さて今年も夏がやってまいりましたね! 夏休みシーズンは各地の博物館やイベント会場などで、様々な特別展や企画展が開催される季節!
ということで、今年の夏に自然史系博物館等で開催される特別展や企画展を、生物・古生物関連を中心にまとめてみました。
まだまだ情報に漏れなど大量にあるかと思いますので、Twitterか、Facebookページ、メール、またはLINEで情報提供頂けると嬉しいです。
他にもこんな特別展や企画展やってるよ!というのをご存知の方は、Twitterか、Facebookページ、メール、またはLINEにてぜひ情報提供ください!
]]>楽しげなイベントのお知らせを頂いたのでご紹介。
2017年7月22日~23日にかけて、兵庫県立人と自然の博物館主催の「化石発掘調査」アカデミック・キャンプが開催されるそうです。対象は小学4~6年生。
池田研究員(新種のカエル化石タンババトラクスやヒョウゴバトラクスを記載した先生)による、篠山層群の古生物についての講義や、ひとはく・丹波竜化石工房の解説付き見学とか、化石発掘・クリーニング体験などもできて、しかも野外でキャンプできるとか超楽しそう。自分が小学生だったら行きたかったw
]]>大阪の海遊館で開催されていた企画展『デスモスチルスのいた地球』を見てきました。
自然史系博物館ではお馴染みの、日本を代表する絶滅哺乳類デスモスチルスですが、水族館で取り上げるのは珍しい試みですね。展示の随所に水族館らしい切り口の展示があって、新鮮な企画展でした。
テーマが古生物ということで、博物館ではよくあるけど、水族館ではあまりない「脊椎動物の進化の歴史」を紹介するコーナー。化石標本ではなく、現生生物の水族展示でそれを見せるあたりが、とても水族館らしくて良いなと思いました。
最初はマボヤの水槽。ホヤは脊椎動物に一番近い尾索動物というグループに属する生き物。脊椎動物の進化の解説をホヤの水槽から始めるっていうのが、水族館らしくてとても良い。
肺呼吸なお魚さんたち。ポリプテルス(左)とハイギョ(右)。
さらに、現生のシーラカンス(ラティメリア)の標本も。ハイギョやシーラカンスなど、陸に上がった四肢動物に近い現生の魚類が展示されています。
両生類。ウーパールーパーことアホロートルことメキシコサラマンダー。
現生種の水族展示に続いて、絶滅海生哺乳類などの化石展示。
まずはアショロカズハヒゲクジラの全身復元骨格。北海道の足寄産。一見、思いっきり歯があるのでハクジラの仲間かと思いきや、原始的なヒゲクジラだそうで。
顎の化石も展示されています。
続いてヌマタネズミイルカ。こちらは北海道の沼田町産。同じ北海道産クジラですがアショロカズハヒゲクジラよりも2,000万年以上最近の生き物。イルカですからもちろんこっちはハクジラの仲間ですね。
アザラシやアシカに近い鰭脚類アロデスムス。
哺乳類じゃないですが、ペンギンモドキとも言われる海棲鳥類プロトプテルム。ちょっとこの展示方法はさすがに見にくい......。ペンギンに似てるけどペンギンよりもウとかに近い、と言われていましたが、脳の形態などの近年の研究で、やっぱペンギンに近縁なんじゃね? という説も出てきているそうです。
そして今回の主役のデスモスチルスさん。束柱類という既に絶滅して現生種のいないグループに属する哺乳類で、日本はデスモスチルスを含む束柱類化石の大産地。現生種がいないということで、謎の多い生き物でもあります。
骨の密度を調べることで、どの程度水棲生活に適応していたのかなどが近年研究されていて、今回は水中で遊泳しているような姿勢で復元されているようです。デスモスチルスに近縁なパレオパラドキシアでは遊泳姿勢の復元は時々見かけますが、デスモスチルスの遊泳姿勢の復元はレアかもしれないです。
デスモスチルスをはじめ、化石種の展示に関しては、解説パネルも凄い充実っぷりで読み応えがありました。せっかく詳細な解説があったので、欲を言えば展示解説書として販売して欲しかったなー。
大阪市営地下鉄中央線「大阪港」駅下車、徒歩10分弱。
大阪港駅へは、地下鉄御堂筋線梅田駅から天王寺方面へ5分、本町駅で中央線に乗り換え。本町駅から10分。
コインロッカーあり。
館内にレストランあり。また海遊館近辺にも飲食店は沢山ある。
]]>きしわだ自然資料館で開催中の特別展『きしわだホネホネ・ルーム』を見てきました。
哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類の骨格標本と剥製標本が沢山展示されていて、きしわだ自然資料館のホールが素敵空間と化していて楽しかったです。
会場に入って最初に目に入るのはワニの頭骨レプリカ。同じワニでも、食性や生態によって、がっしりと太い顎だったり、細長い顎だったりと、違いがよくわかります。ちなみに、常設展ではキシワダワニの化石も展示されています。
いろんな頭骨をこういうケースで展示すると、凄く良い雰囲気ですね。
ライオン(左)とアメリカバク(右)の頭骨。肉食哺乳類と植物食哺乳類では頭骨の形も全然違う。
ヒツジの頭骨。かっこよすぎる。
オオアリクイの頭骨と剥製。食性が特化した動物の骨は面白いですね。
キリンの頭骨と首の骨。こんな角度から見る機会はあんまりないので新鮮。
アジアゾウの頭骨・下顎骨と、絶滅したゾウのなかま、ステゴドンの下顎骨の化石。ゾウの臼歯は普通にイメージする歯の生え変わりではなく、奥からベルトコンベア的にスライドして生え変わる「水平交換」という方式なんですが、現生のゾウと、ステゴドンのなかまは、それぞれ独立してこの「水平交換」を獲得したっぽいらしいです(両者の共通祖先は水平交換ではなかった)。知らなかった。
