて感心させられたり。</p>
<p>で、誰も話題にしていないのが、なぜ米司法省がこのタイミングで、出版社という、大手とはいえども大してウォール街の銀行ほどには儲けていない業界を相手取って、小難しい独禁法で責めてきたのかなぁ、という問題もあるわけです。</p>
<p>今秋にも大統領選があるので、「わが政権は消費者の味方でーす」というポーズを見せておきたいオバマ政権の意図も見え隠れするんだよね。だって、がっぽがっぽと儲けている投資銀行なんかと違って、出版社なんて、毎年前年比数％増の利益を上げるのがせいいっぱいで、こんなに虐めて、和解金を払わせたら、すぐに赤字に転落しそうなところばっかなのに、そういう意味では訴訟相手としてカネがとれそうなアップルに対する詰めが今イチ甘すぎる訴訟内容なんですが。</p>
<p>そして納得がいかないのは、この大手５社がエージェンシー・モデルを採用したことで、そんなにEブックの値段がつり上がったのかと言えば、そうではないことだ。ハードカバー新刊のEブックバージョンが10ドル以下というのは、一時華々しくマスコミで取り上げられたけれど、その後、エージェンシー・モデルの浸透で12〜14ドルが多くなった。でも、だからといって、読者が買わなくなったかといえばそうでもないのだ。</p>
<p>司法省は今回の訴訟に当たって、出版社だけでなく、広く業界の関係者から事情聴取したが、そのうちSmashWordsというEブックベースの自費出版サイトの人は、大手出版社を擁護する発言をし、<a href="http://blog.smashwords.com/2012/03/does-agency-pricing-lead-to-higher-book.html">こんなデータ</a>まで披露している。「そりゃ、自費出版が成長しているおかげで、ネットはタダ同然の本で溢れているけど、出版社が出している本のEブックには大して影響ないよ？」ってなデータだ。</p>
<p>Eブックの価格について、私が自分の体験から言えるのは、自費出版のタイトルだとほとんどが０〜4.99ドルの値段でないと受け入れられず、クォリティーもまちまちで、この中からいわゆるベストセラーになるのはほんの一握りだということ。一方で、とりあえずちゃんとした出版社が紙の本も合わせて出している本のEブックは9.99ドル以上の値段がついているが、紙の本と比べてもまだまだオトク感はあるし、この５ドルの価格差が出版社がつけられる付加価値となりつつあるということだ。</p>
<p>てなことで、これから全世界にいるiPad所有者の元へ、そのうち司法省から「もし、あなたが今までにiBookstoreでこの３社からEブックを買ったことがあるのなら、それを申告した人には分配されたいくばくかの賠償金が支払われることになります」というハガキが届く。そしてEブックを何冊買ったのかチェックして、返事をした人には、スズメの涙みたいな金額のチェックが届く。申請額の半分ぐらいは弁護士費用に取られるし小切手が届くのは、そんなことを申請したんだ、ってことも忘れているぐらい先の話になるのだけれどね。</p>
<p>その間にもアップル、ペンギン、マクミラン各社は司法省の訴状を不服として裁判をしているだろう。担当する弁護士事務所にアホみたいにお金を落としながら。</p>
<p>裁判の結果がどうなっても、こんな風にこれからもすったもんだしながら、それでもEブックは増え続けるだろう。アメリカでは、こんな風にもめごとが多いからと言って、出版社にEブックを出さないという選択は残されていない。値段は別にしろ、Eブックでも買えることに既に消費者が慣れてしまったからだ。そして読者は欲しい本があれば、それが9.99ドルだろうが、12ドルだろうが、はたまたもっと値段の張る紙の本だろうが、欲しい本を買っていくだろう。</p>

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		<title>銃について—When it comes to firearms, I’m more timid than a mouse</title>
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		<pubDate>Mon, 16 Apr 2012 08:47:37 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Lingual</dc:creator>
				<category><![CDATA[featured]]></category>
		<category><![CDATA[アメリカ四方山話]]></category>

