米国の空売り規制による金融株買い/債券売り一巡
[東京 25日 ロイター] 25日の東京市場は株安/債券高。米中古住宅販売や独IFO業況指数など欧米の経済指標が軒並み悪化し、景気悪化への懸念があらためて意識された。日本でも消費者物価指数(CPI)の上昇基調が鮮明になり消費への影響が警戒されている。
加えて、需給的にも空売り規制強化による米国金融株の買い戻し一巡との見方が出ており、債券市場も金利低下余地を探る動きになっている。金融株安は為替市場でリスク回避の円買いをもたらすなど影響が広がっている。
<日本でも金融関連株の下げきつく>
東京株式市場で日経平均は大幅反落。前日比250円を超える下落となった。全米リアルター協会(NAR)が24日に発表した6月の中古住宅販売戸数(年率)が10年ぶりの低水準となったことで、住宅市場の低迷が続きクレジット問題が長引くとの不安から米金融株が下落。これまで上げ歩調にあった日本の銀行株などに売りが波及した。市場筋によるとバスケット取引も売りが450億円に対し買いはゼロと海外勢から売りが出ている。銀行、証券、その他金融など金融関連株は軒並み4─5%下落している。
日経平均は今週に入って前日までに3日間で約800円上げており、原油価格が反発し円安進行も一服したことで「スピード調整的な利益確定売り」(準大手証券トレーダー)が出たという。
新光証券、投資情報部次長の三浦豊氏は「週末であるほか、米空売り規制の対象銘柄が拡大する可能性があるとの報道を受け、様子見姿勢が強い。グローベックスにも方向感がなく、今晩の米株市場は見極めづらい。アジアを含めた主要株式市場の多くで年初来安値を更新したことを受けて、海外投資家はリスク許容度が落ちている」という。国内株については、「ショートカバー以外に買うインセンティブがない。国内機関投資家は下値で買う材料が見当たらず動きがない。短期筋の売買が中心の相場で売買代金も低調だ」と話す。
また、ある国内証券筋は米空売り規制強化の効果が薄れた影響が出ている、と指摘する。この関係者は「米銀行株指数は空売り規制強化で50%前後上昇しており、買い戻しは一巡したのだろう。金融株は買い戻し以外に株を買う理由は特になく、これまでの上昇トレンドは収まるのではないか」と話している。米10年債の利回りも4%を割り込んできており、グローバルに債券を買い直す動きが強まりそうだ、という。
<10年債1.5%割れの声が再浮上>
こうした動きを受けて、円債市場は急上昇。
海外のテクニカル・ファンド勢の買いや、国内勢の買い戻しの動きが指摘されていた。午後に株安が進むと先物は一段高となり、136円台を回復した。
現物市場も長期ゾーンを中心に年金勢など国内投資家や一部海外勢の買いが入り、金利が急低下。10年最長期国債利回り(長期金利)は一時9.0bp低い1.565%に低下、5年債利回りは同8.5bp低い1.135まで低下した。
朝方発表された6月全国・7月東京都区部CPIは事前予想に沿った内容となり相場への影響は限られた。もともと「今の日本の状況では、物価が上昇したといっても、賃金の上昇ではなく消費の抑制につながる側面が強い」(国内証券筋)として、物価高イコール金利上昇とはみられていない。ただそうはいっても「CPI上振れの警戒感は肌感覚で強い」(外資系証券筋)といい、「水野日銀審議委員が前日の講演で秋までに2.5%まで上昇するとの見方を示したことで、6月の段階から2.0%台に乗せるのではないかとの警戒感も多少なりともあった」(同)という。
前出の国内証券筋は「金融株買いが止まり、円債市場の調整局面は終わりを迎える局面に入っている」とし、10年債利回りは1.50%割れを試す展開を予想している。
一方、ニッセイ基礎研究所、主任研究員の徳島勝幸氏は「ここにきて海外市場の影響を受け、相場が戻っている。投資家別の売買動向などを見ても6月から着々と債券への買いが入っており、買い意欲がないわけではない。ただ、金利の上昇を見てしまっただけに、さらに買いを進めるだけの積極性もない」と述べており、相場は1.5─1.8%のもみあいの範ちゅうにある、とみている。
<金融株安でリスク回避の円買い、デカップリング論は幻想との見方>
一方、外為市場では、前日海外からきょうのアジア時間にかけて株安を背景に、ユーロ/円などクロス円の下げが目立った。最近の市場では株安と円高の相関性が低下していたが「米金融株が大きく下落したことで、久々にリスク回避の円買いが強まった」(都銀)という。
ユーロ/円は東京市場で一時167.71円と1週間ぶり円高水準を更新。この日のシドニー株式市場で、債務担保証券(CDO)関連の引当金積み増しを受けてナショナル・オーストラリア銀行(NAB)(NAB.AX: 株価, 企業情報, レポート)株が1割超の下げとなったことで、豪ドル/円も朝方の103円付近から102円前半へ下落した。前日にNZ準備銀行(中央銀行・RBNZ)が予想外の利下げに踏み切ったことから、NZドル/円NZDJPY=R>も79円後半と5月半ば以来、2カ月ぶり円高水準をつけた。
前日に発表された経済指標が相次ぎ景気の悪化を示し、世界的に株価が再び下落基調を強めてきたことで、市場では「デカップリング論は幻想だった」(外銀)との声が出ており、リスク回避の動きとしてクロス円の下落に現れてきたとの見方も出ている。前日に発表された日本の6月貿易収支では、輸出が55カ月ぶりのマイナスに転じたほか、欧州では独IFO指数が3年ぶりの低水準となった。7月企業景況感も仏で3年ぶり、伊で7年ぶりの低水準を記録。スペインでは失業率が3年ぶり高水準に達し、英国では6月小売売上高が86年の集計開始以来の下落率となった。
(ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:宮崎 大)
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