カバの頭骨は何度見ても威圧感が凄い。下顎の前歯が、真正面に突き出て伸びてるのが面白いです。
ほかにも色んな哺乳類のホネや剥製が展示されています。
カメやヘビなどの爬虫類のホネも。
両生類はカエルのホネが充実。
魚類も。
そして鳥類の標本も充実。
解説の文章も丁寧でわかりやすく、楽しい展示でした。
南海本線「岸和田」駅下車、徒歩15分程度。
岸和田駅へは、JR大阪駅から関空快速で15分程度、新今宮駅で南海線に乗り換え。新今宮駅から30分程度。または、南海難波駅から20~30分程。
コインロッカーは多分なかったと思う。
館内に飲食施設はない。資料館のすぐ隣に食堂っぽいお店がある。
]]>2017年に突入しましたね。あけましておめでとうございます。
早いもので当サイトPangea Noteは先月で四周年を迎えました。今年も引き続きマイペースに運営していきたいと思います。
さて、毎年恒例となりました、2016年に見学してきた自然科学系博物館・水族館・動物園・昆虫館や特別展等のまとめです。
2015年のまとめはこちら。2014年のまとめはこちら。2013年のまとめはこちら。
1月31日。福井県立恐竜博物館。通算10回目。企画展『New Comer Collections』を見てきました。同館が新たに購入した標本のお披露目展示的な内容で、かなり充実した展示となっていました。
掲載記事(企画展):福井県立恐竜博物館の新標本お披露目企画展『New Comer Collections』の充実っぷりが凄かった
掲載記事(常設展):恐竜ファンの聖地!国内最大級の恐竜専門博物館。福井県立恐竜博物館
2月8日。宮島水族館(みやじマリン)。初見学。瀬戸内海の生き物の展示が中心。牡蠣の養殖イカダを再現した水槽が印象的でした。
掲載記事:宮島水族館(みやじマリン)は、牡蠣の養殖イカダを再現した水槽がとても良かった。
仕事が忙しくてどこにも行ってなかった模様。
4月9日。京都市動物園。通算2回目。2015年11月のリニューアル完了後、初の見学。市街地内にあり敷地はあまり広くないですが、立体的な展示を活用していて楽しい動物園。
掲載記事:リニューアル完了後の京都市動物園はやっぱり見どころたっぷりな楽しい動物園だった。
4月15日。大阪市立自然史博物館。通算19回目。特別展『生命大躍進』の内覧会に参加。カンブリア紀のバージェス頁岩や澄江産の化石をはじめ、見所だらけの凄い展示でした。
掲載記事(特別展):何度もリピートしたくなる見所だらけの特別展『生命大躍進』
掲載記事(常設展):展示自体に歴史を感じる関西最大規模の自然史博物館。大阪市立自然史博物館
4月22日。和歌山県立自然博物館。通算3回目。期間限定で和歌山産のモササウルス化石を展示していたので見に行ってきました。でかかった。水族展示も非常に充実していて、楽しい博物館です。
掲載記事:和歌山の海に棲む生物の水族展示中心の博物館。和歌山県立自然博物館
4月29日。阪急うめだ本店で開催されていた企画展『恐竜ランド』。百貨店でやってたちっちゃい恐竜展だったけど、ライスロナックスの全身骨格が見られたのが良かった。
掲載記事なし
5月5日。みさき公園。通算2回目。基本「遊園地の中にちょっと動物園もある」って感じだけど、結構色んな動物がいて楽しめました。
5月6日。大阪市立自然史博物館。通算20回目。再び、特別展『生命大躍進』を見学。ほんとは欲を言えばあと数回見に行きたかった......。
掲載記事(特別展):何度もリピートしたくなる見所だらけの特別展『生命大躍進』
掲載記事(常設展):展示自体に歴史を感じる関西最大規模の自然史博物館。大阪市立自然史博物館
5月29日。兵庫県立人と自然の博物館。通算10回目。ひとはくセミナー「アリの基礎生態学」の第一回を聞いてきました。講師の橋本先生がめっちゃ良い人で、色々突っ込んだ話を聞けて非常に楽しかった。
掲載記事:丹波竜化石や新生代の古生物展示が魅力。兵庫県立人と自然の博物館
またもや仕事が忙しくてどこにも行ってなかった模様。
7月10日。兵庫県立人と自然の博物館。通算11回目。今回もひとはくセミナー「アリの基礎生態学」の第二回を聞いてきました。アリと植物との種間関係について、最新の知見を色々と聞けて非常に楽しかった。
掲載記事:丹波竜化石や新生代の古生物展示が魅力。兵庫県立人と自然の博物館
7月16日。奥出雲多根自然博物館。初見学。数年前からずっと気になってた「宿泊できる自然史博物館」についに宿泊。魚類化石の充実っぷりが凄かったです。
掲載記事:博物館好きの夢「博物館に泊まる」を実現できる! 宿泊できる奥出雲多根自然博物館
8月5日。天王寺動物園。通算5回目。歴史のある古い動物園ですが、実はなにげに展示がかなり最先端。
掲載記事:天王寺動物園は日本で唯一キーウィが観られる動物園!
8月10日。大阪大学総合学術博物館。通算8回目。企画展『妖怪古生物展』を見学。古典や伝承に伝わる「妖怪」のルーツを古生物の化石から探る、民俗学と古生物学の融合的なユニークな企画展で、非常に面白かったです。常設展のマチカネワニも必見。
掲載記事(企画展):妖怪のルーツを化石から探る『妖怪古生物展』は民俗学と古生物学の融合が面白い!
掲載記事(常設展):日本初の化石ワニ・マチカネワニの模式標本が観られる。大阪大学総合学術博物館
8月12日。丹波竜化石工房。通算5回目。なんと言っても、2016年4月に公開されたばかりの丹波竜ことタンバティタニスの全身骨格。あと、企画展『丹波竜と竜脚類展』も開催中でした。
掲載記事(企画展):兵庫県内の二館で開催中の、タンバティタニス(丹波竜)がテーマの企画展を両方紹介。
掲載記事(常設展):丹波竜化石工房では国産の竜脚類恐竜で唯一の全身骨格、タンバティタニスが見られる!