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		<description>とりとめもない話になるかもしれないけど、とりあえずアメリカが銃社会だということと、そうではない日本では、小説などで描かれる銃のシーンにリアリティーがなさすぎるんで、下手なことは止めたまえという流れになるかと思う。
中村 [...]</description>
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<p>とりとめもない話になるかもしれないけど、とりあえずアメリカが銃社会だということと、そうではない日本では、小説などで描かれる銃のシーンにリアリティーがなさすぎるんで、下手なことは止めたまえという流れになるかと思う。<span id="more-2955"></span></p>
<p>中村文則の『掏摸』の英語版が先月アメリカで出て、それなりに健闘している。版元はSoHoプレスという小出版社で、和気藹々とした雰囲気が楽しそうな会社だ。編集を担当したのは、知り合い（まぁ、狭い世界なのでみんな仲間といえば仲間なんで）のジュリエット・グレームズ。</p>
<p>この本をいちばん最初に編集者にお披露目する部分を手伝ったので私も嬉しい。ジュリエットは日本語けっこう上手だし、前々から「何か日本の本をやりたい」と言っていたので、必然と言えば必然なのだが、数多あるタイトルの中からこの本が彼女の手によって上梓されることになったプロセスにちょっと口を挟ませてもらう。</p>
<p>この本は講談社がスポンサーとなっている大江健三郎賞をとったのもあるし、かなり文芸よりの作品なのだが、敢えて「日本文学」ではなく、「crime」というジャンルのタイトルとして売り込んだ。クライムというジャンルが好きな人は、フィクションもノンフィクションも片っ端から多読する傾向がある。ロマンス好きとかSFファンとか、特定のジャンルが好きな人に多い。</p>
<p>別にクライムばかり読むからといって、犯罪予備軍が手引きとして読んでいるのではもちろんなくて、悪事を働く人間の深層心理などに興味があるものと思われる。フーダニットと呼ばれる推理小説からウンベルト・エーコの『薔薇の名前』みたいにハイブロウなもの、カポーティの『冷血』から桐野夏生の『OUT』まで広義で言えばクライム・ノベルで括れるだろう。</p>
<p>これを「日本文学」のタイトルとして出すこともできただろうけれど、そうすると、モノ好きとまでは言わないが、相当マニアックな人たちの興味しか引かないわけで、その限られたターゲット読者を想定してしまうと、本を１冊出すのに「翻訳費」というプラスアルファのコストに投資するかどうかは文学的価値という掴みどころのないものに頼らざるをえなくなってくる。要するに「クライム」として出せば、普段は翻訳ものになどに特に興味を持たない読者にも広くアピールできると考えたわけだ。</p>
<p>『掏摸』の場合、冒頭で主人公が披露する「スリの極意」みたいなトリビア知識が面白いし、世の中に背を向けた盗人ではあるけれど、人畜無害っぽいこの男が、極悪人の木崎に利用されていく過程が面白い。</p>
<p>そしてその究極の悪人が楽しみとしている「人の人生を思うままに作り上げて、最後の瞬間に作り上げてきたことを伝えて絶望させること」というのは、キリスト教徒が言うところの「神の御心」と通じているんじゃないか、という個人的な思いもあった。アメリカの赤い州では、このところ行き過ぎた保守化で、少しでもキリスト教に異論を唱えるのは非国民、といった風潮があり、この本をきっかけに、少しでも宗教というものについて考える材料になったらいいなとも思ったわけだ。</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/%E7%8E%8B%E5%9B%BD-%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E6%96%87%E5%89%87/dp/4309020690%3FSubscriptionId%3DAKIAJ6M5XSEAGVGPPAHQ%26tag%3Dlingc-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D4309020690">王国</a></p>
<p>『掏摸』と銃社会について思ったことは直結しないのだが、実は２年ぶりという中村の新作『王国』が『掏摸』の姉妹編、という触れ込みだったので、真っ先に読んでどんな出来かジュリエットに伝えたいと思い立ち、読んでみた。</p>
<p>ところがねぇ、こっちは少しガッカリ。ちらっとツイッターでも言及したが、『王国』の主人公は男性を騙して弱みを握るバイトみたいなことをしているのだが、『掏摸』の主人公同様、抜き差しならない裏社会に巻き込まれたと知るやいなや、『王国』の主人公ユリカ嬢は『1Q84』の青豆よろしくスーパーアサッシンに豹変してしまうのだ。</p>