8月18日。兵庫県立人と自然の博物館。通算12回目。企画展『丹波竜展』を見学。タンバティタニスの実物化石が沢山展示されていました。
掲載記事(企画展):兵庫県内の二館で開催中の、タンバティタニス(丹波竜)がテーマの企画展を両方紹介。
掲載記事(常設展):丹波竜化石や新生代の古生物展示が魅力。兵庫県立人と自然の博物館
8月23日。三重県総合博物館。通算2回目。企画展『三重の三億年 変動に生きた巨大生物たち』を見学。三重県産の鉱物や、三重県内で見られる三億年前からの地殻変動の解説、そして三重から産出した古生物の化石などが展示されている企画展でした。
掲載記事(企画展):鳥羽竜、ミエゾウ、メガロドン、三重産巨大生物化石が揃った企画展『三重の三億年 変動に生きた巨大生物たち』
掲載記事(常設展):三重県総合博物館(MieMu:みえむ)は鳥羽竜やミエゾウなど三重産化石が充実していた
8月25日。徳島県立博物館。通算3回目。特別展『トクシマ恐竜展』を見学。常設展も南米産の絶滅哺乳類化石をはじめ、見どころ沢山でお勧めの博物館。
掲載記事(特別展):トクシマ恐竜展で数年ぶりにオーソドックスな恐竜展を見た気がした。
掲載記事(常設展):徳島県立博物館は南米の絶滅哺乳類展示が凄く良い雰囲気。
8月26日。橿原市昆虫館。通算4回目。超近所なのにあんまり足を運んでなくて我ながらちょっともったいない。実は昆虫だけじゃなく化石もあったりする。
8月31日。岐阜県博物館。通算2回目。特別展『新・恐竜学』を見学。恐竜の「脳」にスポットを当てたかなりマニアックな展示で、凄く面白かった。
掲載記事(特別展):恐竜の「脳」にスポットを当てた斬新な特別展『新・恐竜学』が超面白かった。
掲載記事(常設展):岐阜県博物館は古生代から新生代まで岐阜県産化石で網羅しているのが凄かった
9月1日。豊橋市自然史博物館。通算4回目。一番の目的は2016年5月にリニューアルされた新生代展示。凄く良かった。特別展『メガ恐竜展in豊橋』も見学。
掲載記事(特別展):竜脚類の巨大化をテーマにした特別展『メガ恐竜展in豊橋』は迫力ある竜脚類化石でいっぱいだった。
掲載記事(常設展):新生代展示がリニューアルされて豊橋市自然史博物館の充実ぶりがさらにパワーアップしていた。
9月1日。豊橋総合動植物公園のんほいパーク。初見学。豊橋市自然史博物館の外にある動植物園。というか、のんほいパークの中に豊橋市自然史博物館がある。いつも博物館の見学だけで時間がいっぱいになっちゃってたので、動植物園の方は初見学。めっちゃ広いし、展示の見せ方も凝ってるし、非常に良い動物園でした。
紹介記事執筆中......。
9月7日。福井市自然史博物館。通算2回目。特別展『旅をするタネ』を見学。身近なタネから海外の珍しいタネまで、色んな大きさや形のタネが展示されていて、あんまり植物に詳しくなくても見ていて楽しい展示でした。
掲載記事(特別展):特別展『旅をするタネ』は植物の多様な種子散布の戦略が学べて楽しい。
掲載記事(常設展):福井の足羽山の自然を丁寧に解説した博物館。福井市自然史博物館
9月8日。福井県立恐竜博物館。通算11回目。特別展『恐竜の大移動』を見学。ティラノサウルス類と角竜類の、アジアと北米間の往来と進化の歴史を丁寧に解説した展示で非常に良かったです。常設展の方も、新たにブラキオサウルスのでっかい全身骨格が追加されていました。
掲載記事(特別展):特別展『恐竜の大移動』はティラノサウルス類と角竜類の繁栄と進化の歴史が凄くわかりやすくて良かった。
掲載記事(常設展):恐竜ファンの聖地!国内最大級の恐竜専門博物館。福井県立恐竜博物館
9月11日。国立科学博物館。通算13回目。特別展『海のハンター展』を見学。海棲脊椎動物の「捕食」をテーマに、古生代の生物から、現生の生物まで、海に住む多様な脊椎動物の標本が展示されていてボリュームたっぷりでした。常設展の方もリニューアルされてからは初見学だったので、色々と新鮮でした。
掲載記事(特別展):特別展『海のハンター展』は古生物から現生生物まで充実した「海棲脊椎動物図鑑」みたいな展示だった。
掲載記事(常設展):国内最大ボリュームの自然史系博物館。国立科学博物館(展示リニューアル前の記事。リニューアル後の紹介記事はそのうち......)
9月12日。『骨を見る 骨に見られる』。東京の文京区教育センターで開催されていた、東京大学総合研究博物館の企画展。特に解説もなく、でも意図を持って陳列されてる大量の骨のインパクトがすごかった。
掲載記事:特に解説もなく、でも意図を持って陳列されてる大量の骨のインパクトがすごい『骨を見る 骨に見られる』
9月12日。多摩動物公園。通算2回目。とにかくハキリアリが見たくて行ったけど、モグラの展示も超良かった。タスマニアデビルは残念ながら見られず。
紹介記事はそのうち(ハキリアリ愛が強すぎていつまで経っても記事がまとまらない件)。
9月17日。京都大学総合博物館。通算3回目。企画展『虫を知りつくす』を見学。京大の様々な昆虫研究の成果が展示されていて、新しい驚きが沢山の面白い展示でした。そして何よりシロアリの生きたコロニーがめっちゃ見やすく展示されていて、すんごいテンションが上がった。
掲載記事(企画展):京大博物館の企画展『虫を知りつくす』は、シロアリのコロニーを観察しまくれる天国だった!
掲載記事(常設展):京都大学の貴重な学術標本を展示。京都大学総合博物館
9月23日。襟裳岬 風の館。初見学。襟裳岬に棲むアザラシウォッチングができたり、風速25m/sを体験できたりの面白スポット。
紹介記事はそのうち。
9月24日。北海道大学総合博物館。初見学。ずっと行きたかったんだけど以前北海道に行ったときは展示リニューアル作業中で閉館だったので「やっと来れた」という感じ。古生物系の展示はもちろん、獣医学系の展示(現生動物のホネたくさん)も見所いっぱいで良かった。
紹介記事はそのうち。
10月1日。毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)。大阪梅田のHEP FIVEで開催されていた、サンシャイン水族館プロデュースの企画展。毒を持つ生物がたくさん飼育展示されてました。
掲載記事:毒を持つ生き物だけを集めた毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)
10月9日。兵庫県立人と自然の博物館。通算13回目。ひとはくセミナー「アリの基礎生態学」の第三回を聞いてきました。今回はアリと動物との種間関係について。相変わらずめっちゃ面白かった。さらに、橋本先生のご厚意で、僕自身も「アリの飼育について」ということで30~40分程プレゼン的なことをさせて頂きました。仕事以外で資料を用意して人前で話すのは緊張したけど楽しかったし良い経験だった。
掲載記事:丹波竜化石や新生代の古生物展示が魅力。兵庫県立人と自然の博物館
10月16日。大阪市立自然史博物館。通算21回目。特別展『氷河時代』を見学。地球の気候変動の歴史を化石等の資料とともに非常に丁寧に解説した良い特別展でした。
掲載記事(特別展):地球の気候変動の歴史を丁寧かつ詳細に解説した特別展『氷河時代』
掲載記事(常設展):展示自体に歴史を感じる関西最大規模の自然史博物館。大阪市立自然史博物館
10月23日。京都大学総合博物館。通算4回目。再び企画展『虫を知りつくす』を見学。また、講演会「虫たちの社会:シロアリ王国の冒険」も聞いてきました。シロアリはアリ・ハチとはまたちょっと違った社会性で面白いなー、と改めて思った。
掲載記事(企画展):京大博物館の企画展『虫を知りつくす』は、シロアリのコロニーを観察しまくれる天国だった!
掲載記事(常設展):京都大学の貴重な学術標本を展示。京都大学総合博物館
寒くなってきて行動力が低下したのでどこにも行ってなかった模様。
12月3日。『日本文化を育んだ自然 where culture meets nature』。京都の花洛庵で開催されていた、兵庫県立人と自然の博物館を中心に全国の自然史系博物館8館が協力しての企画展。趣向を凝らした展示が非常に良い雰囲気でした。京の町屋と自然史標本の組み合わせの意外な居心地の良さが最高。
掲載記事:京の町屋と自然史標本の組み合わせが生み出す居心地の良い空間『日本文化を育んだ自然 where culture meets nature』
12月10日。京都大学総合博物館。通算5回目。大学の古生物学の授業を受けに。展示自体はあまり見学できなかったけど、授業は超楽しかった。
掲載記事(常設展):京都大学の貴重な学術標本を展示。京都大学総合博物館
12月11日。京都大学総合博物館。通算6回目。引き続き、大学の古生物学の授業を受けに。
掲載記事(常設展):京都大学の貴重な学術標本を展示。京都大学総合博物館
改めて振り返ると、夏と冬での自分の行動力の差がありありと出ていて面白いですね。
奥出雲多根自然博物館や、北海道大学総合博物館など、以前からずっと気になってたけど遠くてなかなか行けなかったところに行けたのが良かったです。
あと、兵庫県立人と自然の博物館のアリのセミナーで、自分もアリの話をする機会を頂けたのは、凄く良い経験になりました。
今年も、まだ行けていない県の園館に行きたいなー。長野とか東北地方あたりとかいいですね。
]]>以前から古生代~中生代の古生物関連の展示が非常に充実していた豊橋市自然史博物館ですが、2016年5月に新生代展示室がリニューアルして、さらに充実した博物館になりました。今回は、リニューアルされたばっかりの新生代展示室の内容を紹介していきます。
古生代・中生代展示室の様子(とリニューアル前の新生代展示室の様子)は、2012年12月の記事をどうぞ。
まずはゾウのなかま、長鼻類の進化の展示。
長鼻類に近縁な束柱類のパレオパラドキシアの骨格と、デスモスチルスの臼歯。
原始的な長鼻類モエリテリウムの頭骨。まだこの辺はゾウ感が全然ない。
ゴンフォテリウム類の化石。だいぶゾウ感が出てきた。
アケボノゾウの全身骨格と、アケボノゾウ・トウヨウゾウ(ステゴドン)の歯の化石。
こちらはナウマンゾウ。
そしてマンモス。切歯(牙)の断面が見られるように鏡を設置してくれてる。
つづいて海へ向かった哺乳類の展示。
天井で存在感を示してるのは、現生のミンククジラ(奥)と、ムカシクジラ類のドルドン(右)。
両者の後肢の比較。ミンククジラはほとんど痕跡程度なのに対して、ドルドンは後肢らしい後肢を持っている。
他にもグシラの化石や、アロデスムスなど鰭脚類の化石もいろいろ。
次は奇蹄類の進化の展示。
原始的なサイ類ヒラコドンから、ケサイや今もいるクロサイまで、様々なサイのなかまの頭骨。
こちらは原始的なウマ類ヒラコテリウムから、エクウス(現生のウマもエクウス属)まで、ウマの進化の展示。
指が三本から一本になっていく。
そして鯨偶蹄類の進化の展示。
この展示がやたらとかっこいい。
上の三つは左からウォーターバック、クーズー、ヌー。下に鎮座するのはバイソンの頭骨。
原始的な偶蹄類メリコイドドンの化石も。ちっちゃくてかわいい。
ここまでは、特定の哺乳類の分類群別の進化の展示でしたが、ここからは時代区分別の展示。まずは古第三紀(暁新世・始新世・漸新世)。
ドイツのメッセル産の化石。ボア科のヘビ(左)と、コウモリのなかまパレオキロプテリクス(右)。始新世には既にコウモリはコウモリの形してるけど、いつからコウモリしてるんでしょうね。
アリ充としては見逃せない、アリとゴキブリの入った琥珀。こんだけ見事に一目でわかるくらいのアリが入ってる琥珀いいな。めっちゃ欲しい......。
カニの凄い化石も。
続いて中新世の展示。
中新世は大陸から離れて、日本列島として誕生した時代、ということで、国産の化石中心の展示。化学合成群集の化石なんかも。
次は鮮新・更新世の展示。
ホラアナグマの骨格や、全国各地の博物館の壁を這っているマチカネワニの骨格もありました。
第四紀の展示。
そして最後に人類の進化。
プレシアダピスやエジプトピテクスをはじめ、サルの化石が沢山。
新生代展示室を出るとこんな展示コーナーが。こちらも見逃せません。
漸新世の肉食哺乳類ディニクティス(左)と、レプティクティス(右)。
同じく漸新世の奇蹄類メガケロプス。左がオスで右がメス。
古生代・中生代展示も含め、ほんとに充実した博物館です。ここで色んな哺乳類の化石を見た後に、博物館から出てのんほいパークの動物園で生きた哺乳類を観察すると、また色々と新たな発見があるんじゃないでしょうか。
JR二川駅下車、徒歩10分弱でのんほいパーク(豊橋総合動植物公園)に到着。のんほいパーク内を徒歩5分強。
二川駅へは、JR名古屋駅から東海道本線浜松方面へ1時間強。
コインロッカーあり。
館内には飲食施設なし。のんほいパーク内にはレストランがある。
博物館自体は入場無料なので何度でも再入場可。のんほいパーク自体への再入場の可否は未確認。
]]>京都市の花洛庵で開催中の企画展『日本文化を育んだ自然 where culture meets nature』を見てきました。
全国の自然史系博物館8館が協力しての開催とのことで、趣向を凝らした展示が非常に良い雰囲気でした。京の町屋と自然史標本の組み合わせってこんなに居心地が良いのかー、としみじみ思いながら見学しました。
中に入るといきなり色んな化石が並んでます。お馴染みのタンバティタニスも。
靴を脱いで家に上がります。
中にも様々な標本が。
花洛庵所蔵の陣羽織。何の羽根で作られているのか調査研究の解説もあります。紆余曲折あって、キジの羽根が使われていたことがわかったとか。アゲハチョウの柄がかわいい。そして向かいにはキジの剥製。
若冲の絵と、そこに描かれた昆虫たちの標本
突如現れる最高に雰囲気の良い空間。
背景の庭も含めて展示にしちゃってる感じがとても良い。
これらの素晴らしい苔テラリウムはMoss Light-LEDさんの作品だそうです。こういうの見ると自分でも苔リウムに挑戦してみたくなりますな。