<p>これじゃ、英語圏の人が村上春樹を読んでみたら面白かったから、他にも日本の本がないかなと『王国』を読んだとしたら、なんで日本の女性ってやたら「月」にこだわってて、いきなり銃を撃ちまくれるんだろう？？？という感想を持つに違いない。</p>
<p>日本の女性が銃を使って人を殺す、ってのはそれ自体、ほとんどありえないファンタジーにしかならないでしょ？（練炭自殺に見せかけるのならともかく。）なのに、地下組織とは何の関わりもなさそうな若い素人女性、しかも腕っ節の強そうなオバサンじゃなくて、華奢な女の子がいきなり室内で銃を操ってちゃんと命中させる、ってのは、銃社会アメリカじゃ考えられないし、突拍子もなくてアホクセーとしか思えなくなっちゃうんだよね。</p>
<p>そういう私もニューヨークに住んでいるが、ここは青い州なので、銃所持に関する法律はかなり厳しい。持とうと思っても触ることすらできない。それが弾々、じゃないや、たまたま銃を身近に感じる機会に恵まれたことがありまして（細かい背景はいらないよね？）、マンハッタンに一つしかない射撃場に出入りさせてもらったし、なにごとも経験じゃ、と思って撃たせてもらったこともある。</p>
<p>そして感想を言えば…すごい衝撃だった。色んな意味で。細かく指導を受けて、時間をかけて準備をして、落ち着いてやってるのに、目の前数メートルにある静止した標的にさえろくに当てることができなかった。なにより、あの引き金を引いたときの爆音…衝撃…反動…。こりゃ人をひとり殺せるパワーがあるんだな、ってことを身をもって体験した。</p>
<p>さらに言えば、射撃場に集まってくるガンマニアたちは、銃という「モノ」の機能美を愛していたり、射撃を弓道と同じように、集中力を必要とするスポーツとして楽しんでいる人たちなので、虫一匹殺さないような大人しいお人好しな紳士ばっかりだということも身に沁みてわかった。</p>
<p>それでもこの国は銃が大好きなのだ。それはきっと銃と関わりなく生きていける日本にいては決してわからない感覚なのかもしれない。時折、子どもが親の銃を学校に持っていって誤って撃ってしまったり、銃を持った人間による大量殺人のニュースを聞くと、どうしたって「じゃあ、うんと規制して、銃所持を違法にして、なくせばいいじゃないの」と思ってしまうだろう。ところがアメリカ人の思考回路では「みんなが銃を持っていれば、その方が安全だったりするのだ。</p>
<p>でもそれは、例えば日本のお正月で毎年といっていいほど「お餅をのどに詰まらせて老人が窒息死」というニュースを聞いてアメリカ人が「じゃあ、お餅なんて食べなければいいじゃない」と言うほどアホなことなのだ。「なんでアホなの？」と詰め寄られれば、そこはやっぱり食感がどうとか、食べたいんだからしょうがないというレベルの答えから、お米という、日本の国の豊かさのシンボルである稲から作るお祝いものだから、人様の国の伝統に軽々しく口を出すんじゃねーよ、という話になるでしょ？　銃も同じこと。</p>
<p>アメリカという国はそもそも新天地を目指して東海岸に着いた人たちが本国イギリスに逆らって建国し、その後どんどん西へ開拓していった歴史を持つ。いわゆるフロンティア精神なんだけど、それこそグリズリーだのコヨーテといった野生の動物や、先住民に襲われる危険から妻や娘を守ろうと思えば、自ら銃をとるしかなかったわけだ。お巡りさんが来てくれるわけじゃないんだから。</p>
<p>だからこそアメリカ人の中では「自由＝銃」という部分があって、この深層心理は銃があるために人の命がどれだけ失われようとも、残念ながらこれからも変わらないのだろうというのがわかる。このブログエントリーを書いている最中にも、<a href="http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE83400Q20120405  ">こんな記事</a>が目に着いた。</p>
<p>個人的には銃はキライだ。なければないでいいものだと思っている。これからも手にすることはないだろう。これからも日本のコンテンツを海外に売り込む仕事はしていく所存だが、ドンパチだらけのマンガやラノベはとりあえずファンタジーですから、で済むんだが、銃が出てくるシーンがお粗末なものはこの国では通用しない。なんと言っても銃が持つリアリティーが違うのだから。</p>
<p>そして日本のモノ書きの人にちょこっと言いたい。ありえない美少女とか、銃を自在に操る娼婦とか、あんまりファンシーなことばかり書かんといてね。等身大のアタシたちではストーリーにならないのですか？</p>