動物が登場する日本の昔話の絵本や、鳥獣人物戯画の巻物のミニチュアレプリカ。
町屋に使われているような木材を触れるコーナーも。
コンブの標本を掛け軸にするという発想が凄い。標本なのにヌメヌメ感を再現してるあたりも凄い。
庭を挟んだ向こう側に見える、ツキノワグマをはじめとした比較的大型な哺乳類の剥製。夕方に行ったら、また違った雰囲気があって良さそう。欲を言えば、近づいて見られるようにもして欲しかったかなあ。
この何とも言えない素敵空間よ。
二階に上がると、鶴の柄の着物と、ツルをはじめとした大型の鳥類の剥製が。
和室と鳥の剥製ってなんか相性いいなと思いました。
着物を収納する衣装箪笥(?)の上に、着物の素材である絹を作るカイコガ等の標本が展示されているのがなんか良かったです。
畳に座ってじっくり間近で見られる色んなカタツムリの標本。殻は本物ですが、軟体部は模型だそうです。
凄まじいリアルさ。
展示のボリュームはそれほど多くはないんですが、全体的に「余白」をいい感じに使った凄く居心地の良い、満足感のある展示でした。座布団を持参してずっと座ってぼーっとしてたい感じ。(※迷惑なので座布団を持参するのはやめときましょうw)
京都市営地下鉄「四条」駅、および阪急「烏丸」駅下車徒歩10分程度。
写真撮影可(フラッシュ・三脚禁止)。
コインロッカーなし。
会場に飲食施設はないけど、京都の街中なので周辺に飲食店は沢山ある。
]]>もう会期が終了して一月半ほど経っちゃいましたが、大阪市立自然史博物館で2016年10月16日まで開催されていた特別展『氷河時代』に、会期ラストの日に行ってきました。
若干、今更感もあるので駆け足気味に展示の概要を紹介します。
まずは、地球の過去の気候変動をどういった手段で知るのか、という解説。
大木の年輪や、湖の年稿堆積物、ボーリングコアなど、気候変動変動を知るための「ものさし」となる標本が色々と展示されてました。
大阪から愛媛に渡って分布している白亜紀の地層、和泉層群から産出した化石もいろいろと展示されていました。
香川から産出した恐竜の椎骨化石。
アンモナイト類や、モササウルス類の下顎骨などなど。
新生代の国産化石も沢山展示されていました。
パレオパラドキシアの全身化石。
アケボノゾウ、トロゴンテリゾウ、トウヨウゾウ、ナウマンゾウなどかつて日本にいたゾウのなかまの化石も沢山。これらのゾウたちが入れ代わり立ち代わり日本に入って来た流れが非常にわかりやすく丁寧に解説されていたのが印象的でした。
新生代の大阪産ワニ、タカツキワニとキシワダワニの化石も。マチカネワニの化石も展示されていましたが、こちらは写真撮影不可でした。
ケナガマンモスとヤベオオツノシカの全身骨格。
更新世のトラとステップバイソンの化石。昔は日本にもトラやバイソンがいたんですねー。
岐阜県の熊石洞から見つかった様々な哺乳類化石。
全体的に解説が非常に丁寧で詳細な展示でとても良かったです。
地下鉄御堂筋線「長居」駅下車徒歩8分程度。駅を出るとすぐ長居公園があり、博物館まで公園内を案内に沿って進めば良いので、迷うことはないかと。
長居駅へは、大阪梅田から地下鉄御堂筋線で20分強。
コインロッカーあり。
食事は、博物館本館に隣接した「花と緑と自然の情報センター」に喫茶コーナーあり。
市街地内なので、長居駅近辺にも飲食店はそこそこある。
]]>丹波竜ことタンバティタニスをはじめ、ササヤマミロスやタンババトラクスなどなど、貴重な化石を産出している兵庫県の丹波・篠山地方で、2016年12月10~11日に、古生物関連の濃いイベントが多数開催されるようなのでご紹介。
まずは2016年12月10日に開催される、小学5~6年生対象のイベント『きみこそ未来の研究者!「化石発掘調査」1日集中講座』。丸一日みっちり詰まった集中講座で非常に楽しそう。
朝から兵庫県立人と自然の博物館の池田研究員(新種のカエル化石タンババトラクスやヒョウゴバトラクスを記載した先生)による、篠山層群の古生物についての講義や、丹波竜化石工房を解説つきで見学、さらにタンバティタニスの発掘現場の見学。
お昼からは、化石の発掘やクリーニングなどを、プレパレーターの奥岸さんの解説付きで体験。
さらに夜は天体観測までできるという、朝から晩までみっちりと詰まった楽しそうなイベント。小学5~6年生限定ですが、大人も行きたくなる充実の内容。
きみこそ未来の研究者!「化石発掘調査」1日集中講座の詳細・申込はこちら。
続いて2016年12月10~11日の二日間にかけて、みっちり恐竜・古生物について学んで楽しめるイベント『第4回・たんば恐竜塾』。こちらは対象年齢は小学4年生以上。
大阪市立自然史博物館の林学芸員と、古生物復元模型作家の徳川さんが、恐竜・古生物について濃いお話を聞かせてくれるかと。
どんな内容なのかは、一昨年の第2回・たんば恐竜塾に参加したので、その時の様子をまとめたブログを参考にして頂ければ。
めっちゃ楽しかったです。
2016年12月11日は丹波竜フェスタ2016が開催されます。
基調講演の内容がめちゃくちゃ面白そう。恐竜研究者として多くのメディアにも出演されている小林先生や、タンバティタニスの記載をされた三枝先生の話など盛り沢山です。
他にも様々なワークショップやセミナーが開催される模様。
めっちゃ行きたいけど12月10~11日は既に予定が埋まってて行けないのが辛い......。まあ、大学の授業で古生物学の勉強してくるので、どっちにしても古生物絡みかよという感じなんですがw
参加される方のレポを楽しみにしてます。
]]>東京の文京区教育センターで開催中の、東京大学総合研究博物館の企画展『骨を見る 骨に見られる』を見てきました。
特に解説パネルのようなものはほとんど用意されておらず、ひたすら大量の骨が陳列されているんですが、無秩序ではなくそこには明らかに様々な意図が感じられて、見る側の受け取り方が問われる展示だなーという印象。
大量の頭骨と顎の骨。
インドガビアルとラプラタカワイルカ。全然違う分類群だけど、共に河川で魚食生活を送る生き物だけあって、互いの顎の収斂っぷりがよくわかる。
様々な肋骨。実はカメの甲羅も肋骨が変化したもの。
角いろいろ。アシやシカの角は骨でできているけど、サイの角は骨ではなく角質でできてる。
椎骨もいろいろ。
四肢の骨もいろいろ。
東京メトロ千代田線「湯島」駅から徒歩10分弱。
コインロッカーはなかった気がする。