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		<title>アメリカで大ヒットしている少女向けSMのエロ本がヒドい—Erotica for teens is a sleeper monster</title>
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		<pubDate>Sun, 08 Apr 2012 09:45:21 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Lingual</dc:creator>
				<category><![CDATA[featured]]></category>
		<category><![CDATA[ブックトーク]]></category>
		<category><![CDATA[徒然なる本の話]]></category>

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		<description>今アメリカで密かに大ヒットしている本がある。ていうか、既にあちこちで「こんな本が実は売れている」というニュースになっているので、秘密どころか堂々たるベストセラーといってもいいくらいなんですが。
タイトルは「フィフティー [...]</description>
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<p>今アメリカで密かに大ヒットしている本がある。ていうか、既にあちこちで「こんな本が実は売れている」というニュースになっているので、秘密どころか堂々たるベストセラーといってもいいくらいなんですが。<span id="more-2947"></span></p>
<p>タイトルは「フィフティー・シェーズ・オブ・グレイ」。（←英語で書くとどっかの検索でウルサイ人たちが引っかかってくるので敢えてカタカナ表記にした）要するに、色々な影の顔を持つグレイさん、という意味。（この先はエロ本の紹介なので、Ｒ指定であることを一応お断りしておきます。ま、たいしたことないんだけどさ。）</p>
<p>このタイトルがベストセラーになった背景を紹介したいんだけど、これ以上この本の売上げに貢献する義理もないので、あらすじを書いてしまうと、主人公は大学卒業を控えた内気なアナ（穴でもアンナでもない。アナスターシアのアナ）、実はチェリー娘。ルームメイトのケイトに比べたら、あたしブロンドじゃないし、ドジっ娘だし、ブロンテやオースティンをこよなく愛する文学少女なの。てへっ。（いや、ほんとに、どこの萌えマンガかよ、みたいな設定なのだよ。）</p>
<p>そんな腐女子アナが偶然出会ったのがクリスチャン・グレイ。超大金持ちで、ハンサムで、背が高くて、若いという、アリエネー王国の幻プリンス的な設定。そのあり得ない若社長くんと惹かれ合うも、彼は「僕はダメだよ、キミにふさわしくない」とか言っちゃって、実は倒錯したドＳ、大邸宅にはゴージャスな「赤い苦痛の部屋」が用意されていてビックリという展開。</p>
<p>でもグレイはストーカー癖がある以外は（貧乏オタクがやると警察に通報されていいレベルなんだけど、プライベートジェット飛ばしたり、ホテルやドレスを勝手に用意したりするとロマンチックな行為になるんだからお金持ちは得だよねって話）とことん紳士なので、いきなり縛り上げるわけではなく、アナとは特別に「バニラ（普通の）セックス」をするときも律儀にゴムつけてくれるし、真っ赤なスポーツカーも最新型のマックも買ってくれる。</p>
<p>この僕と本気でおつきあいをするのなら、やたら長い契約書で（こういうところが契約社会のアメリカらしいというか、あほくせーというか、意図していない笑いのツボかと思われます。）ロウソクは垂らしてもいいけど、フィストはダメとか、拘束するのは週末だけとか、その辺ちゃんと合意の上でやりましょうね、というお誘いに、アナは彼のこと愛してるけど、できるかしら？　今までどんな人とつきあってきたのかしら？と悶々するのである。</p>
<p>ところで話は一転、エロ本をマジメに評価するのって難しいよね。このエロがすごいと言えば、全然たいしたことないじゃーん、日頃からそんなに貧困なセックスしかしとらんのか？となるし、物知り顔でこんなん全然すごくないと言えば、エロ本を読みあさっているんですねー、やーだスケベ、みたいな反応されるだろうし。ということで、この小説、たいしてエロいわけではない。というか、そんなに残虐なＳでさえない。お尻ペンペンがせいぜい。</p>
<p>ということで、ではなぜこんな稚拙なエロ本がベストセラーになったのかを説明するとしよう。</p>
<p><strong> 実はこの本、最初は「トワイライト」ファン向けのサイトに投稿された「ファン・フィクション」と呼ばれるものだったのだ。</strong></p>
<p>それにはまず、「トワイライト」や今映画が公開されて大ヒットしている「ハンガーゲーム」の原作になっているフィクションがＹＡ（ヤング・アダルトの略）というジャンルに属していること、日本にはこのジャンルの境界線が曖昧だけど、英米の書籍マーケットでは明確に区切られていることを説明しないといけないかもしれない。</p>
<p>YAは児童書といっしょのジャンルにくくられることが多いが、12~18歳のマーケットで、出版社のインプリントからエージェントまで、明確に分かれている。それだけでなく、本を手に取ったり読んでみたりするとわかるのだが、文字の大きさ、使われているボキャブラリー、値段に至るまで、ティーンエイジャー、それも女の子の読者を念頭に作られていることがわかる。この手の本を作る側はこのマーケットを熟知していることが必要だ。それこそ、自分たちが気に入ったものは大人に教えたくないお年頃だから、けっこうこれが難しかったりするのだが。</p>
<p>大流行だった「ハリポタ」シリーズもこの層をターゲットにした本であり、それを「たまたま」大人も読んだからあそこまで大ヒットになったということができる。その次の大ヒットシリーズがステファニー・メイヤーの「トワイライト」３部作で、映画にもなり、その人気は広く知られるところになった。</p>
<p>なぜ、数多ある吸血鬼が出てくるフィクションが多いアメリカで、この作品がそこまでウケたかと訊かれれば、私なりの答えはこうである。「主人公のためには自らの命をかけて助けてくれる、影のあるハンサムくんが、キミを吸血鬼にするわけにはいかない、と悶々と自分のために耐えてくれるところに米国の腐女子が萌え〜っとしたから」。</p>
<p>当然、３部作が完結し、映画が公開される間、トワイライトファンの女子が作っていたネット上のコミュニティーもたくさんあって、そこは多感な腐女子のこと、こんな作品も面白かったとか、私もトワイライトみたいな作品を書いてみたんだけど読んでみて、ってな投稿がたくさんあって、その中の一つだった「グレイ」にクチコミで火が付いていった、という成り行きだったわけだ。</p>
<p>「グレイ」が腐女子サイトの投稿小説という枠からブレイクしたのは、おそらく、ティーンエイジャーの子たちもモチロン読んだだろうけど、一方で、娘が何を読んでいるのかチェックしている母親たちがそれを読み、自分たちが普段読んでいるロマンスよりちょっとエッジーで面白いじゃない、とさらに広がっていったと考えられているので、mommy pornと呼ばれることも。</p>
<p>そしてとうとう、その人気が一般の出版社の知るところとなり、ついにはお堅い文芸で知られるクノップフという版元のヴィンテージというインプリントから初版75万部というムチャクチャな紙バージョンが出て、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト入りを果たすという快挙に繋がった。</p>
<p><img src="http://oharakay.com/lingual2/wp-content/uploads/greycover-150x150.jpg" title="greycover" width="150" height="150" class="alignleft size-thumbnail wp-image-2949" />この紙バージョンが出るまでは、オーストラリアの小さな版元から出ているのを探すか、Ｅブック版をダウンロードするしかなかった。書店で本を手にとって買ったり、読んでいるところを人に見られる恐れがないことからも「Ｅブックで読めた」ことがブレイクに繋がったと考えていいだろう。</p>
<p>まぁちょっとジャンルは違うかもしれないけど、いっとき、日本でも投稿サイトのケータイ小説で話題になっているのを紙に刷ってみたらけっこう売れたってのがあったよね。「君恋」とか「恋空」とかそれっぽいタイトルがついてて、中身は拙い間延びした文章で、主人公の女の子が輪姦されたり、エイズになったり、好きになった人が実は異母兄だったりするヤツ。それと似た構造かもしれない。</p>
<p>「グレイ」もかなり、読んでるの辛い「萌え」どころ満載でした。主人公のカップルがわざとらしく「ミスター・グレイ」「ミス・スティール」と呼び合ってたり、「私の内なる女神が…」という臭いフレーズが何度も出てきたり、主人公に唇を噛む癖があって、それをグレイを「僕が代わりにその唇を噛みたくなるからやめろ」と何度も言うあたり、人前だとおどおどしているシャイな主人公が、メールだとけっこう大胆に背伸びした文章を送るあたり…まぁ、キリがないので、この辺で止めておきます。</p>