駅周辺に飲食店はいろいろあったと思う。
]]>大阪梅田のファッションビルHEP FIVE内のHEP HALLで開催中の毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)を見てきました。
毒を持つ生物にスポットを当てた、ちょっと怖そうな展示。サンシャイン水族館がプロデュースらしいです。
獲物の捕食に、あるいは外敵への防御に毒を利用する生物、体内に毒を貯めこんでいて、食べるとヤバい生物などなど、様々な毒を持つ生物が展示されていました。
各生き物の解説には、毒の種類や強さなどの説明がそれぞれについていて、普通に動物園や水族館で同じ生き物を見る時とはまた違った見方ができて面白かったです。
まずは展示されていた中から、毒を持つ爬虫類を紹介。
ブルーテールモニター(オルリオオトカゲ)。有名なコモドオオトカゲなどと同じくオオトカゲ科の爬虫類。オオトカゲのなかまの毒は、かつては口内に棲む雑菌のせいで、噛まれるとそれが作用すると言われてましたが、どうも最近そうしゃなくて自前で生成した毒成分らしいぞ、ということになっているようです。
アメリカドクトカゲ。毒蛇のように毒牙を持ってるトカゲ。
セイブシシバナヘビ。猛毒を持つガラガラヘビに擬態することで外敵から身を守っているそうです。とはいえ、セイブシシバナヘビ本人も、捕食のための弱い毒を持っているとか。
シロハナキングヘビ。こいつは無毒。猛毒を持つサンゴヘビに擬態することで、毒を持っているフリをしているようです。こういう、危険な生物に擬態して身を守るタイプの擬態を「ベイツ型擬態」と言いますね。
モウドクフキヤガエル。同種でもカラーバリエーションがあるようです。色が鮮やかでかわいい。けど猛毒。
ジュウジメドクアマガエル。名前の通り、眼の模様が十字に見える。体表から毒液を分泌してるけど、毒の成分や毒の強さは不明らしい。
ファイアサラマンダー。体表の毒腺から毒を外敵に飛ばして攻撃するらしい。名前の「ファイア」は毒を「発射」するところから来てるんだとか。知らなかった。何となく模様が由来なのかと思ってました。あとまあ、サラマンダーといえば火だし。
ドクウツボ(左)とコンゴウフグ(右)。どちらも「食べたらやばい」系の毒。ドクウツボはなんか捕食のために毒を持ってるようなイメージだけど、そうではないらしい。
胸びれと背びれに毒を持つハナミノカサゴ(左)と尾に毒を持つリーフスティングレイ(右)。
毒を持つシマキンチャクフグと、シマキンチャクフグに擬態している無毒のノコギリハギ。さて、どっちがどっちでしょうか。左がシマキンチャクフグだと思うけど、あんまり自信ないですw
美味しそうな名前と裏腹に、「食べたらやばい」系の猛毒を持つスベスベマンジュウガニ。
めっちゃでかいオオムカデ。
こちらもめっちゃでかいクモ、ゴライアスバードイーター(ルブロンオオツチグモ)。
作り物めいた色をしたダイオウサソリ。
軟体動物組。ヒョウモンダコ(左)とアンボイナガイ(右)。どちらも猛毒で有名な上に、うっかり近づくと毒で攻撃してきかねない系なのが怖いですね。
刺胞動物組。ミズクラゲ(左)とヒメハナギンチャク(右)。どちらも触手に毒を持っていますね。
棘皮動物からはオニヒトデ。いっぱい突き出ている棘に毒があるそうです。
毒のある植物も少し展示されていました。マンドレイクとヒガンバナがお皿に乗ってるのがちょっと面白い。
JR「大阪」駅や、各線「梅田」駅から徒歩5~10分程度。
写真撮影可。
コインロッカーはなかった気がする。
HEP FIVE内にも周辺にも飲食店は沢山ある。7Fのレンスランフロアに、企画展のコラボメニューを扱った店も何件か。
]]>京都大学総合博物館で開催中の企画展『虫を知りつくす』を見てきました。
京大の様々な昆虫研究の成果が展示されていて、新しい驚きが沢山の面白い展示でした。
色彩の傾向が似ているものが互いに近縁だったと判明したナミハンミョウのなかまと、頭部の形状が似ていても近縁とは限らないことがわかったオサムシのなかまの展示。
60年以上に渡って研究が継続して続けられている「暗黒ショウジョウバエ」プロジェクトの紹介。時々メディアなどにも取り上げられていた記憶があります。暗闇でショウジョウバエを飼育し続けることで、環境の変化に適応したショウジョウバエが生まれてくるのか? という研究。60年ではまだはっきりとわかる変化は見いだせていないそうです。長い時間が必要になる研究ですし、今後も無事に継続されていくことを期待してます。
ニホンホホビロコメツキモドキの成虫と幼虫。この虫、自分が食べるための酵母菌を栽培するという面白い生態の昆虫だそうで。メスの腹部に酵母菌を蓄えるポケットがあり、竹の中に産卵する時に、卵と一緒に酵母菌も植えつけるんだとか。孵化した幼虫は竹の空洞内を歩き回って酵母菌を広げ、酵母菌の「農園」を作り、栽培した酵母菌を食べるそうです。おもしれー!!
「におい」に関する展示。手前の柱のようなところでは、昆虫が様々なコミュニケーションに利用するフェロモン等の匂いを嗅ぐことができます。カイコの性フェロモンのにおいとか嗅いでみたけどよくわからなかったw
奥のスクリーンでは、ゴキブリの性フェロモンを利用した実験などの動画が再生されていました。YouTubeにも動画がアップされていたので、貼り付けときます。
今回の企画展では、シロアリ関係の展示が結構充実していたので、社会性昆虫好きとしては非常に嬉しかったです。
シロアリの巣内でシロアリと共生・寄生している様々な好白蟻性昆虫の展示。実物の標本もいろいろ展示されていたんですが、非常に小さい虫ばかりなのでほとんどまともに写真が撮れませんでした......。マクロレンズを持参してリベンジしたいところ。
こちらはシロアリの巣の展示。
そして個人的に今回の企画展の目玉。生きたオオシロアリのコロニーを、めちゃくちゃ見やすく展示してくれている!!! この展示の前で閉館までほとんど動かずにずっと観察したり写真撮ったりしてました。楽し過ぎる。
「擬職蟻」と呼ばれるいわゆる「ワーカー」。オオシロアリのような比較的原始的なシロアリでは、ここから脱皮して兵アリやニンフ(王・女王など羽アリの前段階)などに分化するそうです。アリとはまた違ったカースト構造が面白い。
大きな顎を持つ兵アリも。
中央の真っ白な個体は幼虫かな......?