<p>映画化は、一時期ソニーが映画化権に破格の500万ドル（「ダ・ヴィンチ・コード」でさえ300万ドルぐらいだったはず）を出す用意があると報道されていたが、さらに高額でユニバーサルが獲得。これからもキャストが決まる度にキャーキャー騒がれることになるでしょう。</p>
<p>後日談：</p>
<p>エレン・デジェネレスがオーディオ版を録音しているという設定の<a href="http://www.youtube.com/watch?v=on3JCwnwHbU#!">ギャグ動画</a><a href="http://www.youtube.com/watch?v=on3JCwnwHbU#!">Ellen reading 50 Shades</a>があったので、サラしておきます。</p>

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		<title>負けーてくやしいデジタル本め—Why I hate to lose the Asian literary race</title>
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		<pubDate>Sat, 07 Apr 2012 19:47:11 +0000</pubDate>
		<dc:creator>Lingual</dc:creator>
				<category><![CDATA[徒然なる本の話]]></category>

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<p>私ははっきり言って、あまり近隣のアジアの国（っつーか、韓国と中国限定）に対して友好的ではないかもしれない。ジーノフォビア（xenophobia, 外国人嫌い）の偏見ばばぁとお笑い下され。<span id="more-2930"></span>もちろん、大好きな友人や、尊敬する元上司や、今まで出会った中でいちばん優秀なエリートくんだわと感心させられた人には韓国人も中国人もいて、個人に対する感情とは全く無関係なのだけれどね。でも、韓流ダイスキとか、我こそは中国の理解者、みたいな人には神経を逆なでするような物言いになるかもしれないことを最初に忠告しておきます。</p>
<p>日本という国が、これだけデフレで、ゆとりで、放射能ダダ漏れで、政界がバカ輩出で、お役人がクール・ジャパン！などとほざいても、どこかで「ジャパン・アズ・（少なくともアジアの）ナンバーワン」と思いたい自分がいて、なにごとにおいても韓国や中国に負けると「くやちい」のである。とりあえずひねくれた愛国心の成せる技と思っているが。</p>
<p>とはいっても、竹島や尖閣列島のニュースを聞いても自分に何ができるわけでもなく、アジアカップのサッカーだのフィギュアスケートだのと、自分と関係ないエリアで赤の他人が負けるのならまだしも、私が関わる出版業界の周辺で韓国や中国に「負けてる」感を味わうのが耐えられないというわけ。</p>
<p>例えば（前回書いたジョブズ本じゃないけど）これから刊行されるオリジナル言語が英語の本があって、これを翻訳して出せば日本だけでなくアジアでも人気が出そうで、翻訳権に「いくらなら出せる」とアドバンス（印税の前払い金）のオファーをするとき。10年くらい前から国を挙げて英語教育に血熱を注ぎ、国を挙げてのバックアップ体制を取る韓国は、人口が5000万弱なのに、「そんなんで元とれるの？」ってぐらい破格のアドバンスで、攻めてくる。これは競争相手が多すぎるので、争っているうちにそうなってしまうみたいなのだが、作品を売る側の版権担当者にしてみれば、読書人口が２倍の日本なら、韓国の倍ぐらいのアドバンスが出せて当然でしょ？と思うわけだ。</p>
<p>私がタイトルスカウト（つまり、日本で売れそうな本はないかなぁと探す、簡単でとても難しいお仕事）をやっていたときは、吝い予算の会社だったもんで、こっちが「この本なら、日本語版にしても、１万冊も出ないだろうから、これだけのお金しか出せないよ」みたいな上限設定してオファーを伝えると、売る側の版権担当者が「え？そんだけ？　だって韓国からはそれを上回る額のオファーが既に来てるよ。人口比でいったら当然もっと出せるんじゃない？」みたいな展開になって暗に「出直してこいや」みたいなことを言われている気分になるわけだ。こんにゃろー。</p>
<p>日本ではどんなジャンルであれ、翻訳ものは売れなくなって久しいからなぁ。ジョブズ本とか、フォアの『ものすごくうるさくて…』なんて例外だもの。このタイトルスカウトのお仕事を辞める直前は、どこの英米出版社のカタログを見ても「Asian rights sold in Korea and China. Japanese rights still available.（アジア圏は韓国と中国で売約済み。日本語圏はまだ残ってます）」ってのが多くて、嬉しいような情けないような、ほろ苦い毎日でござんした。</p>
<p>フランクフルト・ブックフェアに行けば行ったで、日本の出版社のブースは合わせて並べても、広い会場の半分の長さにもならないのに、中国のブースだけでフロアの３分の１が埋め尽くされていて、中国人の団体に足は踏まれるわ、通路を占拠されるわで、殺意が起きる瞬間もあったっけ（笑）。</p>
<p>ブックフェアの会場で毎日手渡される会報に「中国がン百冊分の版権を獲得！」などと、エラソーに数を誇示しているのに対し「け、オリンピックじゃねーんだよ。数が多ければ良いのかい。年齢詐称の雑伎団少女はひっこんでろ」とか悪態をつきたい衝動にかられるわけ。</p>
<p>そんなこんなでタイトルスカウトのお仕事の後は、逆に日本語のコンテンツを海外に売り込むお仕事しているわけですが、そこでも最近は中国勢、韓国勢に負けそうなんだよなぁ。なにせ、日本文学と言えばハルーキ・ムラカーミ以外は、オーエだの、ミシーマだの、カワバッタだの、「昔の名前が出ています」状態なのだから。</p>
<p>中国に関していえば、毛沢東の時代に文化大革命で自国の文学を片っ端から禁書にした負の歴史を持つ国ですからねぇ、しかも今も言論統制ガチガチなままだから、源氏物語からアキバのアニメまで、エロからグロまで極めた文学的成熟度では負けないという自負はある。少なくとも中国発の児童書は「まだまだparochial」とこっちの編集者に言われているのを聞いて一安心。つまり、子ども向けの本だと、親の言うことを聞けとか、盗みはいけないとか、まだまだ道徳の初歩みたいなメッセージ性しかない絵本しかない、というわけ。うんちやらくがき賞賛で<a href="http://www.gomitaro.com/library/overseas/">世界で読まれている五味太郎</a>えらい！</p>
<p>大人向けの読み物として、そこは中華5000年の歴史にモノを言わせた古典文学を売り込みに来てるみたいなんだけど、そこはあなた、アメリカ人は質実剛健なもんで、編集者に「こういう古くさい話じゃなくて、今の旬の中国がわかるような現代小説が欲しいんだよなー」とか言われて「本当のところは秘密です。これが政府の正式見解です」「そういうつまんないのはいいや」みたいな展開になっているわけだ。</p>
<p>これが韓国となると、共産主義の代わりに、儒教の縛りってヤツがきつくて、なかなか前衛的な作品がないのが実状。ひたすら親孝行的大河小説だったり、ヨン様主演でいけそうな尽くし系異母兄妹ラブストーリーだったり。ところが、先月発表されたマン・ブッカー賞のアジア部門で、シン・キョンスクの『母（オンマ）をお願い（Please Look After Mom）』が<a href="http://www.readings.com.au/news/kyung-sook-shin-wins-man-asian-literary-prize">受賞しちゃった</a>と聞いたときには椅子からズリ落ちそうになった。</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/%E3%81%BF%E3%81%9A%E3%81%86%E3%81%BF-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%88%E3%81%97%E3%82%82%E3%81%A8-%E3%81%B0%E3%81%AA%E3%81%AA/dp/4101359326%3FSubscriptionId%3DAKIAJ6M5XSEAGVGPPAHQ%26tag%3Dlingc-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D4101359326"><img src="http://www.amazon.co.jp/gp/registry/wishlist/add-item.html%3Fasin.0%3D4101359326%26SubscriptionId%3DAKIAJ6M5XSEAGVGPPAHQ%26tag%3Dlingc-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D5143%26creativeASIN%3D4101359326" /></a>もちろん、本家イギリスのブッカー賞と違って、まだまだこの文学賞の注目度は低いんだけど、とりあえず英語になっているアジアの作品が対象と言うことで、実はノミネート作品に吉本ばななの『みずうみ』も入っていたんだよね。