展示ケースの中には王アリや女王アリはいないようですが、女王が死んだときに生殖を担う「副女王」カーストのシロアリもいるそうです。擬職蟻との見た目の違いがよくわからなくて、見つけられませんでしたか......。
丸い頭と小さい目で見上げる姿がめっちゃかわいい。
京都駅から京都市バスに乗って30分程度。「百万遍」バス停下車、徒歩2分程度。
写真撮影は、企画展と、常設展自然史展示室のみ可。文化史展示室や技術史展示室などは撮影不可。
コインロッカーはなかった気がする。
館内に飲食店などはなし。京都市街地なので、博物館周辺には色々飲食店があると思う。
]]>福井県立恐竜博物館で開催中の特別展『恐竜の大移動』を見てきました。
恐竜界の二大スター、ティラノサウルスとトリケラトプスのなかまの、アジアと北米間の往来と進化の歴史にスポットを当てた、テーマ性のはっきりした非常に解りやすい展示で良かったです。
三畳紀から始まり、ジュラ紀、白亜紀前期・後期と、ティラノサウルス類と角竜類がどのように分布を広げ、進化していったのかが丁寧に解説されていましたよ。
まずは三畳紀の北アメリカの展示。
三畳紀の北米にいた初期の獣脚類コエロフィシスの化石がたくさん。
この頃はまだティラノサウルス類も角竜類もいないので、展示テーマ的にはあっさりめです。とは言え、恐竜じゃない爬虫類の展示が凄く良かった。
レドンダサウルスの全身骨格。見た目ワニっぽいですが、ワニとは全然違うグループのフィトサウルス類という爬虫類のなかま。ワニそっくりなのは今のワニと似たような生態をしているための収斂進化。
鏡越しに頭頂部が見られるように展示されていますが、現生のワニとは違ってこのフィトサウルス類は鼻孔が頭の凄く上の方、眼窩のすぐ下あたりに開いているのがわかります(ワニは吻部の先端近くに鼻孔がある)。鼻孔が口先の方ではなく頭の上の方に開いているというのは、水中生活に特化した哺乳類であるクジラ類なんかにも見られますね。そういう意味ではこのフィトサウルス類は相当水中生活に適応した爬虫類だったんでしょうか。
同じくフィトサウルス類のマカエロプロソプスの頭骨。この二つは同じマカエロプロソプス属の別の種ということでそれぞれ違う種小名がついていますが、もしかしたら同種の雌雄の違いである可能性もあるそうです。こちらもレドンダサウルスと同様に鼻孔が頭部のかなり上の方に開いてます。
こちらはアエトサウルス類というまた別のグループの爬虫類ティポトラクス。腹部を上に向けて仰向け状態になっている化石。全身が装甲に覆われているのが見てとれます。以前特別展『発掘!モンゴル恐竜化石展』で、同じように仰向け状態で化石になっているピナコサウルスが展示されていましたが、こういう装甲分厚い系の爬虫類は仰向けで化石化しやすかったりするんでしょうかね。
続いてジュラ紀のアジアの展示。ここからいよいよ本格的にティラノサウルス類と角竜類の進化というメインテーマにがっつり突入。
ティラノサウルス上科に含まれるグアンロン。この特別展ではティラノサウルス上科に含まれる恐竜を「ティラノサウルス類」として扱ってるようです。
こちらは今見つかってる中で世界最古級の角竜類インロン。グアンロンもインロンもこんな状態の良い実物化石が見られるなんてすごい。
続いて白亜紀前期のアジアの展示。まずは角竜類から。
プシッタコサウルス。どちらも実物化石。左の化石がめちゃくちゃ綺麗。
アウロラケラトプス。プシッタコサウルスより少し派生的な角竜類。これもどちらも実物化石。
アクイロプス。これはアジアじゃなくて北米から産出した角竜。白亜紀前期の角竜は今のところ北米からはこのアクイロプスしか見つかってないそうです。このアクイロプスの発見によって、アジアから北米への角竜類の到達が今まで考えられていたよりもだいぶ早かったことになるそうな。
一方のティラノサウルス類のディロング。細長い頭骨がかわいい。
そして「羽毛の生えた大型ティラノサウルス類」として2012年に鮮烈デビューを果たされたユウティラヌスさんの復元骨格。
ユウティラヌスの産状レプリカ。2012年の幕張の恐竜展の時より見やすくて良いですね。
そしていよいよ白亜紀後期の北米。
トリケラトプスをはじめ、大型化、頭部の装飾の多様化を果たした様々な角竜の頭骨たち。
ペンタケラトプスの頭骨の実物化石も。
ティラノサウルス類からは、ビスタヒエヴェルソル(左)とティラノサウルス(右)の頭骨。ビスタヒエヴェルソルって名前覚えられる気がしない......。
一方その頃アジアでは。
タルボサウルスの頭骨(左)と、ズケンティラヌスの顎の実物化石(右)。ティラノサウルス類は、北米とアジアでともに大型化し、似たような種(特にティラノとタルボなんてそっくり)が繁栄したんですねー。アジアから北米に渡ったティラノサウルス類が大型化して再びアジアにも生息範囲を広げていった感じのようです。
角竜類の方は、プロトケラトプス(左)やモザイケラトプス(右)など。どちらも実物化石。モザイケラトプスは、派生的な角竜類の特徴と、基盤的なプシッタコサウルス類の特徴を両方持っているそうな。
ティラノサウルス類とは対照的に、角竜類は、北米では大型化して頭部の装飾は派手になった反面、アジアでは比較的小型で角とかの生えていない種がそのまま主流だったようです。面白いね。
そんな中、アジアの角竜類としては珍しい、大型で角の生えた角竜がこちらのシノケラトプスさん。北米で大型化した角竜類も全くアジアに渡ってこなかったわけではないようです。
シノケラトプスの頭骨の復元レプリカもありました。
会場出口ではトリケラトプスとゴルゴサウルスの全身骨格がお見送り。
えちぜん鉄道勝山駅から、コミュニティバスで15分程度。「恐竜博物館」バス停下車、目の前。
勝山駅までは、福井駅から、えちぜん鉄道で1時間程度。
コインロッカーあり。
食事は博物館3階のレストラン「Dino」でとれる。ソースかつ丼とかボルガライスとか、福井の名物料理なんかもある。
再入場可。
]]>国立科学博物館で開催中の特別展『海のハンター展』に行ってきました。
海棲脊椎動物の「捕食」をテーマに、古生代の生物から、現生の生物まで、海に住む多様な脊椎動物の標本が展示されていてボリュームたっぷりでした。
まずは古生代の展示。
左は翼甲類のドレパナスピス。現生のヤツメウナギ類やヌタウナギ類と同じ顎の無い無顎類って言われてたけど、系統的にちょっと違うみたいですね。顎のある脊椎動物のグループ顎口類に近いらしいです。
右は軟骨魚類のクラドセラケ。サメやエイの祖先グループ。
こちらは現生ですが、無顎類のミツバヤツメの口の拡大模型。こわい。
板皮魚類ダンクルオステウスの頭骨。普段は常設展に展示されてますが、こちらに出張してきてるようです。
続いて中生代。
首長竜タラソメドンの全身骨格と、魚類ショニサウルスの頭骨復元レプリカが存在感を放ってます。というかショニサウルスでかすぎる。
国産首長竜フタバスズキリュウことフタバサウルスの実物化石も。
魚類化石もいろいろありましたが、特にこの化石が凄かった。カラモレプレウルスという魚が、少し小型のクラドキクルスを丸呑みにしたところ、クラドキクルスにお腹を食い破られてる、という状態の化石らしいです。
左はカラモレプレウルスの口の部分。丸呑みしたクラドキクルスの尻尾部分が口からはみ出してるのが見えます。
右はカラモレプレウルスの腹の部分。クラドキクルスが腹を食い破って頭を出してるのが見えます。
こんな状態で化石になるとかすげえな。まあ、状況的にそう見えるけど、実際のところはどうなのかわかんないですけどね。