なぜ、今の時点でばななのこのタイトルなのかと言われると、要するにグローブ・アトランティックが『キッチン』を出して以来、アメリカのばなな人気が陰ってきた後もコツコツと出していたメルヴィル・ハウスという版元があるからなんだけど、そっちの話はまたいずれ。</p>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/%E6%AF%8D%E3%82%92%E3%81%8A%E9%A1%98%E3%81%84-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E7%94%B3-%E4%BA%AC%E6%B7%91/dp/4087606295%3FSubscriptionId%3DAKIAJ6M5XSEAGVGPPAHQ%26tag%3Dlingc-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D165953%26creativeASIN%3D4087606295"><img src="http://www.amazon.co.jp/gp/registry/wishlist/add-item.html%3Fasin.0%3D4087606295%26SubscriptionId%3DAKIAJ6M5XSEAGVGPPAHQ%26tag%3Dlingc-22%26linkCode%3Dxm2%26camp%3D2025%26creative%3D5143%26creativeASIN%3D4087606295" /></a>で、この「オンマ…」だけど、集英社文庫から日本語版が出ているんで読んだ人もいるかもしれない。とにかく韓流ドラマと同じでお涙頂戴のメロドラマ。２ちゃんまとめ記事にこんな感動話なかったっけ？ってな。一部報道で「アメリカでも好評！」というニュースを見聞きした人がいるとしたら、それも韓国政府が大々的にプッシュした結果。実際にはたいして読まれているわけじゃないです。でもまぁ、ブッカー賞の結果には、転んだのに優勝するキム・ヨナを指をくわえてみている真央ちゃんファンのような気持ちになるわけです。</p>
<p>﻿﻿<a rel="attachment wp-att-2934" href="http://oharakay.com/archives/2930/asiaebook"><img src="http://oharakay.com/lingual2/wp-content/uploads/asiaEbook-400x349.jpg" title="asiaEbook" width="400" height="349" class="alignleft size-medium wp-image-2934" /></a>そして今、悔し涙には暮れないけど、かなーり「くやちい」事態が、韓国でのＥブックの普及度。E-Book penetration（電子書籍の浸透度）というタイトルが付いたスライドで、世界地図のこの部分に目が釘付けになってしまった。本全体にＥブックが占める割合の数字…これがなんと14〜15％という報告を１月の「デジタル・ブック・ワールド」というコンファレンスで聞いてしまったのです。アメリカだって今年ようやく20％越え、続く英語圏のイギリスが10％いかないぐらいでっせ。日本に至っては、1.5％。正にケタ違い。教科書のデジタル化も<a href="http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1107/15/news005.html">2015年までにやっちゃうよ</a>という強気な記事。</p>
<p>そりゃ、同じアジアの言語といっても、日本語に比べればハングル表記の方がずっと簡単そうだし、なんと言ってもここでも政府が強力な後押しをしているわけですよ。もう一言で言えばrelentless。こうすればあっという間に電子書籍なんて普及しちゃうんですね、ってな。一方の日本政府が150億円を某機構に落っことすと聞いて、それで何がどう変わるんでしょ？と小一時間問い詰めたいこの花いちもんめな気分をどうにかして下さい。</p>
<p>でもね、個人的には、政府が税金を大量に使って自国の文化を強力にプッシュすることにはあまり賛成できない。経済対策ならともかく、文化なんてものは自ずと自然にその国の民から滲み出て育ってくるものだと思うから。そしてそれが国境を越えて世界で認められるとしたら、その国以外の文化背景を持つ人でも感動できる何かあったからなんだろうし。まぁ、ぼちぼち頑張るしかないんだけどね。かぶっていけるような釜もないしさ。</p>

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