魚類化石でもうひとつ印象的だったのがこちらのスクレロリンクスの化石。エイのなかまで、現生のノコギリエイのようなノコギリ状の吻部があります。右の写真はノコギリ部分の拡大。ノコギリの「刃」までしっかり残ってますね。白亜紀にはもうこういうノコギリエイ的な形状の魚が普通にいたんですねー。
翼竜ケアラダクティルスの化石も。翼竜なので海じゃなくて空の生き物ですが、ワニなんかの魚食性の動物に似た顎と歯の形状からも、空から海の魚を狩っていたんだろう、ということで「海のハンター」扱いなんでしょう。
続いて新生代の化石展示。
新生代の古生物で海のハンターと言えばやっぱメガロドン。どの属に分類されるのかがはっきりしないメガロドンですが、本展示ではカルカロドン属(現生のホホジロザメと同じ)ということになっているようです。
新生代の化石展示で一番印象的だったのはこちら。ペンギン科の化石鳥類スフェニスカス。
全身骨格の復元も。現生のペンギンと比べると、だいぶ体全体のバランスからみて頭部が大きいらしいです。
古生物の展示が終わると、現生の海のハンターたちの展示へ。海棲哺乳類のホネが色々展示されていました。
セイウチ(左)とミナミゾウアザラシ(右)の頭骨。
イッカクのコッカク。イッカクの一本ヅノのようなアレは角ではなくめっちゃ伸びた歯なんですが、上顎の左の歯だけが伸びるというのが不思議。右の写真は頭部のアップ。左側だけから上顎を突き抜けて歯が伸びているのがわかるかと思います。ちなみに歯が伸びるのは基本的にオスだけだそうです。
シャチの骨格も。かっこいい。
「サメラボ」という展示コーナーでは、現生のサメの標本がめっちゃいっぱい展示されています。
そして本展示の目玉。
ホホジロザメの液浸標本。でかい。
こわい。
「海のハンターたちのテクニック」の展示では、ユニークな捕食方法を取る生き物たちの展示が。
ノコギリ状の吻部を振り回して獲物を攻撃するノコギリエイ(左)と、長い尾を獲物に叩きつけて攻撃するニタリ(右)。ニタリが獲物を尾で攻撃する映像は、以前、大阪の海遊館でやっていた特別展『シャークワールド』で公開されていましたが、凄いスピードでした。
水中で羽ばたいて飛ぶように泳いで狩りをする、ウミスズメのなかまウトウ(左)と、長い吻部で吸い込むようにして獲物を捕食するアカヤガラ(右)。
ほかにも大量に海棲脊椎動物の標本が展示されていて、さながら「海棲脊椎動物図鑑」的な展示で楽しかったです。
JR上野駅を公園口から出て、徒歩5分程度。
公園口以外の出口から出ると、かなり遠回りをしないといけなくなるので注意。
上野駅へは東京駅から10分程度。
コインロッカーあり。
食事は、地球館中二階のレストラン「ムーセイオン」(結構メニュー豊富)や、日本館地下一階のラウンジ内のカフェ(軽食)など。
上野公園近辺や上野駅近辺にも食事のできる場所はいくらでもあるので、困ることはない。
福井市自然史博物館で開催中の特別展『旅をするタネ』を見てきました。
育ってしまうと移動ができないため、植物の一生のうちで、生息域を広げるほぼ唯一のタイミングである、タネの散布について、その多様な手段を紹介した展示でした。
身近なタネから海外の珍しいタネまで、色んな大きさや形のタネが展示されていて、あんまり植物に詳しくなくても見ていて楽しい展示でした。
会場に入って最初に目につくのは「世界で一番大きなタネ」と題された展示ケース。
30cm以上の大きさのフタゴヤシのタネ。でかい。
さらに、「世界一長いまつぼっくり」サトウマツ(左)、「マメ科植物最大のさや」モダマ(中央)、「世界一大きな翼を持つタネ」アルソミトラ(右)なども。
いろんなどんぐりの展示。普段あまり気にしてないけど、どんぐりも樹種によって大きさも形も全然違うなーと改めて実感。
まつぼっくりもいろいろ。
「どうやってなつぼっくりを容器に入れたのか考えてみよう」という展示も。
ネタバレすると、水分を含むとまつぼつくりは閉じて小さくなるので瓶の口に入るんですねー。乾くとまた元に戻る。
まつぼっくりを分解してみた、という展示も。
さて、いよいよタネの多様な散布方法を紹介した展示に突入。まずは、風に飛ばされて運ばれるタネ。
綿毛を飛ばすタイプとか、翼みたいな形をして滑空するタイプとか、同じ風散布でも多様な形態のタネがあって楽しい。
山火事に依存してタネを散布するタネもあります。日本にいると山火事なんてレアイベントに依存してどうすんだって思っちゃいますが、乾燥した地域では数年程度のスパンで山火事が起きて、植生が一部リセットされて更新される、というのが普通だったりすることもあるようです。
モントレーマツ。前述のとおりまつぼっくりは乾燥すると開くわけですが、山火事の熱で極端に乾燥したタイミングで大きく開いてまつぼっくりの中の種子を全部散布するそうです。山火事後なら周辺のライバルが燃えた後なので、競争が少ないというわけですね。
同様に山火事の熱で果実がパッカーンと開いて中の種子が飛び出す、クリケットボール・ハケア。
植物は移動できないので、移動できる動物に依存して移動するというタイプのタネはかなり多いようです。
被食散布されるタネたち。鳥や哺乳類が果実を食べ、どこかに移動し、消化されなかった堅い種子の部分が排泄されることにより、タネは移動できる上、成長するための肥料(動物のフン)まで用意された環境で育つことができるわけですね。
鮮やかなブルーが美しいタビビトノキのタネも被食散布。
アリに散布を依存しているカタクリやカンアオイのタネ。種子に、生育とは無関係に栄養があって美味しい「エライオソーム」と呼ばれる付着物をくっつけています。アリはタネを見つけると巣に運び、このエライオソームだけを食べて、残ったタネ本体はゴミとして巣の外に捨てるので、結果的にタネは移動できるという寸法。しかも、アリは決まった場所にゴミを集める習性があるので、ゴミとして捨てられたタネは周囲に虫の死骸など肥料となる物が沢山集まった環境で生育できるわけですね。
こちらはクルミなどの貯食散布されるタネ。リスやネズミ、鳥などの小動物がクルミを自分の隠し場所に貯めこむものの、全てを食べきるわけではないので、残ったものが生育できる、という形。
全部食べきられると当然生育できないので、毎年クルミができる数は上下するようになっているようです。クルミの生産量が少ない年は、結果的に動物たちは食べ物が少なくて数が減り、その次の年にクルミが大量に生産されると、動物は数が減ってるので食べきれず、余ったクルミが生育できる、というような仕組み。面白いなー。
こちらは付着散布のタネ。いわゆる「ひっつき虫」とか「くっつき虫」とか言われるアレ系ですね。動物の体に付着することで移動します。
中にはこんな禍々しい形をしたものも。サイズもめっちゃでかい。左はライオンゴロシとかいう恐ろしい名前。右はツノゴマ。別名悪魔の爪とかいうらしい。どっちも中二病感溢れる良い名前だと思います。
これらは水に運ばれることによって移動する水散布のタネ。
湿ると縮み、乾くと伸びる性質などを利用して、自力でタネを飛ばす植物たちも。
植物の多様な種子散布の戦略が学べて非常に楽しい特別展でした。
福井駅からは徒歩30分程度。山の中を歩いて登るのは疲れるけど楽しい。
その他の交通手段は公式サイトの案内を参照。
館内に飲食店などはなし。周辺にもあまり飲食店などはなかった印象。
再入場可。
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